おっちゃんの仕事場探検

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劇伴(映画・ドラマ・アニメなどのBGM)がどんなところで、どんな風に作られているのかを、おっちゃんから聞いたお話を中心にレポートしていきます。レポートの番号が進むにつれてだんだんと内容が濃くなり、ときには作曲家さんやエンジニアさんからいただいたコメントも出てきます。

ただし、これらは録音時の記録が主になっているので、実際にオンエアまたはリリースされたときにはタイトルが変わってる…なんてことも稀にあります。また、私の音楽の知識やパソコン技術の問題などによりお見苦しい点も多いかと思いますが、あたたかい目で読んでいただけると嬉しいです(*^^*)

こことは別の「スペシャルレポート」「オフラインレポート」などのページでも作曲家さんやエンジニアさんのお仕事ぶりやオフのときの様子をご紹介していますので、合わせてご覧下さい。

最後に…どうぞレポートをご覧になってのご意見・ご感想などを、ゲストブックやメール・ウェブ拍手などを通じてお聞かせください。今後の参考に、そして励みにさせていただきたいと思います。よろしくお願いしますm(__)m

 

 

 

 

542 映画クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶ 黄金のスパイ大作戦」(荒川敏行・多田彰文)

2011年3月23日。東日本大震災による被害・原発問題・計画停電などの影響でたくさんの録音が延期やキャンセルとなっている中、この日は何とか劇場版クレヨンしんちゃんの19作目となる「嵐を呼ぶ 黄金のスパイ大作戦」の音楽録りが行われました。場所はビクターの301スタです。

未曾有の大震災から10日あまり。繰り返し報道される現地の惨状に、何も被害がなかった人たちが自らの無事を申し訳なく思ったり、普通に仕事をすること・普通に暮らすことに戸惑いを感じる人が増えていた時期でもありました。でも、こういうときだからこそ、それぞれが自分にできることを探して、それを精一杯がんばる…「生」の流れを止めないこともまた大事なんですよね。微力ですが、私も相次ぐ強い余震の中で「クレヨンしんちゃん」という作品を通して子供たちに笑顔を…と、がんばった皆さんのことを少しでもお伝えできたらと思います。


公式サイトを参考に今回の物語を簡単にお話すると…ある日しんちゃんの目の前に「レモン」と名乗る少女が現れるんだそうです。で、彼女はしんちゃんに「君も今日からアクションスパイだ。正義のために一緒に戦おう!」というアクション仮面からのメッセージを見せるんだとか…。

しんちゃんのあこがれのヒーローであるアクション仮面からの命とあって、すっかりその気になって訓練を受けるしんちゃん。そして、無事に訓練を終えたしんちゃんはレモンとコンビを組んで、アクション仮面からの指令に従って「ヘーデルナ王国」に乗り込んでいくんだそうです。

ところが、そこではしんちゃんが予想だにしていなかった事態が…!
正義・裏切り・友情・秘密…今回も最初からハラハラどきどきしっぱなしのお話のようですよ。


さて、今回の音楽は荒川敏行さんと多田彰文さん、そして昨年の夏にイマジンに入社された井内啓二さんという若い作家さんの3人で音楽を担当されたそうです。多田さんは前作に続いて2作目ですね〜。しんちゃんが大・大・大好きな多田さん、今回はどんなお気持ちで臨まれたんでしょうか…多田さんにいただいた素敵なコメントをレポの後半でご紹介しますので、お楽しみに(^_-)☆

で、この日はたった1日で60曲以上も録音するという、すごいスケジュール。おっちゃんは午後から夕方にかけて行われた、弦と木管とホルンによる録音に参加しました。ちなみに、その前にはギターの録音が、夕方以降はブラスやピアノの録音があったそうですが、今回のレポではおっちゃんが参加した部分のことを書きたいと思います。

事前にインペク屋さんの方から「フルートとオカリナ」というオーダーがあって、おっちゃんとしてはどんなメロディにも対応できるように手持ちのオカリナ全部を持って行きたかったそうです。でも、この日は諸事情によって電車で行くことに…。仕方なく6〜7本を選んで持って行ったそうですが、はたして上手くいったんでしょうか!?


これはコントロールルームの様子です♪

おっ…画面の左端に斜め後ろ姿だけ見えてるのは、田中公平さんのマネージャーさんである當眞さんじゃないですかねえ?

そして奥には充時さんが、その手前には荒川さん(右)と井内さん(真ん中)がいらっしゃいますね。

井内さんはまだお若いようですが、もうこうした現場にとても慣れてらっしゃるようで、ここから様々な指示をテキパキと出されてたそうです。その様子におっちゃんも感心してました。


現場でもらった編成表を見てみると、オカリナを使った曲は全部で3曲。3曲とも荒川さんが書かれたもので、♯が4つのEdur(ホ長調)だったそうです。で、メロディからするとBナチュラル管で吹くのがいいかなあと思ったそうですが、そのBナチュラル管は1オクターブ高い音が出るのしかない…。とりあえず、そのBナチュラル管とC管で吹いて聴き比べてもらったところ、低めの音…つまり楽譜に書かれてるままの音がいいとのことで、C管で吹くことになったそうです。

…とか知った風な口ぶりで書いてますが、実は私自身は「ホ長調の曲をBナチュラル管とC管で吹いたら、それぞれどんな感じになるの?」ってな感じで、あんまりよく分かってません。何ていうか、高いか低いかで…つまりソプラノリコーダーとアルトリコーダーの違いみたいな感じで低い方が選ばれたのかなあってくらいにしか分かってなかったりします。このあたりはもう、分かる方だけ「ほうほう」って楽しんでくださいね(^^ゞ

そのC管でやったオカリナのフレーズですが、低い音域のところでちょっと動きにくいフィンガリングになるところがあったようで、それは替え指で対応したそうです。替え指っていうのは、たとえば普通は中指で押さえてる穴を、そのときだけ人差し指で押さえるようにするってことです…って、そんなことまで説明はいりませんかね(汗)とにかく、オカリナはあんな丸い形をしてて穴の並び方も均等じゃないんで、ほかの楽器に比べると替え指を使う頻度が高いみたいですね。ちなみに、オカリナは♯や♭がつくのは特に問題ないんですって。ふむふむ…聞けば聞くほど奥の深い楽器ですねえ。

で、おっちゃんに「ほな、今回のはちょっと難しかったって感じ?」って聞くと「いや、それほど難しいはなかったんじゃ。何や荒川さんってジャズサックスを吹くらしいてな、要所要所に同じ管楽器奏者さんとしての気配りを感じるっていうか…とにかく良かったわ」なんてことを言ってました。3曲ともほぼ同じフレーズだったみたいですが、これは気になりますね〜!


右の写真は小池さんのグループで、真ん中の奥にいるのが小池さん♪

この時期になると花粉症がひどくて大変っていう小池さんですが、このときは大丈夫だったんでしょうか…。

あ、小池さんも最近ツイッターを始められたんで、いままでみたいなメールだけのときよりお話する機会が増えて嬉しいなあと思ってる私です(^O^)


ところで、おっちゃんが送ってくれた編成表を見ると、今回は1曲ずつの時間がとても短いんです。2分を越えるような長いものは片手ほどで、ほとんどは1分未満。短いものだと10秒そこそこってのもわりとありました。これからも分かるように、今回は絵の細かい動きに、音楽をぴったり合わせてるようですね。こういうのを「フィルムスコアリング」って言うそうです。ちなみに、多田さんが作曲されたものの中にフィルムスコアの極致みたいなのがあるそうですよ〜。しんちゃんがどこかに忍び込むシーンのところだとか…これは是非とも映画館でチェックしないと、ですね♪

でも最近はここまでぴったり合わせずに、1つのシーンをもっと大きなくくりで捉えて、その間は1曲を通して流す…そしてその上でキャラが様々なやりとりをする…なんて演出も増えてきてるみたいです。こういうのは監督さんの考えによるところが大きいんですって…って、これは別のレポをやってるときに教えてもらった話なんですけどね(^^ゞ

今回のように細かく音楽を合わせると、キャラやそのシーンがとても生き生きして視聴者との距離がグッと縮まりますよね。でも、さっき書いたようなもっと大きなくくりで考えるって方法だと、音楽を長くじっくり楽しめるし、物語の流れを追いやすいってこともあると思います。ああ、どっちもいいな〜!…というか、こういうところ1つ1つに制作者さんたちの色んな思惑があって、それぞれに熱を注いでるって姿にドキドキするんです(*^^*)

 

さあ、多田さんの指揮姿をどうぞ!


 

諸事情により音は消してありますが、ピンと張りつめた空気が伝わってくるようでしょう? それから、この音の切り際の多田さんの仕草なんて、ほんとかっこいいですよね〜。

小池さんのお話によると、今回はこれまでの作品と比べると、全体的にサスペンス調やバラード調の曲が多かったそうです。あと、おっちゃんからの話では、多田さんが作曲した中の1曲に、ちょっとだけピンクパンサーを思い起こさせるようなジャズっぽい曲があったそうです。この曲にはブルーノート(ジャズでよく使われる和音だそうです)っぽい音が効果的に使われていて、クラリネットやフルートのソロが何度も出てくるんだそうですよ。これは楽しみo(^∇^o)(o^∇^)o

そういや、おっちゃんが「わしらがやったバックにギターやウッドベースが入っとったけど、あれは打ち込みだったんやろか…」なんて言ってましたが、ギターはおっちゃんたちより先にやってたみたいなんで、生なんでしょうねえ。ウッドベースはどうなんだろう…おっちゃんが「なかなか面白いサウンドやった」って言ってたんで、おっちゃんたちの音と混ざり合ったり、もしおっちゃんがダビング中はシンセだったのなら、それが生に差し替えられたときの音も楽しみですねo(^-^)o


右から、荒川さん・おっちゃん・井内さんの3ショットです♪

いままでに何度もクレヨンしんちゃんのレポを作らせていただきましたが、荒川さんのお顔をこんなにはっきり拝見できたのは初めてじゃないでしょうか…写真にマウスを乗せると、おっちゃん抜きの2ショットになりますよ。

荒川さんは20年くらい前にコロムビアでディレクターをされてたそうで、おっちゃんは「もしかしたらその頃にも会うとったんかもしれんなあ」なんてしみじみと話してました。ほら、おっちゃんは「コロムビア・オーケストラ」に何度も入ってますもんね〜?o(^-^)o


ではここで、多田さんからの素敵なコメントをご紹介します(^O^)

 

クレヨンしんちゃんも今回で2回目の担当となりました。
昨年の「超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」は、おかげさまで映画としての高評価を頂き、音楽の部分においても高い評価を頂けて大変うれしく思っております。

引き続き今年の「嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦」で再びしんちゃんに会えて、かわいくたくましい姿にとても癒され勇気づけられています。

クレヨンしんちゃん・音楽の父、荒川敏行さんとの息もピッタリ!
ほんとうに、彼の音楽はこの作品にとって、なくてはならない存在ですね。

レコーディングは、本編部分で67曲と、かなり多かったのですが、演奏家の皆様の華麗なるパフォーマンスを頂いたことで、とてもイイ仕上がりとなりました!
今回、フルートの旭さんはオカリナも担当され、大活躍でしたよ〜!
しかも、とても大事なシーンでソロプレイなのですから〜。(あ、言っちゃった!)

是非皆様に、劇場でのカッコイイしんちゃんを盛り上げる音楽にも期待していただけると嬉しいです。

 

…以上です♪

先に書いたオカリナについて、とっても美味しい情報がありましたね〜。大事なシーンってどこだろう…何だかすごく目立つ流れ方をするっぽいですよね。これはしっかり聴かないと…!

 

 

続いて、荒川さんからのコメントを…(^O^)

 

今回はあまり時間がないなか、多田さん、井内さんの素晴らしいスコアで、素敵なサウンドトラックになったとおもいます。

私が作曲して旭さんにオカリナで演奏してもらったテーマもなかなか可愛い仕上がりになったので、映画やビデオで楽しんでいただけると嬉しいです。

 

…以上です♪

この荒川さんの書かれたオカリナについては、現場に立ち会われてた別の方からも「素晴らしかった」というお話を聞かせていただいてます。ほんと、楽しみですねo(^-^)o


はい、その多田さんも加わった、今回の作家さん勢揃い+おっちゃんっていう素敵なショットをどうぞ(^.^)b

ところで、今回は3人ですが、こうやってときどき何人かの作家さんで1つの作品を手がけることがありますよね。こんなとき、どうやって曲を分けるんでしょうか…?

