おっちゃんの仕事場「体験」レポート

 

下のレポートは皆さんお馴染みの「おっちゃんの仕事場探検」の「349番」にアップしたものと同じものですが、私が初めてスタジオ見学をさせていただいた記念すべきレポートなので、こちらにも置いておこうと思います。これからもまた、こうしたスタジオ見学の機会に恵まれることもあるかもしれませんが、どちらかというと最初で最後のような気が…だからこそなおさら、ここに大事に残しておきたいんです(*^-^*)

 



2006年4月15日。大島ミチルさんとのお仕事で、港区麻布台にあるサウンドシティに行きました…と、いつものような書き出しですが、今回は何と「私」が行ってきました(もちろん、おっちゃんも参加してますけどね(^.^)b)。さて、いったい何でこんなことになったかと言うと、実はこの録音のあった4月15日と翌日の16日、私は別件で上京する予定になってたんです。で、せっかく上京するなら、もちろんおっちゃんにも会いたいし、それこそHP仲間の皆でオフ会もしたいし…なんてことになったんですが、おっちゃんはこの日すでに大島さんとのお仕事が入ってたんです。で、それなら、HP仲間の皆とサウンドシティ近くのファミレスで、おっちゃんのお仕事が終わるまでお茶して待っていよう…ってことになりました。で、その旨を大島さんにお話してたら「近くにいるなら、ぜひスタジオのロビーまで来て♪」って言ってくださったんです。もう、嬉しいやら、ビックリするやら…(^◇^;)

さあ、ここからが大変。いくら、普段こうしてレポさせていただいてるといっても、あくまで私は一般人。それがプロの方々の大事な現場をウロつくのはどうか…と、かなり悩んだんですが、マサさん(篠崎正嗣さん)からは「サウンドシティのロビーは大丈夫。僕もタジタジも早めにいくから、おいでよ」なんて言われるし、おっちゃんも「わしは2時前に行くから、先に行って大島さんに会うてきなはれ〜!」ってお気楽に言うし…で、最終的には、大島さんの「ロビーで待っててくれたら嬉しいです♪」の一言にのぼせ上がって、大島さんがスタジオ入りされる午後1時前にチラッとだけお邪魔させていただくことにしました(^^ゞ


これは、神谷町のファミレスでオフ会をしてたHP仲間の皆。こんな皆に見送られて、私は地図を片手にスタジオまで歩いていくことに…で、何とかそれらしきところに着いたところで、ちょうどおっちゃんから「着いたか?」の電話がありました。はいはい、確かに話に聞いてた2階建ての駐車場は見つけたけど、一体どこがスタジオの入り口やら…とキョロキョロしながら電話してたら、どこからともなく「ゆみちゃん!」の声が…。すると、そこには車から降りたばかりのマサさんが立ってて、手招きしてくれてました。もう、このあたりから私の緊張度はMAXです(+_+)

何か、ろくに「はじめまして」のご挨拶もできないまま、足早にスタジオまでの階段を駆け下りていくマサさん。で、その後ろを必死でついていってる私の方に振り向いて突然「はい、景品とお土産!」って言いながら白い紙袋を渡してくれ(ちょうどこの前日、私はマサさんの謎なぞに正解したんです♪)、また一気に駆け下りていきました。


地下3階まで降りるとすぐに、大島さんとの待ち合わせの場所になってたロビーらしきところがありました。すでに弦の方が何人かいらしてて、その方たちにマサさんは「旭さんのHPのゆみちゃん」って紹介してくれたあと、今度は「こっちがうちの三男で、あっちが長男…で、こちらが城戸おねえさま…」と、おにぎりを食べながら色んな人を紹介してくれました。ついでにこんな写真なんかも撮ったりして…(;^_^A

で、そんな話に夢中になってたら、知らない間に大島さんがスタジオ入りされてて、しかもアッという間にスタジオの奥まで行っちゃってました…。それに気づいたマサさんが「ミチルちゃん、行っちゃったよ。こっち、こっち〜!」なんて言うので、そのままついていくと、目の前にはおっちゃんがいつも撮ってきてくれる写真で見てた風景と同じ…でも、生のサウンドシティのフロアが広がってました。ロビーまでは行っても、絶対にスタジオには入らないでいよう…と思ってたのに、何という展開。で、そのフロアの真ん中にたたずむ大島さんは、冗談でも大げさでもなく、ほんとにふわぁ〜っと輝いて見えたんですよ(*^-^*)

