亀川 徹さんの仕事場探検

 

2007年7月26日。作曲家の故・川崎真弘さんを通じてお知り合いになり、たくさんの方々から「分かりやすい!」と大好評の「5.1ch講座」でとてもお世話になった、エンジニアの亀川徹さんのお仕事現場を訪問させていただく機会に恵まれました。

亀川さんは現在、東京藝術大学音楽学部の音楽環境創造科というところで先生をしてらっしゃいます。で、私が「上京するんで、お会いしたんですが…」と言うと、すぐに「どうぞ♪どうぞ♪」と、とても優しいお返事をいただきました(*^^*)

でも、いくら今までに何度もメールでお話させていただいてるとは言え、初めてお会いするのにたった1人で、しかも1人で都会のややこしい電車に乗って行くなんて…と不安に思ってたら、とても心強い味方が現れました。この藝大訪問のあとの飲み会でお会いすることになっていた、エンジニアの中村さんです。やれやれ…方向音痴の私としては、ほんとに嬉しい(^^ゞ


こちらがその音楽環境創造科がある、千住キャンパス足立区リエゾンセンターです。

元は千寿小学校という足立区立の小学校を改装したキャンパスだそうで、立派でモダンな外観とは裏腹に、内観はまだどこか小学校を思わせる雰囲気が残っていて(トイレのドアとかが少し小さかったような…)とても微笑ましい感じがしました♪


そうそう、この日の訪問に備えて亀川さんからは、ほんとに丁寧な道案内メールをもらってたんです。たとえば「地下鉄千代田線1番出口を出て右へ→千住警察の角を右(西方向)→数百メートル歩くと右手に写真の建物が見えます。」とか「JRなどの線で来られる場合は、マルイのある側(西口)に出て、商店街をまっすぐ西へ→りそな銀行の角で左へ(宿場町通りを南下)→しばらく歩くと車道に出るので…」って感じで(^-^)

それなのに私ったら、改札にいた駅員さんに「藝大はどっちですか?」って聞いて、教えられたままに改札を出たら何と…亀川さんが教えてくれてたところとは全く反対の方向に出ちゃったみたいなんです。おかげで、その直前まで中村さんと「いま電車に乗りました」「私も乗りました」「あと何駅…」「あ、じゃあ同じくらいに着くかも?」なんてメールを交わしてて、これで最初に決めてた待ち合わせ場所で問題なく会えると思ってたのに、ここからがもう大変!

自分が何ていう電車に乗ってきたかも、何ていう改札を出てきたのかも分からなくて、さっき道を聞いた駅員さんに「この出口じゃなかったみたいなんです…(T_T)」って言っても、もうその改札には「いったん出ると戻れません」みたいなこと書いてて通してもらえなくて…とにかく、駅の中で中村さんと電話のやりとりしまくって(この時点ではお互いにろくに顔も知らない…)最終的には中村さんの「僕がそこへ行くから、動かないで待ってて!」って言葉に従って、ようやく会えたっていうことがあったんでした〜。おかげで、ちょっとだけ亀川さんとの約束の時間に遅れてしまった私たち…亀川さん、すみません(;^_^A


無事に中村さんと合流してからは、少し小雨のパラつく中を目的地まで2人で猛ダッシュ。汗びっしょりで息を切らせてきた私たちを亀川さんは怒りもせず、優しく「遅いから心配してたんだよ〜!」って迎えてくれました(>_<)

こちらは、まず最初に通していただいた教室(?)で、亀川さんと中村さんの記念撮影です♪

お2人とも初対面なんですが、同じエンジニアさん同士、アッと言う間に意気投合してました(^-^)


そういえば、中村さんの息子さんがこうした音響に興味があるそうで(ちゃんとお父さんの背中を見てるんですね〜!)中村さんは授業の内容や入試科目なんかについて、詳しく尋ねられてました。私も横で聞かせていただいてたんですが、チラホラと専門用語っぽい言葉も飛び交ってたんで、あんまり覚えてません…(;^_^A

何やら真剣なまなざしで調整卓(?)を見つめる中村さん…って私が書いてたら、中村さんが「これはdigidesign(デジデザイン)社のD−Command 24chというPro Toolsのコントローラーなんだよ」って教えてくれました♪

何でも、中村さんは今までにD−Controlという大型のコントローラ(Sound Inn Fst等)という方のしか見たことがなくて、「おお、こんなにコンパクトで使いやすそうなものもあるんだ〜!」と見入ってるところなんだそうです。

写真にマウスを乗せると、別の角度から見たこの教室が見えますよ(^.^)b


あ、中村さんの奥に黒っぽいスピーカーがあるのが見えますが、あのスピーカーの足元には小さな赤いランプがついてるんです。それがこの部屋全体にあったんで何だろう…と思っていると、その赤いランプのついてる場所にスピーカーを設置すると、この部屋における5.1chとか7.1chとかのベストな環境づくりができるんだそうですよ。すごいでしょ〜?

