宮崎慎二さんの仕事場探検 

 

おっちゃんは残念ながらこの録音には参加できなかったんですが、
宮崎さんやインペク屋さんから色んなお話を聞かせていただいてたので、
思い切ってレポを作らせていただくことにしました(^^ゞ
おっちゃんのいない、いつもとは違ったカラーのレポをどうぞお楽しみください♪

 

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2007年2月18日。今回で10作目となるポケモンの映画「ディアルガ VS パルキア VS ダークライ」の予告用の音楽録りが行われました。作曲はもちろん、もうお馴染みの宮崎慎二さんです。宮崎さんのお話によると、こうして予告用の音楽を録るのは、今回と2001年に公開された「セレビィ 時を越えた遭遇」の2回だけなんだそうですよ。…ということは、その他のときは、すでにあるポケモン用の音楽から流用してたってことなんでしょうねえ。

さて、今回の映画の予告用に用意されたのは、全部で3曲。実は、宮崎さんが「本編用の叩き台に…」と1時間くらいで作った曲が本編の監督・湯山さんの心に響き、「本編はもちろん、予告用にも…!」なんて話まで出てきて、あれよあれよと言う間にこの日を迎えたそうです。まあ、当の宮崎さんとしてはこの日の現場に来てもなお「叩き台のつもりだったのに、ほんまにこれでええんかい〜?」という不安な気持ちでいっぱいだったそうですが、予告編の監督・小江さんからも「僕的にはいいと思うし、ポケモンファンの1人として聴くと、今回のがいちばん好きです」なんていう素敵なお言葉に元気をもらって、録音に臨むことになったそうですよ♪


あ、私は4月に子供たちと映画「ワンピース エピソード・オブ・アラバスタ」を観に行ったときにこのポケモンの予告編を観たんですが、2人の監督さんの心を揺さぶったというのが「なるほど!」と思える、ほんとに素敵な音楽でしたよ〜。何ていうか…いつもの宮崎さんのダイナミックさに加えて、ちょっと切ないような、もの悲しいような音楽で(ああ、私の語彙の乏しさを恨みます…)本命の「ワンピース」が始まるまでに、うるっと来てしまいました。そのせいか、肝心の「ワンピース」の映画は、最初から号泣モードでした(^^ゞ あ、そんな感動的な予告編は、こちらで聴けますよ(^.^)b


ところで、録音にいたるまでは驚くほどスムーズだった今回の予告用の音楽ですが、その反動からか、現場にいらしたインペク屋さんからは「私が経験した中では最大級のトラブル」というほどの大変なアクシデントが起こったようです…というのも、用意していた3曲のうちの1曲がそのままファイルごとバグってしまったそうなんです。う〜ん…その「ファイルがバグる」って、どういう状態なんでしょう。ファイルがフリーズか何かで開かないってことなのかなあ。


とにかく、宮崎さんは監督さんと「最悪の場合はこうしましょう」なんて恐ろしい相談をしてるし、でも丸尾さんはそれに動じることなく冷静に処理を続けてるし…で、現場は一時ものすごい状況だったみたいですが、インペク屋さんからは「プロの方々の瞬時の判断力の素晴らしさと対応のすごさを見て感動した〜!」なんて素敵なお話も聞けました。そうですよね〜。こうした緊急時に最短の時間で最善の道を探すことができる…これぞ、まさに第一線で活躍されてる皆さんだからこそ成せる業ですよね〜。その後、何とかファイルは無事に復活して、しかも当初の時間内にちゃんと3曲を録ることができたそうですよ。ほんっと、良かったですね(^-^)


そうそう、この日の録音にはパーカッションの藤井玉緒さんが参加してらしたそうですが、この藤井さんと宮崎さんはこの日が初対面なんだそうです。そのせいか、それとも先のファイルのアクシデントが解決してホッとしたせいか、宮崎さんはインペク屋さんに何度も何度も藤井さんのお名前を尋ねてきたそうです。宮崎さん、何だかお茶目な方ですね〜。でも、藤井さんの記憶によると、藤井さんは1作目の映画「ミュウツーの逆襲」の劇伴に参加してらしたんだそうですよ。つまり、初対面ではないわけですね〜。それを聞いたインペク屋さんと私は「ぷぷぷ、宮崎さんったら…♪」って感じでした。