こちらがその、私にとっては2003年の和田さんのコンサート以来、2年半ぶりの再会となった大島さんとマサさん。マサさんは「いつもHPではハイサワーを持ってるけど、今日は紅茶で…」なんて言って、お昼ごはん用の紅茶を前に出してポーズ♪

何か、このあたりからはもう夢なんだか現実なんだか、とにかく今の自分が置かれてる状況が理解できなくなって、何を話したか覚えてませ〜ん(^^ゞ

ただ、ファミレスに残してきた皆のために…と、写真だけはしっかり撮らせていただきました〜。


こうして無事にご挨拶でき、そろそろ失礼しようかと思ってたら、いきなり大島さんから「録音、見ていったら?」のお声が…実は、事前のメールでも一度お話をいただいてたんですが、やはり私自身の立場を考えてお断りしてたんです。で、このときも「いえ、それは…」って言いかけたら、どこからかマサさんが椅子を持ってきて「はい、ここがゆみちゃんの席♪」なんて感じで、すでにセッティングしてるではありませんか…! しかも、ファーストヴァイオリンさんたちのすぐ後ろに…ほんと、すぐ隣の人のヴァイオリンの棹っていうか、先っぽの部分が私の肩と触れそうな距離のところなんですよ(@_@;)


何だかもう嬉しいやら申し訳ないやら…の大パニック状態のまま席につき、とりあえず全体の雰囲気を撮ってみました(写真にカーソルを乗せると、画像が切り替わりますよ♪)。

この写真を見ても分かるように、ほとんどの人が練習なんかせずに、それぞれの時間を楽しんでるんです。楽譜はすぐ目の前にあるのにね…で、私が見てた限りでは、何やらお土産のお菓子をたらいまわしにしてたのが印象的でした(ちょうど温泉帰りが2人ほどいたそうです(^.^)b)。

チラッと後ろから覗かせてもらうと、楽譜にはけっこう音符が並んでて、難しそうに見えたんですけどねえ…


あ、この日の録音は、2003年10月に録音が行われたパイオニアのDVD(76番参照)と同じシリーズのもので、前回は京都にちなんだものでしたが、今回は沖縄のものなんですって。で、この録音のちょうど1ヶ月くらい前…そう、3月に行われた静岡県袋井市の市歌の録音(335番)やキョーリン製薬の社歌の録音(340番)のころに大島さんの方から「琉球竹笛という沖縄の笛があって、それが使えれば…」というお話があったようで、おっちゃんはネットで色々と調べてみたそうです。すると、「琉球竹笛」というのはどうやら商品名のようで、そのネット上にある写真で見た限りでは、篠笛や龍笛などに使う「女竹(篠竹)」ではなく、箒(ほうき)の柄などに使っているのと同じ種類の竹を使ってる笛のように見えたんですって。

穴の配列などは、おっちゃんが使っている自作の笛や市販のドレミ調の笛とあまり変わらないものがメインのようですが、中には伝統的な等間隔に孔を開けてあるものもあったとか…そのほかにも中国製の明笛の響孔を塞いで使っているものとか、篠笛を使っているものなど、けっこう色々とあるようで、あまりちゃんとした定義はないように思えたそうです。で、急きょ取り寄せてみようかな…とも思ったそうですが、実際にスタジオで使える状態かどうかは分からないので、結局はいつも使っている自作の笛で「それらしく吹いてみよう」ってことにしたそうです。おっちゃんのこの「(全く別の楽器を使ってるのに)それらしく吹ける」ところがすごいんですよね〜!(^o^)


さて、確か録音は1時から始まる…って聞いてたのに、ほんとに12時59分まで普通に雑談して、お土産のお饅頭を食べて…って感じだったので、「ありゃ、開始時間を聞き間違えたかな?」なんて思ってたんです。

でも、ちゃんと1時ちょうどに大島さんが現れて、サッと指揮台に立つと、一瞬にしてその場の空気が変わりました。私にとっては全身がピリッとするような、何とも言えない空気に…ああ、語彙と表現力の乏しさが悔やまれます(T_T)


ここで私は「そういや、別の録音のときに、最初に各セクションが少しずつ適当なフレーズを演奏してマイクのテストをするって聞いたことがあるなあ…いまからそのマイクテストなのかな?」なんて思い出して、ついでに「そうか、そのときにチラッと演奏するのが練習を兼ねてるんだな」とも思ってたんです。

ところが、大島さんが手を振り下ろすと、いきなりそこは弦の音色の大海原に…もう、本番さながらの演奏なんです。初見なのに、しかも全くって言っていいほど練習してないのに、あまりの完成度にかなり面食らってしまったのですが、しばらくして「あ、これが大島さんの得意な1発録りってヤツなのかな…?」なんて思いながら聴いてました。でも、これはあくまでリハだったようです。演奏が終わると同時に、大島さんは副調にいらっしゃるスタッフの方々と「どう?」「あ、あそこね…はいはい」なんて感じで打ち合わせを始めました。