適当に物語の前・中・後って感じでもなさそうだし、あの人はシリアス系の曲ばっかりでこの人はコミカルな曲ばっかりっていう分け方でもなさそうだし…おっちゃんが「すごい一体感があった」って言ってたんで、ちょっと気になります(^^ゞ


…と思ってたら、レポの内容を確認してもらってるときに充時さんが「聴いた感じでは、荒川さんが濃い曲、井内君が情景曲、そしてその間とスパイ・アクション・シーンが多田さん、のように大まかに分かれています。もちろん荒川さんのアクションものもありますが、井内君にはコミカル曲はなかったと思います」って教えてくれました〜。そのときどきで色んな条件に合わせて分けるんでしょうけど、今回はこんな感じみたいですね(^.^)b

あ、先ほどお話した編成表によると、この午後から夕方にかけてのダビングでは45曲ほど録ったようですが、そのメンバーは…弦(小池弘之さんのグループ:64221)、フルート&オカリナ(おっちゃん)、フルート&ピッコロ(金子奈美さん)、クラリネット(十亀正司さん)、ホルン(南 浩之さん他1名)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(中村充時さん)でした。

おっちゃんたちの前にやったエレキギターとフォークギターは今泉 洋さんで、おっちゃんたちのあとでやった録音でのブラスは、トランペット(西村浩二さん・管坂雅彦さん・横山 均さん)、トロンボーン(中川英二郎さん他2名)、サックス(佐野博美さん・近藤 淳さん)、ピアノ(?:井内さん作曲の分の一部は井内さんご自身が演奏)だと、充時さんが教えてくれました。

この映画は4月16日(土)から全国でロードショーされます。いつも仲間とか信頼とか協力ということを強く感じさせてくれるクレヨンしんちゃんの劇場版作品。これを見て1人でも多くの子供たちが…いえ大人も、笑顔になって、元気になって、がんばっていこうって思ってほしいです。どうぞお楽しみにo(^-^)o

 

 

541 アニメ「C」(岩崎 琢)

2011年3月12日。4月から始まる新作アニメのための音楽録りがありました…なんですが、この録音は私にとって別の部分でとても印象深いものとなりました。そう、この前日である3月11日の午後、未曾有の大惨事となった東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)があったんですよね。このレポを作ってる最中(3月25日ごろ)も日に日に亡くなられた方の数は増える一方、まだ行方の分からない方も大勢います。劣悪な状況の中で避難生活を続けてらっしゃる方々や命を賭けて危険な任務に携わってる方々のことを思うと胸が詰まりますが、だからこそ幸いにも無事だった者が懸命に前に向いて歩いている姿をお伝えできたらなあと思います。

で、この地震の直後から電話やメールの機能が完全にストップした中でとてもスムーズに機能し、安否確認や現状報告などの連絡ツールとして大活躍したのがツイッターでした。それを見てると「スタジオの階段にヒビが入ってるらしい」「じゃあ今日の録音は?」「いや、まだどうなるか…とりあえず行ってみる」「そろそろスタジオに向かう時間なのに楽譜が届かない」「録音は中止になったけど、皆に連絡が取れない」などなどパニック状態になってました。

そんな流れに勝手にオロオロしてたのと、翌12日にはおっちゃんから岩崎さんの録音があるって聞いてたので、夜中に岩崎さんに「家は大丈夫だった?明日の録音は…?」みたいなメールをすると、おうちや岩崎さん自身の体は無事だったようでホッとしたんですが、11日に予定されてたオケ録りは中止になったみたいです。どうやらツイッター上で「ヒビが入った」と騒ぎになってたそのスタジオで録音する予定だったみたいですね。結局、オケの方は仕切り直しになったようですが、おっちゃんのダビングは別のスタジオだったので、いつまた大きな余震が起こるか分からない状態の中ではありますが、予定通りに行われました。


その命がけで臨んで録った曲の作品タイトルは「」。
この「C」ですが、「お金」と「未来」をテーマにした完全オリジナル作品なんだそうです。

右のはメインのキービジュアルですが、左右で「変わりゆく世界」と「未来」を表現してるんだそうです。

主人公である余賀公麿(よがきみまろ)という普通の大学生の前に、ある日「ミダス銀行の真坂木」という男が現れ「あなたの未来の可能性を担保に、お金をお貸します。そのお金をあなたの才覚で運用してみませんか?」と言って金融街というところに連れて行くんだとか…スリリングかつドラマチックな物語のようですよ。


録音は「マルニスタジオ」というところで行われました。
おっちゃんの方には事前にインペク屋さんから「岩崎 琢さんでマルニスタジオ」という連絡があったそうですが、実はこの時点でおっちゃんの中には「もしや…?」と思うことがあったそうです。まあ、とにかくスタジオへ…そしたら案の定コントロールルームにはエンジニアのYoshi Tamlaさんがいらしたそうです。そして、さらにあたりを見渡すと、そのコントロールルームの一角に椅子と譜面台がセットされてて、ここでおっちゃんは「ほら、やっぱりなあ!」って思ったそうです。

はい、「岩崎さんの録音」「エンジニアはYoshi Tamlaさん」「マルニスタジオ」をキーワードに過去を振り返ってみると、「エンジェルハート」の追加録音のときに、今回と同じようにブースではなくコントロールルームでダビングしたんですよね〜。しかしまあ、これ2005年のことなのに、しかもその後も何度も色んなスタジオで岩崎さんの録音に参加してるのに、おっちゃんったらよく覚えてたなあ。よっぽど印象深かったんでしょうね♪


こちらはYoshi Tamlaさん。

いつかお会いして、ちゃんとお話してみたいなあと思い続けてはや数年。いつも妙にタイミングが悪くて、いまだにそれが叶ってません…。

今回のこのコントロールルームで…ってのもYoshi Tamlaさんのアイディアなんでしょうかねえ。それとも岩崎さんと2人で考えたのかな?

…と思ってたら、Tamlaさんが「自分が言い出して、岩崎さんにOKをもらった」って教えてくれました〜!


何でも、この2スタのブースは響きがデッドな設計になっているんだそうです。で、今回の曲がコントロールルームのその場所で録ったらいい響きになるだろうな〜ってことで岩崎さんに提案したみたいですね。ちなみに、こんな感じでヴァイオリンやトランペット、それに歌までもあの場所で録ってるんだそうですよ。どんだけいい響きのするコントロールルームなんでしょう(笑)いや、それより何より、こういうエンジニアさん目線でのお話をもっともっと聞かせてほしいですよねえ。次に何か録音があったときには、ちょっとおねだりしてみようo(^-^)o

さて、ここでやったのは2曲。1曲はフルート用でもう1曲はリコーダー用の曲だったそうです。そのフルートの曲が2ページに渡ってびっしりと書かれたアカペラの曲で、まずおっちゃんはそこでびっくり。次によく譜面を見てみると、それはもう劇伴というよりは本格的な芸術作品という感じのもので、 思わずこっそり感嘆の溜め息をつくほどだったとか…。

とにかく、とりあえず数分かけて譜読みしたあと、一度やってみることに…。あ、この曲にはクリックとか入ってなくて、おっちゃんの感じたままのテンポで好きに吹くような曲だったそうです。このあたりからも劇伴らしくないというか、ますます1つの芸術作品って感じがしますよね。

1度目の試奏を終えたら「基本的にはそんな感じでいい」って言ってもらえたそうで、それからまたもう一度やってみて、そしてテスト録音してみて…もちろん、その間に岩崎さんからのご要望なんかも聞きながら計4回ほどやって、今度は気になる箇所を小分けにして録って、ようやく終了。まあ、まだ気になるところがないわけではなかったそうですが、でもなかなかいい仕上がりになったみたいですよ(*^^*)

ところで、フルートのソロと言えば…2010年12月に発売になった「刀語」のサントラ2の12曲目(曲名:Sonatine for flute & piano)にも、おっちゃんのすんごいソロがありますよねえ。いやあ、おっちゃんからこの録音の直後に「えらい長い、ええ感じのソロがあったわ」なんて聞いたんで「あ、刀語のときみたいなやつ?」なんて話から始まったんですけどね。

その「刀語」の曲については、冒頭から45秒だけはこちらで試聴できますよ。うん、ここだけ聴いても、ほんといい曲だなあってうっとりします。おっちゃんも「何やあんまり言うたら自分の演奏を褒めとるみたいでナニやけど、これはほんまにええよなあ」と大絶賛してました。で、今回やったのはちょっと緊迫感があるというか、幻想的というか、とにかく雰囲気は「刀語」のとは全く違ってるそうですが、こんな感じでたっぷりとフルートの音色が楽しめる曲なんだそうですよo(^-^)o


おっちゃんの座った視点からの風景です。奥には岩崎さんとTamlaさんが見えてますね♪

こんな人がいっぱいいるとこで1人で、しかもこんな間近で聴かれたりしたら余計な緊張をしてしまいそうですが、おっちゃんなんかは全くの無問題なんでしょうね(^^ゞ


次はリコーダーの曲です。これはクリックも入っていて、バックに入ってる打ち込みにダビングするっていう、いつもやってるような録音だったそうです。譜面の全体を見渡すと、8分の6拍子のゆったりした曲で、音域的にはアルトリコーダーが良さそうだったとか…。で、一部分が2声になってたみたいなので、とりあえず上のパートから録音。テストのつもりでやったら「じゃあ、被せに行きますか?」って言われたので、慌てて「いやいや、せめてもう1回…」ってことで、もう一度録ってもらったそうです。

続いて2声になってる下のパートの録音になったわけですが、こちらはもういきなり本番ってことで始めたそうです。ところが、途中で下のE(ミ)の音があることに気付いて中断…って、この流れに覚えはありませんか?そう、1月末にあった松尾早人さんの録音のときと全く同じパターンですよね。おっちゃんも「うわ、松尾さんのときと一緒やなあ!」って思ってたそうです。

で、もしものときのためにと用意していたテナーリコーダーを引っ張り出してきて、それこそまた松尾さんのときと同じくアルトリコーダーとテナーリコーダーを同時にやるときの音色の違いを心配したそうですが、それも大丈夫とのことで改めてテナーリコーダーで演奏。急に指の間隔が広くなって戸惑うところもあったようですが、何とか無事に終わったそうです。これも笛吹きさんの立場から見ても面白いなあと思う曲だったそうなので、オンエアで流れてくれるのが楽しみですねo(^-^)o


こちらはマネージャーの佐藤さんに撮ってもらったという岩崎さんとの2ショット。相変わらずとても40代には見えない、素敵なお兄ちゃんです(^O^)

あ、さっき松尾さんのお名前が出たところで…昨年9月にやった飲み会のときの岩崎さんと松尾さんがほんとにいい感じだったんですよ〜。1月にシリウスで上京したときにはタイミングが悪くて岩崎さんとは会えなかったんですが、是非また会いたい…というか、松尾さんと話してるときの楽しそうな岩崎さんを見たいなあって思ってます(*^^*)


ところで、この録音が終わったあとの岩崎さんのツイッターに「劇伴は(その映像)作品との対話の結果生まれる…(全文はこちら)」というツイートがありましたね。今回、岩崎さんはこの作品とどんな対話をしたんでしょうか…どんな意外な言葉を投げかけたんでしょうか…その岩崎さんと作品との対話をちゃんと感じ取れるように、豊かに発展して行く様に置いてけぼりにならないように、大事に見て行きたいと思います。

この番組は、フジテレビ「ノイタミナ」で4月14日の25:05分から(2回目からは24:45から)、関西テレビでは4月19日から、東海テレビでは4月21日から放送開始となるようです。どうぞ、お楽しみにo(^-^)o

 

 

540 アニメ「神のみぞ知るセカイ」2期の音楽録り(松尾早人)

2011年1月31日。乃木坂にあるソニーの2スタで「神のみぞ知るセカイ」の2期のための音楽録りがありました。このアニメは2010年10月から全12話で1期が放送されたんですが、原作は若木民喜さんという方が描かれた週刊少年サンデーに連載されているマンガです。あ、1期のときの録音レポはこちらですよ(^.^)b

私もその1期は見てたんですが、何せDSのスーパーマリオくらいしかやったことがないゲーム音痴なんで、最初は分からないことだらけでぽか〜んでした。でも、だからこそ「最近のゲーム機はこんなことができるんやなあ」とか「この言葉はどういう意味だろう」とか新しい発見がいっぱいあって面白かったですよ。ただ、うちでは第10話あたりまでテレビ大阪はアナログ放送でしたし、録画予約は録画開始時間とかを手で打ち込む方法だったので何度か失敗して見そびれたんですが、第9話の1話まるごと音楽劇みたいな回はほんとに素晴らしかったですね(*^^*)

で、2期の音楽録りが1月末にあることは12月のうちに作曲の松尾さんから教えてもらってたんですが、その時点ではまだおっちゃんが参加するかどうかは分かりませんでした。こうなると、私としてはいつおっちゃんから「松尾さんの仕事が入ったで♪」って連絡が来るかと半ば祈るような気持ちで待ってたんですが、それは何と私が東京にいる間に起こりました!