でも、こんな小学生の日記みたいな私の説明では、何がすごいのやらイマイチ分かりませんよね?(^^ゞ
なので、早速また中村さんに補足していただきました〜。あの黒っぽいスピーカーは「GENELEC(ジェネレック)」のパワード・スピーカー(パワー・アンプがスピーカー内部に内蔵されいる)ものなんだそうです。

で、私が見た「床にある赤いランプ」は、天井に仕込まれたレーザー・ポインターから照射されたポイントなんだそうです。中村さんからは「5.1chや7.1chなどのサラウンド再生環境には、その各スピーカーの設置ポイントや再生レベルの調整が不可欠で、その場所を特定するのに床に描くと消えてしまう…あるいはポイントを置くと邪魔になるので、レーザーを使ってるんだよ」と、これまたほんとに分かりやすくて丁寧な説明もしていただきました♪


ここは演劇とかの音響を学ぶお部屋のようで、こうした観客席がありました。で、この観客席の反対側には、カーテンに包まれた舞台っぽいのがありましたよ。

それにしても、広いお部屋ですよね〜♪

写真の左端にいる2人のうちの1人が亀川さんですが、そこからもこのお部屋の広さが想像できるでしょ?


↑の観客席の奥に黒くて四角い窓があると思いますが、その窓の内側の写真が↓です。ここで舞台で演じる人の声やBGMの調節をするんだと思います。

写真にマウスを乗せると、このコントロールルーム(…って言うのかな?)から見た、さっきの観客席が見えますよ♪

舞台らしきものがありそうなのも、分かるかな〜?


そうそう、この部屋の入り口のあたりには小さな冷蔵庫みたいなのがあったんですが、それは除湿機で、その中には何本ものコンデンサマイクというのが入れられてました。このコンデンサマイクというのは湿度に弱いらしいので、こうやって保存しとくんだそうです。

こちらはまた別のホールです。広くて天井が高いので、とても声がよく響くんです。 まるで、お風呂の中みたい…♪

で、私がその自分の声の残響とかを心地よく思ってたら、もう亀川さんと中村さんは「ここは残響が○秒で…」なんて専門的な話になってて、中村さんが手をパンパンと叩いて残響の具合を確かめてたのが印象的でした。


あ、↑の写真にマウスを乗せてもらうと別の写真になりますが、それは亀川さんが壁に何とかっていうパネルをはめているところです。こんな小さなパネルなのに、これをこのホールの両側に1枚ずつはめるだけで、この大きなホールの微妙な響 き具合を調整できるんだそうですよ。すごいですよね!

今度は↑のホールのコントロールルーム(?)にやってきました。

亀川さんはまた別のパネルを持って「これをはめると…」みたな説明をしてくれてました。中村さんはそれを目をキラキラさせながら聞いてるのに対して、私は無知のあまり、それをただ「すご〜い…」って感じで、ぽか〜んとしか聞けないのが申し訳なかったです(>_<)


あ、右上の写真の手前にあるブルーシートとその上のものは、オーディオドラマの制作実習で使う小道具なんだそうです。私たちがお邪魔したとき、ちょうど学生さんたちがこれらの小道具を使って効果音の収録をしてるところだったので、興味津々で眺めさせていただきました。

コントロールルームの学生さんたちです♪

写真の右上にモニターがありますが(写真にマウスを乗せると、その部分がアップになります)そこに先ほどのブルーシートが写ってるでしょ?

