おっちゃんの仕事場探検

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劇伴(映画・ドラマ・アニメなどのBGM)がどんなところで、どんな風に作られているのかを、おっちゃんから聞いたお話を中心にレポートしていきます。レポートの番号が進むにつれてだんだんと内容が濃くなり、ときには作曲家さんやエンジニアさんからいただいたコメントも出てきます。

ただし、これらは録音時の記録が主になっているので、実際にオンエアまたはリリースされたときにはタイトルが変わってる…なんてことも稀にあります。また、私の音楽の知識やパソコン技術の問題などによりお見苦しい点も多いかと思いますが、あたたかい目で読んでいただけると嬉しいです(*^^*)

こことは別の「スペシャルレポート」「オフラインレポート」などのページでも作曲家さんやエンジニアさんのお仕事ぶりやオフのときの様子をご紹介していますので、合わせてご覧下さい。

最後に…どうぞレポートをご覧になってのご意見・ご感想などを、ゲストブックやメール・ウェブ拍手などを通じてお聞かせください。今後の参考に、そして励みにさせていただきたいと思います。よろしくお願いしますm(__)m

 

 

 

 

505 映画「空へ 〜救いの翼 RESCUE WINGS〜」(和田 薫)

2008年10月16日。和田薫さんとのお仕事で、Avacoスタジオに行きました。今回は拘束時間が5時間ということなので、映画か新作アニメの録音かな…というところまでは何となく想像がつきますよね。そこへ来て、音楽は和田薫さんです。おっちゃんは「こりゃ、民族楽器のオンパレードだったりして…」と思って、インペク屋さんに「何を持っていったらいい?」と尋ねると、意外にも「フルートとピッコロだけで大丈夫」とのお返事が…珍しいこともあるもんだと思いながらスタジオ入りした、おっちゃんなのでした。

さて、その内容ですが、12月13日から公開される映画「空へ 〜救いの翼 RESCUE WINGS〜」の音楽録りです。公式サイトのトップページやYoutubeにアップされてる予告編を見て分かるように航空自衛隊のレスキュー部隊の活動を描いたものなんですが、これがまたほんっとにかっこいいんですよ〜!

とにかく、自衛隊がテーマということなので、民族楽器を使わないのも納得ですよね。和田さんの民族楽器の使い方はいつもとても魅力的で驚かされるので、それが聴けないのはちょっと残念かなあ…なんて思ってたんですが、今回は違ったところで和田さんのすごさを見せ付けられることとなるんです。

今回の5時間という録音時間の間に一体どれくらいの音楽が録られるか、皆さんは想像できるでしょうか…何と、47曲も録ったんですって〜。実をいうと私もどれくらいが相場なのか分かりませんが、色んな方のお話から勝手に想像するに、50曲近くとなるとやっぱり7〜8時間は必要なんじゃないかと思いますねえ。

しかも、スタジオはアバコ。このアバコスタジオについては、いつだったかレポの中でエンジニアの伊豫部富治さんが「広い体育館のようなスタジオで、色んなセクションが1つのフロアに入って一緒に演奏できる数少ないスタジオ」って教えてくれてましたが、覚えてますか〜? つまり、音の回り込み(スタジオ用語辞典参照)による臨場感たっぷりのサウンドが録れるという利点があるんですが、その代わりに誰かが間違ったら最初から全体でやり直しになるという、ある意味とても恐ろしく、ミュージシャンの皆さんは緊張するスタジオでもあるんですよね(^^ゞ

この日もブラスとハープだけブースで、それ以外の皆さんはフロアだったみたいですが、そこで5時間で47曲って…和田さ〜んっ!(@_@;)

しかも、その47曲のほとんどはマーチ系・アクション系・ピンチ系…と、どれも演奏する側にとっては大変な曲ばかり。おっちゃんのピッコロもけたたましく鳴り響くフレーズが多かったようですが、それだけ大迫力の音楽ばかりってことですよねo(^-^)o

あ、ちょっと前にブログのこちらに同じく和田さんが音楽を手がけられた「キャシャーン Sins」について少し書きましたが、あの「キャシャーン Sins」は全体的に静かで、それでいて1つの楽器をメインにしてその音色の魅力を存分に楽しませるって感じの音楽が多いように思うんですが、今度のは全く違うカラーみたいです。ほんと、和田さんの引き出しの多さにも驚かされますね〜☆・:.,;*


写真は録音とは関係ないんですが、ときどき作曲家さんたちから「いつ寝てるの?」「どうやって編集してるの?」という質問をいただくので、そのお答えとして。。。

たとえば、長女のピアノの待ち時間に次女と近くのショッピングセンターの片隅でこんな感じでやってます。次女が学校の宿題してる間に、私は作曲家さん&演奏家さんからいただいたメールやおっちゃんからの原稿を携帯で見ながら紙と鉛筆でまとめていって、夜中に家のPCで打ち直すんです(^.^)b

で、この日は音楽の教科書があったんでちょっと覗いてみると…あ、写真にマウスを乗せてみてください。何と、あの名曲「翼をください」の編曲を横山菁児さんがされてました。皆さん、色んなお仕事されてるんだなあと驚いた瞬間であり、得意の余談でした(^^ゞ


話をレポに戻して…ではここで、そんな大迫力なサウンドを繰り広げた素晴らしい演奏家の皆さんをご紹介しましょう。弦(小池弘之さんのグループ:86442)、フルート&ピッコロ(おっちゃん)、オーボエ&コールアングレ(庄司知史さん)、クラリネット(星野正さん)、ファゴット(前田正志さん)、ハープ(斉藤 葉さん)、トランペット(大倉滋夫さん・久保義一さん・櫻井美穂子さん)、トロンボーン(奥村 晃さん・玉木 優さん・篠崎卓美さん)、チューバ(次田心平さん)、ホルン(山岸さん他2名)、パーカッション(高田みどりさん・小竹満里さん・大石真理恵さん)、サックス(平原まことさん:後入れ)、ピアノ(美野春樹さん)、ギター(田代耕一郎さん:後入れ)、指揮(和田 薫さん)、エンジニア(山田正弘さん・金子さん)です。

この録音を終えたあと、和田さんからは「あまりにタイトなスケジュールだったんで、皆さんに申し訳なく思いながらやってました(^^;」というコメントが…。すると小池さんからも「時間に対して楽曲が多かったとはいえ、なかなか思うような表現が出来ずに和田さんの要望にうまく応えることが出来なかったのではと懸念しております。」ですって。お互いに謙虚で思い合ってる姿がとても素敵で、私も見習いたいなあなんて思いました(^o^)

で、小池さんにはさらに和田さんの音楽の印象を聞いてみると「どの楽譜を見ても、細部まで誠実に作り上げられていて、和田さんが仰っているように、そう長くはない期間の中でこれだけ沢山の楽曲をここまでしっかりと書き上げられるのは、本当にすごいことだと思いましたし、演奏していて彼の音楽から何よりも誠実で几帳面なお人柄だということを強く感じました」という素敵なコメントをいただきました(*^-^*)

そんな小池さんですが、10月に「小池ストリングス」の初アルバムをリリースされてます〜。あの「のだめカンタービレ」でも有名になった(?)ベートーヴェンの交響曲第7番を何と弦楽器のみで演奏するという、世界初演の演奏が収録された貴重なアルバムです。その交響曲を弦楽合奏版にアレンジされたのは小池さん。1枚で「世界初演」と「小池さんのアレンジ」の2つを楽しめる美味しいアルバムです。私も持ってるんですが「へえぇ〜こんな響きになるのかあ(^o^)」と感激いっぱいでしたよ。小池ストリングスのHPのほかアマゾンのこちらからでも購入できますので、ぜひどうぞ♪


こちらはコントロールルームの様子です。

この日はあまりに忙しくて、この写真しか撮れなかったとか…。

和田さんはフロアで棒を振ってるので残念ながら写ってませんが、写真の真ん中でこちらを見てくださってるのは、和田さんのアシスタントもされてる打楽器奏者の藤田崇文さんです(^.^)b


そういえば、いつも和田さんのお仕事で配られる楽譜は綺麗にプリントアウトされたものばかりなんだそうですが、この日はは手書きのものも少し混じってたそうです。どうやら、何とか「書き」は間に合ったものの、写譜の方は間に合わなかったみたいですね。おっちゃんが聞いてきてくれた話によると、今回はいつもの写譜屋さん以外の方にも助っ人を頼んでらしたみたいです。 いやはや、大変だあ…でも、こうして色んな人の頑張りや連携プレイがあって、1つの作品が仕上がっていく様子って、素敵ですよね(^o^)

あ、最初の方で「激しい曲ばかり47曲を5時間で…」なんてことを書きましたが、結果的には4時間半で録り終えちゃったそうですよ。これ、和田さんの今までの劇伴人生の中でも最短記録なんだとか…和田さんはもう苦笑するしかないって感じでしたが、さすがに「書き」のときからのお疲れと当日のあまりにタイトなスケジュールのお疲れが重なって、この録音のあとは10時間も爆睡したそうですよ。いや〜それで少しでも元気を回復してもらえたら、それが何よりです(>_<)

そうそう、そんなハードな録音の最中には、ちょうどこの映画が救助隊をテーマにしたこともあってか、金管ブースからは「オレらが救助された〜いっ!」なんて叫ぶ声も聞こえてたみたいです。傍から聞いてる私なんかは思わず爆笑ですが、ほんとにすごい迫力だったんでしょうね〜。エンジニアの山田さんからも「ミュージシャンは大変だっただろうなあ!」なんて言葉が出つつ「曲数の割には時間がタイトだったのでホント大変でしたが、さすが和田さんですね。音楽はスバラシイ物が出来上がってきました」と大絶賛でしたよ♪

そんな噂をどこからか聞きつけて、さっそく航空自衛隊中央音楽隊と航空自衛隊中部音楽隊の皆さんから「来年の演奏会でこの映画音楽を演奏したい!」ってお申し出があったそうです。私としては「映画も観んうちから!?(^◇^;)」なんて気持ちも少しあるんですが、どちらにしても嬉しいことですよねo(^-^)o

ちなみに、来年5月22日に府中の森芸術劇場というところで、交響組曲「空へ 〜救いの翼〜」と題した吹奏楽版が初演されます。この交響組曲は、和田さんご自身が構成から組曲化までされ、編曲もされるそうです。すっごいですよね〜。詳しくは航空自衛隊府中基地のHPをご覧くださいね♪

それからそのちょっと前の3月5日(木)には「航空自衛隊中部航空音楽隊 第32回定期演奏会」として、アクトシティ浜松大ホールというところで和田さんの音楽が聴けるようです。ただし、こちらの演奏会での音楽は、音楽隊の中の渡部哲哉さんと言う方がサントラを中心に吹奏楽版に編曲されるようですけどね(^^ゞ

スタジオレコーディングでも「救助されたいっ!」って叫ぶほどの大迫力の音楽を、自衛隊の音楽隊っていう力ある人たちが大所帯で演奏したら…ああ、もう想像するだけで、とろけそうですよね〜。とにかく、まずは映画を観て(聴いて)、今度は自衛隊の生演奏で…と、両方の持ち味を楽しんでいただきたいと思います。お近くの方は、ぜひぜひコンサートに足を運んでくださいねo(^-^)o

この映画は、2008年12月13日から、角川シネマ新宿ほか全国の映画館でロードショーされます(我が徳島は2009年の1月17日から…遅ッ)。また、それに先駆けて、12月10日にはサントラもリリースされますよ。どうぞ、お楽しみにo(*^^*)o

 

 

504 OVA「HELLSING」追加録音(松尾早人)

2008年8月24日。ビクターの301スタに行きました。この日は松尾早人さんのお仕事で、ロングランヒットを続けている「HELLSING」の録音でした。このHELLSINGという作品、そもそもは1997年に少年画報社の月刊漫画雑誌「ヤングキングアワーズ」で連載が始まり、2001年にゴンゾ・ディジメーションという会社からテレビアニメ化されました。このときは海外に輸出・配給されることから色々と内容に配慮があったようですが(ナチスに関することやプロテスタントとカトリックの対立など)、2005年にサテライトからOVA化されたときには「原作そのまま」をモットーに制作が進められたようです。ちなみに、テレビアニメ版の音楽は石井妥師さんという方で、松尾さんはOVAになってからの音楽を担当されてるんですよ(^.^)b