実は私は1月17日から18日にかけてシリウス弦楽四重奏団の定演のために上京してたんですが、ブログのこちらに書いたように会場である白寿ホールまでおっちゃんが会いに来てくれたんです。そのときに「ついさっき、31日の松尾さんの仕事が入ったで♪」って教えてくれました。いやもう大感激!もともと楽しみにしてた録音ではありますが、この一報で一気にテンションが上がってきましたよ(^O^)


こちらはソニーミュージックスタジオのロビーです。

実はここ、前にこちらの記事でマサさんの定時配信について書きましたが、そのマサさんの言う「携帯の電波が入りにくいスタジオ」なんです。

でも、おっちゃんに言わせれば「あかんのはauだけじゃ、ドコモはちゃんと入るわい」とのことなんで、定時配信に心血を注いでるマサさんにとってだけ不便なスタジオみたいですね(^^ゞ


で、私の上京中に松尾さんやマサさんとカラオケボックスでミニオフしたときにもその定時配信の話になって、2人の間でこんな会話がありました(^^ゞ

マサさん「ソニーがダメなんだよ(溜め息)」
松尾さん「え…31日はあそこですよ(汗)」
マサさん「あぁ〜そりゃダメだな(ちょっと落ち込む)」
松尾さん「でも1時からですから…(マサさんの様子を伺う)」
マサさん「よしっ♪(笑顔で復活!)」

そうしてこの日のお昼12時ジャストに無事に定時配信を終えたマサさんは安心してお仕事に臨み、マサさんのブログにこの録音に参加した弦の皆さんの写真をアップしてましたよ(^.^)b


あ、ドコモの電波が良好な証拠に、早めにスタジオに着いたおっちゃんが送ってくれたのがこの写真です。

確か「こうしてメールもできるし、大きいサイズの写真も送れるわい」みたいな文がついてましたっけ…。

写真にマウスを乗せると、録音当日のブログ(こちら)にアップしてたものと同じですが、エンジニアの中村充時さんの後ろ姿が出ます♪


さて、ようやく録音のお話に…(^^ゞ

録音当日のブログに書いたように、この日はマサさんの弦が13時から、おっちゃんは14時半から、ピアノの松田真人さん15時半から順番にダビング…っていうスケジュールになってたみたいです。で、おっちゃんのところには事前に「フルートとリコーダー」というオーダーが入ってたみたいなんで、とりあえずソプラノ・ソプラニーノ・アルトくらいがあればいいかな…と準備してたそうですが、出かける直前になって「そういや、この前…」と何やら思い当たるものがあってテナーリコーダーも持って出かけたそうです。


スタジオに着いてからもらった編成表を見ると、おっちゃんが参加するのはフルート2曲とリコーダー3曲。フルート2曲は弦と一緒になる曲のようでしたが、弦だけで先に録ってたとか…。

なので、おっちゃんは自分の番が来るまでのヒマつぶしに弦の様子をパチリ。マサさんがカメラ目線なんですが、フロアからもカメラを向けるおっちゃんの姿が見えてたんですかね〜?

このあとフルートを1人でダビングするわけですが、ほとんど弦とユニゾンだったんで、先に入ってた弦を聴きながら1回通す→もう1回やる→部分的に直す…で、フルート2曲はわりと早く終わったそうです(^-^)


続いてリコーダーです。1曲目の譜面をサラッと見た感じだと、音域的にはソプラノリコーダーかなあと思ったそうです。でも、そこでおっちゃんに一抹の不安が…。え〜っと、ピッコロとかは実際に楽譜に書かれてる音よりも1オクターブ上の音が出るんでしたっけ…。ソプラノリコーダーも…だったかな?

それから想像すると、1曲目の譜面に書かれてるメロディーが1オクターブ上で鳴るのはちょっと高すぎる気がしたそうです。あと、メロディーのイメージがどうもソプラノではしっくりこなかったとか…。で、松尾さんに「これ実音(楽譜に書かれてるままの高さの音)ですか〜?」って聞くと、いともあっさりと「はい、そうです!」ってお返事が来て、思わず苦笑する瞬間があったみたいです。とにかくそれを聞いたおっちゃんは「やっぱりそう来たか〜!」と思いながら今度はアルトで吹くことを考えつつ譜面を見てみると、何とアルトでは出ない下のE(ミ)の音がある…。ここで「うわ…テナーリコーダー持って来て正解やった〜!」となったわけです。

実はまだレポはアップできてませんが、この録音の2週間ほど前にあった多田彰文さんの録音(ミニレポはこちら)の現場でも、篠笛の譜面で同じようなことがあったそうなんです。おっちゃんは出がけにそれに思い当たってテナーリコーダーを持ってきたわけですが、ほんと大正解でしたね(^O^)

ところが…です。この曲のテンポが180というかなり速いもので、それを指の動きが不自由なテナーリコーダーでやるのはとても大変だったそうです。ほら、テナーリコーダーってすごく大きいし、孔と孔の間隔が広くて押さえるのに精一杯なところがある楽器ですしね。これがバスリコーダーになると孔の一部はタンポで押さえることになるそうで、ぐっと演奏が楽になるみたいですけど…。

結局、どうしてもテナーじゃないと出ない音の前後だけはテナーでやって、あとの部分はアルトでやることにしたそうです…というのも、その松尾さんが書いてきてたメロディーのイメージがやっぱりアルトだったんで、おっちゃんはそこを大事にしたかったんですって(*^^*)


さあ、そうなると気になるのが音色です。だって、アルトとテナーでは随分と音色が違いますよね。でも、ごく一部ですが同じ音域を吹くことになるので、そのあたりはどうなんだろうと充時さんに聞いてみると「EQ(イコライザー)で何とかした」って言ってました。ふむ、まさにこういうところがエンジニアさんの腕の見せどころってことになるんでしょうね♪

はい、ではそんな充時さんのお仕事姿です。このアングルがまたいいでしょ〜?(*^^*)


あ、このリコーダーのやりとりについて、曲を作ったご本人である松尾さんにもお話を聞いてみたところ「この曲はキャラクターのテーマを教室で子供達が自由に吹いているというイメージだったので、特に音域も考えずに現場で吹けるもので演奏してもらおうと思っていました。そしたら旭さんが原曲のイメージを尊重してアルトリコーダー中心で演奏して下さって、出ない音はテナーで演奏して下さったんです」ということだそうです。

なるほど…これで納得。いやあ、あの松尾さんがリコーダーの音域を間違うなんて変だなあと思ってたんですよね〜。そうか、特にどのリコーダーって決めてたわけじゃないから音域が曖昧だったのかあ…でも、おっちゃんの見立てではアルトでやるのが一番そのメロディーが映えると思ったわけですね。そして、それを充時さんが全面的にバックアップするという…そんな3人の連携プレイによるリコーダー曲、早くオンエアで聴いてみたいものですo(^-^)o

そうそう、この1曲ですが、一応ソプラノリコーダーバージョンも録ったそうです。さて、オンエアではどっちが流れるかな〜?1期の感じではわりと学校でのシーンも多いアニメなんで、どうせなら両方とも何度か流れてくれるといいなあ。

あと、この曲のほかにまだ2曲ほどリコーダーの曲があったんですが、おっちゃん曰く「それも決して易しいはなかった…っていうか難しかったんやけど、この1曲にてこずりすぎて簡単に終わったような気になっとるw」だそうです(^^ゞ


は〜い、松尾さんで〜す(^∇^)

前からパソコンのことはよく教えてもらってたんですが、最近は音楽のことも初歩の初歩から少しずつ教えてもらってます。

しか〜し、おっちゃんたちですら難しいって言ってる松尾さんの楽譜を、私なんかが読むのはほんとに大変。それこそ「調号はラに♭がついてるのに、こっちはソ#になっとる…何で?」「こっちに#がついて、ここはダブル#で…結局これは何の音?」みたいなレベルなんですが、ほんとに優しく、じっくり分かるまで教えてくれるんですよ(^O^)


その「楽譜が難しい」の話でつながるんですが、録音当日の松田真人さんの日記はもう読みましたか?この日の録音のことをピアニストさんの目線で詳しく語られてますが、やっぱり「難しかった」って書いてるでしょう。あ、そういえば、現場で無事に録音を終えた松田さんが「今日のも難しかったぁ〜!」と少し嘆き気味に話してると、インペクの太田さんが「ま、犬に噛まれたと思ってサ」なんて慰めてたそうですよ〜。な、なんちゅう慰め方でしょうねえ。当然、現場は全員が大爆笑だったそうですよ(^O^)

で、1期の録音レポの中でも松尾さんの音楽に触れつつ「書き譜」について詳しいコメントをくださった松田さんですが、何と今回もほんっとに丁寧で素晴らしいコメントをくださったんですよ〜!

まだその音楽が聴けたり譜面が見えるわけではないので、現時点では分かりにくい部分もあるかと思いますが、ぜひ読んでみてください。松田さんのお人柄や音楽に向かう姿勢、それに松田さんから見た松尾さんの音楽のことなんかがよく分かると思います(*^^*)

☆松田さんが語る松尾さんの楽譜について→CLICK HERE

この松田さんのコメントページはオンエアに合わせてさらに少しずつ更新していくつもりでいます。たとえば「"ピアノ その4"の曲は第○話の○○のシーンで流れました」とか、いつかサントラが出てそれに収録されたら「サントラの○番目の曲」みたいな感じで情報を追加していこうかと…とにかくピアノが非常に重要な役割を担う曲の多い「神のみ」の音楽なんで、ここは私としても踏ん張りどころだと思ってます。1期のときみたいに録画の失敗せんよう気をつけて頑張りま〜すp(^^)q


でへへ♪
密かに楽しみにしてた3ショットです(*^^*)

このお三方がそろってるところにお会いしたのは2009年の秋(ここ)…このレポ作成時からすると、もう1年4ヶ月くらい前になるんですよねえ。また会いたいなあo(^-^)o

あ、この写真は↑にある充時さんの写真のうしろに小さく写ってる茶髪の方…スタジオのアシスタントさんだそうですが、この方が撮ってくれたそうです♪


ところで、充時さんから音源に関する面白い情報をいただきました…というのも、1期のときと今回とで松尾さんが使ってる打ち込み音源の種類が違ってたんですって。その結果、楽器によっては随分と聴こえ方が違うとか…。で、さっそく松尾さんに聞いてみたところ、特に1期から2期にかけて何か理由があって変えたわけではなく、たまたまいい音源を見つけたから使った…ってことだったみたいですね。松尾さんがどんな音を好むのか気になるので、これは1期のときとの聴き比べが楽しみになってきましたよ〜!