私はイヤフォンをしてなかったので大島さんの声しか聞こえず、いわゆる「電話をしてる人を客観的に見る」って状態だったんですが、ミュージシャンの皆さんには副調との会話の全てが聞こえてたんだと思います。しばらく打ち合わせをしたあと、もう1度やることになりました。しっかし、その副調との打ち合わせの間、私は息をしていいのやら、どこを見てたらいいのやら…で、きっとすごい顔をしてたと思います(;^_^A


これはマサさんがソロをやってるところです。
1曲目の途中で、突然マサさんが立ち上がったので何事かと思って見てたら、朗々としたソロが始まりました♪

でも、何で立つんだろう…他の人も一緒に静かに弾いてるから、その音の中からマサさんの音が浮き上がるようにするために、こうして少しでもマイクに近づいて弾いてるのかな〜?…ほんと、ド素人ならではの疑問がいっぱいです(@_@;)


この「立つ」ことに関してあとでマサさんに聞くと「今日は5.1chのためにアチコチでマイクを使ってるから、足りなかったんだよ」って教えてくれました。どうやら、普段ソロをやるときは、また違う録り方をするようですね(^.^)b

こうして2回ほど通して演奏したあと、今度は気になる部分だけを録るってことになりました。私には分かりませんでしたが、どなたかが間違ったりしたのかな…気になる部分を含むほんの何小節かを演奏して、この曲は終わりになりました。あんなわずか何小節が切り貼りできるんですもん、すごいですよね〜。いや、それより何より、ほんと1曲を演奏するのって、わずか2〜3回なんですね…これは前々から聞いてたものの、実際に目の当たりにして、皆さんの演奏能力の高さとスタッフの方々の手際のよさに改めてビックリです。

このあと、突然マサさんとタジタジさんと大島さんの3人がスタジオから出て行ったので何かと思ったら、プレイバックのチェックをしに行ってたようです。私が見た限りでは3人だけだったようですが、このプレイバックを聴きに行く人ってのは、どうやって決めるのかな…フロアに残ってた人のイヤフォンでは聴けないのかな…と、頭の中には「?」がいっぱいです(^^ゞ


続いて2曲目です。今度はピアノソロから始まって、途中で弦が入るって感じの曲です。大島さんの合図とともに、私はブースから漏れてくる小さなピアノの音に耳を傾けてましたが、皆さんはイヤフォンでしっかりと音を捉えながら、自分の出るタイミングを計ってるようでした。

で、一度サラッと最後まで通したあと、大島さんがピアノの方(パネさん)に「そこは水がポコポコと湧き出てくるように(…だったかな?)」とか何とかの指示をされて、再演奏。


このとき、フロア中で1番しっかりとピアノの音に聴き入り、ピアノに合わせて上体をゆったり揺らせながら自分の出番を待ってたのがマサさんでした。所詮は仕事だ…なんて割り切ってしまわないで、体全体で大島さんの音楽を、パネさんのピアノを楽しんでるマサさん、素敵でしたよ(*^-^*)

でも、この弦の出番が来るまでの間が大変だったんです。皆、ほんとに息を殺してピアノに聴き入ってるので、スタジオの中は水を打ったように静まり返ってるんです。で、私は先にも書いたようにイヤフォンをしてなかったので、ブースからかすかに聴こえてくるピアノの音に必死で耳を澄ませてたんですが、またもや「私、いま息をしててもいいんだろうか…」「わ…お腹が鳴りそうだ(>_<)」なんて感じで、ほんとに生きた心地がしませんでしたよ(;^_^A

こんな調子でしたが、何とか2曲目も無事に終了。ここで大島さんが「ちょっと休憩にしましょうか」っておっしゃって、一気にスタジオが賑やかになりました。するとマサさんが私の方にやってきて「そろそろ、おっちゃんが来てるはず…」なんて言いながら、そのまま外へ様子を見に行ってくれました。私も続いて外に出ようと思ったんですが、何だか腰が抜けちゃって…そしたら、おっちゃんの方が入ってきて「見学することになった…やてメールが来たわりにはコントロールルームにおらんなあと思うたら(普通、スタジオ見学はコントロールルームからするものなんだそうです)、こんなところにおったんか。何じゃ、青白い顔して、えらい縮こまって…」ってニヤニヤしてるんです。まったく、どこまでイジワルなんだか(-_-;)