さて、その録音ですが、先にいた弦とホルン4人に木管4人が加わってのダビングだったそうです。現場にいらしたスタッフの方のお話によると、松尾さんのかっこいい変拍子の曲にミュージシャンの皆さんが苦戦したところもあったようですが(特に弦…)、最後は惚れ惚れするくらい素敵な曲に仕上がったみたいですよ。ほんと、かっこいいんですって〜。そのスタッフの方が「このメンバーじゃなかったら演奏できなかったかも…ミュージシャンの本気が見えました」って言うくらいですから、相当なものだったんでしょう。そうかと思えば、今度は「愛のテーマ」なんていう叙情的で切な〜い曲もあったそうで、その方も松尾さんの引き出しの多さに驚きと尊敬の気持ちでいっぱいだったそうです☆彡

こうして弦とホルンセクションは先に終わって、そのあと木管さんだけで1曲やって、最後はリコーダーの曲が残ったそうです。ところで、この日は事前に「フルートとリコーダー」というオーダーがあったにも関わらず、現場で配られた楽譜の中にはリコーダーの楽譜は1枚もなかったそうです。で、不思議に思ってたら、皆さんが帰って最後の1曲になったときに、松尾さんがおっちゃんのブースにいらしたそうです。

その、松尾さんからは「この曲は一応フルートってことで書いてるんですが、できればリコーダーでやっていただけたらと…でも、無理だったらフルートでもいいのです(^^ゞ」ってお話があったそうです。こうなると燃えてくるおっちゃん。どうにかしてリコーダーでやってあげたいと楽譜を見てみると、楽譜はリコーダー2本でやるようになってたとか…。で、確かにファーストのパートは音域的に無理なところがあったそうですが、それも途中で止めて持ち替えれば問題ないものだったそうです。こういうところは、録音の最大のメリットの1つですよね〜?
 
次にセカンドパートの方は、楽譜どおりの音域だとテナーリコーダーを使うことになるようなものだったそうです。でも、スタジオでは低すぎて他の楽器の埋もれてしまってイマイチ…と言われることが多いらしいので、とりあえず吹いてみて、松尾さんに音色の具合を聴いてもらったそうです。そしたら松尾さんからはすんなりOKがもらえたので、そのままテナーリコーダーでやっちゃったんだそうです。でも、やっぱり「ちょっと低いなあ…」なんて心配しながら吹いてたそうですが、あとで聴いたプレイバックでは名エンジニアの吉田俊之さんのおかげもあって、絶妙なバランスだったそうですよo(^-^)o


こちらはコントロールルームの様子です。

真ん中よりちょっと右のスキンヘッドはもちろん松尾さん、その左ななめ前はエンジニアの吉田俊之さん、写真の右端はビクターのアシスタントエンジニアさん…で、写真の左端に膝と手だけ写っているのはインペク屋さんです(^o^)

写真にマウスを乗せると、画像が切り替わりますよ〜♪


ところで、松尾さんはこの録音の前…6月末にワルシャワまで行って、オケ録りをしてきたんだそうです。で、実は、田中公平さんの「らんま1/2」のレポの中にある動画の処理で松尾さんに助けていただいた流れで、その一部を聴かせていただけたんですよ〜。そらもう、かっこいいの何のって…とにかくブラスが大迫力で、サントラが出たら締め切った車の中で爆音にして聴きたいって感じでしたo(*^^*)o

あ、ブラスが大迫力って書きましたが、その中でも特にホルンとトロンボーンが目立っていたような…ちょうどうちの子供たちが学校の部活でホルンとトロンボーンをやってるんで「いつかこんな音が出るようになったらなあ♪」なんてことも考えながら聴いてました。それにしても、とても「レ・ミゼラブル 〜少女ゴゼット〜(399番)」の優雅な音楽を書かれた方と同一人物とは思えません。それくらい、引き出しが多いってことですよね(^.^)b

そうそう、「HELLSING」の公式サイトのトップページから、このOVAのCMが見られます。アッという間の短いCMですが、その間だけでもブラスのとどろくこと…ぜひ聴いてみてくださいo(^-^)o


こちらは談笑中のおっちゃんと松尾さん。どんなお話をしてるんでしょうねえ。おっちゃん、楽しそうです(*^-^*)

これは帰り際なんだそうですが、傍にいたインペク屋さんが撮ってくれたそうです♪


この日に一緒にダビングしたメンバーは、弦(マサさんのグループ:64221)、フルート&リコーダー(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(十亀正司さん)、ファゴット(塚原里江さん)、ホルン(藤田乙比古さん他3名)、シンセ(松尾早人さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

で、さらに詳しい皆さんの拘束時間と別に録られた方々のお名前は、インペク屋さんに教えていただくことができました〜。せっかくなので、ご紹介を♪

13時〜16時までドラムの佐野康夫さん
13時から17時までギターの今堀恒雄さん
17時から19時までがホルンの藤田さんグループ
17時から19時半が弦のマサさんグループ
18時から20時までがフルート・オーボエ・クラリネット・ファゴットの木管の皆さん
19時半から22時半までサックスの本田雅人さん

だったそうです。

実はマサさんは、この日の昼間は新宿文化センターというところで「井上あずみ 25周年記念ツアー スタジオジブリ名曲コンサート」というのに出演してて、このツアー関連で連日のようにこんなかわいい格好をしてたんですって。で、コンサートの皆さんはこの日の夕方からは「コンサート中日(なかび)の打ち上げ」ってことで飲みに…マサさんはこうしてレコーディングに来てたんですねえ。しかも、このあともさらに8時半から10時半まで、今度は上松さんという方の録音に行ってらしたそうです。ほんと、日本一忙しいヴァイオリニストさんですね(;^_^A

インペク屋さんのお話だと、この「HELLSING」はまだまだ続くそうなので、松尾さんの音楽もさらにパワーアップしていくことでしょう。楽しみですね〜。ちなみに、2008年3月に「BLACK DOG」というサントラが発売されてます。今回の音楽は収録されてませんが、こちらも聴き応えありそうですよ。いま私が「どうしてもほしい!」とピックアップしてるCDが10枚ほどあるんですが、これはその中の1枚なんです。年末ジャンボに賭けるかなあ…。

2008年11月21日には「HELLSING V」というOVAもリリースされるみたいですので、こちらもどうぞお楽しみにo(*^^*)o

 

 

503 NHK「いないいないばあっ!」(周防義和)

2008年8月19日。おっちゃんは周防義和さんとのお仕事で、久しぶりにNHKに行きました。久しぶり…といっても今年になって4回目だそうで、平均すると2ヶ月に1回になるわけですよね。今や、年に一度…数年に一度しか行かないっていうスタジオもあるようなので、それに比べれば多い方かなあ。でも、昔はそのNHKだけでも1日に4〜5本の録音をこなしてたこともあるみたいなので、やっぱりおっちゃんには「激減」って感じが強いんだそうです。

さて、その内容ですが、NHKの「いないいないばあっ!」の中で流れるクレイアニメのバックの音楽録りでした。この番組は1996年の1月に始まったんですが、当時としては珍しい「0歳から2歳」を対象とした教育番組で、体操や歌やしつけをメインに構成されてました。うちもちょうど放送開始時は長女が2歳で次女が0歳だったので、バッチリ対象内。随分とこの番組に子守をお任せしてましたっけ…(;^_^A

そうそう、この番組開始当時の音楽スタッフにはおっちゃんの息子さんも入ってたそうで、今回のお仕事に参加できたことはとても感慨深いものがあるそうです(^-^)


こちらは、マリンバを演奏中の高田みどりさんと周防さんです(^.^)b

周防さんの手には楽譜があるようですが、それを持ってどんなお話をしてたんでしょうね〜。

高田さんのにっこり笑った口元と周防さんの笑顔が素敵です☆彡


さあ、その録音ですが…今回はクレイアニメ用の音楽ということで、画面の動きにぴったりと音楽を合わせるフィルムスコアというスタイルの音楽だったそうです。クレイアニメをご覧になったことのある方はよく分かるかと思うんですが、急にパタパタ走ったり、それがピタッと止まってまったりしたり…と、かなり動きに幅があるんですよね。で、その例に倣って今回のもテンポが変わりまくる上に変拍子もいっぱいって感じだったそうですが、周防さんが丁寧にクリックを打ってくださってたので、演奏する分には問題はなかったそうです(^o^)

ただ、やっぱりクリックだけを聴いて演奏していると、その音楽の移り変わりに何となく違和感があったそうですが、あとで映像を見ながらプレイバックしたときには、そのあまりのぴったり具合に皆さんで「おおっ〜!」と感激したそうですよ(*^-^*)


こちらはコントロールルームの様子です。

写真にマウスを乗せると周防さんがアップになりますが、何を見てるんでしょう…あ、もしかして、その映像と音楽を合わせて見てるとこなのかな〜?


この日の編成は、チェロのソロ(井上さん)、フルート&パンパイプ(おっちゃん)、パーカッション(高田みどりさん)、ピアノ&メロディカ(小石巳美さん)、ウクレレ&ギター(周防義和さん:後入れ)、ラテンパーカッション(川瀬正人さん)の6人と小さかったそうですが、その分メロディー楽器はアカペラのソロだったり、ラテンパーカッションがリズムを刻んだり、チェロがジャズのベースライン風に動いたり…と、それぞれの楽器と演奏者さんの特徴を上手く生かした曲作りで、おっちゃんはとても感心したそうです(^o^)

あ、ピアノとメロディカを演奏された小石巳美さんは周防さんがやってらっしゃるユニット「COMA」の相方さんで、1997年に「COMA」、2004年に「ぬかよろこび」という2枚のアルバムをリリースされてます。詳しくは、周防さんのHPのディスコグラフィーを見てみてくださいね♪

ちなみに、編成にあった「メロディカ」は鍵盤ハーモニカのことで、ホーナーというメーカーのブランド名なんだそうです。私にはヤマハのピアニカやスズキのメロディオンが馴染みがあるんですが、今回はホーナー社のものを使われたそうです…と、ここまで書いて思い出しましたが、そういや前に岩崎琢さんも「オーバン・スターレーサーズ」というアニメの録音の中で、このホーナー社の鍵盤ハーモニカを使ってましたねえ。

それから、周防さんからいただいた情報によると、このクレイアニメの作者はイタリアでご活躍中の日本人アニメーター・彫刻家の湯崎夫沙子さんという方なんだそうです。皆さんも「ナッチョとポム」なんかは見られたことがあるんじゃないでしょうか?