そんな藤井さんですが、この日は合わせシンバルを叩く姿がとても素敵で、エンジニアの中村充時さんなんか、あの優しそうな笑顔をさらにゆるゆるにして眺めてたそうですよ。何だか現場の温かい空気がずんずん伝わってくるようで、私もこうしてレポ作ってるだけで、とても幸せな気分になれます(*^-^*)

さて、続いては本編の録音のお話です(^.^)b

2007年6月10日。ビクターの301スタで夕方の6時から、映画の本編用の録音が行われました。先に編成をお話すると、この日は…弦(マサさんのグループ:66442→64421→2222)、フルート(高桑英世さん若松純子さん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(元木瑞香さん)、トランペット(菅坂雅彦さん・西村浩二さん横山均さん)、トロンボーン(松本治さん井口有里さん山城純子さん)、ホルン(藤田乙比古さん勝俣泰さん広川実さん)、パーカッション(草刈とも子さん・長谷川友紀さん)、ハープ(朝川朋之さん)、指揮(はいしま公二さん)です。


ところで、ここで何で今回の録音におっちゃんが参加できなかったかという理由をお話しましょう。まず…この本編の録音スケジュールが決まる前に過去のうちのレポを見てみたら、大体6月の10日前後だったんです。で、いつもなら、おっちゃんから「ポケモンの仕事が入ったわ〜!」なんて声が聞こえてくるまでのほほんとしてる私ですが、今年だけは妙にソワソワ…というのも、実は今年のおっちゃんは、6月8日から10日まで「JASRACの文化事業コンサート」のために徳島に来ることになってたんです(このコンサートレポも作る予定です♪)。家族や地元の友達とそろっておっちゃんの生演奏が聴けるという嬉しいドキドキ感と、もしかしたら今年のポケモンワールドではおっちゃんの音色が聴けないかも…という不安で落ち着かなかったというわけですね(^^ゞ

でも、心のどこかで「まあ、この3日間に見事にバッティングする可能性は低いかな〜?」なんて淡い期待を抱いてたんですが、結果は見事に的中。インペク屋さんから「いま、おっちゃんに6月10日でポケモンの予定を入れました〜!」ってメールをもらったあと「ああ、10日はダメだよ…おっちゃんは徳島に来てる…」「えぇ〜っ!」「おっちゃんも、石橋さんも、城戸さんも…」「うっそ〜!?」なんてメールのやりとりをしたあと、2人で「が〜ん…(T_T)」なんて落ち込んだんでした。

さらに言うと、先にお話した予告編の音楽には、いちばん最初の段階ではおっちゃんも録音に参加する予定だったんです。でも、最終的には編成そのものに木管が入らないことになって、残念ながら参加できなかったわけですね。そこへ来て本編まで…ほんと、今年はどうにも宮崎さんとご縁のないおっちゃんです。あ、でも、同じ宮崎さんが手がけられた「おじゃる丸」のテーマソング(432番参照)では、バッチリおっちゃんの音色が聴けますけどねo(^-^)o


さて、お話は録音のことに戻ります。まず、夕方6時から金管やハープ、それにパーカッションによる録音が始まりました。そのあと6時15分くらいから弦の皆さんが入り、7時にはフルートが、8時からはオーボエとクラリネットも入って、どんどん録音が進んでいったそうです。でも、オーボエやクラリネットが入って少ししたころから弦の編成が少し小さくなり、夜の11時前にはダブルカルテットにまで縮小したそうです。

…と、こう聞くと、ほんとにスムーズに録音が進んだんだな〜なんて思ってしまいますが、今回のこの録音はかなり大変なものがあったようです。何でも、曲数は多いわ、その1曲1曲が難しいわ…で、だんだんミュージシャンの皆さんの口数も少なくなっていったそうですよ。途中で休憩を取っても皆さんほとんど無言で、もうまさに「ひたすら回復につとめるボクサー」のようだったとか…いやはや(;^_^A


そんな中、マサさんだけはとても元気で(?)休憩中にインペク屋さんのところに行って、いきなり携帯マスコットのような小さな懐中電灯みたいなもので照らしてるんですって。で、足らないスコアを一生懸命にコピー中だったインペク屋さんもふと手を止めて見てみると…その円形の光の中には「メアド教えて!」の文字があったとか…ほんと、マサさんってば、どこでそんなオモチャを見つけてくるんでしょうね〜?

