おっちゃんの仕事場探検

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劇伴(映画・ドラマ・アニメなどのBGM)がどんなところで、どんな風に作られているのかを、おっちゃんから聞いたお話を中心にレポートしていきます。レポートの番号が進むにつれてだんだんと内容が濃くなり、ときには作曲家さんやエンジニアさんからいただいたコメントも出てきます。

ただし、これらは録音時の記録が主になっているので、実際にオンエアまたはリリースされたときにはタイトルが変わってる…なんてことも稀にあります。また、私の音楽の知識やパソコン技術の問題などによりお見苦しい点も多いかと思いますが、あたたかい目で読んでいただけると嬉しいです(*^^*)

こことは別の「スペシャルレポート」「オフラインレポート」などのページでも作曲家さんやエンジニアさんのお仕事ぶりやオフのときの様子をご紹介していますので、合わせてご覧下さい。

最後に…どうぞレポートをご覧になってのご意見・ご感想などを、ゲストブックやメール・ウェブ拍手などを通じてお聞かせください。今後の参考に、そして励みにさせていただきたいと思います。よろしくお願いしますm(__)m

 

 

 

 

302 TBS愛の劇場「ママはバレリーナ」(大島ミチル)

2005年11月8日。大島ミチルさんとのお仕事で、ビクターの301スタに行きました。何でも、大島さんにとっては10年ぶりくらいになるかも…という、昼の帯ドラマの録音でした。番組タイトルは「ママはバレリーナ」ですが、原作は「さかたのり子」さんの「プリマでいこう! アダム・アラベスク」です。ちょっとネットで調べてみると、元プリマの主婦が嫁姑問題や子育てに奮闘するといったお話のようで、このあたりについては現場でも大島さんから「とても明るいドラマで、嫁姑が…」なんて説明があったようです。

さて、いよいよ録音のお話です。この日の大島さんの日記には「バレエがテーマということもあって、クラシックタッチの音楽もあるし、前に子供のバレエのために書いた音楽も最後の方に流れる予定」なんて書かれてましたが、この「クラシックタッチ」の曲についておっちゃんは「クラシックっぽいのもあったし、ちょっとバロックっぽい感じの曲もあって、また大島さんの新しい一面が見えて面白いと思うで。わしも‘ほんまに引き出しの多い人やなあ’と感心しながらやっとった」なんて言ってました。これは、最初から最後まで見逃せませんね〜♪


あ、この日の木管はフルートとクラリネットだけだったみたいなのですが、そのフルートとクラリネットがユニゾンになってるような曲がいくつかあったんですって。

でも、このユニゾンをバッチリ決めるに至るまでには、ちょっとしたハプニング(?)があったようですよ。


…というのも、この日スタジオに入ったら、フルートとクラリネットが衝立みたいなもので仕切られてたんだそうです。で、これには何か特別に意図があるのかな〜と思ってエンジニアの中越さんに聞いてみたんだそうですが、特に意味はなかったとか…。どうやら、ビクターのアシスタントさんが、わざわざ気を利かせてくれたみたいですね。

でも、相方でもあるクラリネットさんの気配も息遣いも何も分からない状況でのユニゾンにはちょっと無理があるかな…ってことで、用意してくれたアシスタントさんには申し訳ないなあと思いつつ、その衝立は外させてもらったんですって。やっぱり、単に同じメロディをなぞるだけでなく、フレージングまでピッタリ合ってこそ本当のユニゾンですもんね?


で、ちょっとここらで一休み…!?

この哀愁ただよう背中は、ダジャレ大王のマサさんです。

広い部屋でただ1人、黙々と携帯を触っています…。また、あちこちのお友達やお仕事仲間の方たちに、謎なぞやダジャレを配信してるのかな〜?


で、また話は音楽に戻って…ほかには、ちょっと哀愁を帯びたような曲やコミカルな曲もあったようですが、全体的には、やっぱり大島さんらしい「華」のある音楽だったようです。そういえば、この日の音楽には、おっちゃんたち木管だけでなく、色んな楽器が一斉にユニゾンになるって曲もあったそうです。こうした全体的なユニゾンって、何っていうか…独特の効果と胸のあたりがざわざわするような感動がありますよね?(語彙が乏しくて、こんな表現しかできずにゴメンなさい…(^^ゞ)

これは、おっちゃんの位置から見た大島さん。

ちょっと写真が小さいのと、大島さんの黒い服が後ろの黒っぽい壁と同化して分かりにくいかもしれませんが、力強く棒を振ってらっしゃるのが分かるかな〜?

写真にカーソルを乗せると、マサさんの姿が見えますよ♪


この前の「リュウケンドー」の録音時は、ぶっつけ本番の連続で休む間もなく、写真どころか、お話する時間もなかったようですが、この日は逆に途中で2度も休憩があったんだそうです。で、その場にいた皆さんで「あのときに比べたら、随分と余裕だなあ」なんて話してたそうですが、おかげで↓こんな素敵なショットが撮れたんですよ\(^o^)/

とは言っても、おっちゃんのカメラの設定が変になってたらしくて、せっかくの3ショットがこんな色合いになってしまいました…(>_<)ヽ

でも、これはこれで、どこかレトロな感じもあっていいですよね〜♪

大島さん、両手に……この場合、何て表現したらいいんでしょう?(^◇^;)


まあ、こんな素敵なショットの撮影大会の裏では、この録音の2日前に38歳という若さで壮絶な死を迎えてしまった本田美奈子さんを悼んで、本田さんと一緒にお仕事をしたときのエピソードなどを語り合った…という、悲しい一幕もあったようです。このあたりのお話は、書いてるだけでPCの画面が滲んできてしまいますので、これくらいに留めておきますね…。

編成は、弦(マサさんのグループ:44221)、フルート(おっちゃん)、クラリネット(星野正さん)、ピアノ(エルトン永田さん)、指揮(大島ミチルさん)、エンジニア(中越さん)でした。ちょっと小さめの編成だったみたいですが、弦のサウンドはとても充実した音がして、いい感じだったとか…このあたりも聴きどころの1つですね♪

この番組は、2005年12月19日の午後1時からオンエアとなるようです。オンエアまであとわずか…今から待ち遠しいですねo(^o^)o

 

 

301 アニメ「蒼穹のファフナー」(斉藤恒芳)

2005年11月7日。キングレコードの1スタに行きました。この日の録音は「蒼穹のファフナー」という、テレビ東京系で始まるアニメの音楽録りでした。レポを作るにあたってちょっと検索してみると、このアニメは前にも放映されてたもののようですね。で、このたび「蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT」として新たにスタートするとか…(合ってるかな?)。

作曲は斉藤恒芳さん。実は、この斉藤さんは、何と葉加瀬太朗さんや竹下欣伸さんが結成されていた音楽ユニット「クライズラー&カンパニー」のキーボード奏者だった方なんですよ。おっちゃんが一緒にお仕事させていただくのは初めてだったようですが、とてもスマートな話し方をされる、聡明な雰囲気の素敵な方だったそうです。
 
ただし、楽譜は難しくて、木管(…といっても、フルートとオーボエだけ)もかなり大変だったようですが、弦の方はもっともっと大変で、ヴァイオリンの城戸さんも、思わず音を上げてしまうほどだったとか…まあ、これには時間的余裕がなかったということも大きいようですけどね。それにしても、どれくらい大変だったのか、もうちょっと詳しく聞いてみました。

すると、最初の予定では、先に弦がダビングをやっているところに木管とホルンが入ってきて、1時間は一緒にやって、弦は「お先に失礼♪」という感じで抜ける…って段取りだったんですって。ところが、おっちゃんたち木管が入った時点ですでにかなり押してたみたいで、「とりあえず今から弦と木管・ホルンで一緒にやるけど、もし木管やホルンの方に何かアクシデントがあっても差し替えは後回し。まだまだ弦の曲が残ってるからね…」と、弦優先で始めることになったそうです。いや〜これで、いかに大変だったかが分かるでしょ? で、それでも、弦は1時間ちょっと押し、木管とホルンも約1時間半の押しで、何とか無事に終わったそうです。


この方が斉藤さんです。何やら楽譜(?)の一部を指差して、ヴァイオリンの人に話しかけてますね。曲想の説明とかをされてるんでしょうか…ちなみに、この話しかけられてるヴァイオリニストさんが、城戸さんです。

後日、おっちゃんは別の録音で城戸さんにお会いしたそうですが、そのときにもこの日の録音の話が出てたそうです。で、そのときの城戸さんのお話では、斉藤さんの楽譜というのは、いつもこんな感じで難しいんだそうですよ。

いやはや、ほんとにお疲れさまでした。でも、劇伴ファンとしては、こうしたエピソードを聞けば聞くほど、その音楽が楽しみでなりませんよ(*^o^*)


この日の編成は、弦(城戸喜代さんのグループ:86422)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(打ち込み)、ホルン(井出さん他1名)でした。

この番組は、2005年12月29日の26時25分(つまり、12月30日の深夜2時25分)から、テレビ東京系にてオンエアされるそうです。ほんとの年の瀬の気忙しいときですが、皆で難産の末に生み出したという音楽にしっかり耳を傾けて、オンエアを楽しんでくださいねo(^o^)o

 

 

 

300 アニメ「タクティカルロア」(七瀬 光)

2005年11月7日。渋谷の東急本店の地下にある文化村スタジオのAスタに行きました。このスタジオにある「Aスタ」と「Bスタ」は、こうして名前は分かれていますが、実は1つのフロアなんですって。おっちゃんたちがお仕事を受けるときに「Aスタで…」とか「Bスタに…」とか言われるそうですが、結局いつも同じところに入るとか…。で、なぜか副調室は2つあるという、不思議なつくりになっているそうです。なかなか綺麗なスタジオだそうですが、地下3階…だとかで、携帯の類が全く使えないのが難点なんだそうです。

さて、この日は七瀬光さんという女性の作曲家さんで、「タクティカルロア」という近未来の海賊をテーマにしたアニメの録音でした。音楽は、戦闘シーン的なものがメインだったようでしたが、中にはゆったりとしたメロディックな曲も幾つかあって、なかなか聴き応えがありそうですよ。海賊と戦う少女たちのお話のようなので、女の子ならではの繊細な心の動きを、そうしたメロディで表現されるのかもしれませんね。

曲数としては、おっちゃんたち木管セクションとしては10曲弱(弦はそれプラス2曲?)だったそうですが、各パートともけっこう難しい曲が多かったようで、3時間拘束のほぼいっぱいまでかかってしまったそうです。おっちゃんの七瀬さんの音楽に対する印象は、「かなりしっかり基礎が出来ている本格派」だそうです。大ベテランのおっちゃんがこう言い切った七瀬さんの音楽、ほんと楽しみですねo(^o^)o

編成は、弦(マサさんのグループ:86442)、フルート(おっちゃん・金子奈美さん)、クラリネット(山根公男さん)、ハープ(朝川朋之さん)、パーカッション(高田みどりさん)、シンセ(七瀬光さん)、指揮(熊谷さん)、エンジニア(小林さん…?)で、ブラスはこの日の時点では仮の打ち込みの音が入ってたそうです。あとでダビングするそうなので、お名前などは分かりません…。

2006年1月から「ちばテレビ」「テレビ神奈川」「テレビ埼玉」「サンテレビ」などで放映されるそうです。う〜ん、我が家で見えるかな…?とにかく、どうぞお楽しみにo(^o^o)(o^o^)o

 

 

299 中国映画「A Chinese Tall Story」(久石 譲)

2005年11月6日。代々木のワンダーステーションに行きました。このお仕事、かなり前から「久石譲さんのお仕事」ということで日にちだけはキープされてたみたいなんですが、ちゃんとした時間が決まったのは前日だったんですって。そういや、このころにレポ関連でおっちゃんと連絡を取ってたら「まだ明日の仕事の時間が決まらん〜!」なんて言ってたような…そうか、これだったんですね。

まあ、それもこれも、久石さんが世界を股にかけて活躍されてるというお忙しさの上に、ちょうどこの録音の直前まで、例の話題作「Welcome to Dongmakgol(255番参照)」の関係で韓国に行ってらっしゃる…とのことで、なかなか時間が読めなかったからみたいなんです。何せ、この「Welcome to Dongmakgol」も音楽に関するトラブルがあったようですし、その話し合いによっては帰国がいつになるか分からない…なんてこともあったのかもしれませんね。

さて、この映画ですが、おっちゃんが現場でチラッと聞いてきてくれた話によると、例の「西遊記」のパロディ版みたいなものらしくて、わりとふざけた感じの映画なんだそうです。たとえば、三蔵法師が恋愛したりする…なんてシーンもあるとか。このところの中国映画は「少林サッカー」とか「カンフーハッスル」のようなコメディ作品が話題になってますが、そんな感じのノリなんでしょうかね〜?(^-^;)

でも、この日やった音楽からはそうしたふざけたイメージは全く感じ取れなかったみたいです。どちらかというと、中国的な大きな大きな広がりを思わせるような感じだったとか…。まあ、ずっとギャグの飛ばしっぱなしってわけではないでしょうし、いくらギャグを飛ばしまくってても、その奥には必ず中国の本当に美しい風景が広がってるんでしょうから、そうしたシーンに使われるのではないでしょうか…。

で、この日におっちゃんが使った楽器は、ケーナと篠笛になったようです。特に中国的とか日本的とかいうような表現ではなかったみたいですが、それでもどこか民族的な香りのするメロディだったそうですよ。久石さんの音楽でケーナを使って民族的な香りのするメロディとなると、どうしても「もののけ姫」を思い出してしまうんですが、そんな感じなのかなあ。きっと、また心の奥まですぅ〜っと染み入る素敵なメロディなんでしょうね〜。あぁ、早く聴きたいなあ!…でも、この映画の日本での公開は、まだ決まってないようです(>_<)ヽ


こちらは、久石さんとの2ショット。

このお2人のコンビで、ほんとにたくさんの名作を生み出してきましたよね〜?

そうした信頼関係がよく分かる、とても素敵なショットです(*^-^*)


この日も、このまえの「Welcome to Dongmakgol」のときと同じく、先に入っていたオケを聴きながらおっちゃん1人でダビングという形だったんですが、今回はどうもピッチに違和感を感じて仕方なかったそうです。その原因は(…って、別にこれが原因ではないかもしれませんが(^^ゞ)、何とイヤフォンから聴こえてきてたのは、全て打ち込みのオケだったそうなんです。イヤフォンで聴いてたせいもあるのかもしれませんが、それにしても最近のシンセで作る音色はよく出来てるようで、おっちゃんもすっかり騙されちゃってたみたいですね。現場で打ち込みのオケだと聴いて、かなりビックリしたようです。

こうして原因が分かったところで(?)、1つ問題が出てくるんです。このまえは生オケにダビングだったわけですが、今回はその逆…つまり、おっちゃんの笛を聴きながらどこかのオケが演奏するわけでしょ?これにはなかなか難しいところがあるんだそうです。というのも、あとでダビングするオケがどの程度このおっちゃんの笛を聴いてくれるか…という問題なんですって。ちゃ〜んとおっちゃんの音色を聴いてからやってくれないと、おっちゃんの笛のピッチが妙に低く聴こえたり、またその逆で浮いて聴こえたりすることもあるようなので、おっちゃんとしてはちょっと心配だったそうです。で、気になって「どこのオケでやるの?」って聞いたら、この打ち込みのオケとおっちゃんの笛が入ったテープというかデータを中国に持って行って、中国のオケでダビングするんだそうです。はたしてどういうことになるのやら…!?(^-^;)
 
このお仕事のオーダーが入った時点ではケーナがメインということだったので、篠笛はいつもカバンに入っているクロマチック篠笛2本しかなかったんだそうです。で、とりあえずケーナと篠笛でやって聴いてもらったら、音色的には篠笛の方がいいなあって言われたんですって。ただ、その手持ちの楽器だけだと音域が少し足りないので、その部分は1オクターブ上げて吹いて切り抜けたとか…。そのほかにはG管のケーナでやったものも録って、あとで選択してもらうことにしたそうです。どんな風に仕上がるのか、楽しみですね。どうぞ、日本でも公開してくれますように…o(^o^)o

 

追記:こちらでこの映画の予告動画を見ていただけますよ〜!