この「いないいないばあっ!」は、毎週月から金曜日の午前8時15分から15分間、同じ日の夕方4時から4時15分まで再放送をしてますので、ぜひ童心に帰って見てみてくださいねo(^-^)o

最後にもう1つ、周防さん情報を…周防さんは10月からラジオ局FM軽井沢で「周防義和の音楽工房(ミュージックファクトリー)」という番組を担当されてるそうです。詳しくは、周防さんのブログのこちらを読んでみてくださいね。月に2回、火曜日の14時から1時間の枠で小森康夫キャスターと出られてるそうですが、今はまだ軽井沢近辺でしか聴けないそうです…でも、12月からはインターネットでも聴けるそうですので、こちらも合わせてお楽しみにo(*^^*)o

 

 

502 象印のCM(近藤さん)

2008年8月18日。フルートの西沢幸彦さんからいただいたお仕事で、音響ハウスの1スタに行きました。おっちゃんには事前にアルトリコーダーとテナーリコーダーを持ってきてほしい…とのオーダーがあったようです。

ところで、この「○○さんからいただいたお仕事」って言い回し方ですが…たとえば今回のケースを私が勝手に想像するに、作曲家さんとかインペク屋さんから西沢さんに「フルートは2人」みたいなオーダーがあって、そこで西沢さんがそのもう1人を西沢さんの判断でおっちゃんだと決めて「来れる〜?」みたいな感じで連絡をくれるってことなんでしょうねえ。

さて、そのお仕事ですが、象印の「極め炊き」という炊飯ジャーのCMだそうで、有名なラヴェルの「ボレロ」が使われたそうです。で、そのボレロのメロディーに女性ヴォーカルの綺麗な声で歌詞がついて、おっちゃんたちのリコーダーが伴奏で愛らしく響く感じなんですが、その音楽はこちらののページの「朝ごはん 池袋編」「朝ごはん 京都編」で聴くことができます(^.^)b

音域的には2人ともアルトリコーダーでできるものだったそうですが、作曲の近藤さんが色々と試してみられたかったそうで、アルト2本・アルトとテナー・テナー2本などやってみて、最終的にはアルトとテナーに落ち着いたそうです。あ、テナーリコーダーの方がおっちゃんですよ♪

こうして二手に分かれてもメロディーそのものは単純なパターンの繰り返しだったので、どちらかというと楽なお仕事だったそうですが、実はおっちゃんにとっては忘れることのできないお仕事となりました…というのも、このあと10月20日に西沢さんが亡くなられたので、これがおっちゃんと西沢さんとの最後のお仕事となってしまったんです(>_<)

現場では「じゃあ、また(^o^)丿」なんて軽い気持ちで挨拶を交わして別れたそうですが、まさかそれが最後になってしまうなんて…でも、西沢さんの方は何か感じられてたのかもしれませんね。そう思うと、私まで胸が詰まります。

1日の始まりに炊きたてのあたたかいご飯を食べるっていう、とってもほのぼのとしたCMのはずなのに、おっちゃんは見るたびに複雑な気持ちになるそうです。おっちゃんとはもう随分と長いお付き合いで、素敵な音色と気さくなお人柄でたくさんの方に愛され慕われた西沢さん、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。。。

 

 

501 アニメ「黒執事」(岩崎 琢)

2008年8月12日。岩崎琢さんとのお仕事で、サウンドインに行きました。おっちゃんが岩崎さんのお仕事に入るときは1人でダビングということが多いので、事前にインペク屋さんに「何を持ってく?」と尋ねたそうです。すると、インペク屋さんからは「今回はダビングじゃなく弦や木管も一緒にやるから、フルートだけでいいんじゃない?」とのお返事が来たので、ほんとにフルートだけ持って行ったそうですよ(^^ゞ

拘束時間は2時間半。おっちゃんは「新番組の録音にしては短そうだけど、大丈夫かなあ…」なんて思いながら録音に臨んだそうですが、はてさてどうなったのやら…?


さて、その新番組のタイトルは、すでに10月からオンエアされてる「黒執事」。私は原作を全く知らずに第1回のオンエアを見たんですが、実はかなり人気のあるマンガなんだとか…。

で、第1話を見て素直に面白いなあと思ったんで、思わず原作を2冊ほど買ってしまいました…いや、正直に言うと、入学祝いとかでもらった図書券をいっぱい持ってる長女をけしかけて買わせたって感じです(^^ゞ

まあ、長女も学校で話題になってるとかですんなりOKして買ってくれたんですが、その後アッという間に5巻までそろってました(^◇^;)


それにしても、今回もまた「悪魔」とか「闇」とかがテーマなんですねえ。ほんと、最近こうしたアニメの多いこと…。で、けっこうグロいシーンがあったり、オカルトっぽかったりして、真夜中にリアルタイムで見るにはちょっとドキッとすることがあるんですが、それでもそうした恐い系のアニメが流行ること流行ること…。この「黒執事」もヒット間違いなしでしょうし、今後が楽しみですo(^-^)o

あ、録音のお話に入る前に、まず岩崎さんのブログにあった「書き」の段階で書かれたこちらこちらの記事、それにオンエアが始まってから書かれたこちらの記事を読んでみてくださいね。

私は岩崎さんの「‘コレでいいのだ!’は好きだけれど‘こんな程度でいいんだよ’は死ぬほど嫌い」「両者の間には、無意識のうちに自分に嘘をついているか否かという点で天地の差ほどの開きがある。であるとするならば‘こんな程度でいいんだよ’と自分を誤魔化して音楽を作ることだけは、出来る限り避けようと思う」というあたりにほんとに感激したんです。もちろん、多かれ少なかれ作曲家さんは皆こうした気持ちを持ってお仕事に臨んでらっしゃるんだとは思いますが、こうして改めて文字にされると「うんうん!だから、あなたの音楽に惚れるんだよ〜!」って叫びたくなりますね(^o^)

そうして書かれた数々の音楽の録音は、まずストリングスのみの曲から始まったそうですが、これが速い8分の6拍子の上に転調しまくり、おまけにヴィオラやチェロがヴァイオリンと同じような動きをするので、ストリングスの皆さんはかなり苦戦してたようですよ。あ、ヴィオラやチェロがヴァイオリンと同じような動きをすることの何が大変かと言うと…何でも、チェロは音程を取る指の幅が広いから忙しくなって大変だし、ヴィオラもヴァイオリンとよく似てるようでも、やっぱり難しいんだとか(^^ゞ

で、これらをおっちゃんたち木管さんは例の中2階のブースで聴きながら「ひえぇ〜ヴァイオリンやってなくて良かったね〜!」「ほんとほんと、木管で良かった〜!」なんて話してたそうです。まったく、意地悪なんだから…(;^_^A

でも、そうしたプロのおっちゃんたちでさえ、傍で聴いててとてもスリリングで印象に残ったという曲なので、ここは私たちファンとしても聴いてみたいですよね〜。ところが、私はその「8分の6拍子」っていうのが、どんな感じの曲なのか想像がつきません…。


そんなこんなで気になりつつオンエアをチェックしてる最中にちょうどヴァイオリンのマサさんから別件でメールが来たので、思わず「8分の6拍子って、どんな感じの曲?」なんて聞いてみました。あ、今回の録音の弦はマサさんじゃないですよ〜。

送信したあとで、マサさんにとってはあまりに低レベルな質問で、怒られるかなあとドキドキしてたら、この写真のように丁寧に教えてくれましたよ。さすがマサさん、器が大きいです〜。後日、おっちゃんからも「あんまり速いと、マーチっぽく聴こえることも…」なんてメールも♪

私は、すごい人たちにこんな初歩的なことから教えてもらって、ほんとに幸せものです(*^-^*)


この苦戦した弦のみの曲に30分くらいかかってしまったそうですが、それでも何とか終了。そのあとは木管の入った曲をいくつか録ったそうですが、それはそれほど難しくなかったとか…。ふむふむ、オンエアを見てると、厚くて重苦しい弦に静かにフルートが入ってくるのとか、優雅な舞踏会が連想されるような曲がありましたが、それらのことかなあ。あと、物悲しそうなオーボエの上に何か込み上げてくるような感じのフルートが乗って、そこにさらに弦とシンセのパーカッションっぽい音が加わっておどろおどろしくなっていく曲なんか、さすが岩崎さんだな〜なんて思って聴いてます。

そういや、グレゴリアンチャントっぽい曲や、その正反対な感じのするチョー速いテンポのトランペット?サックス?がおどけた感じの曲があって、しかもその2つを重ねて使ってるときもあるんです。あれは単に重ねてるだけなのか、それとも重ねる用に別録りしたのか…気になるなあ。ほかに、けっこう残酷なシーンにとてもやわらかで儚げな感じの女性ヴォーカル入りの曲を使ったりしてるんですが、あれがコントラプンクタスっていう効果なのかなあ。あ、私がその「コントラプンクタス」とか反対の「インタープンクタス」っていう言葉を知るキッカケになったのは、和田 薫さんのコラムなんです。興味のある方はぜひ和田さんのこちらのコラムをどうぞ〜。とにかく、この「黒執事」は音楽はもちろんですが、その使い方という点でもとても楽しめます。

そうだ、和田さんのお名前が出たところで、1つ和田さんつながりのお話を…今回のこの「黒執事」の監督をされてる篠原俊哉さんは、和田さんが音楽を手がけられてる映画「犬夜叉」も2本ほど監督されてるんです。で、HP仲間にいただいた情報によると、篠原監督はこの「黒執事」のために、イギリスまで取材に行かれたとか…(監督さんのブログ‘日々のかけら’の中の‘きょうのかけら’参照)どうりで町並みの描写とかがリアルで美しいわけですねえ。特に第6話のマダム・レッドのお葬式のシーンなんか、逆光の美しい教会に舞う赤いバラの花びらのCG具合がほんとに綺麗で…いや〜あのシーンは音楽もストリングスの切な〜い曲が使われてて、いい感じでした(T_T)

とにかく、かなり原作に忠実で好感が持てるんですが、でも…どこか無理に30分の枠に納めようしてるような気がするときもあるんですよね。たとえば、キャラの登場の順番が原作と違うのに、原作にある大事なセリフがカットされてたり、シーンの移り変わりが速すぎて、話の背景や設定が見えにくいところがあるような…いやいや、まだ始まったばかりですし、もしかしたらそれが今後の展開につなげていくための重要な狙いなのかもしれないので、素直に楽しむことにします(^-^)

ところで、オンエアをずっと見てると何度も流れてくる、イタリアっぽい感じのする曲があります。これは、オケだけのヴァージョンや、バリトンの歌が入ったもの、その歌の入ったのも2パターンくらいはあるような…とにかく、朗々としてて素敵な曲なんですよ〜。岩崎さんは6月にイタリアに行ってらしたそうですが(ここ参照)そこで心がふるえるような感動がいっぱいあったようなので、それがこの曲にも表れてるのかもしれませんね♪

この曲についてエンジニアの吉田俊之さんにお聞きしてみたところ、吉田さんもお好きな楽曲なんだとか…で、この曲に関して「最終ミックスの時に岩崎さんから‘NHKの名曲アルバムみたいじゃダメ!’とか‘サントリーホールだと大きすぎる!’などとバランスのことで色々とダメ出しがあったんだけど、最終的にはイイ感じにミックスできたかとは思います」なんて興味深いお話も聞かせてくださいました。もともと素敵な曲なんですが(しかも曲の冒頭にかっこいいヴァイオリンソロが入るし☆)こうしたバランスのお話なんか聞くと、その職人魂みたいなものを感じて更に音楽が染み入ります(^o^)

余談で…岩崎さんのブログにあった「チェンバロでバロック音楽なら3秒で作れる」って言葉ですが、ちょうど番組の真ん中で「黒執事」が掲載されてる「G Fantasy」という雑誌のCMがあるんです。そのBGMがチェンバロでバロックっぽいので、私は勝手に「これが3秒で作った曲かあ…」なんて思ってたんですが、どうやら違うようです。岩崎さんからハッキリと「今回、チェンバロでバロックスタイルの曲は書いてないよ〜!」って言われました〜。ただし、PV用には作られたそうなんですが(多分これ→CLICK)これはあくまでPV用で本編では使われないはずなので、皆さんも誤解のないように(^_-)-☆


こちらはコントロールルームでの様子です♪
わあぁ〜肝心の岩崎さんが、画面の右端で切れてますね…残念(>_<)

あ、この写真でも何やら真剣に楽譜とにらめっこしてる岩崎さんの様子が分かるかと思いますが、この日の岩崎さんの現場はいつもに増して密度が高く、そして緊張感のただようものだったそうですよ。

ところで、この写真にはもう1つ大事なことが見えるかと思います。そう、エンジニアさんが2人なんですよ〜。写真にマウスを乗せてもらうとアップになりますが、吉田さんの後ろにいつものYoshi Tamlaさんがいるでしょ(^_-)-☆


今回のこの「エンジニア・ダブルキャスト」という珍しい状況になったのは、何と岩崎さんの発案なんだそうです。あ、ときどき1つの作品を複数の作曲家さんが手がけることがありますよね。その成功の裏には1にも2にもまず「信頼関係」があるのだということは今までのレポでも感じてきましたが、きっと今回も…ということで、お2人に感想をお聞きしてみました(^.^)b

まず、吉田さんからは「田村氏の持ち味である‘デジタルサウンド’と私の得意とする‘生オケサウンド’、これをミックス時にファイルでやり取りして、お互いのテイストを混ぜていくんですが、これにはエンジニア同士の気持ちの面での信頼関係がないと成立しません。田村氏とはその昔、今は無きメディアバム・スタジオで4〜5年に渡りアシスタントで付いて頂き、さらに多方面でかなり深いお付き合いをさせて頂いた経緯がありました。だから、気持ち的に張り合うことなく、お互いの世界観を出し合う事によっての音楽作品が出来る面白さを、岩崎氏も狙ったのだと思います。」だそうです。

次にYoshi Tamlaさんからは「サウンドプロデューサーである岩崎さんが二人のエンジニアの音彩を足したり掛け合わしたり、そこに新しい何かを生み出そうとされたんだと思います。なので敢えて自分らしくを心がけました。どの様な事を考えながらプロデュースされたのかはとても興味がありますが、まだ番組がオンエア中なので最終回が終わった頃に訊いてみたいと思っています。大先輩の吉田さんとご一緒出来る機会を頂いたのでお話する事も出来ましたし、更に自分の幅を拡げる事が出来たらと思っています。」というコメントをいただきました!