ただ、エンジニアさん側としてはやっぱり1期のときとのバランスを取るのも大事なことだそうで、楽器ごとに、または全体的に様々な処理をほどこされたそうです。で、このあたりはもうその作業をされた充時さんご本人に語っていただきましたので、ぜひ読んでくださいね(^.^)b

☆充時さんが語る1期と2期の音源の違いについて→CLICK HERE

あと、私が編成表を見てて思ったのは…え〜っと、1期のときに「ロッキーのテーマ」などのパロディがいくつか流れましたが、あれは松尾さんが編曲したんじゃなく既存の音源を使ったんですよね。でも、今回は松尾さんご自身が編曲したという、とある実在する方のテーマがあるようです。ここも注目ポイントの1つじゃないでしょうか(^.^)b

この「神のみ」の2期は、レポ作りに取りかかった当初にはまだいつから放送スタートか公表されてなかったんですが、いろいろと時間をかけて作ってる間に「4月より放送スタート」って公表されましたね。いやあ、1期の再放送が始まったことやサントラの発売が昨年12月から3月に延期されたこと、2月23日からウェブラジオが始まることなどからして、春ごろから始まるんじゃないかなあと思ってたんですが、やっぱり〜って感じでした。

私はまだ原作を読めてないので今後の展開が全く分からないんですが、編成表にはまたいくつか新しいキャラの名前がありましたよ。それがどんなキャラで桂馬とどんなやりとりがあるのか、それらを音楽がどう彩るのか、いまからとても楽しみです。できれば1期の9話のときみたいな、音楽が前面に出てくるようなお話が1回くらいはあるといいなあ。各局の詳しい放送開始日はまだ分かりませんが、とにかくどうぞお楽しみにo(^-^)o

 

…ってレポアップ時には書いてたんですが、その後3月に入って公式サイトで詳しいオンエア情報が発表されました〜!

テレビ東京 4月11日(月) 深夜1時30分から
テレビ愛知 4月11日(月) 深夜2時00分から
TVQ九州放送 4月12日(火) 深夜1時53分から
テレビせとうち 4月13日(水) 深夜1時50分から
テレビ北海道 4月13日(水) 深夜2時20分から
テレビ大阪 4月15日(金) 深夜1時53分から

放送開始のようです。どうぞお見逃しのないように(^.^)b

 

 

539 映画「星を追う子ども」(多田彰文)

2011年1月15日。ビクターの301スタで、映画「星を追う子ども」の音楽録りがありました。この日はスタジオに映画のプロデューサーさんや監督さんもいらしてて、録音に先立って「今回の録音は、5月に封切り予定の映画の音楽で…」という説明とご挨拶があったそうです。また「取材のカメラが入るので、不都合のある方は申し出てください」みたいなアナウンスもあったようですが、幸い誰もダメだとおっしゃる方はいなかったようですね。


こちらはその監督さんたちによるご挨拶のシーンの写真…だと思います。

残念ながらマイクらしきものでお顔が隠れてしまってますが、多田さんのお姿が分かるでしょうか…画面の奥で斜め下を向いてらっしゃるのが多田さんですよ〜!

あと、右端にはマサさんも写ってますね♪


今回の映画ですが、新海 誠さんという方が脚本から監督まで務められてるようです。で、お恥ずかしながら私は新海監督のことをよく知らなかったので、このレポを機に調べてみました。すると、過去に「秒速5センチメートル」という映画を手がけられてるんですが、これがもうほんとに映像が綺麗なんです。あ、そのPVはこちらで見えますので、ぜひどうぞ♪

で、このレポを作成中のある日、その「秒速5センチメートル」の映像を思い出させるような綺麗な映像がテレビで流れて「あら、これもまた綺麗なアニメやなあ…音楽も豪華じゃ♪」なんて思って見てたら、最後の最後で「星を追う子ども」の文字が出たんです。そりゃもう、コタツで転がってたのから飛び起きましたよ。その後、その映像を何度も見かけますが、やっぱり本当に美しいです。また、音楽もスピード感のある、しかもダイナミックなオケで、すごく惹き付けられますよ。テレビで流れてるのは30秒くらいのものですが、そのロングバージョンがありましたので↓こちらでどうぞ(^.^)b

 

 

いかがでしたか?
この映像美、キラキラしたピアノから始まるこの切ない音楽、すごく惹き込まれませんか?
我が家に1台しかないテレビはキッズステーションがついてることが多いんですが、この30秒版のPVはわりとよく流れてるように思います。で、流れ始めるたびに、ついテレビに駆け寄って見入ってしまうんですよ(^^ゞ



こちらはおっちゃんとオーボエの柴山さんです♪

同じくフルートの金子奈美さんが携帯で撮ってくれたそうですよ(^O^)


さて、この日のお仕事についてはおっちゃんの方に事前に「多田さんの仕事」という連絡が入ってたそうです…が、実際にスタジオに来てみると天門さんという方のお仕事だったとか。どうやら多田さんはその天門さんが書かれた曲のオーケストレーションを担当されたそうです。でも、多田さんご自身が書かれた曲というのも何曲かあったみたいですよ。

で、私は天門さんというお名前を初めてお聞きしたので、またまたちょっと調べてみました。すると、パソコン用ゲームの音楽を中心に、アニメや映画などたくさん手がけてらっしゃる方のようですね。あ、先にお話した「秒速5センチメートル」の音楽も天門さんだそうです。あと、おっちゃんが現場で聞いてきたお話では、そのパソコン用ゲームの世界ではかなり有名な方なんだそうです。いやはや、不勉強で失礼しましたm(__)m

あと、おっちゃんの方にはそのお仕事の内容に加えて「何かちょっと変わった感じの笛をいくつか用意してほしい」というお話もあったそうなので、とりあえず手持ちの篠笛を一式まるごと持ってスタジオ入りしたそうです。 すると、おっちゃんだけは他の皆さんよりも15分ほど早く呼ばれたので何だろうと思っていると、先に始めてたピアノだけのダビングのあとで、オケが入る前にピアノと笛で1曲やる予定になってたみたいです。

楽譜は特に難しいわけでもなく、音域も無理のない感じだったそうですが、本来の高さの音(楽譜に書かれてるより1オクターブ上の音)とも実音(楽譜に書かれてる通りの音)とも取れる音域だったので、多田さんに聞いてみたそうです。すると、今回は実音でほしいとのこと…さっそく「六本調子」と言われるキーの篠笛を用意したそうです。この「六本調子」というのは、いわゆる「B♭管」のことなんです。おっちゃんからの原稿には「阿波踊りのお囃子などでも使われてる笛」って書かれてたのを見て、ほんのちょっとだけお囃子笛の経験がある私はにんまりしてしまいました。ちなみに、私も六本調子は吹いてましたが、メインで使ってたのは七本調子です。これはBナチュラル管ってことになるんですよ(^.^)b

ところで、スタジオで篠笛となると、ほとんどの場合は「なるべくコブシをいっぱい入れて、それらしくお願いします」なんて言われるんだそうですが、今回はそうではなかったようです。それどころか「ビブラートは抑えめ」「コブシはほとんどなし」という、普段とは真逆のようなオーダーだったみたいです。で、実はこういった注文って、意外と難しいんですって。つまり、篠笛みたいな民族楽器をコブシなし、ビブラートもルバートもなしで吹くと、単に下手っぴなフルートまたはピッコロみたいに聴こえてしまうことがあるんだそうです。だから、これこそ奏者さんの腕の見せ所ってことになりますね♪

こんな感じで篠笛の曲はもう1曲あったそうですが、この2曲目は音域の関係から「ピッコロでお願いします」って言われたそうです。でも、そこはお手製の笛をたくさん持ってるおっちゃんです。篠笛でオーダーされたのなら出来るかぎり篠笛で…ということで、お手製のクロマティック篠笛を使ったそうです。そしたら無事に2曲ともOKがもらえて、とりあえずピアノとのダビングは終了です。楽譜は簡単だったけれど、思わぬところでちょこっと苦労したおっちゃんでした。ちなみに、多田さんが篠笛を指名されたのは和風とかエスニックとかの雰囲気がほしかったわけではなく、何かしら特別な狙いがあったようですね。これが映画の中でどんなふうに使われるのか、とても気になるところですo(^-^)o


はい、こちら多田さんで〜す♪

おっちゃんが「HP用に…」ってお願いして、こうしてチラシを持ってポーズを取っていただいたようです(*^^*)


ところで、このHPを始める前は、曲のタイトル横なんかに書かれてる「編曲」という文字を見ても「ふ〜ん…」って感じだったんですが、この8年のうちに少しずつ分かってきたことがあります。それを書き出すと恐ろしく長くなるので控えますが、とにかく自分ではない別の誰かが作ったメロディを自分流に肉付けするのって、すごく難しいことだと思うんですよね。

そんなわけで、多田さんに「編曲とは?」ってストレートにお聞きしてみたところ、とても素敵なコメントがいただけました。ぜひ読んでみてくださいね(^O^)

 

「編曲」という作業は「作曲」とはまた違った音楽表現の方法となり、メロディーを引き立たせるのはもちろんのことですが、特に映画音楽の「オーケストラ編曲」となるといろいろな要素を踏まえることになります。

大切なメロディーをいかに効果的にシーンにあてていくか、または、決められた時間内に収めていくか等、そしてメロディーに効果的な対旋律の作曲や和声の構築も重要になります。

打ち合わせの段階で、作家さんからのモックアップデータ(いわゆるプリプロダクション)を聴きながら、意図とする楽器の割り出し・追加や差し引き・タイム調整を話し合います。データはある程度完成されている場合もありますし、メロディーだけの場合もあり様々です。

スコアという大きなお皿に、厳選された素材を使って調理した食材を見栄えの良いように盛り付けるということに例えることができるでしょう。ここが腕のみせどころになるわけです。

 

…以上です♪

ああ、やっぱり1から自分で作るのとは違う難しさ、そして面白さがあるようですね。そういえば、前におっちゃんが「曲を生かすも殺すも編曲次第」って言ってたことがあるんですが、なるほどって感じです。うんうん!


こちらは、おっちゃんと多田さんと、そして昨年の飲み会で多田さんと一緒にお会いすることのできた関 美奈子さん(以下ミナさん)です。

実は今回の録音でミナさんは「譜面制作」という重要な役割を担われました。チョー簡単に言えば、作曲家さんからデータで送られてきた音楽をちゃんと譜面にするっていう作業です。

で、この作業について、ミナさんが画像つきでとても詳しく語ってくださったんですよ〜。ちょっと難しい言葉もあるかもしれませんが、作曲家さんのお仕事を知るためのとても貴重な資料でもあるので、是非とも読んでみてくださいね♪→CLICK


この日の編成は、最大時で弦(マサさんのグループ:86442)、フルート&ピッコロ(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(柴山 洋さん)、クラリネット(十亀正司さん)、ホルン(3)、トランペット(3)、トロンボーン(3)、ハープ(朝川朋之さん)、ピアノ(松田真人さん)、コーラス(2222)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

で、録音当日のブログ(こちら)にも書きましたが、このあと多田さんご自身の演奏によるティンパニの録音が行われたそうです。前に友達が見せてくれたあるCDのブックレットに「全楽器/多田彰文 パーカション・ベース・ギター・バイオリン・アルトサックス・アコーディオン」なんて書かれてて思わず歓喜の声を上げたんですが、今度はティンパニですよ。多田さん、ほんと何でもできちゃいますね〜!