 

 

298 詩吟(鈴木英明・小町昭)

2005年10月28日。この日は「アンコ」に詩吟が入る…つまり、普通の演歌(オリジナル)の間奏の部分に吟詠が入るという曲のレコーディングがあるとかで、文京区関口台にあるキングレコードの1スタに行きました。アレンジャーは、前半が鈴木英明(えいめい)さん、後半は小町昭さん。このお仕事は、もう2〜30年前からキングレコードで定期的にやっているシリーズみたいなもので、プライベート版というわけではないようですが、でも、それに近い感じのお仕事みたいです。おっちゃんの話では、特定の詩吟のグループを通じて出回るアルバムちゃうかな…とのことでしたが、はてさてどうなんでしょ?

そのアンコになる詩吟にオケの伴奏をつけるのって、アレンジャーさんたちにとってはかなり大変なことのようです。まず、渡された詩吟のテープ(最近だとMDやCDかな?)を聴きながら楽譜に起こすそうですが、この邦楽(?)ってのは5線譜に直しにくいんですよね〜。たとえば、曲のテンポ1つ取っても、洋楽のようなある一定のリズムを刻んでるわけでなく、ほんとに気持ちのままに自由なテンポで詠ってるので、そのメインとなる歌(演歌)の部分のテンポとは大きく違ってくるわけです。そのうえ西洋の音階には当てはまらないような詠い方をする部分もあるようなので、いつものようにコードもつけられず、ほんとに大変みたいなんです。

で、それを演奏するときも、3拍子、5拍子…などと小節ごとに拍子も変わりまくるらしいので、休みを数えるのも大変なんですって。それこそ、1拍でも見失うと、再起不能になりかねなかったりもするとか…いやはや大変です(;^_^A この日は、そんな曲ばかりを5曲(そのうちフルートが入ってたのは4曲)というので、普通の録音に比べるとかなり手間と時間がかかってしまったそうです。お疲れさまでした<(_ _)>


こちらはヴァイオリンの小池さんとおっちゃんのにこにこ2ショット。素敵でしょ?(*^-^*)

この写真は、2006年3月現在、小池さんのHPのBBSに入る手前のページにも掲載されてますよ(^.^)b


そんなわけで、ごらんの通り、この日のストリングセクションは、小池弘之さんのグループでした。小池さんとは、いつもアニメの劇伴や若草さんの歌モノのときによくお会いするそうですが、こうした演歌系のお仕事でお会いするのは珍しいことのようですよ。

私は、普段から「小池さんの写真も撮ってきて〜!」とおねだりしまくりなんですが、やはり劇伴の録音のときは時間に追われてる感じで慌しいことが多く、写真を撮るどころか、ろくに言葉を交わすこともないんだそうです。でも、この日は楽譜を直したり、プレイバックしたりする時間が多かったらしいので、そんな合間にこんな素敵な2ショットを撮ってきてくれました。シャッターを押してくださったのは、ベテランのチェロ奏者である矢島富雄さんです♪


こちらは篠笛を吹くおっちゃん♪

今までに何度かおっちゃんの吹く祭り囃子みたいな笛とか民謡っぽい笛とかを聴いたことがありますが、おっちゃんの笛はほんとに、その場その場の空気によく合うんですよね〜。

今回のもきっと、アンコの詩吟とよくマッチしてるんだと思います(^-^)


そうそう、この日は弦は小池さんのグループでしたが、マサさんも二胡のソロとしていらしてたそうです。おっちゃんは、すかさずカメラを構えて追いかけたとか…この「おっちゃんの仕事場探検」を始めたころはスタジオでカメラを持ち出すというのはかなり勇気がいったようですが、最近は色んな方から「写真を撮りましょう」とか「お、やってますね」みたいに言われて、随分とおっちゃんのカメラマン姿も定着してきたようです♪

で、こちらが、マサさんとギターの高島さんのショットです。高島さん、ちょっと緊張気味かな〜?(^^ゞ


編成は、ドラムス(豊田さん)、ベース(松下さん))、ピアノ&シンセ(猪股さん)、ギター(斉藤功さん・高島さん)、ラテンパーカッション(八坂さん)、アコーディオン(鳥居さん)、マンドラ(山田さん?)、フルート(おっちゃん:1・2曲目)、篠笛(おっちゃん:4・5曲目)、トランペット(中谷さん:1曲目)、オーボエ(庄司知史さん:2曲目)、二胡(マサさん:5曲目)、琴(山之内さん)、弦(小池ストリングス:4422)、エンジニア(須賀さん・松山さん)でした。

で、この編成に出てきた「マンドラ」という楽器って、どんなものか分かりますか?おっちゃんに聞いたところ、マンドリンより一回り大きくて、弦楽四重奏なんかで言うとヴィオラに相当する楽器なんですって。スタジオに登場するのはとても珍しいとか…。また、余談ですが、チェロに相当する「マンドチェロ」という楽器なんかもあるそうです。

この日に録音されたものは、私たちの耳に入ることは難しいように思います。でも、こういうお仕事もあるんだなあ…と、しっかり胸に留めておいてくださいねo(^o^)o

 

 

297 アニメ「ガン×ソード」挿入歌(黒石ひとみ)

2005年10月27日。KIMのスタジオに行きました。今までこのスタジオに来たときは、いつも1人でダビングというパターンばかりだったようですが、案の定、この日も1人でダビングでした。で、この日のお題はというと…前に254番のレポの後半でお話させていただいた「ガン×ソード」とうアニメの挿入歌で、「La Speranza」という曲をやったそうです。作曲は黒石ひとみさん。でも、アニメそのものの劇伴は中川幸太郎さんなんですよ。中川さんが手がけられた劇伴の部分は、こちらで試聴とDLができるようです。

さて、この日はスタジオに入った途端に、KIMの伊藤さんから「今日の仕事は多分アッという間に終わってしまいますよ」なんて言われたみたいですが、その言葉の通り、正味30分くらいで終わってしまったそうです。何でも、まずはティンホイッスルで2コーラス目にオブリガートを吹いて、エンディングにも少しアドリブのフレーズを入れて…そのあと、これと同じことをリコーダーでもやって、終わりだったみたいです。思わず「何だ、こ〜んな簡単なお仕事なの!?」って言ってしまいそうになるかもしれませんが、実はとても難しいことをしてるんですよね。だって、もし自分がその場に立ってたら…いきなり「ここにちょっとアドリブを入れて〜!」なんて言われたら…ねえ?(^-^;)

この「La Speranza」という曲ですが、いかにも黒石さんらしいというか、黒石さんご自身の美しく神秘的な声を多重録音されている、ほんとに幻想的な雰囲気の曲だったそうです。で、その黒石さんが何やら歌詞を歌ってらっしゃるようなのですが、よくよく聴いてても一体どこの言葉なのやらサッパリ分からないので、尋ねてみたんですって。すると、これは黒石さんがときどき使われる造語なんだそうです。ま、スキャットに近いもの…なんでしょうかね。おっちゃん曰く「中川さんの勇壮活発な音楽に、この黒石さんの曲が安らぎみたいなもんを与えとんちゃうかな?」とのことでした。この曲が入った「ガン×ソード」の2枚目のサントラは、近々にビクターから発売されるみたいですよ。どうぞお楽しみにo(^o^)o


こうして無事にお仕事が終わったあとは、恒例の(?)写真撮影大会となったようです。

まずは、おっちゃんと黒石さんの2ショットをどうぞ♪

おっちゃんのこの笑顔…どうです〜? もう緩みっぱなしって感じですよね(^^ゞ カーソルを乗せると出てくる黒石さんは、表情がとってもお茶目で可愛いですよね(*^-^*)


そうそう、このKIMでの写真撮影大会は、いつも他のスタジオで「はいはい、撮りましょう〜♪」なんてやってるのとは違って、皆で照明を工夫したり、伊藤さんが三脚を出してきたり…と、かなり大がかりだったようです。おっちゃんは「わしの小さいデジカメに、えらい立派な三脚を持ってこられて、ビックリしたわ」なんて言ってましたが、とにかく「何だか仕事をしてる時間より、写真を撮ってる時間の方が長かったみたい…」なんて皆で笑い合うほどの撮影大会だったみたいです(^^ゞ

では、最後にその立派な三脚を使って撮ったという、全員での記念撮影をしたというショットをどうぞ♪

前列はもう分かりますよね?
後列の右端から、エンジニアの伊藤さん、本田さん、ビクターの石川さん、川本さんだそうです。本田さんと川本さんは、今年KIMに入られた新人さんだそうですよ。


このビクターの石川さんも、うちのレポのことはご存知だったようです。こうやって写真を撮ってるときに「これも‘おっちゃんの仕事場探検に載せるんですか〜?’なんて言ってらしたとか…。はいはい、しっかりアップさせていただきましたよ〜。それにしても、私の知らないところで、ほんとにたくさんの方が覗いてくださってるようですね。これは、ますます気を引き締めて…でも、自分らしさを見失わないように頑張っていきたいと思いますo(^o^)o

 

追記:この「La Speranza」が↓で聴けるんですが、ほんと美しい…そしてカッコいい曲ですよ〜!

 

 

296 特撮「魔弾戦記リュウケンドー」(大島ミチル)

2005年10月26日。サウンドインのAスタに行きました。この日は大島ミチルさんとのお仕事で、「魔弾戦記リュウケンドー」という特撮モノの音楽録りでした。大島さんの特撮モノといえば、「ゴジラ」や「実写版セーラームーン」以来でしょうか…これは楽しみですね〜♪

この日のおっちゃんたち木管セクションは、2時間拘束。途中から入ってきて途中で抜けるというパターンだったみたいなので、スタジオに入るときも出るときも、本番ではないことを確認しながらコソコソと移動する…って感じで、いつも演奏のときに使ってる神経とはまた違った神経も使ってたようですよ。

そんなわけで、ブラスセクションのメンバーもイヤフォンから聞こえてくる声で数原さんだな〜と分かっただけで、あとの皆さんに関しては全く分からずじまいだったそうです。それに、今回もまた大島さんお得意の「ぶっつけ本番」が続くというタイトなスケジュールだったみたいなので、写真を撮るどころか、まともに言葉を交わす間もなかったとか…。おっちゃんたち木管が編成に入ってるのは20曲くらいだったそうですが、取りあえず本番のつもりでやってみて、もし何かあったら差し替える…の方針でドンドン録っていったそうです。で、このほとんどが1発OKになったっていうんですから、ほんとにビックリですよね〜?もう「さすが〜!」とか「すごい!」なんて言葉じゃとても表しきれないような、何か大きなものを感じますよね(*^-^*)

あ、この日の編成ですが、弦(マサさんのグループ:64221)、フルート&ピッコロ&篠笛(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(星野正さん)、トランペット(数原晋さん他)、トロンボーン(??)、パーカッション(高田みどりさん他)、ピアノ(エルトン永田さん)、指揮(大島ミチルさん)、エンジニア(中越さん)でした。
 
これを見ても分かるように、今回は篠笛が入ってるんですよね。このレポのアップ時点では、まだ番組の公式サイトもトップページだけみたいなのしかないので内容が詳しく分からないのですが、「リュウケンドー」って何となく日本的な響きのするタイトルにも思えませんか?篠笛の曲が入ったのも、そのせいかも知れません(勝手にこじつけ…(^^ゞ)。この篠笛に関しては、ほとんど臨時記号のつかない楽譜だったようですが、あの「あすか」のときにも使ったクロマチック篠笛を使ったそうですよ。このあたりには、音色的な部分で何か意図があるんでしょうか…。
 
余談ですが…この次の日もおっちゃんは同じサウンド・インの、今度はBスタに行ってたんだそうです。もちろん、別のお仕事でね。その時Aスタでは、この「リュウケンドー」の録音の続きをやってたんですって。どうやらこの時は弦とブラスだけで、木管は入ってなかったみたいですけどね。で、一言だけでもご挨拶できれば…と覗きに行ったんだそうですが、この日もとてもタイトなスケジュールだったみたいなので、一生懸命に棒を振る大島さんの背中に「がんばれ!」って心の中で声をかけて、そのままそっと帰ってきたそうです。

この番組は、2006年1月8日からスタートするようです。どうぞ、お楽しみにo(^o^)o

 

 

295 アニメ「びんちょうタン」追加録音(岩崎 琢)

2005年10月23日。サウンド・インのBスタに行きました。284番でお話した岩崎さんのお仕事「びんちょうタン」の2回目の録音だったんですが、こんな風にオンエアが始まってないうちの2回目の録音って、やっぱり「追加録音」って言うんでしょうか…それとも「初回録音の続き」って感じ? とにかく、この日も優しそうな表情がとても素敵な、岩崎さんとのお仕事でした♪

で、いきなり裏話(?)ですが…こんな風に録音が2回に分かれた理由を、仮アップの確認をしてくださった岩崎さんが教えてくださいました。何でも「MAのスケジュールと、僕の書きの早さ(遅さ)の都合…」なんだそうです。ご本人は「書きの遅さ」なんておっしゃってますが、前回の録音レポを読まれただけでも、いかに音色やハーモニーにこだわって書かれてるかってのがよく分かるでしょ?ましてや、今回のレポを最後まで読んでもらうと、いかに岩崎さんがこの作品に愛情をかけてらっしゃるかというのがよく分かりますよ。そんな事情からの、2回に分けての録音だったようです。ところで、「MA」って何でしょう…また、そのうちおっちゃんに聞いて「スタジオ用語辞典」に入れときますね(^^ゞ


さて、この追加録音(?)の日も例の中2階のブースだったみたいなので、こうしたモニター越しの岩崎さんしか撮れなかったそうですが、元気に棒を振ってらっしゃる様子がよく分かりますね?