とにかく、この殺伐としたすごい状況の中でインペク屋さんも随分と心苦しい思いをしてたそうですが、マサさんの可愛いイタズラにかなり和ませてもらったそうですよ〜。マサさんのこうしたさりげない心配り、いつもいいなあって思います(*^-^*)


この日の録音は、木管と金管が当初の拘束時間より30分から1時間押し、ストリングスはギリギリ時間内に終了、最後にパーカッションの草刈さんが1人で残ってダビング…だったそうですが、このダビングも1時間ほど押して、全てが終わったのは夜中の12時を軽く越えてたようでした。いやはや、まさかそんな遅くまでかかってたとは…。後日、マサさんからも「難しい曲がいっぱいあって、時間が足りなくて、大変だった」なんてコメントが来てました(;^_^A

皆さんがそんな風に頑張ってらしたちょうどその頃、我が家には無事に3日間のコンサートを終えたおっちゃんが泊まりに来てくれてて、徳島の鳴門金時(さつまいも)で作った芋焼酎でほろ酔い気分になって、私の家族と一緒にワイワイ話してました。そこへインペク屋さんから「まだ終わらない…」「いま1時間押し…」「これからダビング…」なんてメールが来たので、それを2人で見ながら「ひえぇ〜大変(@_@;)」「わしも、このコンサートがなかったら、その場におったんやなあ…」なんて言い合ってたんですよ(^^ゞ


そうそう、ちょっと話は前後しますが、この全体録音のちょっと前…6月7日に千代正行さんのギターの録音があったそうです。で、そのときの宮崎さんのイメージとしては「地中海風」だったそうなんですが、どうもご本人としては納得がいかなかったようで、「なぜか石垣島になっちゃうよ〜!」なんて言って困ってらしたそうです。これを直に聞いたインペク屋さんは「笑っちゃいけないけど、このたとえがおかしい〜!」なんて笑ってましたが、私もおかしい〜。あ、いつぞやの宮崎さん関連のレポでもお話したかと思いますが、宮崎さんって、こうしてボソッと言うことがおかしいんですよ〜。すっごく短いメールなのに、その中でも「ぷっ!」と吹き出してしまうところがあるのはしょっちゅうで…ほんと、早くお会いしてみたいなあo(*^^*)o

で、そうしてインペク屋さんが吹き出してる間に、すかさず千代さんが「この伴奏形を‘タターターターター(裏拍)’にしないで‘タタタタタタタタ’ってやったら絶対ギリシャっぽくなるよ!」って言って、その石垣島を地中海に変えちゃったんですって〜。これには現場にいらしたスタッフの方々もビックリだったとか…千代さんはご自身でも作曲をされるそうなので、こうしたことには(特に今回はギターのことですし)素晴らしい勘がはたらくんでしょうね〜。いや〜その2つの伴奏系の違いと、石垣島から地中海に変わった瞬間ってのを聴いてみたかったなあ〜。何はともあれ、こうして皆さんで助け合いながら作り上げていく…という姿が素敵だなあと思う私です(*^-^*)


んで、またまた話はこの全体録音のことに戻りますが…この日に録ったのは、結局25〜26曲くらいでしょうか。私はその場にいなかったので曲想については全く分かりませんが、各曲の編成表を見てみると、弦もブラスもフル稼働みたいな曲がいくつもあって、今年も映画館で身震いさせてくれそうですよ〜。もちろん、このほかにはシンセのみの曲や、オケとシンセの曲もあって、宮崎さんのカッコいいシンセの使い方のファンでもある私は、そのあたりも大事な聴きどころだと思っています。あ、この日の録音を終えられた宮崎さんからは「しんどい譜面を文句も言わずにやってくれて、ミュージシャンの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです」という、あたたかいコメントもいただきました♪

最後になりましたが、この映画は2007年7月14日から、全国の東宝系の映画館で公開されます。ポケモン映画10周年となる記念すべき今回の映画、ポケモン同士の戦いも、映像も、もちろん音楽も…色んな面でエネルギッシュな作品に仕上がってるようですので、ぜひ映画館の大音響で楽しんでくださいねo(*^^*)o

 

レポ内のポケモンアイコンは「つぶつぶミカン」さんから、壁紙やラインやボタンは「MEWHEART」さんからお借りしました

 

 

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