ああ、やっぱり揺るぎない信頼関係というのがあるんですねえ。もし、7月の上京のときに開いた「飲み会」にYoshi Tamlaさんが来てくださってたら、そんなお2人の仲良し風景が生で見られたんでしょうのに…あの日、岩崎さんもYoshi Tamlaさんも7月13日に行われた「SOUL EATER」の追加録音(レポ参照)のミックスという作業があって、来ていただけなかったんですよね(T_T)

ちなみに、そのメディア・バムというスタジオに勤めてらしたのはYoshi Tamlaさんだけで、吉田さんはビクタースタジオにお勤めだったそうです。あ、このメディア・バム(MEDIA BUM)については、おっちゃんのHP「昔在ったスタジオ」ページの「メディア・バム」というところに少し記事がありますので、良かったら読んでみてくださいね(^.^)b

あと、岩崎さんの音楽に関して吉田さんは「岩崎氏の音楽への姿勢は、かなり探求心が強い方と思います。1つの‘場所’に留まらず、いま流行の音楽エッセンスを如何に融合させて作り上げていくか…かなりハイレベルな次元で熱意を注いでいるように感じます。音の選択や、音色の多彩さもそう言った所から出てくるのでしょうか? 生オケのみでの楽曲は彼の昔からの持ち味なテイストですが、これにシンセのデジタル的な音色が加わってくると、得も言えぬ躍動感が加わってきたりもして七変化が楽しめるんですよね!」と大絶賛でした〜。その岩崎さんの「ハイレベルな次元での熱意」というのは、あの岩崎さんのブログでも十分に分かりますよね。だからこそ、あのブログからも目が離せないんです(^_-)-☆

今回の編成は、弦(今野均さんのグループ:86442)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(山根公男さん)、ファゴット(?)、指揮(岩崎琢さん)、エンジニア(吉田俊之さん・Yoshi Tamlaさん・三原典子さん)でした。

でも、オンエアを聴くと、ホンキートンクピアノの伴奏に鍵盤ハーモニカっぽい音でメロディを歌うような曲があったり、アコーディオン?バンドネオン?がメインの曲があったり、そしてブログでも書かれてたサックスを使った曲がたくさんあるので、この録音の前後に録られたんだと思います。曲のスタイルはバロックなのに、サックスっていう最近の楽器でそのメインメロディーを演奏すること。その岩崎さんのいう「構成要素のずらし」「遊び」によって、ともすれば上品さが勝りすぎて落ち着いてしまいそうなあの「黒執事」の世界に、一気に躍動感が出てきた気もします…って、無知な私がちょっと偉そうでしたね(^^ゞ

MBSでは毎週木曜日の深夜1時25分から、TBSでは毎週金曜日の深夜1時55分から、そのほか東北放送・静岡放送・中国放送・熊本放送などでも放送されてますので、ぜひ見てみてください。そして、録音にたずさわった方々の熱意を耳と心で感じてくださいねo(^-^)o

 

 

500 アニメ「SOUL EATER」追加録音(岩崎 琢)

2008年7月13日。サウンドインのBスタに行きました。この日は私が大好きな作家さんの1人である岩崎 琢さんとのお仕事です。おっちゃんには事前に「アルトフルートとケーナ」というオーダーが入っていたそうですが、このあたりからも何か面白いことが起こりそうな感じですよね(^o^)

この日は日曜日ということもあってか思った以上に道が空いていて、いつもよりさらに早くスタジオに着いたおっちゃん。オーダーされた楽器を用意してスタジオに入ると、エンジニアの Yoshi Tamlaさんと三原さんが忙しそうにセッティングしていたそうです。あ、この時点ですでに、岩崎さんのマネージャーさんである佐藤さんという方も来てらしたそうですよ♪

で、ほんの1〜2年前までは「エンジニアさんって、そんなに早く来て何をやってるだろう…」なんて思ってたんですが、最近は何人ものエンジニアさんが優しく教えてくださるので、ちょっとずつエンジニアさんのお仕事というのが見えてきました。何でも、録音の前にご自宅のパソコンとかで音楽ファイル(?)みたいなのを作っておいて、それをスタジオで動かす(再生する?)ために早めに行ってスタジオの機械にその音楽ファイルを入れたり、各セクションの配置を決めたり、それに合わせてマイクを並べたりしてるんだそうですよ。そのために、実際の録音が始まる何時間も前に行ってることも多いとか…ほんと、頭が下がりますm(__)m

この日もそういった作業をしてるYoshi Tamlaさんや三原さんを見ながらマネージャーの佐藤さんとお話していると、そこへ主役の岩崎さんが楽譜を抱えて「今日はいっぱいありますよ〜♪」なんて言いながら入ってこられたそうです。岩崎さん、この録音の10日ほど前からブログが止まってましたし、メールをしてもお返事がない状態だったんで、おっちゃんがやる予定の曲以外にもいっぱい書いて大変だったんじゃないかと思います…でも、思ったよりはお元気そうで良かった(*^-^*)


こちらは、マネージャーの佐藤さんに撮っていただいた3ショット♪

岩崎さん、確かにちょっと髪が長めな気はしますが、お顔の色はそれほど悪くなさそうですよね?

Tamla さんも色んな準備があったでしょうのに、相変わらず優しそうな笑顔でいい感じ(^o^)


さて、さっそく岩崎さんから楽譜をもらって見てみると、曲そのものは1曲だけだったそうですが、その1曲をアルトフルートで2パートやって、さらにケーナを重ねる…といった感じだったそうです。で、このアルトフルートのパートですが、実は音域的には普通のフルートでも十分に吹けるものだったのに、それをあえてアルトフルートにしたのは、アルトフルートならではの太めの音と、アルトフルートで高音域を吹いたときの「息っぽい音」の効果を狙ったんだそうですよ。もちろん、念のためにフルート用の楽譜も用意してくださってたそうですが、結局それを使うことはなかったそうです。

また、アルトフルートと同じメロディーが尺八風のシンセで先に打ち込まれてたそうですが、これは単なるサンプル扱いで後で消してしまうのではなく、おっちゃんのアルトフルートとのユニゾンにして、これまた独特の効果を狙ってるんだそうです。ほんと岩崎さんったら、色んなことを思いつきますよね〜。これって、楽器の知識と想像力のどちらもが豊かじゃないとできないことだと思うんで、もう純粋に素直にすごいなあって思います(^o^)

そんな色んな思いの詰まったこの曲は、とってもゆったりしたテンポの、何だか不思議な雰囲気のメロディーで、おっちゃんのパート譜で2ページくらいにもなる長い曲だったそうです。そこにさらに即興演奏風のケーナを被せたんだそうですが、かなり細かい動きがある楽譜で「これを初見で、しかもケーナでやるとなると難しいかも…(@_@;)」と思ってたら、こちらはその岩崎さんが書いてくださってたのをベースに適当に…という柔軟な対応をしてくださったんで、おっちゃんとしては大助かりだったそうです。

そうそう、このケーナの楽譜だけは、なぜか岩崎さんの手書きだったそうです。おっちゃんは「プリントアウトする間がなかったんか…それとも、7連音符や5連音符がパソコンでは書きにくかったんか…」なんて言ってましたが、そんなことより岩崎さんの手書きの楽譜なら持って帰ってくるか、せめて写真に撮ってきてぇ〜って感じの私です。もちろん、楽譜をもらっても私は読めるわけではないけど、家宝にするのに…(T_T)

とにかく、こうして無事に録音は終わったんですが、この日に録られた曲はもうオンエアされてるんでしょうか…どういうシーンでどういう使われ方をするのか分かりませんが、あまりブチッと切らず、できるだけ長くたっぷりと(ついでに言うと、セリフや効果音の少ないシーンで)使ってくれるといいのになあ。このところ上京や子供の夏休みでバタついてあまりテレビが見えてなかったんですが、またしっかりチェックしないとo(^-^)o

この「SOUL EATER」に関しては、最初の録音のときにエンジニアのYoshi Tamlaさんからこちらのような素敵なコメントもいただきましたよね。このときにも職人魂みたいなものを感じて胸が熱くなったんですが、今回は岩崎さんの方から素晴らしい職人魂を見せていただきました。正直な話、私は生のアルトフルートの音なんて聴いたことがないんじゃないか…あっても、せいぜい1〜2回…って感じなので今回の曲の仕上がりは全く想像できないんですが、それだからこそ聴けるのがほんとに楽しみだったりしますし、何より岩崎さんのこうした発想やこだわりがほんとにいいなあって思うんです(*^^*)

あ、この数日後に六本木で行われた田中公平さんのライブで公平さんに「ミュージシャンを愛してるんだよね!」って言われてハッとしたんですが、そう…私はこういう職人技というか、職人魂に強く心が惹かれるんだと思います。色んな制約があって苦しいだろう中でも決して手を抜かず、あらゆる可能性に挑戦しながら前へ前へと自分の道を進んでいく…素敵じゃないですか〜!

最後になりましたが、8月27日にこの「SOUL EATER」の待望のサントラが発売されます! 詳しくは公式HPのこちらを見てくださいね。オンエアを見てても、岩崎さんお得意のジャズっぽいのからロックっぽいの、それに岩崎さんの作風の大きな魅力の1つである美しく繊細なストリングスメロディーがふんだんに使われてるので、サントラもとても聴き応えのあるものだと思います(^.^)b

でも、さすがにこのサントラにはこの日に録った曲は入ってないんだろうなあ…だとしたら是非2枚目のアルバムで、元の長いまんまの曲で入れてほしいなあ…。とにかく、まずはオンエアでしっかりチェックしてみてくださいね(^.^)b

 

   

499 アニメ「バトルスピリッツ 少年突破バシン」(大谷 幸)

2008年7月11日。サウンドシティのAスタに行きました。この日は2008年9月7日の朝7時からスタートした「バトルスピリッツ 少年突破バシン」の音楽録りでした。作曲は大谷幸さんです。


こちらは、録音が始まる前にインペク屋さんに撮ってもらったという大谷さんとの2ショットです。

大谷さんのお顔の左上に白い光とともにぼんやりと人影のようなものが写って、ちょっと心霊写真っぽくも見えますが、どうぞ不気味がらないでくださいね。これが、写真を撮ってくださったインペク屋さんですよ♪

あ、写真にカーソルを乗せると大谷さんのお顔のアップになるんですが、ぜひメガネに注目してください。何とも鮮やかというか、華やかなデザインでしょ〜?

大谷さんに、とってもよく似合ってると思います(^o^)


この番組、放送時間帯からも少し想像できますが、公式サイトで詳しい内容を見てみると、小中学生を対象としたアニメのようです。どちらかと言うと、男の子向けでしょうか。大谷さんは今までに「デルトラクエスト(387番465番参照)」とか「金色のガッシュベル(154番259番参照)」などの子供向け番組を手がけてらっしゃいますが、やっぱり成人向けのものが多いですよね。そのためか、現場でも大谷さんから「いつも僕が書いてるような暗くてドロドロしたのじゃなく、明るく楽しい内容ですから、そのつもりでよろしく(^o^)丿」といったお話があったそうです。そのあとすぐに「まあ、書いてるとつい、いつものようなドロドロ系になりそうになってねえ…」なんて言いながら笑ってらしたそうですけどね(^^ゞ

この録音の数日後に飲み会でお会いしたときにも思ったんですが、大谷さんってすごいムードメーカーなんですよね〜。あの元気いっぱいの笑顔と明るいトーンの声でお話されたら、どんな空気もアッという間に花が…それも、ひまわりみたいな元気な花が咲くって感じですよ(*^^*)


こちらはマサさんこと篠崎正嗣さんと、タジタジさんこと田尻順さんの2ショットです。

…ん? 真ん中に何やら怪しい人影が…!