で、最後まで見学していたい気持ちは山々だったんですが、ここから先のレポはおっちゃんに任せることにして、私は皆の待つファミレスへ帰ることにしました。

その帰り際に撮った1枚…おっちゃんと、オーボエの庄司さんです。庄司さんは最初からいらっしゃって、弦と一緒に素敵な音色を聴かせてくださってたんですが、ちょうど私の座ってた位置からでは、大きな柱が邪魔して見えなかったんです。ここで、やっとご挨拶ができました(^^ゞ

あとで大島さんに聞いたことですが、このあとおっちゃんは大島さんに「○○さん(←私の名字)がメチャクチャ緊張してるのがおかしかった〜!」って笑ってたそうです…何ちゅーやっちゃ(▼▼メ)


さて、ここからはおっちゃんレポーターによる現場報告です。この日はフルート以外には、先にお話した例の笛を使った曲が3曲あって、そのうちの2曲が、いわゆる沖縄音階「ド(レ)ミファソシ」の曲だったそうです。沖縄のエメラルドグリーンの海が見えてくるような、ゆったりとした素敵なメロディの曲だったそうですよ。あとの1曲は全くのフリーで、楽譜は「Asus」「Gsus」なんてコードネームが書かれてたので、おっちゃんは「これだと沖縄音階にはならない…かな?」なんて考えてたら、大島さんの方から「普通のお祭りの笛のような感じで‘レミソラシ〜’みたいな音階でやってください」との説明があったそうです。で、これは篠笛が得意とするペンタトニック(5つの音からなるスケールのこと)なので、けっこうラクにできたそうですよ…って書きながら、すでに先のコードネームのあたりからは私にはあまりよく分かってません。どうぞ、分かる方だけ「ほうほう♪」って楽しんでくださいね。あ 笛はいずれもC管…つまり、邦楽的にいえば「8本調子」の篠笛を使ったそうです。

そうそう、この日の録音は、さすがオーディオのパイオニアさんの録音らしく、かなりサウンドに対するこだわりがあったようですよ(…と言っても、おっちゃんから聞いたままの受け売りですが(^^ゞ)。何でも、「5.1チャンネルサラウンド方式」で、しかも「アナログ録音」だったんですって。なので、コントロールルームもフロアの方も大きな機材がいっぱい持ち込まれてて、いつもとはちょっと違う…独特の緊張感が漂っていたそうです。また、コントロールルームのモニターまで「5.1ch」でやっていたらしいので、そのあたりからもサウンドに対するこだわりが分かりますよね(でも、そんな大変な現場にお邪魔してしまった私って…)。

おっちゃんは「ありゃ、エンジニアさんたちの方はかなり大変だったんちゃうかなあ。まあ、わしら演奏の方は、風景のBGMやから、穏やかな感じの曲が多うてラクやったけどな。あんたも見た通り、一度サラッと通してすぐ本番…ほんでプレイバックっちゅー感じでスムーズに進んだわ。途中で休憩をとったりする余裕もあったくらいじょ♪」なんて言ってました。

この日の編成は、弦(マサさんのグループ:86442)、フルート&篠笛(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、ハープ(朝川朋之さん)、ピアノ(フェビアン・レザ・パネさん)、ギター(千代正行さん)、ラテンパーカッション(菅原さん)、指揮(大島ミチルさん)、エンジニア(田中さん…?)でした。

で、右の写真は、左から、大島さん・庄司さん・斉藤順さん(ベース)・パネさんです。なかなかいい写真でしょ♪

こうして録音は無事に進み、17時までの拘束だったおっちゃんとも16時半すぎには例のファミレスで再会できました。でも、作曲家である大島さんは、まだまだこのあと色んな作業があったんでしょうね…お疲れさまでした(^^ゞ


実は、このお仕事のあと、私はおっちゃんやマサさんとの飲み会があったんですが、そのときに「練習もなしにいきなり演奏して、すごかったですね〜!」なんて言ったら、マサさんやその場に一緒にいらした作曲家さんが「うん、そんなもんなんだよ♪」と明るく爽やかに語ってくれました。いつも大島さんが日本のスタジオミュージシャンの初見演奏能力を絶賛してらっしゃいますが、今回のことで私も身に染みて分かりました。ほんと、素晴らしいです。もちろん、そのミュージシャンたちを率いる大島さんたち作曲家さんも、それを支えるエンジニアなどのスタッフの皆さんもね。ほんとに貴重な経験をさせていただいた今回の上京となりました。ありがとうございました(*^-^*)

 

 

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