この日の木管は、最初は2時間の拘束…というお話だったようですが、その後「フルートだけは30分くらい早く入って〜!」という連絡があったようで、おっちゃんだけ2時間半になったそうです。で、皆さんが来ないうちに、アイリッシュっぽい8分の6拍子の曲をフルートのソロで録ったそうです。この時点では、まだバックは打ち込みだけのような音がしてたそうで、一緒に入ってたヴァイオリンソロも打ち込みっぽい感じで何だかおかしかったそうですが、それはそれなりに「おもしろいなあ」なんて思いながらやってたそうです。あとでその部分を生楽器に差し替えるのかどうかを聞きそびれちゃったそうなんですが、どうなったんでしょうね?…と思ってたら、このヴァイオリンソロの部分は、あとで竹内さんが演奏されたそうです。これも、岩崎さんから教えていただきました。この場を借りて…ありがとうございま〜す(*^-^*)

その後、オーボエとクラリネットが加わった3人で何曲かダビングしたそうです。ゆったりした暖かい感じの曲が多かったそうですが、オーボエとクラリネットがけっこうユーモラスな曲もやってたみたいですね。そこへ弦セクションも入って、一緒に数曲やって、おっちゃんたち木管が先に終わる…というスケジュールだったようです。あ、この日は予定より少し早めに終わったようですよ。

そうそう、この日のコントロールルームに「トイピアノ(私たちには‘卓上ピアノ’とか‘おもちゃのピアノ’って言う方がピンとくるかも?)」が置いてあったそうです。これも実際に使われたみたいですよ。あ、「モリースターレーサー」の録音ではスタジオにホーナー製の鍵盤ハーモニカを持ち込まれてましたし、今回の「びんちょうタン」でのトイピアノだって、最近はシンセの音源を使ってしまわれる方も多いようなのに、わざわざ本物を持ち込まれてるってあたりにも、岩崎さんのサウンドに対するこだわりが現れているようで、何だかいいですねo(^o^)o
 
編成は、弦(竹内 純さんのグループ:64221)、フルート(おっちゃん)、オーボエ&イングリッシュホルン(浦さん)、クラリネット(星野 正さん)、アコースティックギター&ウクレレ&マンドリン他(田代耕一郎さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。これを見ても分かるように、アニメのダビングにしては珍しく、おっちゃんの笛のパートには持ち替えがありませんでした。ほんと、一体どんなアニメなんでしょうね〜。私の場合は、レンタルビデオかサントラが発売になってくれることを願ってたいと思いますo(^o^)o

…と、ここまではレポのアップ時に書いてたんですが、その後の岩崎さんからの情報を元に調べてみると、関東ではTBSで2006年2月2日の深夜1時55分から、関西ではMBSで春ごろからオンエアされるそうです。どうぞお楽しみにo(^^o)(o^^)o

 

 

294 映画「燃ゆるとき」(川崎真弘)

2005年10月21日。サウンド・インのBスタに行きました。この日は、このところ毎週金曜日の夜になると私たちの胸を熱くさせてくれる、川崎真弘さんとのお仕事でした。ん?毎週金曜日…の意味が分からんって〜!? そんな方は、是非こちらのレポをどうぞ♪

さて、本日のお題ですが…「燃ゆるとき」という、とある零細企業が一部上場企業に上り詰めるまでの大変な道のりを描いた映画の劇伴の録音でした。この映画の原作は高杉良さんです。Bスタのフロアがマサさんのグループでいっぱいになり、木管(フルート・オーボエ)は中2階のブース、ピアノは定位置のピアノブース、ギターは前室(…ってどこじゃ?)という配置で、まずはオケの録音がスタート…のはずだったんですが、川崎さんが指揮席についた途端にマサさんの「川崎さ〜ん!」の声が…っ! で、川崎さんが「へ?」と振り向くと、いきなり「カシャ!」っと携帯で写真を撮られてしまったようです。すぐさま川崎さんは「あ〜、四国に送るつもりでしょ〜!」なんて言ったそうですが(確かに、私の手元にも届いたんですが…)、このときの写真はマサさんのファンページに、マサさんが撮ったたくさんの写真と楽しいエピソードとともにアップされてますので、あちらで楽しんできてくださいねo(^o^)o


この日、おっちゃんは例の中2階のブースだったというお話は先にしましたが、そこから見たマサさんグループの皆さんです…って言っても、どれが誰やら分かりませんね(^^ゞ

このブースには、おっちゃんとオーボエの庄司さんが入ったようです。皆さんもご存知のように、このサウンド・インの中2階のブースはとても豪華なんですよね。そこで、男2人でどんな風に過ごしてたんでしょう…女性2人とかなら、絶対に甘いものとか持ち込んでワイワイ言ってそうですが、はてさておっちゃんたちは…!?(^-^;)


あ、おっちゃんはこのブースに入った途端、つい習慣でフルートをセッティングしてしまったそうですが、この日はフルートの曲は1つもなかったそうです。代わりに、ケーナやパンパイプや篠笛が大活躍だったんですって。
 
と言っても、パンパイプは1曲だけだったそうですが、アカペラで「とつとつとした感じでやって〜♪」というご注文があったそうです。わずか20秒くらいの短い曲だったそうですが、おっちゃんは「どんなシーンで使われるんか、楽しみやなあ♪」って言ってました。あ、このあたりは、このレポの後半で明らかになりますよ(^-^)

また、篠笛の曲は、「むら息風に〜」というご注文だったようで、ちょっと刺激的な感じのする、激しい曲だったそうです。ただし、最終的には監督さんたちの判断で、ボツになる可能性も無きにしもあらず…らしくて、「そのときはゴメンよ〜!」というお話だったみたいです。う〜ん、できるだけ使ってほしいけど、どうなったのかなあ…。ケーナについては、いまオンエア中の「慶次郎の縁側日記」や「まんてん」のようなフォルクローレ調ではなかったみたいですが、なかなかいい使われ方をしてたようです。このあたりの詳しいお話も、またあとの方でしますね♪


こちらは、休憩中に撮らせていただいたという、マサさんと城戸さんの2ショットです。

撮ったあとで城戸さんが「ちょっと偉そうな格好をしてたかな〜?」なんておっしゃったそうなので、「では、かわいく〜♪」と撮り直しさせていただいたそうなんですが、その可愛いショットは右の写真にカーソルを乗せてみてくださいね。ほんと、愛嬌のある笑顔でしょ?(*^-^*)


これは副調室から見たスタジオの様子です。体が半分に切れちゃって申し訳ないんですが、右端にはエンジニアの亀川さんが写ってますね(^-^)

写真にカーソルを乗せると、マサさんグループの皆さんがアップになりますよ♪

それにしても、おっちゃんのこのカメラ位置から見た調整卓…す、すごいですよね(+_+)


ところで、この日のエンジニアである亀川徹さんですが、実は「5.1サラウンド・サウンド」の第一人者なんだそうです…って言われても、まず私の場合は「5.1chって何?」ってことになるんですが、簡単に言うと「とても臨場感のある音を生み出すためのスピーカーの設置方法」ってことなのかなあ…いや、こんな簡単に言い切ってしまったら怒られるのかも? ああ、亀川さ〜ん、ここでミニミニ講義してくださ〜い!…って叫びたいところです。

で、そんな亀川さんの創り出すサウンドは、川崎さんの言葉を借りるとすると「音楽が身体の中に染み込んできて、優しく抱きとめられるような感じ」なんですって。うわぁ〜うわぁ〜この言葉だけでもさぞかし心地よい音色なんだろうって想像してるんですが、やっぱりこれは是非とも体感してみたいですよね?o(>_<)o

さらに、ここから先のお話がいかにも川崎さんらしくて、私が大好きなところなんですが、この亀川さんの創られた音を、1曲だけ東映の製作の若い方に聴かせてあげたんですって。もちろん、ミックススタジオの1番いい席に座ってもらってね。そしたら、その方は鳥肌を立てて、しばらく絶句してらしたそうです。ほんっとにすごい音なんでしょうね〜。いいなあ、うらやましいなあ!…でも、ここには川崎さんの「ほんとにいいサラウンド・サウンドを身体に焼き付けて、いいものを創る奥深さを知ってほしい。そして、もっともっと今の日本の映画音楽環境を向上させていってほしい…」という、熱い思いがこめられてるんですよ。ほんとに音楽を愛して、次世代のことを思いやってる川崎さんならではの計らいでしょ〜?聞いてる私も胸がいっぱいです。そのお若い方、そんな川崎さんの思いまで、しっかり身体に染み込ませてくれたかな〜?

とにかく、これは私たちも何が何でも映画館で体感しなくては…なのですが、残念なことに、どんなにいい映画館でも、このミックス・スタジオで聴けるようなサラウンド・サウンドは再現できないだろう…とのことでした。う〜ん、残念。でも、できるだけ音響設備のいい映画館を選んで行きたいものですね。


これはマサさんグループの方たちの位置から撮ったスタジオの様子です。左端の指揮台にいるのが川崎さんで、右の方にいる白いシャツを着てるのがマサさん。そのお隣の赤いシャツを着てらっしゃるのが映画監督の細野さんです。

こうした弦の方たちの視線に合わせたアングルってのも面白いですよね?ちょっとはマサさんグループに入って一緒に演奏してるような気になりましたか?…なんちゃって(^^ゞ


それにしても、マサさんは前の方で立って、何をしてるんでしょう?皆、ちゃんと自分の席に座ってるのにね…で、不思議に思って、マサさんに「これは何をしてるところ?」って聞いてみたら、「どの子が1番かわいいか、品定めしてるところ!」だそうです。はたして、その結果は…!?(^◇^;)

冗談はさておき、この日の弦は、ほんとに豊かな音色を奏でてたそうです。で、全体的には、そんな弦の上におっちゃんのケーナや庄司さんのオーボエがたゆたってるような曲が多いんだそうですが、サスペンス色もある映画のようですので、シンセもかなり使われてるようです。川崎さんのシンセって、シンセなのに不思議と命の鼓動が感じられるものが多いんですよね。思わず「こんなに生き生きしてるのに、シンセなの?」って言いたくなるくらいに…でも、今回はあえて「シンセ」らしくしたのかなあ。それとも、やっぱり生っぽくしたのかなあ。そのあたりも聴きどころの1つですね。

あ…実は…川崎さんのご好意で、私も1曲だけ聴かせてもらうことができたんですよ。大海原を想像させるような、ほんとに豊かな豊かな弦の音色でした。そこにおっちゃんのケーナが乗ってるんですが、これがまた…大草原を吹きぬける風のような…どこか懐かしい…心の奥深くの古い記憶を呼び起こされるような、何とも不思議な安らぎのある曲でした。ほんとに、冗談抜きで目頭が熱くなってくるような曲…あれは、ぜひ皆さんにも味わってほしいですね。もちろん、私ももう1度、今度はもっとゆっくり聴きたいですo(^o^)o


これは皆でプレイバックを聴いてるところです。皆が一斉に同じ方向を見てるってことは、何か映像があるのかなあ。映画のどこかのシーンと音楽を合わせてるところとか…?

いつも満面の笑みで笑ってる川崎さんも、このときばかりは真剣な表情です。う〜ん、このギャップがまたいいですよね♪


そうそう、ここからはお得意の余談なんですが(…って、すでに今までも余談だらけですが(^^ゞ)すぐ↓の293番のレポの最後に「お仕事が終わったあと、Bスタにいる川崎さんに会いに行った…」なんてお話があったでしょ?川崎さんはこの日の録音のために前日からシンセの準備をしてらしたそうですが、そこへおっちゃんがひょっこり顔を出して、「明日はよろしく〜♪」とか何とかの挨拶をしてたみたいなんです。ま、それはいいとして…おっちゃんってば、その挨拶の真っ最中にこっそり私の携帯に電話してきたんですよ〜!笑顔で「どうも〜♪」とか言いながら、後ろに回した右手でササッとダイヤルするって感じでしょうか…(^-^;)

そんな事情なんか全く想像できてない私は「あらま、おっちゃんからじゃ…」と普通に電話に出て「もしもし〜?もしもし〜?」って言ってるのに、一向に応答がないんです。何となく電話の向こうで誰かと話してるような雰囲気はあるんですが、いきなり電話をかけられた私のことはほったらかし…で、「何じゃ、この電話は…!?」なんて思ってたら、突然「どうも〜ヒラメのおっちゃんです〜♪」の声が…っ!


その瞬間「え…? えぇ〜!? ヒラメの…えぇ〜!? ほんまに〜!?」と、すっかり標準語モードで喋るのを忘れて、「素」で驚きまくってしまった私…(^^ゞ

これは、そんな電話の最中の川崎さんです。おっちゃん、こんなところまでしっかり写真を撮ってくるとは…でも、前にお会いして以来8ヶ月ぶりに聞く川崎さんの声、ちょっとドキドキしましたよ(*^-^*)

あ、なぜ川崎さんが「ヒラメのおっちゃん」なのかが分からない方は、こちらのページの写真をどうぞ♪


とにかく、川崎さんは今回の録音のために計4日間もスタジオに通ったそうで(作曲家さんって、ほんと大変なんですね…)、録音前日は今お話したような感じ。で、録音当日があって、録音翌日の22日に「ミックス」っていう作業をしてたら、今度はマサさんが現れたんだそうです。驚いた川崎さんは「あれ、今日もここだったの?」って聞くと、マサさんは「うん、明日は広島でマッキーのコンサートだよ」なんて言ってらしたとか…。

そしてサウンド・イン通勤(?)最後の日には、またおっちゃんが現れたんだそうです。この23日のというのは、おっちゃんはすぐ上↑のレポにある、岩崎 琢さんの「びんちょうタン」の録音のためにサウンド・インに来てたんですが、あの川崎さんの笑顔に吸い寄せられるようにスタジオに入っていったみたいです。すると、ちょうどその時、おっちゃんがやったパンパイプのアカペラ・ソロをミックスしてたところだったらしくて、一緒に聴かせてもらうことにしたそうです。

川崎さんは、このおっちゃんのアカペラ・ソロを「どこからともなく聴こえてくる心の中の音…」というイメージで使いたかったそうですが、その要望にちゃんと応えてくださったのが、エンジニアの亀川さんです。音色やエフェクト処理、5.1サラウンド処理など色んな処理をしてくださって、ほんとに美しい音色に仕上がったそうです。で、そうして出来あがった音楽を映像に合わせて、皆で見て(聴いて)みたんだそうですよ。

すると、おっちゃんの口からは「思いもよらんシーンやった…」なんて言葉がもれてきたそうです。あとから川崎さんが「どんなシーンを予想してたのか聞きそびれた…」なんて、ちょっと口惜しそうに言ってたので、私が代わりに聞いてきましたよ〜ん。何でも「パンパイプのシンプルなパターンのフレーズで、5.1サラウンドやらでごっついええサウンドしとんやけん、森の中とか広い草原とかいう大自然〜みたいなシーンを想像しとったんやけど、普通の服を着とる人らが何やビジネスライクに話しとるような、えらい現実的な画面やったんで、意外な気がしたんじゃ。そのシーンの話の内容が分からんかったけん何とも言えんけど、何か特別な効果を狙うとんかもしれんなあ。かえって楽しみになってきたわ♪」ですって。こりゃ、ほんとに楽しみですよね〜? しかし、おっちゃん。すっかり阿波弁が板についてしもて…(^^;ゞ


ま、そんなこんなのやりとりがあったあと、せっかくなので…ってことで、5人で記念撮影をしたそうです。何か、いい感じでしょ〜♪

左から、川崎さんの奥さんであり、音楽プロデューサーでもある天翔陽子さん・ヒラメのおっちゃん・笛のおっちゃん・エンジニアの亀川徹さん・アシスタントの三原さんです(*^-^*)

あ…これで思い出した〜!
これまた大活躍中のエンジニアである伊豫部さんから初めてメールをいただいたときにも「もう1人の‘はたらく おっちゃん’です」なんて名乗られたんだっけ…うちのレポって、そのうち「○○のおっちゃん」だらけになったりして!?(^◇^;)


編成は、弦(マサさんのグループ:64221)、ケーナ&パンパイプ&篠笛(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、ギター(千代正行さん)、ピアノ(江草啓太さん)、エンジニア(亀川 徹さん)、シンセ&指揮&その他いっぱい(ヒラメのおっちゃん←川崎さんご自身がこう書いてきてました)でした。

この映画は、全国150ヶ所以上の東映系映画館で、2006年2月11日から公開されます。監督は細野辰興さんで主演は中井貴一さん。このレポのアップ時点では、まだ映画の公式サイトみたいなのはないようですが、情報が入り次第、追ってお知らせしていきますね♪o(^o^)o

…と、ここまで書いてレポをアップしてたんですが、このあと亀川さんがほんとに「5.1ch」のミニミニ講義をしてくださいました。とても優しく、そして分かりやすく解説してくださってますので、ぜひ読んでみてくださいね♪ → こちら

 

 

293 アニメ「ガイキング」(手塚 理)

2005年10月20日。サウンド・インのAスタに行きました。この日の録音は「ガイキング」という東映系のアニメの劇伴で、音楽は手塚 理さん。「理」と書いて「おさむ」さんと読みます。そう、漢字は違いますが、あの手塚治虫さんと同じ名前ですね。この手塚さん、音楽を「アルプスの少女ハイジ」の渡辺岳夫さんに学ばれたそうですが、何と大学は「理工学部数学科」を卒業されたようです。詳しくは、お名前のところに貼ってあるリンク先を覗いてみてくださいね♪

さて、今回の音楽は、全体的にはパーカッションやブラスセクションが活躍する戦闘シーン風の音楽が多かったようですが、同じ戦闘シーンでも、イマジン系の作曲家さんの感じと比べると、何となく響きが重〜い感じを受けたそうです。ほら、イマジン系の方の音楽って、どんなに暗くて重厚な音楽でも、根っこの先端はどこか明るさがあるような感じのするものが多いように思うんですが、今回のはほんとに「重い…」って感じだったそうです。まあ、今回はミュージシャンさんの顔ぶれもかなり違ってたみたいですし、番組そのもののカラーってのもあるのかもしれませんよね。