写真にカーソルを乗せると、お2人がアップになるんですが、そうすると真ん中の怪しげな人もアップになるでしょ?

さて、誰でしょう…サングラスの上の眉毛が誰かさんのメガネの上の眉毛にソックリだと思うんですが、分かるかな〜?


あ、タジタジさんは前にマサさんのブログのこちらの記事で「妖怪人間」っていう古いアニメにかけて「田尻ベロ」なんて言われてましたが、タジタジさん曰く「この短パンをはくと、マサさんに‘プロゴルファー猿’って呼ばれるんです」だそうです(^^ゞ

ところで、さきほど「今回は明るく楽しい雰囲気で…」なんてことを書きましたが、確かに今まで大谷さんが手がけられてきた作品は、魑魅魍魎っぽいのや色っぽいお姉さんが出てくる系、あとは民族楽器を多様したエキゾチックなものが多かったですよね〜。そのほとんどに参加してるおっちゃんが「今回はガラッと雰囲気が違うたわ」と驚くくらい、今回の大谷さんの新しい引き出しはまたまた面白そうです。そうそう、現場では大谷さんが「今回は清く正しく…ね♪」なんてこともおっしゃってたそうですよ(^◇^;)


これは、この録音のころに(今もかな?)インペク屋さんがハマってた食べ物だそうです。

何でも、柚子の皮を砂糖漬けにしたようなスナックで、ちょっとほろ苦いけどハマるんだそうです。

で、おっちゃんも試食させてもらったそうですが、おっちゃんはそれほど苦味は感じず、おまけに甘さも控えめで「こりゃ、いける♪」って感じだったとか…何か、スーパーで探してみたくなりました(^^ゞ


この日の編成は、弦(篠崎正嗣さんのストリングス:6404)、フルート&ピッコロ(おっちゃん)、クラリネット(十亀正司さん)、トランペット&サックス(エリック宮城さん)、ホルン(藤田乙比古さん他2名)、ドラムス(そうる透さん)、ギター(今泉洋さん)、打ち込み(?)、エンジニア(吉田俊之さん)で、明るく楽しい音楽に反映してか、編成もいつもよりは少し軽めだったそうです。

およ…よく見ると、金管はホルンだけ、木管もフルートとクラリネットだけ、しかも、またもや弦はヴィオラ抜きと、面白い編成ですね。色んな方の録音レポを作らせていただいてる中で「6422」なんていう弦の編成はよく見かけるんですが、それと今回の「6404」とは人数的には同じですよね。でも、チェロが4人ってことは「6422」よりはずっと低音が充実して、何か独特の世界があるんでしょうね〜。この「ヴィオラ抜き」に関して、いつか大谷さんにその意図をお聞きしてみたいもんですo(^-^)o

冒頭にも書きましたが、このアニメは9月7日から放送が始まっています。日曜日の朝早くってのが少し厳しい気もしますが、そこはビデオを上手く活用して、ぜひ大谷さんの新しい世界を楽しんでくださいね(^_-)-☆

 

   

498 展示上映会用「らんま 1/2」(田中公平)

2008年6月24日。田中公平さんのお仕事で、サウンドシティのAスタに行きました。この日のお仕事については事前にインペク屋さんから教えてもらってたんですが、何とあの「らんま 1/2」なんです〜。あ、「あの…」なんて言ってもピンと来ない方もいらっしゃるかなあ。最初にインペク屋さんに「らんま 1/2ですよ♪」って言われたときには、思わず「え? あの‘らんま’?」って聞き返してしまったくらい、とにかく私くらいの世代の方は、中学・高校時代にマンガやテレビで親しんできた作品なんです。

原作は「うる星やつら」や「めぞん一刻」「犬夜叉」と同じ高橋留美子さん。小学館の「週刊少年サンデー」で1987年から連載が始まり、1989年にはテレビアニメ化された、ラブ・コメディです。これ、物語の核となる場所が中国で、原作でもアニメの中でも中国武術や中国語がいっぱい使われてるんです。だから、当然のごとく音楽も中国っぽいものが必要なわけで、おっちゃんのところにも早々に「中国笛(明笛:みんてき)」というオーダーが入っていたそうです。公平さんの中国的音楽って、初めてかも…ねえ?

私はもともと中国武術や中国音楽が大好きなんで(だから子供たちに功夫も習わせてる(^^ゞ)それを公平さんが書いてくれると思うと、もうそれだけで胸が高鳴って、レポを打っててもどうにも落ち着きませんo(>_<)o

で、一体これがどういう形で私たちの耳に届くんだろう…と思ってたら、この日の音楽は展示上映会用の映画(?)として「松屋」というところで上映するための録音なんだそうで、しかもすでに上映期間が終わってます(T_T)

いや〜んっ、どこからか「OVAだ」なんて話を聞いてたもんで、私もすっかりその気で「じゃ、リリースに間に合うように…」と思ってのんびり編集してたら(確かに新作OVAに関する情報が全くヒットしないんで変だと思ったけど…)、何ともう上映が終わってるなんて…まあ、どっちにしても私に観るチャンスはなかったんですが、それにしてもすみませんm(__)m


はぁ〜ちょっと気を取り直して…

これは、おっちゃんに配られた楽譜です。どこもかしこも「中国笛」だらけで、どんな感じのメロディーなのか、ワクワクしますo(^-^)o

ちなみに、写真にマウスを乗せると、編成表の一部がアップになりますよ(^.^)b


さて、この日の編成は、全体的にはいつもとそう変わりない感じだったそうですが、木管はおっちゃん1人だけという、ちょっと不思議な編成だったそうです。で、そのおっちゃんのパートは、中国笛(明笛)を使った曲が7曲とフルートを使った曲が2曲だったそうですが、この明笛を使った曲はどれも思いっきり中国的なペンタトニックのフレーズのものだったそうです。ペンタトニックって…ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドの1オクターブの中に5つの音がある音階のことを言うんだそうで、その5つの音の選び方(?)によって、中国的になったり、日本民謡&演歌的になったり、スコットランド風の音楽になったりするんだそうです。あ、上の「ペンタトニック」という字のところのリンクと合わせて、こちらのページの「五音音階の分類」ってところも参考にしてみてくださいね(^.^)b

で、この公平さんが書いてらしたメロディは、おっちゃんが持ってきた明笛にピッタリのイメージだったそうですが、中にはテンポが144という速いものがあったり、途中でキーが変わったりするものもあったようで、そこはあとで別録りにしてもらって乗り切ったそうです。ただ、1ヶ所だけ、どうしてもキーが合わないところがあったみたいで、そこだけは篠笛でさせてもらうことにしたようです…と言っても、きっとおっちゃんのことだから、篠笛でも出来るだけ明笛のような音色に近い感じで吹いちゃってるんだと思いますよ(^_-)-☆


こちらはインペク屋さんがブースの中まで行って撮ってきてくれました〜!

中国笛…つまり明笛(みんてき)を吹いてるおっちゃんです。

写真にマウスを乗せると笛のアップになりますが、歌口に共鳴膜を貼ってあるのがよく分かるでしょ〜?


この日の録音では、ブラスセクションが最初に終わって帰られ、次にパーカッション、弦…といった順で録音を終えて帰られたそうです。で、皆さんが帰られたあとに笛の別録り部分をやって、そのあとマサさんの二胡のダビングがあったそうです。

ところで、この二胡ですが、二胡しか弾かない方が弾く二胡の音色と、マサさんのようにヴァイオリンも弾かれる方が弾く二胡の音色と、けっこうハッキリとした違いがあるのをご存じですか?
どちらがいいとか悪いではなく、どちらにも素敵なメリットと独特の世界観があって、私はどちらも大好きです。何か、八方美人的な言い方ですが、ほんとにそうなんです。もし機会があったら、マサさんの二胡と二胡専門の方の二胡を聴き比べてみてください。きっと両方の魅力に気づけて、ますます中国音楽への興味が湧いてくると思いますよ(^_-)-☆


こちらは二胡を弾くマサさんです。

いつも、いたずらっ子のような顔で笑うマサさんですが、これは真剣そのものです。うん、こういうマサさんもいいですね(^o^)

写真にマウスを乗せると、ちょっとだけアップになりますよ♪


さて、ここで今回はおっちゃんから読者の皆さんに、素晴らしいプレゼントがあります!
それも「動く公平さん」です。おっちゃんのデジカメで撮影することを公平さんも快く承諾してくださって、この動画をお見せできることになりました。で、ほんとは音も一緒にお聴かせしたかったんですが、色んな権利の問題でダメなんだそうです。これから何か激しい戦いが始まりそうな、すごくかっこいい弦を聴いていただこうと思ってたのに…残念(>_<)

でも、指揮する公平さんとスタジオの雰囲気は写真よりずっとリアルに感じていただけると思うので、ぜひご覧くださいo(*^^*)o

どうですか…?
音がなくてちょっと変な感じもしますが、やっぱり動いてる公平さんってのはいいですよね〜♪

ところで、この動画のアップに至るまでは、聞くも涙、語るも涙のエピソードがあるんですよ〜。この、おっちゃんが撮ってくれた動画なんですが、全部で130MBくらいあったんです。で、まずそれを私の元に送ってもらうのに一苦労。最近よくある「大容量のファイルが送れる」っていうメール屋さんを使って送ってもらったんですが、これが2度ほど失敗して、3度目の正直でようやく私の手元に来たんです。そこから今度は私が受信するのに約40分くらいかかったと思います。

でも、これを私がすんなりWEB用にフラッシュ加工してアップできるはずもなく(いちおう何日かは手元に置いて色々と考えてみたんですがダメで…)、ここから作曲家の松尾早人さんに送ることになったんです。これもまた大容量のファイルが送れるメール屋さんを使ったんですが、私の場合は5回くらい失敗して、最後はもう別のメール屋さんに変えて、ようやく送信完了…この間、約6時間くらいかかってるんです。何せ、1回の送信につき1時間前後かかるのに、90%くらいまで送信できたところでエラーが出たりしたのを繰り返したんで…(;^_^A

こうしてやっと送れたと思ったら、松尾さんからは「いま受信中です」ってメールが来たかと思うと、それからわずか10分くらいで「フラッシュにできました」って送り返してきてくれたんです。何かもう、一気に力が抜けちゃって…思わず「こんなに大変な思いして送ったのに、何でこんな簡単に〜!?」と、自分のPCのふがいなさにムカついちゃったりして…(^^ゞ

あ、松尾さんはフラッシュに加工してくださっただけでなく(しかも最初は音ありで作ってくださって、それがダメとなると今度は音なしのを作ってくださって…)、このページに貼り付けるところまでやってくださったんですよ〜。ま、実は、フラッシュにしてくださったのは松尾さんで、ソースをいじってレポに貼り付けてくださったのは、松尾さんの奥さんなんですけどね。またもや、松尾さんご夫妻にとてもお世話になってしまいました…この場を借りて、心からありがとうございます!