ブルーシートの方にいる学生さんが何かセリフを喋りながら小道具を使って効果音を出して、それをこのコントロールルームにいる学生さんが「もうちょっと○○してみて…」みたいな感じで指示してて、ほんとプロの人たちみたいでした☆彡


ところで、この訪問をさせていただいてからレポを作るまでに1年もかかってしまったことで分かったことなんですが…2008年6月に秋葉原で起こった連続殺傷事件。あの悲惨な事件で亡くなられた方の1人が、こちらの学生さんだったんですよね…。

事件後のテレビや新聞で、亡くなった方の指導教官としてコメントされてた亀川さんを見たときにはほんとに驚きましたが、私が訪問させていただいてたときにいらした学生さんの中に、もしかしたら亡くなった彼女もいらしたんでは…と思うと、とてもいたたまれない気持ちになります。

こうしてレポの中で書くべきかどうか迷いましたが、あんな悲惨な事件を二度と起こしてはいけない、あのとき失われた尊い命の数々を決して忘れてはいけない…と思い、書き留めさせていただくことにしました。


こちらは、学生さんたちの指導に当たってらした沢口真生さんとの3ショットです♪

沢口さんは、放送センター制作技術局ドラマミキサーとして1975年に芸術祭大賞・放送文化基金賞・IBCノンブルドール賞・バチカン希望賞などを受賞した作品を担当されてた方なんですよ(^.^)b


そのあとパイオニアの技術開発本部技術戦略部の顧問をされて、現在は亀川さんと同じ環境創造学科のサウンドデザインで先生をされてらっしゃいます。沢口さんに関しては、ぜひこちらのページも読んでみてくださいね♪

これ、この大きなマイクを見てくださ〜い!

普通のマイクに比べて、丸いところがとても大きいでしょ?(ふわふわのカバーがあるから余計に大きく見える(^^ゞ)

この丸い中には、ステレオになってるマイク(2チャンネルって言う?)が入ってるんですよ。ぜひ写真にマウスを乗せてみてください(^.^)b

これですごく立体的な音が録れるんだとか…中村さんが「わあ〜♪」と歓声を上げて、覗き込んでました(^o^)


このマイクの何が画期的かというと「ステレオのフィールド・マイクは普通にあるけど、それを2組+1本で5.1chのフィールド・マイクになっている」ということなんだそうです。ふむ…つまり、ちょっと前までは、携帯とデジカメとMDプレイヤーの3つ持って歩かないとダメだったのに、最近ではたった1つの携帯で電話も写真も音楽も全て楽しめてすごい…って感じで捉えたらいいのかなあ。

とにかく、中村さんは「あのマイクを使って、沢口さんは数々の環境音を収録しておられるのだな〜と感心した次第です」なんておっしゃってました♪

こうして色んなお部屋を見せていただいたあとは、亀川さんの研究室にもお邪魔することに…。お部屋につくまでにけっこう歩いたような気がするんですが、全体的にはどこも白やアイボリー、もしくは薄いグレーを基調としていて、どことなく病院を思わせるような雰囲気がありました。


これ、かわいいでしょ〜?
学生さんたちが作ってくれた、亀川さんの研究室の表札なんですって♪

亀川さんの「亀」がほんとの亀になってるあたり…最高です☆彡

で、写真にマウスを乗せると、いま亀川さんがどこにいるか…ってのを知らせてくれるボード(?)なんですが、これもまた亀さんなんです〜。ああ、可愛い(*^^*)


このあと研究室で亀川さんが入れてくださったコーヒーをいただきながら、しばらく3人で雑談してました。私が「5〜6年前までスタジオミュージシャンとか劇伴なんて言葉があるのも知らなかったし、。そもそも生きてる作曲家がいるなんて思ってもみませんでした。ドラマや映画のサントラとかは好きで買ってたのに、それと作曲家とかミュージシャンの話は、私の頭の中では全くつながってなかったんです」みたいなお話をすると、大笑いされたりして…楽しかったなあ〜。いや、でもほんと、それくらい無知だったんですねえ(^^ゞ

ところで、私は亀川さんに対しては何となく勝手に「寡黙な人」みたいなイメージがあったんです。でも、全然そんなことなくて…ほんとに明るく楽しくテンポよくお話される方で、とっても和ませていただきました♪


最後に、亀川さんの研究室の前での記念撮影♪

ほんと、笑顔の優しい、素敵な方でしょ〜?
故・川崎真弘さんの「紳士的で優しいおっちゃんだから…」の言葉が頭に強く浮かびます。

急なお願いにも関わらず、あちこち案内してくださって、ほんとにありがとうございました(*^^*)


このあと亀川さんは大学の会議へ、中村さんと私は飲み会の会場へと向かいました。もちろん、亀川さんにも「会議が終わったら来てくださいね♪」と、しっかりとお約束をして…。なので、この続きは是非、飲み会レポを見てみてくださいね(^.^)b

 

 

Home  Top  Guestbook  Mail  Web Clap  Back

 

 

inserted by FC2 system