この映画は5月7日(土)から全国でロードショーされます。映画館の大きなスクリーンでこの綺麗な映像を見たら、そしてこの音楽を聴いたら、さぞかし気持ちいいんでしょうね〜。ぜひぜひご覧くださいねo(^∇^o)(o^∇^)o

 

 

538 アニメ「花咲くいろは」(浜口史郎)

2010年12月25日。この日は、2011年の春から放送スタートとなる「花咲くいろは」というアニメの音楽録りがありました。このアニメは「P.A Works」という制作会社の「10周年記念アニメーション作品」と銘打たれて制作され、P.A Worksの初の完全オリジナルアニメとなるようです。


で、作品の内容についてもちょっと調べてみると、主人公の松前緒花は「突然の告白や突然の別れなどで今までとは違う自分になりたい」なんてことを夢見つつも、毎日平凡に暮らしてる普通の女の子。ところが、ある日その「夢」が現実のものとなるみたいなんです。通いなれた…でも、それほど愛着もない街を後にして、話したことも会ったこともないおばあちゃんの元で暮らすことになるんだとか…。

そのおばあちゃんちというのが大正浪漫あふれる温泉旅館で、そこで出会う人たちとのこと…それは楽しかったり、ときには辛かったりもするようですが、それでも頑張る緒花の日々を描いたアニメのようですよ。

写真はスタジオのロビーに飾られてたクリスマスツリーです。大きなリボンが可愛いです(*^^*)


さて、この音楽を手がけられたのが、浜口史郎さんです。

浜口さんはここ2〜3年の間だけでも「ジュエルペット(録音レポ)」シリーズに「おおきく振りかぶって(1期レポ2期レポ)」シリーズ、劇場版「たまごっち うちゅーいちハッピーな物語!?(録音レポ)」に「涼宮ハルヒの弦奏」や「任天堂ゲーム音楽のコンサート」用のアレンジなどなど、幅広いジャンルの音楽を手がけられて私たちを魅了してくださってますが、今回はどんな音楽なんでしょうかo(^-^)o

あ、ちょっと脱線しますが、そのジュエルペットの第3シリーズ「ジュエルペット サンシャイン」がテレビ東京系列で4月から始まるんですが、この音楽ももちろん浜口さんです。で、この新シリーズのために70曲以上も新たに書き下ろされたそうですよ〜。こちらもどうぞお楽しみにo(^-^)o


おっちゃんたちよりも先に始めてたギターの田代耕一郎さんと千代正行さんです。

コントロールルームのモニターに映ってるところですが、これって別々のブースに入ってるってところなんですかね…何にしても、お2人ともすごい量の楽器を持ち込まれてるようです。

田代さんの日記にも、この録音の様子が綴られてますよ→こちら


あ、私が小耳に挟んだ情報によると、今回の音楽に関して監督さんの方から「ピアノとギター中心の小編成で」みたいなご要望があったそうです。だから、田代さんの日記にも書かれてるように、ギターにはどっさりと譜面があったわけですね。そんなわけで木管が入った曲はわずか3〜4曲なんですが、これをシンセの打ち込みじゃなく生楽器にしてくれたのはおっちゃんファンとしてほんとに嬉しいところです(^O^)

そんなわけで、おっちゃんの方には事前に「リコーダーとアルトフルート」というオーダーが入ってたようですが、実際に現場に行ってみるとアルトフルートはなくなってて、代わりに篠笛を使った曲が1曲あったそうです。で、車で出かけてた場合はオーダーにはない篠笛も全部のキーが揃ってたりするんですが、この日は残念ながら電車。まあ、それでも「もしものときのために…」といくつかは持ってきてたので、その中のクロマティック篠笛で対応しようと試みたそうです。

ところが、そのクロマティック篠笛だと、楽譜に書かれてる音よりも1オクターブ上の音が出ちゃうんだそうです。まあ、もともと笛の音というのは楽譜に書かれてるよりも1オクターブ上の音が出るもんなんですよね…って偉そうに書いてますが、それこそ最近のレポで知ったばかりの知識なんですけど(^^ゞ

で、ときには作家さんのイメージとして楽譜に書かれてるままの音…つまり「実音」で吹いてほしいということがあるようなんですが、今回もそんな感じだったそうです。ただ、いくら篠笛と言っても、ほんとの篠笛のような「こぶし」とかが必要なんではなく、篠笛ような音色がほしいという感じだったとか…。

とはいえ、今回はとにかく楽器がないんで、最終的にはフルートで何となく篠笛らしく吹く…ということで承諾してもらったそうです。フルートで尺八風に吹くってのは何度か聴いたことあるけど、フルートで篠笛風ってのはどんな感じなんだろう。これはオンエアで是非ともチェックしておきたい1曲ですね♪


こちらはコントロールルームの様子です。

画像の一番奥にいらっしゃるのが、エンジニアの吉田さんで、右側にいらっしゃるのが浜口さんですね。


さて、篠笛風フルートの曲とは別にあったリコーダーの曲ですが、おっちゃんがパッと譜面を見た限りではソプラノリコーダーが合うかな…って感じだったそうです。でも、こちらも低めの音でほしいとのことでアルトリコーダーでやったみたいですよ。

残念ながら篠笛用のは浜口さんの予定とは違ってフルートになりましたが、それでもどちらもわりとゆったりしたテンポの…それこそ、その楽器の音色をじっくり楽しめるような素敵な音楽だったそうです。これを聞いて私は「木管の曲があまりないから、できるだけ木管の魅力が伝わりやすいメロディや音域なんてのを意識されたのかな〜?」なんて思っちゃいました(^O^)

何はともあれ、どんなシーンで使われるのか、どんな音色でどんなメロディなのか、はやくオンエアで聴きたいです♪


こちらは浜口さん♪

何やら手元の書面を見つめて考え事されてるようですねえ。

そういや「花咲くいろは」の音楽録りはこのレポのとき以外にもう1度、4月5日にも行われるそうです。つまり、物語が進むにつれてどんどん新曲も流れてくるってことで、バックの音楽にもしっかりと耳を傾けながら追っていきたいところです(^.^)b


編成は、弦(マサさんのグループ:64221…後入れ)、フルート&ピッコロ&リコーダー(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット&バスクラリネット&ソプラノサックス(十亀正司さん)、ギター(田代耕一郎さん・千代正行さん…前録り)、打ち込み(浜口史郎さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

この番組は、TOKYO MXとテレ玉は4月3日から、読売テレビ・チバテレ・北日本放送は4月4日から、中京テレビが4月5日、テレビ金沢とキッズステーションは4月7日から放送開始となります。各局の詳しい放送時間は公式サイトでご確認くださいね♪

公式サイトにある「めげても、くじけても、泣きじゃくっても明日は来るんです。だからこそ私は頑張りたいんです、そして輝きたいんです」という言葉…まるで、いまの日本のためにあるような作品ですよね。どうぞ、お楽しみにo(^-^)o

 

…公式サイトのこちらこちらこちらに浜口さんのインタビューがアップされています。曲を作るときのこと、浜口さんと「花咲くいろは」の意外な接点、今回の音楽でご苦労されたことと新たに気付かれたことなどなど、ほんとに内容の濃いものになってますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね(^.^)b

で、私も実際にオンエアを見てるんですが、田代さんのギターがほんとに素敵だなあと思います。また、数は少ないんですが、木管のやわらかな音もすごくあの作品の雰囲気に合ってるんじゃないかと…何より浜口さんの音楽がまた新鮮で、ついつい聴き入ってしまいますよ。まだオンエアは続いてますし、7月からはレンタルDVDも始まったようですので、まだ見たことのない方はいかがですか?(*^^*)

 

 

537 アニメ「神のみぞ知るセカイ」(松尾早人)

2010年8月22日。乃木坂にあるソニーの2スタに行きました。今回は秋から始まる「神のみぞ知るセカイ」というアニメの音楽録りです。え〜っと、この作品については録音当日のブログ(こちら)にも少しだけ書いたんですが、週刊少年サンデーに連載中のマンガが原作となってます。作者は若木民喜さん。


公式サイトなどに書かれてる粗筋を見ると、主人公の桂木桂馬はギャルゲー(ギャルがいっぱい出てくるゲームのことだそうです)の達人なんですね。その桂馬がどういう経緯か地獄からやってきたエルシィという悪魔と契約しちゃって、エルシィの依頼で「駆け魂狩り」というのをすることになるんだそうです。その狩りとは、地獄から逃げた「駆け魂」と呼ばれる霊魂に乗っ取られた女の子(ゲームのキャラではなく現実にいる女の子)を恋に落として心の隙間を埋める=女の子にキスをするってことなんだそうです。

で、はたして桂馬は無事に女の子とキスができるのか?というお話のようなんですが、つまりゲームの世界と現実の世界が混同してるって感じ?違う?これはもう実際に見てみないと、なかなか内容の想像がつきませんねえ。とにかく、萌え系要素がたっぷりのラブコメみたいです(^o^)


さて、この不思議な世界観のあるアニメの音楽を担当されるのは、松尾早人さんです。
すみません…私はもう作品の内容以前に、作曲が松尾さんってところにすごい「萌え」を感じてます〜。まあ、演奏者の方々からは「いや、ほんと難しくて…」なんて声がたくさん聞こえてくる松尾さんの音楽ですが、いち聴衆である私には「そんなの関係ねえ(古ッ)」とでも言いますか、ほんとあの繊細だったりパワフルだったり…そんなすごくカッコいい音楽が楽しみで仕方ないんです。だって、その演奏者の方々からも「ほんと難しくて…」のあとには必ずと言っていいほど「でも、いい音楽。とてもよく書けてるよ!」なんて声が聞かれますしね♪

あ、この録音に関しては、録音の数日前におっちゃんから「22日に松尾さんの録音があるで〜!」なんて聞いてたんです。それを聞いてすぐ松尾さんに「22日に録音があるんですね♪」ってメールしたら「そう、秋から始まるアニメの音楽で、今回は弦とピアノがメインの小さめの編成なんですよ」なんて教えてもらったんで、どんなアニメなんだろう〜とわくわくドキドキでした。 とにかく、当日おっちゃんからタイトルの報告があるのを待つとするか…と思ってたら、エンジニアの中村充時さんがツイッターで「松尾さんの"神のみぞ知るセカイ"の録音で明日から東京」ってツイートしてたのを見て「これかあ!」となったわけです。

その後、当時の充時さんや私のツイッターを見てくださってた方は知ってるかと思いますが、「今回は小さめの編成だとか…?」「小さめって言っても弦は86442なんだけどね(^^ゞ)「指揮は多田さんが代棒で入るの?」「いや、今回は指揮はなし。マサさんが上手く引っ張ってくれると思うよ」みたいなやりとりがあったわけですね(^O^)

こうして迎えた録音当日ですが、おっちゃんがスタジオ入りした時点では弦とピアノがやってたそうです。この弦とピアノの録音に関しては、ピアノ演奏されてた松田真人さんの日記(こちらの8月22日のところ)に詳しく書かれていますし、あとで松尾さんから聞いた松田さんのエピソードを書きますので、ぜひ読んでみてくださいね(^.^)b

そんなわけで、おっちゃんがスタジオのロビーに置いてあるパソコンで遊びながら待ってると、クラリネットの元木瑞香さんが「マイケル・ジャクソンのすーだら節が面白いですよ」って教えてくれたので、さっそく見て楽しんでたそうです。この「マイケルのすーだら節」はツイッターでもたくさんの方がリツイートしてたので私も見ましたが、ほんと笑えます。このレポからは大きく脱線しますが、良かったら見てみてください(^^ゞ

マイケル・ジャクソンのスーダラ節の動画 → CLICK HERE


さあ、いよいよ今回の音楽のお話です。
おっちゃんによると「音楽はHellsingのときみたいな激しいものはなく、どちらかというと可愛い系もしくはほのぼの系が多かった気がした」とのことです。まあ、HELLSINGとは全く作品のカラーが違いますもんねえ。

で、おっちゃんが「こうした軽うて可愛い系の音楽でも、いつもながら松尾さんの音楽はしっかりしたクラシックの基礎を踏まえとるし、そこに更に粋なテイストがいっぱい盛り込まれとって面白かったわ」なんて言ってるし、もともと弦とピアノがメインって聞いてたんで、勝手に「レ・ミゼラブル 〜少女コゼット〜(録音レポはこちら)」のような感じなのかなあと想像はしてるんですが、マサさんのグループに参加してたタジタジこと田尻 順さんからは「うまく言葉にできないんだけど、とにかく今までのアレンジとは一味ちがうなあって思った」なんて情報ももらってるので、また新たな松尾さんの世界が見られるのかと気になってるところですo(^-^)o

 

↓これは、充時さんがコントロールルームから撮ってくれたフロアの様子です。わざわざ iPhone のアプリで2枚の写真をくっつけてくれたそうです。ふふっ、携帯を持ち上げて皆の写真を撮ってるのはヴァイオリンのマサさんですね〜。こうして撮った写真は、マサさんのブログのこちらにアップされてますよ♪

86442の弦セクションがフロアでひしめき合ってますね(^^ゞ

 

今回はまず16曲を2時間で録るという、何ともタイトなスケジュールだったそうです。あ、本来16曲もあったら、2時間半から3時間かけて録るのが一般的(?)なんだそうです。でも、今回はそんなに難しい曲はないから大丈夫だろう…ってことでインペク屋さんと相談の上で2時間にしたそうですが、やっぱりちょっと厳しかったとか…。松尾さん情報によると弦の大編成は13時から15時までの予定だったそうですが、何と14時59分に終わったそうです。なぁ〜んか、人知れず冷や汗かいてるインペク屋さんの姿が見えてくるようですよね。それにしても、何だかんだ言いながらもちゃんと時間内に終わってるところがすごいなあって思います。