こうしてみると、撮影の許可を下さった公平さんから撮ってきてくれたおっちゃん、それに色々とサポートしてくださった松尾さんと奥さん、ほんとに色んな方への感謝感激が詰まった動画でもあるんですね〜(*^-^*)


こちらもインペク屋さんが撮ってくれた、おっちゃんと公平さんと、そしてピアノの松田真人さんの3ショットです♪

んまぁ〜お三方ともにこにこして、いい写真ですよね(*^-^*)


編成は、弦(マサさんのグループ:64221)、フルート&中国笛(おっちゃん)、トランペット(菅坂雅彦さん・横山均さん他1名)、トロンボーン(松本治さん他2名)、ホルン(藤田乙比古さん他1名)、パーカッション(草刈とも子さん・高田みどりさん)、ピアノ(松田真人さん)、二胡(マサさん)、指揮(田中公平さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

最初っからショックなお話で始まってしまった今回のレポですが、最後にちょっと嬉しいお知らせを…♪
公平さんのマネージャーさんである當眞さんからの情報によると、この映画は「松屋」以外でも色んなところで展示会が行われ、そこで上映される予定なんだそうです。場所に関しては全くの未定だそうですが、もしかしたらお近くの町に来るかも…ですね。それを願いつつ、展示上映会の成功をお祈りしたいと思いますo(^-^)o

 

 

497 JR東海のCM「そうだ 京都、行こう。 〜夏 延暦寺篇〜」(周防義和)

2008年6月11日。地下鉄千代田線の乃木坂の近くにあるソニーの1スタに行きました。あ、大体どこのスタジオでもAスタ→Bスタ→Cスタ、1スタ→2スタ→3スタ…と小さくなっていくんだそうですが、このソニーのスタジオはAスタとBスタがほぼ(全く?)同じという、おっちゃんが行ってる中では珍しいスタジオなんだそうです。

で、このスタジオではソニー関係の歌もののレコーディングが多いんだそうですが、この日はCMの録音でした。それも、私の大好きな「JR東海」の「そうだ 京都へ行こう」シリーズの音楽録りです。音楽は周防義和さん(^o^)


こちらはその周防さんとおっちゃんの2ショットです♪

シャッターは、ヴァイオリンの桑野さんが押してくださったそうですよ。

写真にマウスを乗せると、満面の笑みで見てるこちらの顔もゆるゆるになってしまいそうな、素敵な周防さんの画像になります。


JR東海のCMではもうお馴染みとなった「My Favorite Things」のメロディー、この曲を今まで色んな方が色んな色彩でアレンジされてきましたが(周防さんも過去に何度もアレンジされてます)今回のアレンジも面白いですよ〜。おっちゃんからも「原曲の味わいをよく残しとるんやけど、新鮮で周防さんらしいアレンジで、さすがやな〜って思うたわ」なんてコメントをもらいました♪

さて、その今回の音楽はちょっとテンポが揺れる感じのアレンジだったそうですが、先にクリックを打ち込んでくださってたので、特に指揮者さんがいなくても楽に演奏できたそうです。まあ、場合によっては「指揮者で合わさないと、クリックだけではどうにも対応できない」って音楽のときもあるみたいなので、今回はそれほど大きな揺れはなかったってことなのかなあ…。

あと、ちょっとしたメロディーの変更なんかもあったそうですが、録音はいたってスムーズに進んで、結局30分ちょいか40分そこそこで終わったとか…で、劇伴とかならここで「はい、お疲れさま!」で帰るところですが、CMの場合はディレクターさんからのOKの上にさらに監督さんなどのチェックが入ることがほとんどなようなので、しばらく監督さん待ちということになったそうです。監督さんも、まさかこんなに早く終わるとは思ってなかったんでしょうね(^^ゞ

ときには、演奏してた時間よりも監督さんを待ってた方の時間が長い…ということもあるようですが、この日は20分くらい待ったところで来てくださったそうで、しかもバッチリOKを出してくださったようで、無事に「お疲れさま!」となったようです(^o^)


こちらは周防さんからいただいた、当日現場での記念写真です。スタジオのアシスタントさんが撮ってくださったそうですよ♪

おっちゃん、周防さん、ヴァイオリンの桑野さんで、前にいらっしゃる綺麗な女性はヴァイオリンの藤家さんという方だそうです(^.^)b


この日の編成は、弦(桑野 聖さんのグループ:64221)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(浦 丈彦さん)、クラリネット(星野 正さん)、ファゴット(大沢さん)、チューバ(佐藤 潔さん)、ホルン(吉永雅人さん他)、エンジニア(小幡幹男さん)でした。

ちなみに、この日に録られた音楽ですが、すでにテレビで放映されています。もう見られた方もいるかとは思いますが、一応こちらのサイトでも見えますよ♪

どうですか? このCMシリーズを何度も手がけられてコンセプトを熟知されてる周防さんだからこそ…みたいなアレンジで、心が躍りますよね。ところで、曲の始まりのメロディーの下で聴こえる「ポポポポ…」みたいなリズムは何でしょう。鳥の鳴き声っぽくも聞こえるけど、はて…? それにしても、このJR東海のCMシリーズって、いつ見ても本当に綺麗ですよね〜。映像も音楽もナレーションも…何ていうか、日常の全てから解き放たれて、異次元の世界に連れていってもらえるような…不思議な魅力と世界観があって、私は大好きです(*^-^*)

皆さんも是非、パソコンよりも大きな画面、いいスピーカーで楽しめるよう、しっかりテレビをチェックしていてくださいねo(^-^)o

 

 

496 映画「ポケモン 〜ギラティナと氷空の花束シェイミ〜」(宮崎慎二)

2008年6月8日。サウンドシティのAスタに行きました。この日は、私がとても楽しみにしていた録音の1つ、映画「ポケットモンスター 〜ギラティナと氷空の花束シェイミ〜」の音楽録りです(予告編の録音レポはこちら)。何でそんなに楽しみだったかって…? だって、仲良しのインペク屋さんからは4月の初めごろには大体の録音スケジュールを教えてもらってましたし、作曲の宮崎さんからも「○日までにあと○曲だ!」なんていう力強いメールをもらってたんで、ほんとに皆さんと一緒に走ってきたような…いやいや、マラソンで言うと、皆さんがランナーとして一生懸命に走ってる横を、私も自転車で並走させてもらったって感じかなあ。とにかく、とても楽しみだったんです(*^^*)

さて、この日のおっちゃんの拘束時間は5時間。実は、おっちゃんはこの録音の前にも映画「アンパンマン」の録音に参加してて、そちらも5時間だったみたいなので、この日はおっちゃんにとって久々にハードな1日となったようです。しかも、この2つの録音の間が30分しかなかったので、もしもアンパンマンの録音が押したりしたら…なんて恐いことも考えたようですが、実際にはアンパンマンは少し早めに終わったので、余裕を持ってこのポケモンの録音があるサウンドシティに来られたそうです♪

こうして、おっちゃんがスタジオに着いて「やれやれ…ちと休憩♪」なんて思ってるころには、インペク屋さんの方は大忙し。ほら、前に「インペク屋さんのお仕事 Q&A」ページでお話しましたが、インペク屋さんというのは、録音の前に各セクションに楽譜を配ったり、メンバー表をコピーしたり…と、色んな準備があるんでしたよね。で、この「楽譜を配る」というのは、その日に演奏する曲の順番に合わせて楽譜を並べて配っていくそうなんですが、この日は写譜屋さんが2社さん入ってたそうで、まず2社さんからそれぞれにパート譜をもらって、それを今度は演奏順に並べて、さらに各パートに配り歩いて…と、けっこう大変だったそうです。おまけに、何とこの日は演奏する曲数が約50曲もあったみたいですしね(;^_^A

そうそう、事前の準備といえば、エンジニアさんも録音の何時間も前からスタジオに入って、あれこれ準備するんですよね〜。このあたりは、ぜひ中村さんのブログこちらを読んでみてください。私なんかの説明よりずっとずっと詳しくて、しかも「へえぇ〜こんなことがあったんだぁ…」と息を呑んでしまうと思いますよ(^.^)b


こちらは、おっちゃんのいる場所から見たストリングスセクションです。

この日は、最初66442で始まって、後半は64221という編成になったとか…。この、前半はファーストヴァイオリンとセカンドヴァイオリンが同じ数っていうのは、何かしら宮崎さんの狙いがあったんでしょうかo(^-^)o

写真にマウスを載せると、トップの小池さんがアップになりますよ〜。


↑で小池さんのアップを見て分かるように、小池さんはとっても大きなマスクをしてるんですよね〜。咳がひどい…とかでマスクをされてたそうですが、とにかく辛そうだったみたいです。インペク屋さんからもおっちゃんからも、すごく心配している声が届きました(>_<)

で、この録音のあとに小池さんご本人に聞いてみると、このときはお医者さんに入院を勧められるほどひどい状況だったとか…それでも入院はせず、点滴だけしてもらって現場に臨み、現場では栄養ドリンク(ユン○ルとか…)を飲んで演奏して、その効き目が切れてきたらまた飲んで…って感じだったそうですよ。ほんと、このプロ魂には私もインペク屋さんもウルウルするくらい感動しましたし、エンジニアの中村さんもご自身のブログで「あんな状態で数時間もコンマスするとは、さすが超一流のミュージシャン…」と大絶賛でした。

その小池さんの風邪ですが、実は何と「百日咳」だったんだそうです。百日咳ってもともとは小さな子供がかかる病気ですが、今年2008年の春は成人の間で大流行の兆しがあったんですよね。で、小池さんはその流行の最先端をいってたってわけなんです。いや〜当時はほんとに心配しましたが、今はすっかりお元気なようでホッとしました(*^^*)

あ、体調が悪いと言えば、この日はそのいう中村さんも朝から少し体調が悪かったそうですが、こちらは本番が始まるのと同時にどこかへ吹っ飛んでしまったそうです。良かった、良かった(^o^)

その中村さんからは「今回‘わたし’の録りとしては珍しく、トランペットとトロンボーンのセクションをパーティションで区切られた別ブースで録りました。トランペットの寺島さんからの要望ということもあるけど、今回は曲数が多かったんで、もしブラスでミスがあったときに別々に録り直しができるから有利なんだよね〜。」とのお話が聞けました。なるほど、ただでさえ曲数が多くて時間が厳しいのに、それで何曲も全体で録り直してたら、えらいことになりますよね…(@_@;)

でも、中村さんからはこんなお話も…「音的にはトランペット側が狭くなり過ぎるので逆にちょっと不利なんですけど、その分は録り直しの回数が減ることによって、精神的にも演奏の音的にもプレーヤーのベスト・パフォーマンスを引き出せる、ということでブースをわける方を選びました。生は良いプレイがあって‘なんぼ’のもんですからね〜。」だそうです。

そうかあ… 間仕切りを入れることでブースが狭くなるから、音の残響(?)とかの部分では難しいものがあるのかもしれませんね。でも、それよりも、短い時間で少ない演奏回数で良い演奏を…ってことですね。こうして演奏者の心境を思いやる…というお話は、前にエンジニアの伊豫部さんからもレポの中で何度かお聞きしたことがありましたが、これこそがいい音楽を作る上での原点なんでしょうね(^-^)


こちらは木管セクションです♪

現場にいたスタッフの方から「指揮の中谷先生はずっと腰が痛そうで…ヴァイオリンの小池さんはずっとマスクマンで…ブラスはずっと吹きっぱなしで大変そうで…木管は適度に休憩があって楽しそうだった(笑)」なんてお話を伺ったんですが、ふむ…確かに何か楽しそう(^o^)


その宮崎さんの音楽は、おっちゃんの話によると「後期ロマン派の情景描写のようなイメージが強かった」だそうです。はて…「後期ロマン派」って、どんなんだっけ? どんな人がいたんだっけ? さっぱり想像がつかないので調べてみると…ブラームスやフォーレ、それにドビュッシーやラヴェルがいた時代みたいですよ。私はクラシックにも詳しくないんですが、骨太で…でも美しいメロディがあって…しかも荘厳な雰囲気があって…みたいな感じを一生懸命に想像してます。ああ〜早く実際に聴いて確かめてみたいなあo(*^^*)o

また、おっちゃんからは「宮崎さんのカラーが今までよりもよく出てた気がした」ってコメントがあったんですが、」小池さんからも「一昨年にレコーディングしたポケモンのレコーディングの時よりも、より作風が自然に感じましたし、何よりも宮崎さんのサウンドがとても良く表現されていた楽曲が多かったように思いました」なんてコメントをいただきました。ほほぉ〜宮崎さんらしさがあふれた2008年のポケモンの音楽、ますます楽しみになってきましたよ〜!