そうそう、おっちゃんはスタジオで「‘ガイキング’の‘ガイ’は‘骸骨’の‘ガイ’だ…」なんて話を小耳に挟んできたようなので、どれどれ…と公式サイトを覗いてみると、確かに登場ロボットの頭やおなかに骸骨をイメージしたようなものがついてました。そのせいか、けっこう気味の悪い曲もあったそうです。何かどう気味が悪いって? 例えば、弦楽器の1人ひとりが勝手にグリッサンドで動き回るとか…ですって。ちなみに、グリッサンドとは「glissando」と書き、高さの違う音から音への間を、音階という階段状ではなく坂道のように移動することです。弦の場合は、弦の上で指を滑らせるような感じ…かな? この説明で分かりますか?(^^ゞ う〜ん、こうして演奏された音って、虫の羽音かサイレンみたいに聴こえるんでしょうかね。何か、想像しただけで気持ち悪そうですよね(+_+)

編成は、弦(加藤ジョーさんのグループ:64221)、フルート&ピッコロ(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット&フルート&ソプラノサックス(ボブ・ザングさん)、トランペット(2名)、トロンボーン(清岡太郎さん他1名)、チューバ(?)、ホルン(西条さん他1名)、パーカッション(草刈とも子さん・梯郁夫さん)、ドラムス(伊藤史朗さん)、ベース(渡辺直樹さん)、ピアノ(松本峰明さん)、ギター(今泉 洋さん)、シンセ(宮本さん)、指揮(中谷勝昭さん)でした。

時間的にはちょっと押し気味だったみたいなので、ほとんど休憩なしだったそうです。ブラス隊の方なんかは特に大変だったんちゃうかなあ〜と、おっちゃんも気の毒そうに話してました。あ、途中で弦の編成が小さくなったり、ブラス隊の皆さんが帰ったりしたそうですが、フルートはいちばん最後まで残って色んな曲を吹いたそうです。で、最後の最後には、ピアノだけの伴奏で、長〜いソロを吹いたんですって。どんな感じのソロだったんでしょう〜。オンエアが待ち遠しいですね。この番組は、2005年11月12日(土)の朝10時50分から、テレビ朝日系列でオンエア開始のようです。どうぞ、お楽しみにねo(^o^)o
 
最後にちょっと余談ですが…このお仕事が終わったときに、インペクの間宮エマリさんに「Gスタに川崎さんがいるから、行ってみて〜♪」なんて言われたらしくて、覗きにいってみることにしたそうです。実は、この録音の翌日…つまり21日に、同じこのサウンド・インのBスタで、川崎真弘さんとのお仕事が予定されてたんです。川崎さんは、その準備に来られてたみたいですね。で、ここでまた面白いエピソードがいっぱいあったんですよ〜。ま、このあたりのお話は、また↑の川崎さんのレポでお話しますね(^.^)/~~~

 

 

292 ゲーム「KINGDOM HEARTS 2」(下村陽子・和田 薫)

2005年10月18日。早稲田のAVACO(アバコ)スタジオに行きました。この日は事前に和田さんとのお仕事…ということは分かっていたようですが、インペク屋さんが初めての方だったので「あらま、どういうこっちゃ…?」と、ちょっとワクワクしながら行ったそうです。

そんな調子で着いてみると、この日はゲーム音楽の録音ということが分かりました。どうやら、それでいつもとは違うインペク屋さんになったみたいです。ま、インペク屋さんは違っても、メンバーはほとんど変わらなかったようなので、スタジオにはいつものような和やかな空気でいっぱいだったそうです…って、これからすぐに本番なのに、この緊張感の無さはどうでしょう? ほんと、いつ聞いても「すごいなあ」の一言に尽きますね(^^ゞ

この日、お仕事の前にロビーでマサさんから「今日の仕事は情報をもらしちゃいけないんだって〜」って言われたおっちゃん。ほうほう〜と思いながらスタジオに入ると、お仕事が始まるときに和田さんからも「どうぞ内緒でね♪」といったお話があったようです。おっちゃんたちのお仕事は、世間一般の私たちが知ることになるずっと前…つまり、製作過程の中の大事な1コマなので、時々こうしたことがあるみたいですね。特に、ゲームや歌モノのレコーディングのときに多いんじゃないかという気がします。これ、私がこうしてレポするにあたって、最も気を遣う部分の1つでもあるんですよ。だから、うちは歌モノのレポが少ないってのも分かるでしょ?…なぁ〜んて、こんなところで、編集や関係者さんへの連絡に手が回りきらずに、レポのアップを断念してる言い訳してみたりして(^^;ゞ

さて、いよいよ録音のお話です。この日に配られた楽譜は2枚しかなくて、しかも、おっちゃんたち木管さんのパートは1ページ弱だったので、皆で「こりゃ、アッという間に終わってしまうかもね」なんて言い合ってたそうですが、現実はそう甘くはなかったようですよ〜。

まず1曲目は、5拍子の部分を含む、かなり激しい感じの音楽で、約40秒くらいのものと、同じ曲のタイム違いのものを録ったそうです。もう1曲は、ブラスなどの代わりにピアノが入った、ゆ〜ったりしたテンポの静かな曲だったそうです。これは楽譜を丸3回も繰り返してやるほど長い曲だったそうですが、ゲームの進行具合によっては更にそれを何度も繰り返して使われるんじゃないか…とのことでした。で、どちらも画面に合わせて何度もプレイバックするという、とても丁寧な録り方だったみたいなので、終わったのは終了予定の15分くらい前だったそうです。


そうそう、この日の音楽は、実はこの写真の右側の下村陽子さんという方が作曲されて、和田さんはアレンジを担当されたということらしいです。

おっちゃんは初めてお会いする方かな…なんて思ってたそうですが、ご本人からは「前にもお会いしましたよ〜」ですって。おっちゃん、しっかりしてくだされ…(-_-;)

とにかく、和田さんは「ムシキング」の追加録音のときよりもお元気そうで、よかったですよね♪


この日の編成は、弦(マサさんのグループ:10・8・6・6・4)、フルート(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(小林さん)、ファゴット(前田さん)、トランペット(大倉滋夫さん他)、トロンボーン(?)、チューバ(佐藤潔さん)、ホルン(???)、パーカッション(高田みどりさん他2名)、ピアノ(緒方さん)、指揮(和田 薫さん)、エンジニア(山田さん)でした。

…と、ここまでは10月31日の時点で出来あがってて、和田さんにも仮アップの確認なんかをしていただいて、あとは正式アップするのみって感じだったんです。ゲームの内容なんかには触れてないんで、発売前のレポアップも問題ないかな〜と思ったりしたんですが、やっぱり諸々の事情で、ゲームの発売日でもある12月22日をもっての正式アップとなりました(^^;ゞ

和田さんアレンジのこの音楽は、スクエア・エニックス制作で、ディズニーとの共同製作として世界中で発売されている「KINGDOM HEARTS 2」というゲームに乗って、全世界に羽ばたいていくようです。ミッキーやドナルドが助っ人となって(?)闘っていく、絵のとても綺麗なゲームだそうですので、ぜひチャレンジしてみてくださいねo(^o^)o

 

 

291 中国映画「パンダワールド」(若草 恵)

2005年10月15日。サウンドシティのAスタに行きました…と言っても、先のお仕事(↓の亀山さんとのお仕事)も同じサウンドシティの「Bスタ」だったので、移動距離はわずか数メートルって感じだそうですけどね(^^ゞ

さて、この日2軒目(?)のお仕事もアニメの劇伴で、何でも「パンダ・ワールド」という映画の音楽録りだったそうです。パンダの国だかパンダの島だかがあって、そこでオリンピックが開催される…というようなストーリーなんですって。どうやら、北京オリンピックを意識した映画のようですよ。作曲は若草 恵さん。その若草さんの現場でのお話では、先に中国で公開されることが決まってるらしく、そのうち日本でも…とのことだったみたいです。早く日本での公開が決まるといいですね♪

音楽は、スポーツものらしく、ダイナミックで勇壮活発な感じの曲が多かったみたいですが、おっちゃんやヴァイオリンの小池さんからのお話によると、「スター・ウォーズ」の「ダース・ベイダー」のテーマ風の曲や、「セーラー・ムーン」のような曲、「タイガー・マスク」のテーマに「101匹わんちゃん」の 「クルエラ」のテーマのような曲など、ほんとに盛りだくさんだったようですよ。もしかすると、そういうオーダーが出ていたのかもしれませんね。こうした、どこかで聴いたことのあるような曲が次々に流れてくるってのは、映画を観ている誰もが本当に楽しい気分になれるんじゃないかなあo(^o^)o

こちらは、この日の「がんばったで賞」の小池さんです♪(理由はまたあとで…(^^ゞ)

いきなりおっちゃんが現れて、あっという間にシャッターを切られてビックリした…とのお話でしたが、いい笑顔でしょ?(*^-^*)

写真にカーソルを乗せると楽譜のアップになりますが、何かゴチャゴチャといっぱい音符が並んでますよね〜。8分音符よりも細かい音符はしばらく考え込まないと読めない(それでも読めるかどうか…)私はこれだけで「うへぇ…」って感じですが、これなんかまだいい方で、弦パートのほとんどの楽譜は、もっとも〜っと真っ黒だったみたいですよ(^-^;)


あ、ここで1つ面白いお話を…歌ものと劇伴とで作風がガラリと変わる作曲家さんはけっこういらっしゃるようですが、おっちゃんや小池さんの話によると、この若草さんはその中でも特に、歌ものと劇伴とで奏法的な違いが大きい方なんじゃないかなあとのことです。もちろん、そのときの曲や番組の内容によって、または楽器の種類によって、ケースバイケースってところもあるようですが、どちらかと言うと、劇伴のときの方が演奏者にとっては難しい場合が多いとか…。でも、最後は必ず若草さんならではのクラシカルで美しい仕上がりになるので、がんばれちゃうんだそうですよ♪

…とは言え、この日はまた弦パートが格別に大変だったようで、スタジオに着いて楽譜を見た瞬間に小池さんは「…(@_@;)」って状態だったそうですが、ひるむことなく弾いて弾いて弾きまくったそうです。おっちゃんは「何や、今日の小池くんらはすごかったわ〜!」なんて言ってましたし、小池さんからも「今日のは本当に手応え十分でした(>_<)ヽ」なんて声が聞こえてきてましたので、ほんっとに大変だったんでしょうね〜。小池さんグループの皆さん、お疲れさまでした。あ、この日のお仕事が始まる前に、おっちゃんとエンジニアの吉田さんとの間では「ブラスの人数のわりには、弦が‘64221’って、ちょっと少ないかなあ…」なんて会話があったそうですが、その弾きまくりの様子を見て「ぜ〜んぜん心配することなかったね♪」って感心してたそうですよ(*^-^*)

で、もともと曲が多かった上に、そんなこんなで差し替えなんかも多くて、結局1時間くらいの押しで何とか無事に終了。おっちゃんは「やれやれ…」と急いで家に帰り、帰宅後はすぐに大好きなビールを食らって沈没したようですが、小池さんの1日はまだまだ終わらなかったのです…実は、小池さんはこのレコーディングの次の日に、お友達のチェリストさんが愛知の方のオーケストラと協演でコンチェルトを演奏するというので、その応援に行くことにしてたんですって。で、前乗りして仕事が終わり次第に車で名古屋に向かう…ってことになってたそうですが、お仕事が終わったのが夜の10時30分ごろ。それから急いで首都高速と東名高速と乗り継いで名古屋に向かったものの、この日は土砂降りの雨で視界が最悪…ようやくホテルに着いたのは深夜2時だったそうです。ほんっと、お疲れさまでしたね〜。写真のところで「がんばったで賞」って言ったのは、こういうことだったんですよ(^-^;)

そうそう、おっちゃんからこの写真が届いてすぐ、小池さんに「写真を使わせてください♪」ってメールをしたら、そのお返事の冒頭から「う〜、脇の方の白髪が目立つな〜(T_T)」ですって。その後「でも・・いいです・・・。ご自由にご使用になってくださいませ・・・。(ぶつぶつ)」と続くんですが、こんな小池さんの反応が何だかおかしくて、メールを見ながら肩が揺れるほど笑ってしまいました。小池さんのHPにアップされてる数々の楽しそうな表情(女性と一緒のときは‘でれでれ’とも言う…)の写真を拝見すると、ある程度は想像できるのですが、でもまさか、こんなにユーモラスな方だったとはね〜小池さんの新たな魅力を発見してしまいました♪

編成は、弦(小池弘之さんのグループ:64221→44220)、フルート(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(及川 豪さん)、トランペット(数原 晋さん他2名)、トロンボーン(フレッドさん他2名)、チューバ(?)、ホルン(南 浩之さん他2名)、パーカッション(草刈とも子さん・越野さん)、ピアノ(エルトン永田さん)、指揮(D島公二さん)、エンジニア(吉田さん)でした。あ、この日は、こういった劇伴に珍しく、代棒でD島さんが入ってらっしゃるでしょ? これは、若草さんならではのテンポの変化が多くて、とてもクリックでは対応しきれないから…ってことなんだそうです。

とにかく、今の時点では日本での公開が決まってないので、この小池さんたちの健闘ぶりを楽しむことができないのが残念な限りですが、今後の情報に乞うご期待…ですねo(^o^)o

 

 

290 「こてんこてんこ」追加録音(亀山耕一郎)

2005年10月15日。サウンドシティのBスタに行きました。この日の録音は、前に266番でレポートさせていただいた「こてんこてんこ」というアニメの追加録音でした。作曲はもちろん、前回と同じ亀山耕一郎さんです。

このアニメ、10月からオンエアされてるんですが、もう見ましたか? 確かに、小さい子供向けの軽い内容で、1話が10分くらいで終わってしまう速い展開のアニメなんですが、音楽がなかなか面白いんです。前回のレポで「1曲だけリコーダーを使った」と書いてあったかと思うんですが、それがいきなりタイトルコール(…って言うのかな?その回のお話のタイトルを言う部分です)で使われてます。

その後、サックスやクラリネットがピコピコと可愛らしく飛び跳ねたり、フルートやオーボエ(…だったと思います(^^ゞ)がピンクパンサーっぽいテーマに乗って横揺れしながら跳ねたり、そうかと思えば、フルートのちょっと不気味な感じの曲があったり(悪者が出てくるときの曲)…と、ほんとに楽しめるんです。番組全般において、おっちゃんの音色がたくさん楽しめるのも嬉しいところです♪

で、この日の追加録音は、弦と木管(フルートとオーボエ)でダビングだったようですが、最初に弦と木管が一緒になってる曲をやって、次に木管は休憩で弦だけがやって、最後に木管だけの曲…という感じで進めていったそうです。あ、さっきから「木管・木管…」なんて言ってますが、結局おっちゃんと石橋さんだけ…そう、随分と前のレポで「狭いブースの中で、お互いの携帯を使って写真を撮り合い、それをお互いにメールで送り合って楽しんでた‘おっさん2人’」としてご紹介させていただいたコンビですね(^^ゞ

そうそう、この日に録った曲の中に1曲だけ、フルートとヴァイオリンソロ(加藤ジョーさん)のユニゾンでやる、アイリッシュ風の曲があったそうです。これがまた装飾音符がいっぱいで、とても面白い感じの曲だったそうですが、おっちゃんは「このフレーズは、どう考えてもティンホイッスルでやりたいの〜」なんて思ったそうです。作曲家さんの場合は、作曲の段階において「使いたい楽器からメロディを想像していく」ってケースもあるのかなあなんて思いますが(今回のこの曲の場合はどうか分かりませんが…)、おっちゃんたち演奏家さんはメロディから楽器を想像していったりすることもあるようですね。視点が変われば…って感じで、なかなか面白い話だなあなんて思った私です(^-^)

で、いきなりティンホイッスルを思いついたものの、肝心の楽器は…?ってことになるわけですが、「笛仙人」とか「笛大明神」とか「魔笛仕事人」なんて言われてるおっちゃんは、ちゃ〜んとティンホイッスルも車の中に持ってきてたようです。ただ、その車が立体駐車場の上の方に上げられてしまってたという事情から、取りあえずフルートでやったあとで「別トラックで、リコーダーでもやりませんか?」って一声かけてみたんですって。これをおっちゃんは「売り込んでみた」なんて言ってましたが…(^-^;) で、結局その案が採用になって、皆が終わったあとソプラノリコーダーで別途ダビングしたそうです。はてさて、どちらが本採用になったのやら…いや、アニメの場面によって、どっちも使ってくれるといいなあp(^-^)q