その大編成の中に木管が入ってる曲は6曲、小編成になってからは4曲の計10曲だったそうですが、その10曲の中でおっちゃんのフルートが入ってるのは7曲でした。でも、その7曲の中の1曲…ピアノとフルートのための曲はフルート部分だけをあとでアカペラで別に録ったので、実際は7曲+αって感じでしょうか。


こちらはコントロールルームで何やら打ち合わせ中の松尾さんと充時さんです。写真にマウスを乗せると、別カットになりますよ(^.^)b

今回はスケジュールがタイトで写真もこうした打ち合わせの合間にササッと撮ったものだけ、お話もほとんどできなかった…とおっちゃんは残念そうでしたが、同じく松尾さんの方も「もっと旭さんと話してみたかった」なんて言ってました。


ところで、松田さんの日記に「今日はほぼ100%書き譜だった」みたいな一文があったでしょう。この「書き譜」って何のことか分かりますか?
お恥ずかしながら(まあ、いつものことですが…)私はパソコンで打ち出したものではない、いわゆる手書きの楽譜のことなのかと思ったんです。でも、松尾さんはもうここ何年もFinaleという作曲ソフトで作曲されてることは前に聞いてたんで「何で今回だけわざわざ手書きの楽譜?」と、私の頭の上には「?」がいっぱい。で、思い切ってツイッターで聞いてみたら、充時さんを始め何人かの方がツイッター上や私信で「コードとかじゃなく、全て音符で書いてる楽譜」って教えてくれました。

そんな話を松尾さんにしたら、松尾さんからも「いわゆるクラシックの譜面のように、全部音を譜面に書いてあって、その通りに弾くというやつです。そうではなく、メロとコードだけ指定して、あとは適当に弾いてもらうパターンもありますが、そういうのは書き譜とは言いません」と、さらに詳しい説明をしてくれましたよ♪

その松尾さんからのお話と充時さんたちからのお話で思い出したんですが、そういや前にさだまさしさんの新曲レポ(こちら)の中で「マスターリズム」っていう譜面をご紹介したことがありましたよね。それを見るとほんと必要最低限のことしか書かれてないんで、音符をぜんぶ書いてるクラシックの譜面との違いがよく分かるかと思います。ただ、さださんのときのはピアノとベースとギターの人たち用のものなので「マスターリズム」とか「マスター譜」って言うそうですが、たとえばピアノ用にメロディとコードだけ書いたものは「マスターリズム」とは言わないそうです。はて…んでは何ていうんでしょうねえ。

とにかく、メロディとコードだけ書いてあって、あとは奏者に適当に任せる…っていうのとは違うので、まずは細かいところまでの譜読みが必要なわけですよね。それで松田さんは「大変だった」って書いてあったんだと思います。でも、何で今回こうやって書き譜にしたかと言うと、そこには松尾さんの「弦とピアノというようなクラシックスタイルの曲が多かったから」という、ちゃんとした狙いがあったからなんだそうですよ。その狙いというか理由は…作曲をされてる方なら想像がつくのかなあ。私も松尾さんに説明してもらって頭では分かってるつもりなんですが、どうにも上手く文字にできないんでご想像にお任せします(^^ゞ


それから、松田さんの日記の中に「松尾さんの曲は難しくて…」ってのがありましたよね。そのあたりについて松尾さんからは「これは前にHELLSINGでやったピアノソロの曲が異常に難しかったことがあって、それがトラウマになったのかも(笑)」なんてお話が聞けました。うちには「HELLSING」のレポは3つあるんですが、このお話は初耳で嬉しかったです。

で、松田さんの演奏や初見能力のすさまじさを松尾さんも声を大にして語ってくれてましたが、松田さんの素晴らしさは私もあちらこちらで耳にします。松田さんは書き譜も、そのメロディーとコードのみも両方とも上手な、数少ないピアニストさんらしいですよ〜。しかも、クラシックからジャズ系まで何でもこなせて、ほんとにすごいピアニストさんらしいです(*^^*)

その松田さんから素敵なコメントをいただきました → CLICK HERE


ところで、譜面の話でまた別のエピソードがあります。
今回エンジニアさんや指揮者さんが使うフルスコア、それにおっちゃんやマサさんたちミュージシャンが使うパート譜、それら全てを松尾さんご自身が用意したそうですよ。Finaleで書いた楽譜のパート譜を作って印刷して、フルスコアは両面コピーして太いホッチキスで留めて製本テープを貼る…って感じでちゃんと製本もしたんですって〜。まあ、「音大の作曲科なら学生時代に必ず製本して提出するように言われるので、慣れてはいるんですが…」と言いつつも、やっぱり数があるし「写譜屋さんの苦労がよく分かりました」と、かなり大変そうでした。

しかも、そうやって頑張って作っていったのに、おっちゃんやマサさんたちには「音符が小さくて、目が疲れる」なんて言われちゃったとか…。そのあたりについてあとでおっちゃんに聞いてみると「まあ、音符は何とか見えたんやけど、楽譜の上に書いとる曲の指定…テンポがいくつとか、アレグロとかそういうんが見えにくかったんよなあ。最近は小さいもんが見えにくうてしゃあないわ.わはは!」なんて、それもまたいい思い出って感じで笑ってましたけどね(^^ゞ


ちなみに、こちらがその楽譜です。松尾さんが音符が見える状態で載せてもいいよって言ってくれたんで、大きいまま載せますね。どうです?何か細かい動きがいっぱいあってややこしそうですよねえ。で、↑にある譜面の表紙も、松尾さんのお手製です♪

実はこれ、松尾さんから製本の話を聞いてどうしても見てみたくて、充時さんに「楽譜、持ってたりする…?」って聞いたら「ふっふっふ、これのことかな〜?」なんて挑発的な文句と一緒に右の写真を送ってきてくれたんです。充時さん、相変わらずノリが良くて面白い人です(^o^)


とりあえずここで今回の録音の編成を…弦(マサさんのグループ:86442)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(元木瑞香さん)、ピアノ(松田真人さん)、打ち込み(松尾早人さん)、エンジニア(中村充時さん)でした。

あ、今回はこれだけのメンバーが一緒に録ったわけですが、あとで木管だけ…とか、ピアノだけ…とかいう風にセクションごとに抜き出して使うことも在りうるようなので(そのためにピアノや木管はブースに分けられてたとか)、同じメロディでも色んなバラエティが楽しめる可能性がありそうですo(^-^)o

で、この配置について、またまた充時さんから貴重なコメントをいただきました〜!

 

劇伴界の最近の「ステム・ミックス(参照)」の流れからいうとこれからセクションによるブース分けや、別録りは増えて行くかも知れません。
劇場版はフル編成でそのままシーンに使われることを前提に録っているのでそういうことはないでしょうが(1年後にTVBGMとして使えるようになるので、その時用のステム・ミックスを作って、という要望は既にある)TVの方は、「汎用的」にBGMが書かれているし、シーズン途中で方向性が変わる(ファンの反応などで)こともなくはないので、曲の厚みが調整できるステム・ミックスは重宝されるのですね。

セクションやパートごとにばらばらのミックス、例えば木管セクションを録ったままではリバーブがついてないのですが、それにホールのリバーブがついて、上げ下げのバランスも取られているものをひとつの「ステム」=直訳すると「棒」として扱うこと。
例えばフル編成の中で、パーカッションや金管のステムをカットすると、豪華で分厚い曲で戦闘や迫力のあるシーンにつける曲だったものを、別の対峙のシーンや緊張のシーンに使えたりする、というわけです。

そんなわけで、今回の「神のみぞ知るセカイ」も最初からステム・ミックス前提でミックスしております。

 

…だそうです。
なるほどね〜。録音技術の進歩によって、音楽の種類も使われ方も多様化していくってことなんですね。じゃあ、その色んなバージョン(組み合わせ違い…とも言える?)ってのを、ぜひテレビでいっぱい聴かせてほしいものです(*^^*)


こちらはこの「神のみ」の編成表。

シンセだけってのも何曲かありますが、全部で53曲あるのでオンエアで出来るだけ色々と聴かせてくれるのに期待したいところです。また、さっきのフルートのソロ以外に、オーボエやクラリネットにもそれぞれ美しいソロがあったそうなので、こちらも早くオンエアで聴きたいところです♪


このレポを作成時にはまだ公式サイトに正確なオンエア日時が発表されてませんが、9月25日にはスタッフさんと週刊少年サンデーの読者さん50組100名による試写会が行われるそうです。これが終われば正式な放送日程が発表されるんでしょうか…とにかく、何か分かったらまたここに追記するか、ブログでお知らせしますね(^.^)b

 

…とレポアップ時には書いてたんですが、その試写会でオンエアの日程が発表され、公式サイトにもその情報が載ってたので、こちらにも書いておきますね♪

テレビ東京………10月6日(水)25時50分〜
テレビせとうち…10月6日(水)25時50分〜
テレビ北海道……10月6日(水)26時20分〜
テレビ大阪………10月8日(金)25時53分〜
テレビ愛知………10月11日(月)25時58分〜
TVQ九州放送…10月12日(火)25時53分〜

のオンエアとなります。どうぞお楽しみにo(^-^)o

 

 

536 劇場版ポケットモンスター「幻影の覇者ゾロアーク」(宮崎慎二)

2010年5月30日。映画ポケットモンスター「幻影の覇者ゾロアーク」の音楽録りのために、ビクターの301スタに行きました。音楽はもう皆さんご存じの宮崎慎二さんです。2月に行なわれたこの映画の予告音楽録り(レポはここ)には無事に参加できたおっちゃんですが、実はその後さだまさしさんのツアーサポートが入ったので、本編の音楽録りへの参加はどうなるかドキドキでした。でも、ほんとに上手くツアースケジュールの合間を縫ったところに録音が入り、こうしてこの日を迎えられたことをとても喜んでましたし、私もほんとに嬉しく思います(^o^)

さて、本題に入る前にちょっとした当日のエピソードを…。この録音の前々日に待望のiPadが日本でも発売され、この現場に来てたエンジニアの中村さんや代棒の多田さんもしっかりゲットしてたんです。そらもう、中村さんや多田さんのツイッターはイマジンのマネージャーさんであるマサルさんも含めて、ちょっとしたお祭り騒ぎでしたよ〜。誰かが「うちは届いた!」って書けば「うちはまだ…もうすぐそこまで宅急便のトラックが来てるのに〜!」なんて感じでね(^^ゞ

だから、録音当日も「今日は黒と銀の大きな板を持っていきます」「私も持っていきます」みたいなやりとりがあったので、おっちゃんと「こりゃあ、現場でいっぱい並べて見せ合いっこになるんかなあ」「そうなったら面白いけど、皆そんな発売当日に買うとるやろか?」なんて話したもんです。



で、いつものようにおっちゃんが早めにスタジオに着くと、コントロールルームで多田さんと中村さんがiPadを出してて、それを皆で囲んで楽しくお話してたそうですよ。

それにしてもこの中村さんの嬉しそうな顔はどうでしょう〜?(*^^*)


これ、買ったときから既に色んなアプリが入っているそうですが、下の写真は中村さんがあとから買ったというギターのアプリです。で、その場に居合わせた中では一番ギターが得意な丸尾さんが弾いてみてる(?)ところだったりします。


弾いてみた丸尾さんの感想としては「弦やフレットの感触がないから、画面から目が離せない〜」とのことでした。そりゃまあ、どう言っても平面ですもんねえ。

でも、楽しそうです(^o^)


こうして楽しいiPad談義の時間は終わり、それぞれの持ち場に行って録音の態勢に入り始めました。このころから徐々に映画関係者の方々も集まりだし、やがてコントロールルームは人でいっぱい。すごい熱気にあふれてたようですよ。ポケモンの映画って毎年すごい大所帯でのロケハンや大々的な宣伝が行なわれてますが、それだけ多くの方がこの映画に関わってるし、世間の関心も高いってことですよね。