それにしても、この日の小池さんはほんとに大変な状況だったみたいなのに、よく現場のことを覚えてくれてました…感激です。小池さんからは「あんな半虚ろな状態だったけど、身体が宮崎さんのポケモンのフレーズというか、ノリを覚えているんですね。楽器を構えて弾き出すと、本当に不思議なくらい身体が動いて自分自身がポケモンの世界になるんです」なんてお話も聞かせてもらったんですが、ここに小池さんのお仕事への姿勢や音楽への愛情がハッキリと見えるでしょ〜。ほんと、素敵な方です(*^^*)

この日のメンバーは、弦(小池弘之さんのグループ:66442→64221→2222)、フルート&リコーダー(おっちゃん)、フルート&ピッコロ(金子奈美さん)、オーボエ&イングリッシュホルン(石橋雅一さん)、クラリネット(十亀正司さん)、ハープ(朝川朋之さん)、トランペット(寺島昌夫さん・斎藤幹雄さん・石井憲一さん)、トロンボーン(松本 治さん中川英二郎さん・山城純子さん)、ホルン(南浩之さん・中島大之さん・丸山勉さん)、パーカッション(高田みどりさん・藤井珠緒さん)、指揮(中谷勝昭さん)、エンジニア(中村充時さん)でした。

ふふ…この日の編成を教えてもらったときのインペク屋さんのメールに「Tb:松本治さん・中川英二郎さん・山城純子さん(最強トリオ)」って書いてあったのを思い出しました。確かにその通りなんですが、こうしてちゃんと文字にして書いてるのを見ると、何だかおかしくて…とってもユニークなインペク屋さんなんですよ♪

この映画、7月19日(土)から全国一斉ロードショーとなります。今回の作品は、2007年に公開された「ディアルガ VS パルキア VS ダークライ(録音レポはこちら)」の続編で、しかも3部作の中の2作目に当たるということで、映像や音楽はもちろん、内容もとても重要な意味を持つ作品だと思います。ぜひ映画館の大スクリーンで、音符が渦まくような大音響の中で、楽しんでもらいたいと思います。もちろん、私も子供たちと観てきますo(^-^)o

 

 

495 アニメ「キャシャーン Sins」(和田 薫)

2008年6月4日。アバコの301スタで、和田薫さんによる新作アニメの音楽録りが行われました。その名も「キャシャーン Sins」です。この「キャシャーン」という作品は、最初は1973年に全35話のテレビアニメとして放映され、その後1993年には全4話のOVAとなり、さらに2003年にはシンガーソングライターの宇多田ヒカルさんの元ご主人である紀里谷和明さんの手によって映画化もされたものなので、ほとんどの方が一度はタイトルを耳にしたことがあるかと思います。で、今回はその最初の放映から実に35年ぶりに、テレビアニメとしてリメイクされるようですよ(^.^)b

そのいう私は、最初の放映のころに生まれたので、作品そのものの記憶はほとんどないんです。きっと夏休みとかに再放送されたりしてたんでしょうけど、あまり見てなかったようで…だから、今回とても楽しみにしてるんです。和田さんのお話では「とっても暗い内容」とのことですが、はてさてどんな音楽になったんでしょうか!?o(^-^)o


こちらはバスマリンバを演奏中の小竹満里さん♪

写真にマウスを乗せると別カットの小竹さんになりますが、どちらも綺麗〜☆・:.,;*

何ていうのかな…小竹さんの立ち姿やマレットとマリンバの間にある空気みたいなものが全て絵になるんですよね〜。で、あまりに綺麗で見とれちゃったんで、2枚とも使わせていただきました(^.^)b


そうそう、今回の録音はかなり前から「和田さんの劇伴」ということで5時間ほど押さえられてたそうですが、最終的には8時間もの拘束予定になったそうです。ほとんどの場合は、最初に長めに押さえられていて、録音当日が近づくにつれて拘束時間が短くなっていくそうなんですが、どうして今回は逆になったんでしょう…。

制作者サイドさんから和田さんへの曲のオーダーがどんどん増えていったのか、それとも和田さんの方でどんどん曲が浮かんできて「あれも試したい」「こんなこともやってみたい」なんて感じで増えてきたのか…どちらにしても内容が濃くなってるのには間違いないので、さらに楽しみが増えました♪


こちらは梯さん♪

タブラという北インドの楽器を調整しているようです。

で、ちょっとネットで調べてみると、この「タブラ」は正確にはタブラ(高音用)とバヤ(低音用)という2種類の太鼓で成り立っていて、写真のような組み合わせは「タブラ・バヤ(タブラバヤン)」なんて呼ばれたりもしてるそうですよ(^.^)b


あ、さっき「和田さんの話では、とっても暗い内容らしい…」ということを書きましたが、そのせいか、この日の音楽は全体的にテンポの遅い曲が多かったそうです。あの楽譜の最初の左上とかに書かれてるテンポの記号で言うと50台の曲が多く、いちばん遅いのは「48」というテンポだったそうです。50台にしても48にしても1拍が1秒より遅いテンポなんで、かなりゆっくりした重々しい感じの曲なんでしょうか…ふふっ、和田さんの得意分野(?)だったりしますよね♪


こちらは副調室から見たフロアの様子です。マサさん率いるストリングスグループの皆さんが頑張ってらっしゃいますね♪

写真にマウスを乗せると、おっちゃんの席の様子になりますが、この店開きっぷりはすごいですよね(^o^)


こうして録音は順調に進み、録音を終えた人から順番に帰っていく中で、おっちゃんとパーカッションの梯さんだけは居残りとなったようです。そこへ田代耕一郎さんがいらして、めでたく「和田薫と愉快な民族楽団」がそろうことになりました。そういえば、同じく和田さんの作品で「ムシキング」の録音のときに初めて「おっちゃん・梯さん・田代さん」の3人による「民族楽団」のお話をしましたが、今回もこちらのメンバーの職人技によって、和田さん独特のエスニックワールドが繰り広げられるようですo(^-^)o

このあと男声コーラスも入ってきたんでおっちゃんはブースに移動したそうですが、そのコーラスと一緒にやったという曲のコーラス部分はメロディーらしきものはなく、ほとんど掛け声みたいな感じのものばかりだったとか…。それって、もしかしたら和田さんの純音楽「民舞組曲」の中の「囃子」のような、男性のいさましい掛け声なのかなあ。私はああいうの好きなんで、ちょっとドキドキしてます♪

で、その曲の中でのおっちゃんの方は、前の録音(D.Gray-manの追加録音)のときから和田さんに相談を持ちかけられていたという低音のパンパイプを使ったそうです。しかも、これもメロディーらしきものはなくて、何ていうか…息を強く吹き込んで「ぱふっ」って言わせるような感じの、息の音とアクセントを強調した打楽器的な使い方をしたそうです。あ、ちなみに、音は低いAの音(ラの音)ばかりだったそうですよ。言葉で聞くだけなんで何とも言えませんが、こういう奏法って今までになかったような…何か、和田さんの新しい世界が見えてきそうで、わくわくしますよねo(^∇^)o

あと、パンパイプを使う曲がもう1曲あったそうですが、こちらは早い8分の6拍子で、おまけにけっこう忙しく動き回るパターンだったそうです。でも、和田さんがパンパイプの制約をよく考慮して書いてくださってたようで、細かい音符もそう苦労せずに吹けたそうです。こういうお話を聞くと、つくづく「作曲家さんって、色んな楽器のことを知っててすごいなあ!」と思います。

また、何よりもまず、演奏者のことを思って作家さんなりに楽器について調べたり、演奏者さんに聞いてみたり…演奏者さんもその作家さんの気持ちに応えようと一生懸命に説明してあげたり…そういう心の通い合いや、そういうことの上に出来上がっていく音楽というのがほんとに素敵だなあと思う私です(*^-^*)


こちらは打楽器セクションの皆さんです(*^^*)

左から小竹満里さん、高田みどりさんで、グレーのジャケットを着てらっしゃるのが最近は作・編曲家さんとしても活躍されてる藤田崇文さん、それに民族楽団の梯郁夫さんです。

で、写真にマウスを乗せると、この日の主役である和田さんとの2ショットになります☆彡


実は、この和田さんの写真については、和田さんから「不精ヒゲが生えてるから、小さめにしてね」って言われてたんですが、これもなかなかワイルドでいいじゃないですかぁ〜ねえ? そんなわけで、逆にちょっと大きめにしてみましたよ(^.^)b

…って、私ってば、最近ちょっとマサさんの性格に似てきたような気がします(^^ゞ いやいや、でも、やっぱりこの和田さんも素敵ですって〜! しかも、これだけ「書き」に集中してたって証なんですから、ちゃんと残しておきましょう♪

この日のメンバーは、弦(マサさんのグループ:86442)、フルート&アルトフルート&ピッコロ&リコーダー&ケーナ&パンパイプ(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(星野 正さん)、ファゴット(前田正志さん)、ハープ(朝川朋之さん)、トランペット(大倉滋夫さん・西村浩二さん他1名)、トロンボーン(奥村晃さん・門脇賀智志さん・山口尚人さん)、チューバ(佐藤和彦さん)、ホルン(吉永雅人さん・今井仁志さん他1名)、パーカッション(小竹満里さん・高田みどりさん・梯郁夫さん)、ギターいろいろ(田代耕一郎さん:後入れ)、コーラス(男声3名・女性ヴォーカル:広谷順子さん)、シンセオペレーター(斎藤仁さん)、指揮(和田 薫さん)、エンジニア((山田正弘さん・金子裕一さん)でした。

この「キャシャーン Sins」は、2008年10月1日の深夜25時30分からテレビ埼玉でスタートするのを皮切りに、10月2日の深夜25時55分からMBS毎日放送で、10月3日の深夜25時58分からはテレビ愛知で…と、続々スタートするようです。どうぞ、お楽しみo(*^^*)o

 

 

494 アニメ「D.Gray-man」の追加録音(和田 薫)

2008年5月21日。AVACOの301スタに行きました。この日は和田 薫さんのお仕事だと聞いていたおっちゃんですが、拘束時間が2時間と短いので「劇伴にしては短いし、何やろなあ…」と首をかしげてました。でも、私はこの録音のちょっと前に和田さんと交わしたメールの中で「ヴァイオリンの天満敦子さんのアレンジ5曲とオリジナル2曲の録音、それに名曲アルバムの編曲に大阪センチュリーのこどもコンサートの委嘱曲、おまけにアメリカで初演の新作にD.Gray−manの追加録音、新作アニメの録音に…で、もう笑うしかない(^^ゞ」なんてお話を聞いてたんで、もしや…と思ってました。そう、案の定「D.Gray-man」の追加録音です(^.^)b

このアニメ、私もときどき見てるんですが、けっこう恐いんですよね…アニメがスタートした当初は「アクマ」なんて名前のアイテム(?)なので、小中学生くらいをターゲットにした軽めのサスペンスホラーアニメかなあと思ってたら…いやもう、大人でもゾゾッとするシーンも多いんです。絵が丁寧だから、余計にリアルに感じるのかなあ。まあ、それを助長してるのが、和田さんの音楽なんですけどね♪


こちらは副調室の様子です。

何やら人がたくさんいて、皆で一点を見つめてますね。何を見てるんだろう…それともサウンドのチェックとかで、皆で集中してるところなのかな?


あ、恐い…で、思い出した!
いつだったか仲良しのインペク屋さんと話したときに「ゆみさん、真夜中に鬼太郎やってるの知ってる?」って聞かれて「うんうん、何度か見たことあるよ!」って答えたあと、ほんとに見事に2人が声をそろえて「何、あれ…こ、恐い、恐いよねえ(@_@;)」って言ったんです。だって、ほんとに恐いんですもん。とても真夜中に見る番組ではない気が…あ、真夜中だから余計にいいのか?