こうして無事に録音が終わったあとで副調に行ってみると、このアニメの主役でもある「こてんこちゃん」をプリントアウトしたものが置いてあったので、おっちゃんはすぐさま亀山さんに「これ、持って〜♪」って言って、写真を撮らせてもらったそうです。

亀山さんがカメラ目線じゃないのが残念ですが、ほんと素敵な方ですよね。前回のレポのアップ時には、たくさんの方から「作曲家さんじゃないみたい〜!」「‘海の家’とかで働いてそう…」なんて声が聞こえてました♪…って、皆さん、作曲家さんに対して一体どんなイメージを持っているのやら…!?(^◇^;)


この日の編成は、弦(加藤ジョーさんのグループ:4422)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、ギター(今泉洋さん:別録り)、シンセ(亀山耕一郎さん)、エンジニア(三浦さん)で、ギターの今泉さんはおっちゃんたちが帰ったあとで、いっぱい録ったみたいですよ。こちらも聴きどころの1つですね♪

このアニメは、テレビ東京系列で木曜日の夕方6時からオンエアされています。幼児番組だ…なんて思わずに、ぜひ見て(聴いて)みてくださいねo(^o^)o

 

 

289 アニメ「うたわれるもの」

2005年10月11日。サウンド・インのAスタに行きました。事前に「‘うたわれるもの’というアニメの劇伴で、作曲は若い女性2人だから…」という風に聞いてたおっちゃん。この「若い女性」ってところだけで、すでに朝から意気込みが違います…というか、先に結論から言うと、お仕事が終わったあとの第一声が「何や、かわいらしい子らやったわ♪」と、ほんとに楽しそうでした。もちろん、他の作曲家さんたちとのお仕事も、いつも楽しみに出かけてるようですが、やっぱり「女性」ってことだけで、仕事の楽しみ方が違うんでしょうね(^^ゞ

さて、この日の音楽は、Myuさんと安瀬(あんぜ)さんとおっしゃる素敵な女性お2人だったそうです。この「Myuさん」は、実は中村さんという方で、おっちゃんがお会いするのは今回で2度目になるようです。確か、前は、そろそろ桜が咲き始めたかなあってころに、篠笛のダビングだかのお仕事でお会いしたとか…(そのお仕事はレポできてませ〜んm(__)m)。

録音の方法としては、先に入ってる打ち込みと弦(マサさんのグループ)に木管3人(フルート・オーボエ・ファゴット)でダビングという形だったようです。楽譜の書き方が他の作曲家さんたちとはちょっと違ってるところがあったらしくて戸惑ったりしたそうですが、お仕事自体はとてもスムーズで、ファゴットとオーボエの方は先に帰っていっちゃったそうです。あ、先に帰られたオーボエは石橋雅一さんで、ファゴットは前田正志さんでした。
 
で、おっちゃんだけ居残りで、今度は篠笛をやったらしいのですが、これがかなり大変だったそうです。その篠笛で何曲かやった中でも、テンポが「180」で5拍子っていう曲にはほんとに往生したとか…最初にサンプルっぽい音源を聴かせてもらったときには「わりとゆっくりかな…」なんて思ったらしいのですが、実は実はおっちゃんが感じてたテンポの倍の速さの曲だったんです。おまけに指も結構ややこしいところがあったりして、あのおっちゃんでも四苦八苦したそうです。おっちゃんから「四苦八苦した」なんて言葉が聞けるのはほんとに珍しいことなんで、よっぽど大変だったんでしょうね。でもまあ、何とか切り抜けたそうです。

しか〜し、これでホッと一息つけるわけではなかったんです。その後にやった曲は、テンポは「120」とゆっくりめだったそうですが、とても篠笛の譜面とは思えない16分音符の連続で、これまた四苦八苦…。まあ、音の動き方がわりと自然だったみたいなので、その点では先の5拍子の曲よりはラクだったかも…とは言ってましたが、何にしてもほんとに大変だったみたいです。で、最後に、あの苦労した5拍子の曲の楽譜を使って、今度は「ゆっくりと自由な感じでやってほしい」っていう注文に合わせて吹いたそうです、こちらは難なくクリアでき、これでようやくこの日のお仕事を終えることとなりました。

そうそう、ちょっと余談になりますが、このお仕事の報告の中でおっちゃんからは「弦は多分マサちゃん」なんて聞いてたので、このあたりをハッキリさせようとマサさんに連絡を取ったところ、マサさんからも「大変だった…」なんてお話が聞けました。いやはや、どちらさんもほんとにお疲れさまでした<(_ _)>

MBSの製作だそうで、関東で放映される場合はTBSかな…というお話でしたが、この録音の時点では、関東でのオンエアは未定ということだったそうです。というか、このレポ作成時点では、MBSの方でも何の情報も見つけられてません。一体いつからのオンエアなんでしょうね…また、詳しいことが分かり次第、お知らせしますね♪

 

 

288 映画「子ぎつねヘレン」(西村由紀江)

2005年10月6日。サウンドシティのAスタに行きました。この日は、ピアニストの西村由紀江さんの作曲で、「子ぎつねヘレン」いう映画の音楽を録りました。この映画は、北海道の大地で出会った、8歳の少年と目と耳が不自由な子ぎつね「ヘレン」の愛情いっぱいの生活を描いたものです。そう、主人公「ヘレン」の名前は「ヘレン・ケラー」から取られたものですね。

さて、この日はまず、木管四重奏と西村さんのピアノという編成で1曲インストをやったそうです。先に入ってる西村さんのピアノに木管四重奏をダビングという形だったようですが、これにはクリックが全く入ってなかったそうです。その代わりに、先に入れたというピアノパートを西村さんが演奏しているところが録画されていて、おっちゃんたちはモニター画面でそれを見ながらダビングしたんですって。おっちゃんは「ピアノの場合は指を見とったら音の動きが分かる、こういうんは意外とやりやすいの〜」なんて言ってましが、そんなもんでしょうかね…。だって、もう暗譜できてるくらいに慣れた曲ならまだしも、初見なのに、自分のパートも見ながらモニターの中のピアノの指先を見て判断するなんて…ねえ?(+_+)

あ、この曲中のピアノがお休みのところでは、西村さんがカメラに向かって軽く棒を振って下さってるので(‘棒を振る’って言っても素手ですが…(^^;ゞ)、テンポなんかが変わっても大丈夫だったそうです。これって…想像するに、テレビ電話みたいな感じなのかなあ。ほら、今までにもモニター越しに見る指揮者さんってのは何度かありましたが、どれも一生懸命に指揮してる姿を第3者的に見てるって感じだったでしょ?でも、今回は時々おっちゃんたちの方を向いて振ってくれたみたいですしねえ?しっかし、自分たちの方に向かって、しかも西村さんのような素敵な方が微笑みながら振ってくださったら……思わず、自分の出番が来ても吹くのを忘れて見とれてしまったり、モニターに向かって「でれぇ〜」っと微笑み返してしまったりしないのかしらん?(^◇^;)

冗談はさておき(あながち、冗談でなかったりして?(^^;ゞ)、こうしたやり方は、前にもうちのレポでお話させていただいたことがあるんですよ。そのときも同じ編成だったはず…記憶のどこかに残ってましたか?覚えてた方も忘れた方も、是非また172番のレポートを読んでみてくださいね♪

…で、ここまで説明しといてナニなんですが、実はこれ、この映画の劇伴ではなくて、11月16日にリリースされる西村さんのニューアルバム「耳をすまして」の中に収録される「耳をすまして(よみきかせおはなし絵本2のテーマ曲)」という曲なんだそうです。でも、現場では、これが映画の劇伴なのか別のアルバムなのかハッキリ分かってなかったようで、おっちゃんからの原稿にもこの曲のことがメインに書かれてたので、そのまんまこの映画レポのところに載せちゃいま〜す。ごめんなさい(^^ゞ

こんな風に木管が4人そろってたのはこの曲だけで、あとの映画の劇伴は、先に入っている弦などに順番にダビングだったようです。クラリネット、フルート…と終わって、最後にオーボエが残ってたんじゃなかったかな…とのことでした。

編成は、弦(マサさんのグループ:別録り)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(大友幸太郎さん)、ファゴット(前田信吉さん)、ピアノ(西村由紀江さん:別録り)、エンジニア(伊藤さん:スタジオKIM)で、2006年3月18日(土)から全国でロードショーとなります。どうぞお楽しみにo(^o^)o

 

追記:こちらでこの映画のメインテーマが聴けますよ〜!

 

 

287 ニッセイのCM「トム&ジェリー」(中川幸太郎)

2005年10月6日。AVACO(アバコ)の301スタに行きました。この日は事前に「中川幸太郎さんのお仕事でCM録音」ということまで分かってたみたいなので、こりゃまたドえらい大編成でチョー難しい楽譜かもな…と、ちょっと背中にピリッとしたものを感じながら家を出たそうです。ところが、アバコに着いてみると意外と駐車場が空いてたらしくて、「あれ…?」なんて思いながらスタジオに入っていったとか…。

すると、アバコの広〜いフロアに、ブラスセクションの方が5人ならんでいるだけだったそうです。それを見たおっちゃんは「ほな、わしはブースかの〜」と思って各ブースを回ってみたんだそうですが、そこにはドラム、ベース、ヴァイオリンなんかが入っていて「こりゃまた、どうしたもんかいな…」と思ってたら、ちょっと薄暗い、物置のようなブースにクラリネットの人と一緒に入ることになったそうです。このブースは、和田 薫さんの「犬夜叉」の録音の時に、笛や尺八を演奏された藤崎さんが入ってらしたところなんだそうです。

さて、いよいよ録音です。大編成の予測は見事に外れちゃいましたが、「難しい楽譜かも?」の方はしっかり的中だったようです。この日は「Nissay(ニッセイ)」のCMで、「トムとジェリー」の実写版パロディみたいな感じのCM…とのことでした。このCM、すでにオンエアされているので、見た方も多いんじゃないでしょうか…。実は私はまだ1回…それもチラッとしか見たことがないので、小さな穴にネズミ(ジェリー)が入ったあと、追いかけてきたネコ(トム)が思いっきり壁にぶつかる…というシーンの印象しかないんですが、アニメに勝るとも劣らないドタバタした感じなんですよね。で、それに合わせた音楽ということで、やっぱりテンポも速くて楽譜も難しかったようですが、あまり細かいところまで正確に…というのではなくて、「ちょっとくらいズレても、そのドタバタした感じが出た方がいいので、思いっきりやってちょ〜だい♪」って言われて、ほんとに体当たり的な演奏になったようです。

あ、この日は打ち込みのデータとクリックが先に入っていて、それにダビングという形だったようなのですが、演奏する予定になってた曲にはテンポが3種類あって、その遅い方の曲でも150、速い方だと200という、いかにも中川さんらしい3曲を、目まぐるしく入れ変わらせながらの大変な演奏だったようです。ほんの一瞬だそうですが、おっちゃんのピッコロもハッキリと聴けるそうですよ♪
 
編成は、フルート&ピッコロ(おっちゃん)、クラリネット&バスクラリネット(十亀正司さん)、トランペット(西村浩二さん他1名)、トロンボーン(中川英二郎さん他1名)、チューバ(?)、ドラム(?)、ベース(渡辺 等さん)、ヴァイオリン(?:ソロ・♀)、シンセ打ち込み(中川幸太郎さん)でした。

このCM、とても楽しそうなので、ぜひロングランでオンエアしてほしいですね。とにかく、皆さんもしっかりテレビをチェックしててくださいねo(^o^)o

 

 

286 アニメ「甲虫王者ムシキング」追加録音(和田 薫)

2005年9月29日。子供たちに大人気のアニメ、「甲虫王者ムシキング」の追加録音のために、早稲田のAVACO(アバコ)スタジオに行きました(初回録音については225番を参照してください)。音楽は、もちろん和田 薫さん。このムシキング、テレビアニメが放映される前から子供たちにはカードゲームとして人気だったようですが、アニメが始まってからの人気はほんとにすごいものがありますね。何といっても、命や自然の大切さを訴えるだけでなく、昆虫たちの生態についても深く触れてあり、見ていてとても勉強になるんですよね。あくまで空想の世界…というアニメが多い中で、これは本当に貴重な作品だと思います。

そうそう、この「ムシキング」に関しては、2005年6月1日付の読売新聞のテレビ欄でも大きく取り上げられました。その記事の最後の1文に和田さんの名前が挙げられて、「和田薫の重厚な音楽も印象的だ」なんて書かれてるんですよ〜! こうした記事に1スタッフの実名が出るのは珍しいですよね? ファンとしては本当に嬉しい限りです(*^-^*)

で、ほんとはその記事自体をここに載せて皆さんにも見ていただけたら…と、読売新聞の著作権部の方と書類やメール、お電話などを何度か交わしたりしたんですが、記事の使用料が私にとってはあまりに高くて載せられませんでした…ごめんなさ〜い(^^;ゞ


さて、いよいよ録音の話を…これは、おっちゃんのところに配られた楽譜の表紙です。そうか、追加録音だから「#2」なんですね。1文字ずつ色を変えたカラフルな表紙で、なかなか凝ってますよね〜。

追加録音と言えども、この日もまた30曲もの楽譜が用意されてたとか。でも、これはあくまで、おっちゃんたちが参加する分の曲の数。こうした全体録音のあとにはヴォーカルやピアノのダビングもあったそうで、結局40曲にもなったそうです。


ところで、スタジオでの録音の流れですが、今までのおっちゃんたちからの話からすると、基本的には「譜読みを兼ねた演奏」→「テスト録音」→「本番」という3つのステップがあるのは少し見えてきたかと思います。でも、その前に「マイクテスト」っていうのがあるのを知ってましたか? まず、弦セクションのファーストヴァイオリンから順に、セカンド→ヴィオラ→チェロ…という風に、木管セクションなんかはフルート→クラリネット→オーボエ…といった感じで、その楽器ごとに1フレーズ演奏してみるんですって。これって、別に何でもないことのようですが、やっぱりスタジオワークならではの作業ですよね?この日も、そうしたマイクテストから始まったそうです。

録音は、和田さんの「M−○!」という声で、編成の大きなものから録っていったそうです。ときどき「これは皆でやってるけど、1人1人がソロの気持ちでやってくださいね」みたいなアドバイスもあったとか…。こうした一言があるだけで、随分と現場の空気も柔らかくなるんでしょうね〜。ただ、こうした現場の空気とは裏腹に、録った曲のほとんどが、ゆったりしたテンポの、暗くて重々しい雰囲気のものだったそうです。まさに、このレポの冒頭でお話した読売新聞の記事にあった「重厚な…」って感じでしょうか。おっちゃんは「とても昆虫の話とは思えんような音楽じゃよ」とも言ってました。物語も後半に差しかかり、いよいよクライマックスに向けて動き出したようですが、この曲の雰囲気からも今後のストーリー展開が気になるところですね。


ちょうど同じ時期に「はなれ瞽女おりん」の舞台を抱えていた和田さん。ご自身の掲示板では「さすがに大変〜!」なんておっしゃってましたが、現場では元気に棒を振ってらしたそうです。

この写真を見ても、けっこうお元気そうですよね。ちょっとホッとしました(^-^)

写真にカーソルを乗せると、写譜屋さんと和田さんの様子が見えますよ♪


では、ここらでちょっと編成のご紹介を…弦(マサさんのグループ:86442)、フルート&ピッコロ&ケーナ(おっちゃん)、オーボエ&コールアングレ(庄司知史さん)、クラリネット&バスクラリネット(星野 正さん)、ファゴット(前田正志さん)、ハープ(朝川朋之さん)、トランペット(大倉滋夫さん・西村浩二さん・市川和彦さん)、トロンボーン(奥村晃さん・井口有里さん・篠崎卓美さん)、チューバ(次田心平さん)、ホルン(井出さん他2名)、パーカッション(梯郁夫さん・藤田崇文さん・小竹満里さん)、ギター(田代耕一郎さん:別録り)、ヴォーカル(河井英里さん:別録り)、打ち込み&シンセ&指揮(和田薫さん)、エンジニア(山田さん)で、ブラス関係は新日フィル(新日本フィルハーモニー交響楽団)のメンバーがメインだったようです。今回も、おっちゃんが控えきれなかった方のお名前は、和田さんが教えてくださいました♪