この日の現場には取材用のテレビカメラっぽいのも入ってて(メイキング映像とかを放映するのかな?)事前に「顔が映ると都合の悪い方は申し出てくださ〜い」なんてアナウンスもあったようです。最近はもうプライバシーの保護という観点のみって感じですが、ちょっと前までは学校やオケの関係でスタジオのお仕事をしてるのを伏せてる方もけっこういたようです。

さて、録音のお話…にいきたいところですが、夕方6時に始まるって聞いてたはずなのに、6時すぎにヴァイオリンのタジタジさんこと田尻 順からメールが来たんです。あ、ほら、当日のマサさんのブログにもアップされてるマサさんの足の写真をつけてね(ここ参照)。で、折り返し「あら、6時からでなかった?」って聞くと「実はまだ始まってなくて…(^^ゞ」というお返事が来ました。どうやら、何かコンピュータがトラぶったみたいです。

そういや、2月に行なわれた予告編の音楽のときも始まる前にトラブルがありましたよね…。あれはかなり大きなトラブルで、そのときの恐怖の様子をエンジニアの中村さんが当日のレポ内から別枠でつづってくださってるので、合わせて読んでみてくださいね(^.^)b

とにかく、今回のトラブルについて、それから実は作曲の段階でも宮崎さんから「作曲してるよりパソコンと格闘してる時間の方が長い気がする」なんてメールをもらってたので気になってたんですが、それについてもまたまた中村さんが詳しく説明してくださったんで、どうぞ読んでみてください。エンジニアさんの視点による今回の音楽についての感想なんかもあります。専門用語だらけで難しい部分も多いかとは思いますが、そこがまた現場の生の声であり、この録音レポの醍醐味でもあると思うんで、ぜひぜひ♪ → CLICK


こちらは作曲の宮崎慎二さんと代棒の多田彰文さんです。写真にマウスを乗せると同じ2ショットの別バージョンになりますが、そっちの方がお2人の表情がいいかな?

あ、この際なんでお話しますが、多田さんってほんっとに面白い人なんですよ〜。常にオヤジギャグを言ってるっていうか…あ、ご本人はオヤジギャグのつもりではないのかな?

とにかく、5月からツイッターでお話させてもらうようになって、そうした多田さんの魅力にいっぱい気づけて、とても嬉しく思ってます(^O^)


で、ようやく録音のお話です(^^ゞ
録音は、あらかじめ作られた打ち込みのデータに生オケをダビングするという形で始まったんですが、最初は木管と金管とパーカッション…と、つまり弦を抜いた状態からだったそうです。その後、4曲目から弦セクションが入ってフル編成の録音が始まったそうですが、こういう進行ってちょっと珍しいような…ほら、大体いつも大編成から始まって少しずつ編成を小さくしていって、最後にダビングって感じですもんね?

指揮者は予告音楽の録音に引き続いての多田彰文さんで、宮崎さんはコントロールルームにあるディレクターの席から諸々の指示を出したり、質問に答えたりしてらしたそうですよ♪

 

ではここで、その多田さんの棒を振る姿を動画でお見せしましょう☆彡
例によって音は消してありますが、多田さんの指揮姿はほんとに素敵です。とてもあのオヤジギャグ飛ばしまくりの方と同一人物とは思えないっていうか…いや、あのオヤジギャグ炸裂の多田さんも大好きなんですけどね。ま、とにかくどうぞ♪

 

 

ね〜?いい感じだったでしょ〜?
この動画の中で流れてる音楽は、ひたひたと敵が迫ってきてるような…何とも不穏な空気いっぱいの感じでした。動画としては弦の音くらいしか聴こえないんですが、実際にはこれにブラスやパーカッションが乗るんでしょうかねえ。

 

ところで、この日の宮崎さんの音楽は例年のポケモンの音楽とはちょっと違って、全体的にサスペンスっぽいものが多かったようです。いつものように本当に生き生きと躍動感に溢れたメロディでありつつもどこか緊迫感がみなぎってたりしたもんで、ほぼ毎年この映画ポケモンの録音に参加してるおっちゃんも「おっ…何や今年はちょっと違うぞ」なんて思ったそうです。反対にすごく田園的な癒し系もあって…そう、おっちゃんのホイッスルを使った曲なんかまさにそんな感じで、吹きながらおっちゃんも癒されてたそうです(^^ゞ

そのホイッスルの曲ですが、全部で3曲あったそうです。どれも同じテーマなんだそうですが、サイズが少しずつ違ってたんだとか…。キーはホイッスルでは一番やりやすいというDのキーだったそうで、いつも以上にのびのびと気持ちよく吹けたそうですよ。ただ、途中1カ所だけ半音あがってE♭になるところがあったんだそうですが、そこは「いつかのときのために…」とちょっと前に仕入れてたE♭管でやったそうです。仕入れてた楽器が日の目を見て、おっちゃんも嬉しそうでした。ちなみに、おっちゃんはこれでほぼ全てのキーのホイッスルをそろえてることになったみたいですよ(^O^)

あと篠笛の曲も何曲かあって、そのどれにも能管や龍笛でよく使われる「ひしぎ」という奏法を意識した高い音があったそうです。この「ひしぎ」って多田さんは「雄叫び」なんて言葉で表現してましたが、ほんとにそんな感じなんです。何ていうか…「ピィーッ!!」って感じでけたたましく響くんです。私は和田 薫さんが手がけた「犬夜叉」というアニメが好きだったんで耳なじみがあったりするんですが、それにしてもああいう音があのポケモンの中でどんな風に使われるのかは、すご〜く興味があります。

 

その「ひしぎ」らしきものを吹いてるおっちゃんとフロア全体の動画もあるんで、どうぞ♪

 


 

この動画の説明としては、ブラスや弦が一気に鳴ってぐぁ〜っと盛り上がったところにおっちゃんの篠笛がとどろくって感じでしょうか…私の勝手な想像としては、すごい強敵と対峙してるときのような雰囲気だなあと思ったんですが、はてさてどんなシーンで使われるんでしょうね〜。

 

あ、おっちゃん曰く「ひしぎはもともと能管や竜笛のための奏法で、それを篠笛でやったらちょっと細い音になってしまうんやけど、そのあたりは中村さんがうまいこと処理してくれるんちゃうかと思うとる」ってことでした〜。ふふっ、映画を観ながら、こういうところもチェックせんと…!
 


この3ショットは、チューバ奏者であり、イマジンの名カメラマンでもある大塚さんが撮ってくださったそうです。

写真にマウスを乗せると、今度はフルートの金子奈美さんとバストロンボーンの山城純子さんの麗しい2ショットになります。おっさ…いえいえ、素敵なオジさま方とは対照的な写真ですね……って、あれ?フォローになってない?(;^_^A

冗談はさておき、みんなほんとにいい笑顔です(*^^*)


編成は、弦(マサさんのグループ:66442→6442→4422→1111)、フルート&ピッコロ&ホイッスル&篠笛&アルトフルート(おっちゃん)、フルート&ピッコロ&アルトフルート(金子奈美さん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(元木瑞香さん)、ハープ(朝川朋之さん)、トランペット(菅坡雅彦さん他2名)、トロンボーン(中川英二郎さん他1名・山城純子)、ホルン(藤田乙比古さん他2名)、パーカッション(草刈とも子さん・藤井玉緒さん)、オペレータ(丸尾 稔さん)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(中村充時さん)でした。

レポの中盤でも書きましたが、こうした劇伴録音のときは最初に大きな編成で録って、そのあと少しずつ編成を小さくしていくことが多いんですよね。でも、今回は見ての通り弦が4段階になってます。あんな感じでだんだん編成を小さくしていって、最後は弦カルと木管でやって、パーカッションはさらに居残ってダビングがあったようです。

また、今回の弦の編成って、最初が「66442」で編成が減り出した2回目が「4422」と、ファーストヴァイオリンとセカンドヴァイオリンの数が同じになってるでしょう。このあたりに何かサウンド的な狙いがあるのかなあと思って宮崎さんに聞いてみると「打ち込みリズムが入ってなかったり、ストリングスメロがメインなどクラシカルで壮大な感じにしたい時は人海戦術に頼りたいこともありますが、今回は低域での厚みが欲しい局面が多かったものですから、マックス66442で必要充分。良いプレイをしていただいて感謝してます。」というコメントをいただきました〜!

なるほどなるほど、ここで先におっちゃんが言ってた「今回はサスペンスっぽい曲が多かったように思う」ってのとがつながりましたね。これについては中村さんからも「今回はコーダイがシリアスなのと、敵方のハイテクが活躍するシーンも多いので、それにつくBGMも少しハイッテックな冷たい感じの曲、重い曲が多いかも」との情報もいただきました(^O^)

この日の録音は開始がちょっと遅れたものの、終わったのはほぼ予定通りの時間。映画ということで曲数もすごく多いのに、短時間でこんなにもスムーズに進めたのはその場にいらした全員の頑張りによるところが大きいのはもちろんですが、代棒の多田さんの的確な棒のおかげも大きいと思う…と、おっちゃんは言ってました、おっちゃんや奈美さんのおかげで多田さんの指揮姿の動画は見えるようになりましたが、いつか生で振ってるところを見たいなあ…だって、多田さんの指揮姿って、こう全身で音楽を表現してるっていうか、演奏者と1つになって駆け上がろう…みたいな雰囲気があって、すごくかっこいいんですもん(*^^*)

この映画は、2010年7月10日(土)から全国でロードショーされます。どうやら今までとはちょっと違ったストーリー展開、キャラ、そして音楽…どうか映画館の大迫力画面&サウンドで楽しんでくださいねo(^-^)o

 

 

535 アニメ「黒執事」第2期(岩崎 琢)

2010年5月9日。岩崎 琢さんによる、アニメ「黒執事」の第2期の音楽録りのためにサウンドインのAスタに行きました…なんですが、この第2期のための音楽録りは、冒頭に書いた5月9日と6月22日の2回に分けて行われたんです。で、その2回の録音をまとめて1つのレポにしよう…なんて思ってたら先にオンエアが始まっちゃったんで、私自身が第1回のオンエアを見ての感想も含めて書きたいと思います。そうすると、私に文章力がないために時系列とか話題とかがもうぐちゃぐちゃになってしまったんですが、そこはどうぞご了承ください(;^_^A

さて、この「黒執事」というアニメは枢やなさんが描かれたマンガが原作で、第1期シリーズは2008年10月から2クールでオンエアされました。前半は原作に忠実に、後半は原作のストックがないことからアニメオリジナルのストーリーが展開されましたが、最後までとても人気があったようです。私も見てたんですが、とにかく細かいところまで丁寧に描き込まれてて、おさえ目の色合いがとても綺麗な映像だった印象がありました。


また、岩崎さんのクラシック調の音楽があの作品世界にとてもよく合ってて、たまに映像や脚本の方が「おいおい…」って感じで作品の世界観から脱線しそうになったときも、岩崎さんの音楽がうまくバランスを取ってくれてたように思いました。

あ、基本はクラシック調ですが、渋いブルースっぽいのやジャズ風の、それに岩崎さんお得意のラップ調のもあったりして、2枚組で出されたサントラは(キャラソンCDもついてたから実は3枚組)もうそれだけで1つの芸術作品って感じでした。

その第1期シリーズの録音レポはこちらにあります。


で、今回の第2期のための音楽ですが、第1期のときのもそのまま使うこともあってか、この日は2時間拘束で12〜3曲のみだったそうです。公式サイト見ると、もう「これがあの黒執事?」ってくらいキャラもストーリーも全くのオリジナルっぽいんですが、あのダークな作品世界は同じようなので、こうして音楽をそのまま流用することも可能なんでしょうね。しかしまあ、過去に何かありそうな少年と謎だらけの執事って設定以外は完全に原作からかけ離れたオリジナル。はてさて、どんな展開になるのやら?