とにかく、その真夜中にやってる鬼太郎っていうのが「墓場鬼太郎」っていって、これまた和田さんが音楽を手がけられてる作品なんですよ。和田さん、あまりにハマりすぎ…ほんとに恐い(>_<)

私は夜中にレポ編集してることが多いんですが、そのときに自分がレポさせてもらった作品の録画ビデオを見たり、リアルタイムで放送されてるのを見たりしてるんです。だから、どうしてもテレビの画面はチラ見で音楽だけ聴いてるってことが多いんですが、その音楽だけでゾッとして、思わず自分の後ろに誰かいないか確認したりしちゃいますよ。で、そのインペク屋さんとも「あの手の音楽はもう、和田さんにしか書けないよね!」って言い合ったのを思い出しました(^^ゞ


こちらは、おっちゃんのブースから見たホルンの吉永さん。

写真にマウスを乗せると、同じくブースから見た、和田さんの後ろ姿の写真になります♪


ああ、脱線が長くなりました。とにかく、そんな和田さんの(どんな和田さん?)もう1つの恐い系の作品「D.Gray−man」の録音は、今回で4回目となります。こうして追加録音があるってことは、これからもまだまだ続くってことですよね〜。和田さんの音楽ファンとしては、嬉しい限りです♪

そうそう、すでに発売されてる「D.Gray-man」のOSTが2枚ありますが、そのうちの1曲が和田さんのサイトのトップから聴けますよ。でも、たった1曲だけだし、残念ながら少し音質が悪いようで、せっかくの和田さんの世界が見えにくいかも…でも、ぜひ一度はトライしてみてくださいね。この「D.Gray-man」って、ただ恐いだけでなく、不気味な中にも荘厳な雰囲気がただよう曲があったり、すごく骨太な感じの曲があったりして、かなり楽しめるんですよ(^_-)-☆

さて、新録された音楽ですが、やはり今回もどこか不気味な感じのがメインだった中に、1曲だけシンセの打ち込みを思わせるような、同じパターンの繰り返しが延々と続く曲があったそうです。こういうのって「Ostinato(オスティナート)」って言うんでしたっけ? 確か、和田さんのお師匠さんである伊福部さんの音楽の大きな特徴の1つだ…って聞いたことがある気がするんですが、そんな感じなのかな〜? とにかく、あの録音からもう1ヶ月くらい経つんで、ぼちぼちオンエアで使われてるかも…です。これはまたチェックしないと!


こちらは棒を振ってる(?)和田さんです。

和田さんから見て指揮台の左側には、どんな楽器の人がいるんでしょう…?

あ、左端には、ホルンの吉永さんがいますね(^.^)

写真にマウスを乗せると、和田さんが大きくなりますよ♪


この日の編成は、弦(マサさんのグループ:86442)、フルート&ピッコロ(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(星野正さん)、ファゴット(霧生吉秀さん)、トランペット(大倉滋夫さん・岡崎耕二さん・杉本淳一朗さん)、トロンボーン(萩野 昇さん・野々下興一さん・宮下宣子さん)、チューバ(佐藤 功さん)、ホルン(吉永雅人さん・今井仁志さん・和田博史さん)、パーカッション(藤田崇文さん・大石真理恵さん・薄田真樹さん)、ハープ(朝川朋之さん)、打ち込み&指揮(和田 薫さん)、エンジニア(山田正弘さん・金子さん)でした。あと、ダビングで東京混声合唱団の女声4名によるコーラス録りもあったそうですよ(^.^)b

そうそう、ファゴットの霧生さんとおっちゃんがお会いするのは久々だったそうですが、おっちゃんと霧生さんは同い年なんだそうです。NHK交響楽団を退団されたあともこうして元気に活躍してらっしゃるのを見て、おっちゃんもとても励まされたそうです。うんうん、おっちゃんにももっともっと頑張ってもらわないとね(^_-)-☆

「D.Gray-man」は、毎週火曜日の夕方6時から、テレビ東京系で放送されています。ぜひ見てみてくださいねo(^-^)o

 

 

493 塚山エリコさんのアルバムレコーディング(塚山エリコ)

2008年4月20日。サウンドシティのAスタに行きました。この日は塚山エリコさんとのお仕事で、おっちゃんは「教材かなあ…」なんて言ってたんですが、詳しいことはまだ分かってません。とにかく、塚山さんがアレンジされたという3曲を録音したそうです。あ、その3曲のうちで、おっちゃんが参加したのは2曲です(^.^)b

そうそう、この日は珍しくマサさんからも「今、おっちゃんと一緒に塚山エリコのお仕事してるよ?彼女のHPに写真が載るはず…」なんてメールが来てたんですが、はいはい確かに載っております。それも、楽しそうな写真がいっぱい…ぜひ塚山さんのBLOGのこちらや、Galleryの「Vol.81」を覗いてみてくださいね♪

さて、そんな楽しそうな録音の1曲目は「君は1人じゃない」というタイトルで、おっちゃんはリコーダーで参加です。この曲、イントロとコーダに1小節だけリコーダーが2声になるところがあったそうですが、塚山さんが↑でご紹介したブログ用の写真を撮りにブースにいらしたときにソプラノとアルトの両方を聴いてもらって、結局ソプラノリコーダーに決定したそうです。


写真はおっちゃんの携帯カメラで撮ったものですが、塚山さんがデジカメ片手にあちこちを撮影されてますよね♪

写真にマウスを乗せると、平原さんを中心としたフロアの様子が見えます(^.^)b


この曲は、ほかに間奏の部分にオカリナのソロがあったそうですが、これは塚山さんからの「高めの音色がいい」というご要望を受けて、いちばん小さいC管のオカリナで吹いたそうです。まあ、曲のキーはDだったそうですが(キーがDの曲を何でC管の楽器で吹けるのかは私には不明(^^ゞ)塚山さんが「美味しい音域」で書いてくださってたそうなので、とても気持ちよく吹けたそうです。この「美味しい音域」ってのは…私が思うに、多分その楽器が持ってる最低から最高までの音域の中の最も綺麗に響くあたりで動くメロディや、運指などが楽なメロディ…って意味なんだと思います。

こちらはアルトリコーダーを吹くおっちゃん。

写真にマウスを乗せるとC管のオカリナを吹いてる画像になりますが、ほんとちっちゃいオカリナ…何だか穴を押さえるのが大変そうですね(@_@;)


この曲のあと1曲はお休みとなり、3曲目の「ともだちの唄」にピッコロで参加しました。おっちゃんが「ともだちの唄って…おなじみのヤツじゃ」なんて言ってたんですが、どの曲のことなんでしょう…「ともだちのう唄」ってタイトルの曲、けっこう多いんですよね〜。で、どこかでMIDIがないか、動画で見えないかと探してみたんですが、これがなかなか見つからなくて…。

とにかく、この曲の楽譜を見ると、ほとんど5線の中の音域でピッコロで吹くにはかなり低い印象があったそうです。で、最初はおっちゃんも「こういう音色が狙いなのかな?」なんて思ったそうですが、塚山さんはいつも「その楽器の1番やりやすいところ(いわゆる↑で書いた‘美味しい音域’ってとこ?)でやって下さい」っておっしゃることが多いようですし、よく見たらピッコロでは出せない下のCやC#まで出てきてたので、思い切って全体を1オクターブ上げて吹いたそうです。

ところで、このピッコロのメロディはクラリネットと同じ動きをするんだそうですが、こうして1オクターブ上げたことによって、クラリネットとは実音で2オクターブと3度という関係になるんだそうです。はあ〜もう私には何が何やらって感じですが、そのあたりが気になったおっちゃんが塚山さんに聞いてみると、それでOKとのことで無事にこの日の録音が終わりました。


こちらは、おっちゃんのカメラに向かってダブルピースサインをするマサさん。

写真にマウスを乗せると、マサさんだけがアップになりますよ♪


この日に録られた3曲が収録されたアルバムに関しては、また詳しい情報が入り次第にこちらかBLOG(おっちゃんの仕事場探検ミニレポ集)でお知らせしますねo(^-^)o

こちらは塚山さんがデジカメで撮って送ってくださったフロアの様子です。やっぱり、携帯カメラよりずっとハッキリしますよね♪

写真にマウスを乗せると、神奈川フィルのコンマス・石田泰尚さんと伊能修(いよく おさむ)さんの部分がアップになります(^.^)b

あ、実は今回のレポの写真は、最初にある携帯で撮った写真以外は全て、塚山さんが撮っておっちゃんに送ってくださったものです。塚山さん、素敵な写真の数々をありがとうございましたm(__)m


この日の編成は、弦(マサさんのグループ:1曲目と2曲目が4400で3曲目が1000…マサさんのソロ)、リコーダー&オカリナ&ピッコロ(おっちゃん)、サックス&クラリネット(平原まことさん:2曲目がサックスで3曲目がクラリネット)、、ドラムス(岡本敦夫さん)、ベース(渡辺直樹さん)、ピアノ(山田秀俊さん)、ギター(小堀浩さん)、打ち込み(塚山エリコさん)、エンジニア(塩澤利安さん)でした。

最後におまけとして…

↑の2枚の写真も、マサさんの手にかかるとこうなります…(;^_^A

ちなみに、右側の「22人」ってのは「フラれた女の数…」とのことですが、真相や如何に!?

それにしても、左側のは写真と文字が妙に合ってる気がしておかしいですよね(^^ゞ

 

 

492 ミサワホームのCM(樋口康雄)

2008年4月14日。西麻布にある、オンエアースタジオのAスタに行きました。この日はちょっとお久しぶりになる、ピコさんこと樋口康雄さんのお仕事です。おっちゃんの拘束時間が2時間と短かったので、2人で「劇伴にしては短いし…ほな、歌のアレンジかな?」なんて話してたんですが、今回は「ミサワホーム」のCMの音楽録りでした。

さて、現場で配られたパート譜を見ると、ほぼ1ページいっぱいに音符が並んでいたので、おっちゃんは「これは60秒タイプなのかな?」と思ったそうです。ご存知のように、CM音楽というのは「15秒」「30秒」「60秒」と、きちんと時間を決められた何タイプかがありますからね(^.^)b

でも、実は今回のは「60秒」タイプではなくて、短いパターン(多分15秒タイプ用?)を5ヴァージョンくらい続けて書かれてたんだそうです。もしかして樋口さんは、紙の無駄遣いにならないよう意識されたんでしょうか…真相は不明ですが、資源は大事にできるし、譜面台の上もスッキリするし、いいことですよね♪

で、その5ヴァージョンの中からどれか1つを選ぶ…ということだったらしいのですが、録音が始まる前にすでに「最初の2つはやりません」との連絡があったそうです。一度も演奏されずに消えていくとは、何てもったいなくて気の毒な樋口さんの音符たち(>_<)

そうそう、おっちゃんが現場でインペク屋さんに聞いたお話によると、今回の録音はけっこうギリギリまで編成や録音時間が決まらなかったそうです。また、現場でも、監督さんやクライアントさんから色々と注文が出ていたようで、↑でお話した残りの3ヴァージョンをまず仮録音して、それをスタッフの皆さんで聴きながら検討して(その間、おっちゃんたちは休憩♪)、検討の結果その3ヴァージョンをミックスして、さらにそれにその場で樋口さんが新たに書き加えられて録音して、そうして録音したのを皆で聴いて、またちょっと書き加えて録音して…を繰り返したという、ほんとに力の入った作品のようです。

そんな試行錯誤の上に仕上がったCMはミサワホームのHPのこちらで聴けます。真ん中の、幼稚園児が映ってる分ですね(^.^)b

わずか10秒もない音楽の中で弦やピッコロは細かく動き回って大変だったそうですが、実はこの音楽のメインは低弦とブラスなんだそうですよ。おっちゃんも最初は「こんなに録り直して、一体どんな音楽になるんやら…」って思ってたそうですが、無事に録音が終わってプレイバックを聴いたときには「さすがピコさん!」と、その音楽のカッコ良さに感激したそうです。ほんと、あのほんの一瞬の音楽の中に、すごいドラマがありますよね♪

編成は、弦(石田泰尚さんのグループ:44221)、ピッコロ(おっちゃん)、トランペット(菅坂雅彦さん)、バストロンボーン(山城純子さん)、ホルン(南浩之さん他1名)、ピアノ(大隅一菜さん)、パーカッション(後入れ:一丸聡子さん)、ハープ(後入れ:田口裕子さん)、打ち込み&指揮(樋口康雄さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

ところで、この日の弦のトップは、マサさんではなく石田さんになってますよね。これを見て、石田さんもオケのお仕事のほかにマサさんみたいにグループを作って活動されてるのかと思ったら…マサさん曰く「僕が行けなかったから、石田をトップってことで僕が集めてあげた」だそうです。また、パーカッションとハープはブースが足らなくて入れなかったそうなので、あとでダビングという形になったみたいです。

何はともあれ、拘束時間をフルに使った、やり応えのある録音でした(*^-^*)


 

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