こちらは副調室から見たスタジオの様子です。

左端にはエンジニアの山田さんが、ガラスの向こうにはマサさんのグループの皆さんが見えますね。写真にカーソルを乗せると、マサさんたちがアップになりますよo(^o^)o


今回は、クライマックスに向けての重厚な音楽が多かったようなので、あのムシキングならではのエスニック調の曲は少なかったようですが、それでもケーナのソロを4曲ほど録ったそうです。で、これはオケと一緒にではなく、あとでオケの上にダビングという形でやったんだそうですよ。おっちゃんは「多分、あとでアカペラで使うとか、ケーナを抜いたオケの上に、また別の楽器を被せるとかいうことをするんかもしれんなあ」なんて言ってましたが、どうなんでしょ? このあたりも聴きどころの1つですね♪

ギターの田代さんは大編成のあとのダビングからの参加だったようですが、その中の4曲ほどはおっちゃんと一緒にダビングしたそうです(それが、そのケーナのソロってやつかしらん?)。また、パーカッションの梯さんは、オケの編成にも最初から入ってらしたのに、後半のダビングでもかなりの曲を録ってらっしゃったそうです。また、前回のレポにあった「黒ヤギさん(←うちで勝手に命名(^^ゞ)」を連れてきてたりしたのかなあ。

そうそう、このお3方は、色んなところで一緒になることが多いらしく(特にエスニック系の録音のときには必ず!)、自分たちでは勝手に「民族楽団」とか「エスニックグループ」なんて呼んでるんだそうです。


では、その「民族楽団」の皆さんの、記念すべき1枚をどうぞ♪(^-^;)

向かって左から、田代さん・梯さん・おっちゃん、ですね。あぁ〜今にして思えば、何かそれぞれ楽器を持ってもらえば良かったなぁ〜。だって、楽器を持ってないと、ただの怪しいオジさん集団のような…あ、いやいや、それにしても、せっかくの「民族楽団」勢ぞろいの写真なのに、何で後ろが自販機なんでせう(^◇^;)

…ま、きっとまたこんな機会はあるでしょうから、それに期待してましょう(^-^;)


この日の配置は、弦・木管・ホルン・打楽器がフロアで、ブラスとハープがブースに入ってたそうです。おっちゃんは「まあ、和田さんのときは大体いつもこんな感じなんやけど、この配置やとフロア関係の差し替えがちょっと難しいんよなあ。ホルンセクションとかは、結構プレッシャーやったと思うで。」なんて言ってました。皆が一緒にフロアでやったら、誰かが間違うと皆まとめてやり直しってことになるわけですから「差し替えが難しい」ってのは分かるんですが、何でホルンセクションが特に強いプレッシャーを感じるんでしょう…はてはて?

…って思ってたら、仮アップのときに和田さんが色々と教えてくださいました。何でも、ホルンは金管楽器の中でも特に音がひっくり返りやすい楽器なんですって。これはマウスピースが小さいわりに管尺(管の長さ)が長いという構造上の「宿命」なんだそうです。あのグルグル巻いてるのを伸ばすと、3m以上にもなるらしいですしね。で、しかも、もともと和田さんの曲はホルンがキツいという定評がある上に、今回はソロが多かったようで、ホルンセクションはなかなか大変だったということのようです。いやぁ〜ホルンセクションの方には申し訳ないですが、だからこそ和田さんの音楽は重厚で、聴いててゾクゾクするんですよね〜? これはオンエアで使われるのが楽しみですo(^o^)o

そんなこんなの全体録音が終わったあとのダビングになってからは、おっちゃんがフロアで田代さんがブース、おっちゃんが帰ってからは、梯さんがフロアに出てこられて録ったそうです。いちいちセッティングを変えるのは大変でしょうけれど、演奏家さんがいい気持ちで演奏できて、そこから生まれるいい音を録りたいという配慮なのかもしれませんね。このあたりは、以前240番のレポで「スタジオ内における演奏家さんへの配慮」などについて語ってくださった伊豫部さんと、どこか通ずるものがありますよね。今回のエンジニアである山田さんは、アバコに在籍中に何度も伊豫部さんのアシスタントを務めてらしたそうですから、もしかすると、2人の間に目に見えない大事な何かが流れていったのかもしれません。

この追加で録られた音楽ですが、早くも10月の中旬ごろ(12日か19日のオンエア分?)から聴けそうですよ。けっこうギリギリのスケジュールでやってるんですね〜。ちょっとビックリしました。でも、これは私たちにとっては嬉しい限りですよね? とにかく、これからのムシキングは、ストーリーも音楽も目が(耳が?)離せませんよ。子供向け番組ということで、大人にとっては忙しい時間帯ではあるんですが、是非しっかりチェックしててくださいねo(^o^o)(o^o^)o

 

 

285 ドイツのドキュメンタリードラマ(大島ミチル)

2005年9月25日。山手線の田町駅の近くにあるMITというスタジオに、ドイツのドキュメンタリードラマの録音ということで行きました。音楽は、このところますますお仕事がお忙しくなって、そのうえ更にHPでの個レスも再開されて、私個人としては体調や心の休息&栄養補給がちょっと心配な大島ミチルさんです。


いきなりですが、こちらは別のお仕事で鳥取に行ってたマサさんです。

「台風の影響で帰りの飛行機が飛ばないかも!? 13時からのお仕事はどうなる…!?」と、まわりはとてもヤキモキしてたようですが、当のご本人は空港でビール片手に、のんびりと構えてたようですよ(^^;ゞ


この話をしたらおっちゃんは「わはははは! しゃーないやっちゃなあ。今ごろインペク屋はトラを探そうかどうか迷うて、大変なはずやで〜。ほんでも、今日は弦カルか、せいぜいダブカルくらいしか入らんって聞いとるのに、マサが来れんかったらえらいこっちゃなあ。」と、爆笑しながらも、やっぱり心配そうでした。

ところで、もしもトラさんを見つけてスタジオに来てもらったあとに、何とか無事にマサさんが間に合ってスタジオに来れたりしたら、どうするんでしょう? 来てもらったトラさんに対して「あらま、大丈夫だったみたい…ごめんね〜!」みたいなことになるんでしょうか? ふと、そんなことが気になったりして…(^^;ゞ


とにかく、多少の遅れはあったものの無事に飛行機は飛んで、スタジオにもちゃんと開始時刻前に入ってたそうです。

これはマサさんお得意のご当地お土産(今回は‘梨キャラメル’)を皆さんに配ってるところだそうです。自称「食いしん坊」だけあって、美味しそうなものを持ったときの大島さんって、一際いい顔されますよね〜? カーソルを乗せると、大島さんと梨キャラメルがもっと大きく見えますよ♪

はたして、今回のご当地お土産は「あたり」だったんでしょうか、それとも……!?(^-^;)


今回のお仕事は「刀」をテーマにしたドキュメンタリードラマのようなものらしく、ドイツからは、John Wateさんというディレクターさんが来てたそうです(お名前のところに貼ってあるリンク先はJohnさんのサイトですが、時間帯によっては上手く開かないようです)。色んな国の言葉に詳しいおっちゃんは、そのJohnさんの名前を聞いて「どう考えてもドイツ人の名前ではないなあ」と疑問に思ったらしく、その場で聞いてみたんだそうです。すると、やっぱりイギリス系のドイツ人の方なんだとか…。でも、日本語もとても上手で、一緒に来ていた通訳さんは開店休業状態だったみたいです。このJohnさん、何と英語・ドイツ語・中国語・日本語を話されるんだそうですよ。


こちらは、何やら打ち合わせ中の大島さんとJohn Wateさんです。Johnさんのカメラ目線がいいですね♪


この番組は、ヨーロッパとアメリカ向けに作られるんだそうで、残念ながら今のところ日本での放映は予定されてないんだそうです。おっちゃんたちは参加者の特権ってことで、もしかするとDVDで頂けるかも…とのことでしたが、私たちにはやっぱり聴ける機会というのはないのかなあ。大島さんのお話によると、このJohnさんは元々はカメラマンで、そのせいか映像の方も色彩が一味ちがってて、それはそれは美しいんだそうです。そんなことを聞いたら、なおさら見たいし、聴きたいですよね(>_<)ヽ

これは、おっちゃんのブースから見たフロアの様子です。

右端にはマサさんの姿が見えますね♪
カーソルを乗せると、また別の大島さんが見えますよ(*^-^*)

この日の録音は「とりあえず‘ぶっつけ本番’でやって、もし何かあったら録り直すか差し替える」という感じで進んだそうですが、何と半分以上は1発でOKになっちゃったようですよ〜!


こちらは、マサさんとヴィオラの馬淵昌子さん。

マサさんが何かを見せてるようなんですが、何をやってるとこなんでしょうね。レポ編集中にこの写真をマサさんに見せて「何をやっとるところか、覚えとる?」と聞くと「さぁ、何をやっとるんだか…」というお返事が来たんで、真相は謎のままです(^^;ゞ

ところで、この馬淵さんですが、紀尾井シンフォニエッタ東京などで大活躍中のヴィオラ奏者さんなんだそうです。マサさんのお話では、馬淵さんのスケジュールが空いてるときには必ずマサさんのグループに入れてるというくらいの、マサさんお気に入りの方なんですってo(^o^)o


編成は、弦(マサさんのグループ:1111)、篠笛(おっちゃん)、パーカッション(梯郁夫さん)、ディレクター(John Wateさん)、琵琶&指揮(大島ミチルさん)、エンジニア(中越さん)という、こじんまりした感じだったようです。あ、マサさんたち弦カルは、ほぼ1時間で終わっちゃったようなんですが、この日の弦は激しいリズムパターンを刻む…どちらかと言うと、リズム隊の役割に近かったようです。それもまた、聴きどころの1つですよね。あぁ〜返す返すも、日本では聴けないのが残念です(T_T)


こうしてマサさんたちが帰ったあとは、梯さんとおっちゃんで、文字通り「笛と太鼓」という録音となったようです。とは言え、パーカッションだけの曲もあったようなので、その間おっちゃんは休憩してて、いちばん最後にまた笛のパートをやったそうです。

外国に日本を紹介する…という番組の趣旨に合わせて日本的な感じを出したかったんでしょう。おっちゃんのパートは全て篠笛だったんですって。

大島さんは「あすか」や「熱烈的中華飯店」などでもおっちゃんの篠笛を使ってらっしゃいますが、本格的に「和風」として使うのは、「御宿かわせみ」の録音以来でしょうか…?


さすがは大島さん。篠笛の楽譜もちゃんと書いてくれてたそうですが、「雰囲気さえ出れば何でもあり♪」という感じもあったそうで、おっちゃんはかなり「遊んだ」ようですよ。あとで「ありゃ、けっこう自由にやらせてもらえて、なかなかオモロイ仕事やったわあ」なんて楽しそうに言ってました。

大島さんが書いてきてくれてた笛のパートは、大きく分けて「高い笛」と「低い笛」の2つがあったそうです。この「高い笛」の方は、篠笛や能管みたいなものをイメージされてたようで、音域などの関係から、ソプラニーノリコーダーの1つ上の音に相当する、G管の笛でやったんですって。


で、低い方は、↑でお話した笛のちょうど1オクターブ下のG管の笛を使って、尺八のようなムラ息みたいな雰囲気を出して吹いたそうです。写真にカーソルを乗せると、笛の種類が切り替わりますよ♪

中に1曲だけ、ダビングで低い笛と高い笛を重ねたものもあったようで、これがとても面白い効果が出てたそうですo(^o^)o


そうそう、この日の1番のビッグニュースは、何と言っても大島さんが琵琶を弾かれたことじゃないでしょうか。お知り合いから借りてらっしゃるという琵琶を持ってきてらして、「び〜〜〜〜ん」と効果音的に弾いてらしたそうです。大島さんHPの掲示板レスによると、結局その音は使わなかったそうですが、やはりとても珍しいことですよね?

では、その貴重なショットをどうぞ♪

どちらもカーソルを乗せると写真が切り替わりますので、しっかりお楽しみくださいo(^o^)o


どうです? なかなか素敵でしょ〜? 確か、大島さんのおうちには色んな楽器があって、「時間があるときは触ってみてる。いい曲を作るためには、まずは楽器のこともよく知らなきゃね♪」なんてことを、2〜3年前の掲示板レスで読んだような気がするんですが、こうして楽器を持ってこられてるところを見ると、今も色んな楽器に挑戦してらっしゃるようですね(^-^)


最後に、後半戦(マサさんたちが帰ったあとからの録音)に臨んだ皆さんの記念写真をどうぞ♪

こうして、終始アットホームな雰囲気の中で、無事に録音が終わったようです。

今回の音楽は、残念ながら日本にいる私たちの耳には届かないようですが、世界の皆さんが大島さんの音楽やおっちゃんたちの音色に感動を覚えて、もっと日本を身近に感じてくれるようになるといいですね(*^-^*)

 

 

284 深夜アニメ「びんちょうタン」(岩崎 琢)

2005年9月22日。サウンド・インのBスタに行きました。この日は事前に「岩崎さんとのお仕事」というのが分かってたようで、おっちゃんと2人で「岩崎さんって、このまえのモリー・スターレーサー(273番参照)の人よなあ?」「ほうじゃ♪」「へえ、今度は何やろな〜♪」なんて言いながら、おっちゃんはスタジオへ、私はバイト先の中華飯店へ向かいました…って書くと、まるで私も東京にいるようですが、メール or 電話でのやりとりってことですよ(^^ゞ

さて、おっちゃんはいつものように少し早めにスタジオに着いたあと、そのままスタジオに入ってみたら、Bスタのフロアいっぱいに弦のセッティングがしてあったそうです。それを見たおっちゃんは「こりゃまた、例の中2階のブースやろな」なんて思ったら案の定で、フルート、オーボエ、クラリネットの3人が中2階のブースに入ったそうです。このブースに3人が入るって、けっこう珍しいかも…。何か、あのブースでは、いつもおっちゃん1人ですごくリラックスしてる印象がありませんか? でも、この日はそうのほほんとはしてられなかったようですよ〜。まず最初にクラリネットのかなり長いソロを録って、その後は3人でダビング…って感じで録音が進んでいったそうです。

で、この日の木管楽器としては、クラリネットが大活躍だったそうですが、これが演奏する側としては、なかなか大変だったとか…というのも、普通のクラリネットのキーは「B♭」らしくて、そのB♭管だとシャープ系の曲を吹くのは大変なんですって。なのに、この日の曲はシャープ系が多かったらしくて、ブースの中では「A管でやったら良かったのにね」なんて話をしてたそうです。う〜ん…私にはさっぱり事情が分かりませんが、とにかく大変だったみたいです。

おっちゃんの話によると、A管のクラリネットというのは独特の柔らかい音色がして、とても素敵なんだそうです。モーツァルトのコンチェルトの中には、このA管のクラリネットのために書かれた曲もあるんだとか。ただ、ポップス系のアレンジャーさんたちにはあまり馴染みがないらしく、またスタジオミュージシャンさんたちでもいつもこのA管のクラリネットを持ち歩いている人は少ないらしいので、スタジオの世界ではほとんど使われてないんだそうです。おっちゃんは、それをとても残念そうに話してました。そんな素敵な音色の楽器だと聞くと、あまり使われてないのがほんとに惜しいですね。今後そのA管のクラリネットが活躍する機会が増えることを願うばかりです。


こちらはブースの中のモニター越しに見た岩崎さん。

モニター越しってことでお顔がハッキリしないのが残念ですが、これはこれでとても臨場感がありますよね?(^-^)


あらま、言い忘れてましたが、この日のお仕事は、来年の1月から「TBS系BS−i」で始まる予定の「びんちょうタン」というアニメの音楽録りでした。まだ詳しい日時なんかは分からないようですが、どうやら深夜の放送になるみたいですね。「びんちょうタン」という名前の、頭に炭を乗せた女の子が主人公なんだそうです。名前の「びんちょうタン」と頭の上の炭(備長炭?)との関連からか、この女の子はごはんを炊くのが上手なんですって。でも、それ以上の情報は、まだ公式サイトの方でも見られません。一体どんなお話になるんでしょうね…と言っても、BSだと、ましてや「BS−i」なんていうチャンネルだと、我が家どころか、私の周りの友達の誰も見ることができませ〜ん(>_<)ヽ

こちらはおっちゃんですね。

相変わらず、ちょーリラックスムードで吹いてます(^-^;)

あら…この日はここに3人いるはずですよね?他の方がいらしても、やっぱりいつもと変わらないリラックス度のおっちゃんです(^^;ゞ


…ってなことで、話はまた録音時に戻りますが、この日は、木管のハーモニーにもちょっと特徴があったそうです。というのも、木管のアンサンブルっていうのは、普通はフルートが1番上に来て、オーボエ、クラリネット、ファゴットという風に重ねることが多いんだそうですが…なんて言われても、なかなか一般の私たちには分かりにくいですよね?

おっちゃんからの原稿にはこんな風に書かれてたんですが、ちょっと突っ込んで聞いてみました。すると、要は合唱で言うと、木管アンサンブルのほとんどの場合は、ソプラノパートをフルートがやって、アルトパートをオーボエがやって、テナーパートをクラリネットが…ってことになるんだそうです。でも、この日はオーボエが1番上…つまりソプラノに来て、フルートがアルトっぽい位置、クラリネットがベースのような役割を…という重ね方をしたところが何ヶ所か出てきたらしくて、これがなかなか良い音がしてたんですって。おっちゃんによると、フルートが上にくると音域によっては音が通りづらいことがあって、オーボエがメインでフルートが内声に回った方が良い結果が出ることが、けっこうあるんだそうです。岩崎さん、そのあたりをち〜ゃんと心得てらっしゃるようですね♪

こんな感じで2時間がすぎたころに、弦の方たちが入ってきて、また録音となったわけですが、音楽全体の感じとしては、こうしたアニメの音楽によくあるようなリズム隊をベースにした感じとは全く違って、どちらかというと、近代のクラシック音楽を思わせるようなメロディやハーモニーを駆使しながら、岩崎さん独自の世界を作り上げてるって感じがしたそうです。こんなこと聞いたら、いよいよ聴けないことが悔しくなりますよね…何でBSなんでしょう(T_T)

あ、この日は、録音→差し替え→プレイバックを聴く…なんてペースでやってたみたいなので、2時間拘束のところが、30分ほど押してしまったそうです。でも、そうしたあたりにも、岩崎さんやエンジニアさんの音へのこだわりが見えてきます。

編成は、弦(竹内純さんのグループ:64422)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(元木さん)、アコースティックギター&ウクレレ&マンドリン他(田代耕一郎さん)、オンド・マルトノ(原田 節さん)、シンセ&指揮(岩崎琢さん)、エンジニア(吉田俊之さん)という感じで、弦の割り振り(64422という数)に、おっちゃんはちょっと工夫があったように感じたそうです。また、田代さんが奏でる色んな楽器の音やオンド・マルトノという珍しい楽器が入ってるのも、大事な聴きどころの1つですね。

2006年1月以降、もし見られた方がいらっしゃいましたら、ぜひ感想などを寄せてください。…あ、そのうちにレンタルビデオとかになるでしょうか。とにかくオンエアをお楽しみにo(^o^)o

…と、ここまではレポのアップ時に書いてたんですが、その後の岩崎さんからの情報を元に調べてみると、関東ではTBSで2006年2月2日の深夜1時55分から、関西ではMBSで春ごろからオンエアされるそうです。どうぞお楽しみにo(^^o)(o^^)o

 

 

283 NHK教育「英語であそぼ」

2005年9月19日。サウンドシティのAスタに行きました。この日の仕事は、赤坂東児さんのアレンジで、クリスマスソングの名曲中の名曲「ホワイトクリスマス」を録ったそうです。薄謝協会の教育テレビに「えいごであそぼ」という番組がありますが、その関係の録音じゃないかな…とのことでした。歌はエリックさん(…って名前だったような?)。いつもギター片手に楽しく歌ってる、あの方ですね。おっちゃんは「あの人、日本語もペラペラやけど、英語はさすがに上手いわあ」ですって。おっちゃん…当たり前です(-_-;)
 
編成は、弦(小池弘之さんのグループ:6422)、フルート(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(庄司知史さん)、ドラムス(伊藤史朗さん)、ベース(渡辺直樹さん)、ピアノ(エルトン永田さん)、ギター(伊丹雅博さん)、指揮(赤坂東児さん)だったそうです。

で、楽器の配置としては、弦とエレキベースがフロアで、他の楽器はそれぞれのブースにって感じだったようですが、こう聞くと「え? エレキベースと弦が同じフロア?」って思うでしょ? エレキベースは直録り(楽器と録音マイクを直接コードでつなぐってことかな?)で音が出ないので、弦と同じフロアでも回り込みの心配なんかは全くないんですって。よかった、よかった(^^ゞ

あ、この「ホワイトクリスマス」の楽譜は2種類あって、最初にCのキーで録ったあと、今度はDのキーでも録ったそうです。でも、単に移調しただけで、内容は全く同じだったとか…。CとDってことは、たった1音の違いですよね? Cでは低すぎるから…ってので3度とか5度とか上げるのなら分かるけど、いったい何の意味があるんでしょう。そのあたりも、オンエアで明らかになるかな?曲のタイトルからして、今年のクリスマスごろから番組内で聴けるのではないかと思います。ぜひ、教育テレビをチェックしてみてくださいね♪

 

 

282 伊勢名物「赤福」CM

2005年9月14日。279番のレポで行ったロドリゲスの近くの、プラネット・キングダムというスタジオに行きました。昔あった「東京スタジオセンター」の向かい側の一筋裏…みたいなところで、おっちゃんは初めてだったそうですが、けっこう分かりやすかったとか…。スタジオ自体は3階建てのビルの地下にあるそうですが、弦カルくらいなら録れそうな広さの、きれいなスタジオだったみたいです。

さて、この日の仕事は、あの伊勢の名物「赤福」のCMでした。赤福といえば、昔は東海道線では名古屋駅でしか売ってなかったそうで、おっちゃんには「京都に行く途中、名古屋駅で止まった瞬間に、慌てて買いに走っとった」なんて思い出があるそうですが、最近はあちこちで見かけるようになりましたよね?ありがたいことです。今もよく京都に行くおっちゃんも「便利になったわ♪」と嬉しそうでした。「赤福」って、ほんとに美味しいんですよね〜。たまにお土産で1番大きい箱の分をもらっても、ほんとにアッという間になくなって、しかも私の口にはほとんど入らないってくらい(泣)、うちの子供たちも大好きです(*^-^*)
 
この「赤福」のCMですが、中部・東海地方では前々から流れてたそうです。ま、地元ですもんね? でも、やっぱり今回のものも、関東地方では流れないとか…。そういや、こちら四国では「伊勢〜の名物〜赤福餅はええじゃないか♪」っていう音頭風のCMは流れてたりするんですが、あれはもう映像的にはかなり時代を感じるようなCMだったりします。私はそれしか見たことがないので、今もずっと昔のを使ってるのかと思ってましたが、けっこうマメに録りなおしてるようですね。

今回の音楽は、前半はゆったりとしたマイナーで小唄風のメロディ、後半はちょっとテンポが上がって、キーもメジャーになって音頭風…という面白いものだったそうです(あとでおっちゃんに聞くと、その後半の‘音頭風’ってところが、先に書いた‘赤福餅はええじゃないか♪’っていう部分みたいですね)。アレンジは「みやうちさん」という女性だったようですが、メロディ自体は、何と赤福の社長さんが考えられた音楽なんだそうです。そんなこともあって、この日は社長さんが直々にスタジオに来られる…ということで、何となく緊張がみなぎっているような感じがしたそうです。でへ、おっちゃんも少しは「会社員」の気分が味わえたかな?それとも、周りの緊張を横目に「ほほほ、会社員ってのはこんなもんかあ」なんて、その場の空気を楽しんでたりして!?…おっちゃんならありえるかも(^^ゞ

お仕事自体は、打ち込みのバックに笛をダビングするだけなので、約30分で「60秒」と「30秒」の2種類を録り終えたそうですが、そのあと監督さんと社長さんを「待ち」状態になったそうです。その社長さんがいらっしゃったのが、ちょうど終了予定時刻で、それから聴いてもらって、ちょこっと直しもあったりして、結局30分くらいの押しになってしまったそうです。ま、279番レポのようなときもあるし、この日のようなこともあるし、いろいろですな♪

赤福の社長・浜田益嗣さんは、大柄で、と〜っても温厚な紳士…という素敵な感じの方だったそうです。で、現場では「近々、息子に社長の椅子を譲ることになっていて…」なんておっしゃってたそうですが、リンク先の「赤福」のHPの「最新情報」のところを見ると、2005年10月1日をもって、社長を交代されたようですね。新しい社長さん、このおっちゃんの笛の音とともに、がんばってほしいと思いますo(^o^)o

 

 

281 「鳥羽一郎の朗読CD」(宇崎竜童)

2005年9月14日。クラウンの1スタに行きました。このスタジオは駐車場が2ヶ所あるんだそうですが、どちらもスタジオからちょっと離れてて、楽器の多いときなんかはけっこう大変なようです。まあ、この日はそんなに荷物がなかったそうですが、それにしても先に行った方の駐車場がハイルーフ分は満車だとか何とかで、もう1つの方に移動して…なんて感じで、車を停めるまでに時間がかかったとか。

何はともあれ、無事に駐車してスタジオに向かって歩きかけたんですが、今度は楽器のことが気になってきたとか…。で、インペク屋さんに電話してみたら、この日は篠笛を使う予定だと言われて、また駐車場にまで取りに戻ったようです。一応、いつも持ち歩いている最低限の楽器の中にも篠笛は入ってるみたいなので大丈夫かな…とは思ったそうですが、でもやっぱり、もしものことを考えて、取りに行ったんですって。とにかく、始まるまでが大変な(?)1日だったようです(^^ゞ

さて、ようやくお仕事の話ですが、今回のは、戦死した特攻隊員が残した遺書を歌手の鳥羽一郎さんが朗読される…というアルバムのBGMなんだそうです。音楽は宇崎竜童さん。そういや、前に高倉健さんの朗読CDの録音レポを書きましたが(143番参照)、そんな感じのものなんでしょうか…。何せ、その高倉健さんのは非売品CDらしいので(学校や施設には配布したみたい)、どんなものだか想像もつかないし、今回のとも比べようがないんですけどね(^^ゞ

とにかく、今回の音楽は、何と篠笛のアカペラだったそうです。楽譜は2曲あって、どちらも五線紙1ページ分くらい…時間にすれば1分ちょっとくらいの曲だったようです。ゆったりしたメロディで、音域もちょうど良かったらしいので、3回ほど思うままに吹いたそうです。そのあと、ちょこっとだけやり直したいところを差し替えたりしたそうですが、正味30分くらいで終わってしまったとか…。お国のためとは言え、死を覚悟した人たちの、深くて重苦しくて無念で、そして恐怖に満ちた胸のうちを綴った手紙を、おっちゃんの篠笛がどんな風に包み込むんでしょう…気になるところです。
 
2005年9月15日。前日の続きで、同じくクラウンの1スタに行きました。この日は、ギターの高島政晴さんとフルートとのデュオだったそうですが、たった1人でのアカペラに比べると、ギターのバックアップがあるだけで、随分と気持ち的にラクになるんだそうです(そりゃまあ、そうかも…(^^ゞ)。もちろん、ずっと吹きっぱなしというのではなく、少しは休めるところもあるでしょうから、そういった意味の「ラク」も、あるのかもしれませんね。

あ、この日に録った分には、ギターはダビングで重ねる部分もあったみたいので、そのあたりだけはクリックを使ったそうです。こう聞くと、あとの部分はクリックなしだったってことですよね? おっちゃんが、宇崎さんのたった1本の旋律にこめた思いを汲んで、宇崎さんと心を重ねて吹いた曲、それと特攻隊員の方の思いも重なって1つになって、きっと素晴らしい作品に仕上がってるんでしょうね。


こうして無事に全ての録音のあとで、クラウンのエンジニアさんに、宇崎さんとの2ショットを撮っていただきました。

シャッターを押してもらうときに、そのエンジニアさんに「これも、例のレポートに使うんですか?」なんて聞かれちゃったとか…。わはは! 私の知らないところでは「例のレポート…」なんて言われ方してるんでしょうか?(^^ゞ

それに、そんな言い方をされるってことは、その方も覗いてくださってるってことですよね? 嬉しいやら恥ずかしいやら…(^-^;)


レポートを読んでくださってる方からの情報によると、この作品は「平和への伝言(仮タイトル)」というCDで12月8日に発売される予定になってるんだそうです。非売品・関係施設のみへの配布なんて形じゃなくて、本当によかったですね〜。どうぞ、リリースを楽しみにしててくださいね♪

 

 

280 「リーンの翼」(樋口康雄)

2005年9月11日。おっちゃんとしては久々の樋口康雄さんとのお仕事で、ビクターの301スタに行きました。事前に「とにかく、すごい大編成だから…」ということだけ聞いてたようなんですが、何と富野由悠季さん原作の「リーンの翼」というアニメの劇伴録音でした。富野さんと言えば、日本のアニメ史上で「好きなアニメは?」とか「思い出に残るアニメは?」と聞かれると必ず5本の指に入る「機動戦士ガンダム」の監督を務められた方ですよね。あとで詳しい編成をご紹介しますが、樋口さんの音楽で、ここ最近では珍しいくらいの大編成のオケを使うということからも、かなり力の入ったアニメなんだということが伺えます。で、ちょっとネットで調べてみたら、どうもネット上で配信される映画のようなんです(合ってるかな?)。これからは映画も自宅のパソコンで観る時代になるという話はチラホラ聞こえてきてましたが、その先駆けとなるような作品なのかもしれませんね。

さて、この作品の録音ですが、実はこの日が2回目の録音だったんです。おっちゃんは2回目のみの参加なのですが、スタジオのあちこちから「いや〜あれは大変だった〜!」という声が聞こえてくるくらい、1回目の録音はほんとに大変なものだったんですって。それを聞いたおっちゃんは「楽譜も難しかったんやろし、編成が大きいことで出てくるトラブルってのもあったんやろしなあ…」と、色々とそのときの状況を思い浮かべてたそうです。あ、中には「あのマサさんグループでも半分くらい録り残すほどの難しさだったんだよ」という声もありました。こう聞くと「えっ? あのマサさんでもそんなに録り残すって一体…!?」って思う方もいるでしょ? で、ちょっとマサさんに事情を聞いてみました(^^;ゞ

すると、「もともと樋口さんの音楽は難しいので有名なんだけど、自分では1時間に6曲くらい録れるつもりでいたんだよ。でも、インペクが僕の飲み仲間の太田さんだったから、もう最初から‘録れるとこまで録って、あとは後日…’って割り切ってやってたんだ」ってことだそうです。もう少し詳しく説明すると…この太田さんというインペク屋さんは制作会社もやってらっしゃる方だそうで、しかも今回のお仕事は、その会社のものだったんですって。ほかのインペク屋さんだったら「今日中に終わらなかったらどうしよう…」とハラハラドキドキになるところなんでしょうけれど、そこの会社のお仕事だったら「まあ、今日でダメならまた次が…」みたいなことも‘あり’みたいなので、気持ちに余裕を持って録音に臨んだってことのようです。とはいえ、やっぱり樋口さんの音楽はとても難しかったみたいですけどね。

で、この日は、そんな感じで終えた1回目の録音で録りきれなかった分と、一部「録り直し」ということで、録音が始まったようです。やっぱり今回も、楽譜を見た瞬間に「あちゃ〜」と思うくらい難しかったとか…。でも、その樋口さんの音楽についてですが、ただ単に、楽器の音域や性能も考えずに書いたムチャクチャな難しさではなく、何ていうか…「arrange」ではなく「compose」という表現がぴったりの、緻密に構成された音楽なんだそうです。

つまり、劇伴の音楽っていうと、どちらかと言えば何かメインになるメロディがあって、それをオケ用にアレンジしたり、色んな楽器でやったりするテーマバリエーションってのが多いかと思うんですが、樋口さんのはまるで独立した音楽作品のような…う〜ん、うまく言えませんが、1曲1曲が1つの純音楽作品として完成してるようなものなんだそうです。だから、そう簡単には先が読めない(楽譜の奥にあるものが見えにくい・音の動き方が想像つきにくい等)、各パートが綿密に組み立てられていて、それぞれに重要な役割が与えられているから、こんな大編成でもいい加減なごまかしができない…などという、本当の意味での難しさというのがあるんだそうです。だからこそ、おっちゃんたちも難しくて「ぐえぇ〜!」とか言いながらも「絶対にモノにしてやる!」みたいな意気込みが生まれてくるんでしょうね。この、作曲家と演奏家の間にある目に見えない何かを想像するだけで、胸が熱くなってくるような気がしませんか?

でへへ、ちょっと難しい話になってしまいましたね。では、話を変えて…録音の合間におっちゃんが副調に足を運ぶと、そこにちょっと年配の方がいらっしゃって、何やらスケッチのようなものを描いてらしたそうです。樋口さんが「監督さんですよ」と紹介してくださったので「へえ〜」と思いながら眺めてると、その方が「絵コンテをやってるんですよ。いい音楽を聴きながらやると、ノリがよくなるんでね〜」なんておっしゃってたそうです。…って、おっちゃん。その方が富野さんですよ〜っ! ところで、何の絵コンテを描いてらしたんでしょう? まさか、この録音の最中に「リーンの翼」の絵コンテを描いてるなんてことはないでしょうし…次の作品かな?

編成は、弦(マサさんのグループ:10・8・6・4・4)、フルート&ピッコロ(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ&イングリッシュホルン(石橋雅一さん・長谷川洋介さん)、クラリネット&バスクラリネット(十亀正司さん・大友幸太郎さん)、ファゴット(坪井隆明さん・塚原里江さん)、ハープ(?:♀)、トランペット(菅坂雅彦さん他2名)、トロンボーン(松本 治さん・山城純子さん他1名)、チューバ(佐藤潔さん)、ホルン(南浩之さん・伊勢久視さん他2名)、パーカッション(高田みどりさん他1名)、ピアノ(?:♀)、指揮(樋口康雄さん:おっちゃんの原稿には‘ピコ’と書かれてました)、エンジニア(吉田さん)という、ほんとに大きな編成で、真ん中のフロアに弦と木管が、それ以外の…ブラス、ホルン、ピアノ、ハープ、パーカッションは、それぞれのブースに配置されてたそうです。

ところで、この録音にも、274番のレポで登場した東京交響楽団の大谷康子さんが来てらしたようなんですが、今回は「先に抜けるマサさんの代わりに…」ということではなく、実はこんな恐ろしい(?)裏話が…。何でも、同じ東響の団員で、マサさんのグループのメンバーでもある田尻 順さんが、「いつも楽しくてラクな仕事ばっかりしてると思われたくないから、ラクじゃない仕事をやらせてやって〜!」なんてマサさんに言ってきたらしいんです。そこで、常に皆の和が保てるよう気配りしながらリードしていく立場にあるマサさんは「こら、タジタジ。そんなイジワルを言うもんぢゃない!」って言うのかと思ったら、「んじゃ、樋口さんの仕事を…」なんて、あっさりと大谷さんに声をかけたそうです。怪しげなご当地お土産が配られたり、昼夜を問わずに「マサちゃんオリジナル謎なぞ」やダジャレがメールで届いたり、今回のような裏があったり…マサさんグループ、ある意味でほんとに恐いです(^◇^;)


そうそう、休憩の時に「あ、あさひさん!」という声が聞こえて振り向くと、おっちゃんちやうちと相互リンクさせていただいてるクラリネットの大友幸太郎さんがいらっしゃったそうです。もしかすると、今までも知らない間に同じスタジオに居合わせて言葉を交わしてたことがあったのかもしれませんが、こうしてお互いを認識してお話したのは、この日が初めてだったんですって。

あまりゆっくりお話する時間はなかったそうですが、名刺を交換したり、写真も撮らせていただいたそうですよ。大友さんのHPでお見かけしたとおりの、とても素敵な青年だったそうです(*^-^*)


この日の拘束時間は4時間と、アニメの録音…それも録り直しにしてはちょっと長めだったようですが、そんな大編成のわりには進行状態はとてもスムーズで、30分以上も早めに終わったそうです。皆さん、ほんとにお疲れさまでした<(_ _)>

この映画、とりあえず10月26日に公式サイトが本格的にオープンしたあと、12月16日から1話525円でネット配信されるようです。新しい時代の幕開けにふさわしい、すごいスケールの映画のようですので、どうぞPC環境を整えて、楽しみにしててくださいねo(^o^)o

 

追記:こちらでその本編の一部を見ていただけます。樋口さんの音楽、ほんと素敵ですよ☆彡

 

 

279 中国笛のダビング

2005年9月10日。乃木坂の近く.…というか、乃木神社の向かいにある「ロドリゲス」というスタジオに行きました。おっちゃんは初めて行くところだったそうですが、第2乃木坂ビルという立派なビルの地下にあるプライベートスタジオで、どうやら菅野よう子さんの事務所のスタジオだということでした。さすがは、個人ではなく会社のプライベートスタジオということで(?)、2〜3人なら入れそうなブースがあって、なかなか素敵なスタジオだったようですよ。
 
さて、この日仕事は事前に「中国笛」とのオーダーが入ってて、しかも、先にMDで音源を送ってくれてたりしたそうで、何日も前からしっかりと曲のイメージがつかめてたそうです。今まで「初見で1発録り〜!」みたいなお話をよく聞いてたので、こういうのはとても珍しい感じがしますよね。で、いつもにまして余裕綽々でスタジオ入りすると、時間前にも関わらず「もう出来ますよ〜♪」とのこと。ほなまあ…と、仕事にかかりかけたものの、そこで驚くべき一言が…! 何と「譜面がないんです」ですって。何でも、アレンジャーさんが打ち込み専門の方らしくて、あんまり譜面が得意じゃないんだとか…。最近は便利ですごい機械がいっぱいあるみたいだから、譜面が書けなくても作曲家さんとしてやっていけるのかもしれませんね。そうか、それで先に音源を送ってきてたのかも?

そんなわけで、まずは五線紙をもらって、譜面の書き取りをすることから始まりました。資料の音源を聴かせてもらうと、実際にやるのは8小節くらいしかなかったようなので、何回か聴いたらコピーはできちゃったそうです。いやはや、それもすごい話ですよね(^^ゞ

そうして出来あがった譜面を見ると、音域はどちらかというと低めだったので、G管の改造明笛を使うことにしたそうです。この笛、ずっと前に六本木の「大中」という中国物産店で500円そこそこで買ったもので、それをおっちゃんがリコーダー式の指に改造したものなんです。詳しくは、おっちゃんちの笛のページの「明笛」のところを見てみてくださいね。どんな音色かと言うと…いま最も分かりやすいたとえといえば、やっぱり「女子十二楽坊」の中で使われてる横笛でしょうか。ちょっと日本の篠笛とは音色が違うでしょ?あんな感じです。
 
その笛を使って、「もう少しアクセントを…」とか「もっとくずした感じで…」などの注文を聞きながら、3〜4回やったら、OKになっちゃったそうです。おっちゃんは、テンポ違い・キー違いなんかの別バージョンもあるのかと思ったら、結局それだけだったみたいですね。実働時間は正味10分くらいだったもんで、おっちゃんは「何や、これで2時間分のギャラをもらうってのは申し訳ない気もするけど、ここまでの色々な手間を考えたら、まあええ…かな?」なんて言ってました。

残念ながら、番組名も作曲家さんの名前も聞き忘れたとのことで、このときの音色がいつどこで聴けるのか分からずじまいですが、こうした仕事もあるんだよ…っていう、今回のレポでした(^.^)/~~~

 

 

278 氷川きよし「キャラバン」(宮崎慎二)

2005年9月9日。サウンド・インのAスタに行きました。演歌系のインペク屋さんから入ったお仕事だったので、すっかり演歌のつもりで行ったおっちゃん。地下の駐車場にイマジンのワゴン車があるのを見て、「あれ? 今日は何の仕事だっけ…」と思いながらスタジオの中に入っていくと、そこには宮崎慎二さんが…! 実は、オーダーが入った時点でちゃんと「宮崎さん」というお名前も聞いてたみたいなのですが、そのオーダーがあまりにも前だったので、すっかり忘れてしまってたんだそうです。やれやれ…(^^ゞ
 
さて、この日は「キャラバン」というタイトルの、氷川きよしさんの新曲だったようです。このところ、おっちゃんは何度か氷川さんの録音に参加させてもらってるようですが(そのほとんどをレポできてなくてゴメンなさい(>_<)ヽ)、どうもそのたびにアレンジャーさんが違うような…これって、ごく普通のことなのかしらん?何となく、1人のアーティストに対して、だいたい決まったアレンジャーさんがつく(?)ように思ってたので、ちょっと不思議な感じがした私です。
 
とにかく、今回の宮崎さんの アレンジは、エキゾチックな雰囲気がいっぱいだったそうですよ。何がどうエキゾチックなんだって? はい…ここからは私にはよく分からないので、おっちゃんが喋ったまんまを書きますね(^^ゞ 「アラビア風の音階っていうか、増2度…Bフラット→C#みたいなんを含んだパターンとか、平行4度(5度?)がいっぱい出てきて、なかなか面白かったわ♪」だそうです。どうぞ分かる方だけ「ほうほう〜♪」って言ってくださいね。で、私と同じような方は、ぜひ聴いて味わいましょう。CDのリリースはいつかな〜?

そうそう、この音階のほかに、演歌には滅多に使われないホルンが編成に入ったり、リズム隊のメンバーも、いつもの演歌のときとはかなり違う顔ぶれだったようで、ここからしても氷川さんの新しい世界が開けていきそうな気がしますよね。あ、おっちゃんのパートはフルートとピッコロで、けっこう持ち替えが忙しくて大変だったようです。でも、おっちゃんの音色からは、そんな大変さが微塵も感じられないんでしょうね。このあたりも楽しみなところです♪


これは、副調室でプレイバックを聴いてる最中の宮崎さんで、宮崎さんの奥にいらっしゃるのが、エンジニアの後藤さんという方だそうです。

全ての神経を耳に集中してるってのがよく伝わってくるような写真ですね(^-^)


編成は、ドラムス(伊藤史朗さん)、ベース(ミッチー長岡さん)、ピアノ(中西さん)、ギター(三畑貞二さん・谷さん)、ラテンパーカッション(菅原裕紀さん)、ブズーキ&マンドリン(和智秀樹さん:ダビング)、シンセ(イマジンの丸尾 稔さん)、フルート&ピッコロ(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、ホルン(藤田乙比古さん)、弦(佐藤のゆりさんのグループ:64421)でした。

この「キャラバン」という曲に関してはまだ何の情報のないんですが、何か分かり次第にお知らせしますね。皆さんも、何か情報をキャッチされましたら、ぜひお知らせくださいo(^o^)o

 

 

277 JR東海のCM(周防義和)

2005年9月6日。音響ハウスの2スタに行きました。おっちゃんは、ちょうど2日前にもこの音響ハウスに来ていたのですが(1つ前のレポ参照)、あのときは8階の1スタで、この日は5階にある2スタだったそうです。このスタジオにはちゃんと駐車場があるにはあるそうなんですが、あの機械でクルクルと観覧車のように回るタイプのために、かなり車の種類が限られてしまうようです。おっちゃんの車なんか、もともとがジムニーという背の高い車なのに、そのうえ更に、屋根の上には無線用のアンテナが立ってたりするので、絶対にこうした駐車場には置けないわけですね。で、いつも徒歩5分くらいのところにある、別の駐車場に停めるんですって。

そうした事情の中、この日は「フルートとピッコロの他に、ケーナやオカリナも持ってきて〜♪」というオーダーだったのと、ちょうど台風14号が接近してたこともあって、強い雨が降る中をいつもより多い荷物を持って、傘をさしての移動となったそうです。あらあら大変…でも、いつぞやのレポに書きましたが、これがギターを何本も持ってくる人や、もっと大きな楽器の人は、いよいよ大変ですよね〜。ほんと、どうするんでしょ…?

さて、雑談が長くなってしまいましたが、ようやく本題です。この日のお仕事はJR東海のCMで、音楽は周防義和さん。JR東海のCMというと、このレポ編集時では「マイ フェイバリット シングス」をアレンジしたものが流れているように思いますが、どうやらその新作だったみたいです。で、おっちゃんの印象では、このJRのCMシリーズは京都の映像が多いようなんですが、今回もまた「京都・秘・善峯寺」というタイトルがついてたそうです。それを見たおっちゃんは「善峯寺って知らんのやけど、どの辺りにあるんかなあ…」なんて言ってました。そんなことは私に聞かれても分かりまへん(^^ゞ どうぞ「善峯寺」という字のリンク先を見てくださいね。とても立派なHPがあります。京都の西の方…ほとんど大阪のあたりにあるお寺みたいですよ。

今回の音楽を担当された周防さんとおっちゃんとは、この日が初めてのお仕事だったのではないか…とのことでしたが、周防さんは映画音楽をはじめとする様々な分野で、演奏家としても作曲家としても活躍してらっしゃる方のようです。で、この録音の前に、楽器のことでちょっと電話でお話しする機会があったそうなんですが、その電話の局番がおっちゃんの別荘がある軽井沢と同じだったので、「あれ〜?」と思って聞いてみたら、信濃追分にお家があるんですって。いやはや、意外なところにつながり(?)があるもんですね〜。

…と書いてたら、周防さんの方から「この録音の前にも、何度か旭さんと仕事をしたことがあるよ」との連絡をいただきました。もう、おっちゃんってば、忘れたあかんよ〜!(;^_^A

この電話の内容ですが、今回の録音でおっちゃんが吹く予定の曲は、途中でキーが変わるらしいんです。で、お電話の段階では「楽器を持ち替えて別録りにしようか…」ということになってたようなので、おっちゃんは「とりあえずはC管のケーナでやっておいて、転調した部分をあとでやろっかな〜?」なんて色々と考えてたようです。でも、いざ現場でやってみると、とりあえず通しで吹いたものが、そのまま採用になってしまったそうです。別録りの話は一体どこへやら…これは、おっちゃんお手製の「リコーダー式ケーナ」だからこそ、成せる業なんですよね(*^-^*)

そうそう、この曲は途中でピッコロになる部分もあって、それはちゃんと別録りにしたそうです。おまけに、ダビングで重ねたりもしたそうなんですが、どうもケーナとほとんど同じ音域だったみたいなので「ぼ〜っと聴いたんでは、楽器が変わったんが分からんかもしれんなあ」とのことでした。もともとCMってのはアッという間のもので、イントロに気付いたころには終わっちゃうってことも多いですよね。はたして、ちゃんと聴き分けできるかな〜? とにかく、この1曲には最初から最後までおっちゃんの笛が入ってるらしくて、特に前半はケーナがかなり目立つみたいなので、オンエアが楽しみですね〜♪ ただ、このJR東海のCMって、日本全国でオンエアされるのかしらん。そこだけがちょっと不安…。

編成は、弦(桑野さんのグループ)、ピッコロ&ケーナ(おっちゃん)、ホルン(2)、パーカッション(三沢 泉さん)、ピアノ(エルトン永田さん)、チャランゴ(松宮幹彦さん)でした。この日の松宮さんのチャランゴは、リズムを刻むのではなくて、単旋律でオブリガートみたいな感じだったそうです。これも聴きどころの1つですね♪

レポ作成&アップ時には「いつからオンエアかな〜?」なんて言ってたこのCM、どうやらすでにオンエアされているようです。多分、10月から使われてるんじゃないかと…見た人の情報によると、ほんとにきれいな映像のCMだそうです。どうぞ、しっかりテレビをチェックしててくださいねo(^o^)o

 

追記:そのCMですが、多分↓これだと思います。音楽とともに映像もほんとに素晴らしいんで、ぜひ見てみてくださいね♪

 

 

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