…とオンエア前まではこんな感じでレポを作ってて、しかもオンエア直前にはブログにこんな記事までも書いてたんですが、実際にオンエアを見てビックリ。ちゃ〜んと前の主役の少年と執事も出てるじゃないですか〜。しかも、第2話の予告を見ると、前のシリーズの他のキャラもいっぱい出てました。ちなみに、その予告のときの音楽は、前のシリーズのときに作られたものでしたよ(^O^)

その第1期の録音にも参加したおっちゃんが受けた今回の音楽の印象は「前はちょっと昔のヨーロッパ風で、重厚・上品・貴族的って感じやったけど、今回はガラッと変わって、ショスタコービッチやプロコフィエフみたいな旧ソ連の作曲家…日本で言うたら芥川やすしさんの音楽をもっとカッコようしたような軽快な音楽が多めで新鮮やったわ」だそうです。

すみません…私が不勉強なもんで、その「ショスタコービッチ風」も「プロコフィエフ風」も「芥川やすしさん風」もサッパリ想像がつかんのですが、とにかく前とは随分と違った雰囲気みたいですね。また、半音でぶつかりまくりの…あのおっちゃんでさえ「何や気ィつけとらんと、自分の音が合うとんかどうか分からんようになりそうやったわ」なんて言うコミックタッチの曲があったり、バックにハバネラのリズムがチラッと顔を出すロマンチックな曲なんかもあったそうです。木管それぞれのソロが楽しめる木管大活躍の曲もけっこうあったそうなので、これはオンエアで聴けるのがほんと楽しみですo(^-^)o


↓これは、岩崎さんと今野さんとの間で何やら打ち合わせをしてるときの様子です(^.^)b

正確に意うと、今野さんが「ここ、ちょっと難しいんだけど、テンポはどれくらい?」って聞くと、岩崎さんが「うん…けっこう早い(^^ゞ」って答えてたり、今野さんが「ここはこんな感じでいい?」って曲のニュアンスを訊ねたり…ってところでしょうか。

 

 

 

ちなみに、この動画の中で今野さんが弾いてるフレーズは第1話では流れなかったんですが、曲の感じからして新執事のクロードが一気にお部屋の模様替えをしてたシーンで流れてた、ちょっとバロック風の?音楽の一部じゃないかと…これは今後のオンエアに期待&いつかは発売されるだろうサントラで確認ですねo(^-^)o


あ、この「黒執事」の音楽にはYuccaさんと新南田ゆりさんがヴォーカルで参加されてるようで、Yuccaさんのブログのこちらにもレコーディングの様子が書かれてます。岩崎さんの写真もあるんですが、これがまた…ぐふふふ♪ で、岩崎さんがご自身のブログのこちらで大絶賛されてる新南田ゆりさんのアリアは第1話では使われなかったようですが、Yuccaさんの歌は流れましたね〜。あの新しい主人公(?)アロイスの着替えをクロードが手伝ってるシーンです。

第1期の第1話にも同じような着替えのシーンがありましたが、こちらは優雅で朗々としたイタリア歌曲が流れてました。でも、今度は何とも物悲しげな…どこか謎めいたような感じの曲で「うわ、今度はこう来たか!」と、前のとの違いにドキドキしたところです。いやまあ、そのあとのシーンがものすごくグロかったし、思わずドン引きしてしまうような新しい主役(?)アロイスの壊れっぷりが至るところにあったんで、そのリード的な音楽としてほんとによく合ってたと思いました。できれば、あの歌詞の意味をちゃんと知りたいなあ〜!

 

こちらは、フルートの金子奈美さんが撮ってくれたスタジオの様子です。奥の方に小さくですが、岩崎さんも写ってるでしょ〜? 実はデジカメのズームとかのテストを兼ねた撮影だったんですが、これがなかなかいいんで使わせてもらいました♪

 

 

こうして1回目の録音はほぼ時間通りに終わり、その編成は、弦(今野 均さんのグループ:64422)、フルート&ピッコロ(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ&イングリッシュホルン(庄司知史さん・浦 丈彦さん)、クラリネット(山根公男さん他1名)、ファゴット(?)、トランペット(2)、トロンボーン(小田切寛之さん)、ホルン(西條さん他2名)、指揮(岩崎 琢さん)、エンジニア(Yoshi Tamlaさん)でした。


続いて、6月22日にサウンドインのAスタで行われた2回目の録音のお話です。今回も拘束時間は2時間と同じですが、録った曲数は7〜8曲と前回よりは少なかったとか…。でも、1曲の尺が長いんで、これでも結構ギリギリのスケジュールだったみたいですよ。その証拠に、今回は写真だけで動画を撮るような余裕はなかったそうです。あうぅ〜ちと残念。ちなみに、この日の録音はまず弦と木管7人だけでやって、木管さんの帰ったあとでブラス隊のダビングをやり、そして更にそのあとで小編成の弦の録音もあったようで、全てが終わったのはかなり遅い時間になってたそうです。

あ、この2回目の録音ですが、まずテンポが速い…どことなく勇ましい雰囲気の曲からやっていったそうです。で、このレポの上の方でお見せした動画で今野さんが苦笑してるように、今回も弦と木管の両方に難しいところがあって、差し替えになる部分も多かったそうです。まあ、演奏する方々はほんとに大変でお気の毒さま…って気もしますが、ただ聴いてる方としてはそこがまたカッコ良くて惹かれるんですよね〜。特に今野さんのヴァイオリン。前シリーズでもあのソロにやられましたが、今回もまたすんごくいい感じです(^O^)


こちらは録音当日のブログにアップしたものと同じですが、副調室での岩崎さんです。手前にいるのはエンジニアのYoshi Tamlaさん。

岩崎さんは何やら楽譜とにらめっこしてる様子ですが、こういうときって、この場でどんなことを考えてるんでしょうねえ…楽譜に間違いがないかとか、どの順番で録ろうかな〜なんてことを考えてるのかな?


そんなこんなで差し替えなんかを丁寧にやってると少し押し気味になってきたので、岩崎さんの方から「後半はできればぶっつけ本番でいきたい」オーラが出てきてたそうです…が、どの曲もそれほど易しいものはなかったんで、この日に限っては1曲もぶっつけ本番で録ったってのはなかったようです(^.^)b


ではここで、岩崎さんの指揮姿の動画をどうぞ♪…って言っても、これは1回目の録音のときのものなんですけどね。でも、相変わらず素敵です(*^^*)


この動画、実際には遠くで小さく弦の音が聴こえてて、途中でブラスが「パパパパパパパパッ!」って感じで鋭く入るんです。これ、どんなシーンで使われるのかな〜?o(^-^)o


ところで、岩崎さんのブログのこちらの記事がアップされたのがちょうどこの2回目の録音のあった日で、せっかくの5月のNY行きの後こんな大変なことがあったと知って心配したんですが、スタジオでの表情はとても良くてホッとしました(*^^*)

写真にマウスを乗せると、さらにいい感じの2ショットになりますよ(^.^)b

ふむ、できることなら、その製品になる前の音ってのも聴いてみたいなあ…って私の耳ではその違いが分からんやろなあ(;^_^A


そうそう、ちょっと余談になりますが、この日おっちゃんがスタジオに入ると、メインのフロアに86442の弦、そしてドアで隔てられた奥のブースに木管って感じでセッティングされてたそうです。で、そのブースに入っていくと、すでに来てた木管の人たちが何やら騒いでてたそうです。何と、このクソ暑くて蒸し蒸ししてるときに、エアコンの調子が良くなかったんですって。しかも、他は冷えすぎてるくらい冷えてるのに、おっちゃんたちのブースだけが効いてないという…そこに追い打ちをかけるように普段でも頭がクラクラするような難しい曲が来て、ある意味ものすごくハードな録音だったみたいですよ(^^ゞ

でも、録音中は音の回り込みなんかを避けるためにドアを開けるわけにもいかんしねえ。で、休憩中やプレイバックの時間になったらドアを開放して、ほかのブースから冷気を取り入れる…なんてこともやってたようです。これはまあ本当にご苦労さまって感じなんですが、音楽は半端なく良かったみたいです。ブースの中でも「うへぇ〜と思うくらい難しい部分もあるけど、出来上がった音楽がほんとに良いものだって分かるから"やったろやないかい!"って思うよね」なんてことも言ってたようですよ。

2回目の録音の編成は、弦(今野 均さんのグループ:86442)、フルート(おっちゃん)、フルート&ピッコロ(金子奈美さん)、オーボエ(庄司知史さん、浦 丈彦さん)、クラリネット(山根公男さん他1名)、ファゴット(井上俊次さん)、指揮(岩崎 琢さん)、エンジニア(Yoshi Tamlaさん)でした。

 

あ、ここで岩崎さんからいただいた素敵なコメントをご紹介します。せっかくなんで、岩崎さんのメールをそのまんま載せさせていただきますね(^.^)b

2回目の録音の時は、木管隊がとても良かった。井上さんは、今一番安定感のあるファゴット奏者だと思う。それから、今回特に金子奈美さんのピッコロが秀逸だった。同じことをエンジニアの田村氏も言ってた。FLの2ndって、あまり目立たないパートなんだけど、目立たないパートがちゃんと気にならないで聴こえるというのは、実は大事なことなんだよね。

だそうです。こ…これは是非とも奈美さんに伝えなければ…!
今回のレポでは私はあまり奈美さんのことに触れられませんでしたが、録音の前後には「今日はタク様の録音だよ」「何かすごくタイトでタク様の写真とか撮れなかったよ…ごめんね〜」なんてメールをもらってたんです。この岩崎さんからのお話を伝えたら、また2人で「もう、タク様ったら…」みたいな舞い上がりきったメールを交わすことになりそうです(*^^*)

その後日談→CLICK HERE

また、おっちゃんは今年さだまさしさんのツアーで全国を回ってるんですが、この日の弦にはそのツアーで一緒にやっているチェロの徳澤青弦さんと、昨年のさださんツアーで一緒だった同じくチェロの結城貴弘さんがいらしたので、3人で「やあやあ(^O^)」なんて感じでわずかな合間を縫って話したりもしてたそうです。

このアニメ、2010年7月1日からすでに全国で放送されています。キャラは前と同じで相変わらず綺麗な顔してますし、その背景なんかも細かいところまで描き込まれてて惚れ惚れしますし(でも色合いは第1期より少し明るくなったような…)、アニメオリジナル執事と原作の執事とのバトルっぽいのもありそうなんで、これからどんどん面白くなっていきそうです。そこに岩崎さんの音楽がどう乗ってくるか…ぜひぜひオンエアを楽しんでくださいねo(^-^)o

 

 

534 OVA「聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話」第2期(和田 薫)

2010年4月27日。和田 薫さんとのお仕事で、AVACOの301スタに行きました。この日の録音に関しては、2月くらいの時点で和田さんご本人から「4月に去年もやった聖闘士星矢ロストキャンバスの録音がある」って教えてもらってたんで、録音の数日前から「もうすぐ和田さんやなあ。楽器はどんなん持っていくん?」「何やフルートのほかにリコーダーやらケーナやら色々と持ってきてって言われとるわ。楽しみなこっちゃ♪」「ああ、聖闘士星矢ってことは、多分また中世ヨーロッパ風なんやろなあ。私、前のシリーズの1巻だけ見たけど、しっとり系の曲がえらい良かったわ。今度もそんなんがあるんかな〜?」な〜んて感じで、おっちゃんと色んな想像をして楽しみにしてました(^o^)


で、録音当日の朝は、和田さんやヴァイオリンのマサさんと、前にブログのこちらに書いたようなやりとりがあったわけですね(^.^)b

写真はおっちゃんに配られた楽譜の表紙です♪


さて、現場ではまず、この日のお題である「聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話」について、和田さんの方から全体に「去年やったのが好評だったので、続編をやることになりました」というようなお話があったそうです。その前のシリーズの録音レポでも書きましたが、おっちゃんやマサさんは1986年当時に放送してたテレビアニメの録音にも参加してるので(そのときの作曲は横山菁児さん)、この「聖闘士星矢」とは20年以上のお付き合いになるわけです。そのあたりについて、おっちゃんも何やら感慨深いものを感じてるようでした。


副調室での和田さんとエンジニアの山田さん。

写真にマウスを乗せると、ちょっとだけ違うカットになりま〜す♪


で、いよいよ録音に入るわけですが、当日のブログに書いたように、この日は最初の2時間で20曲を録るというタイトなスケジュールだったわけですね。しかも、そのあとにはダビング組が控えてるということもあってか、サウンドチェックが済んだあとは最初っからぶっつけ本番。もちろん何か問題があったら、やり直したり差し替えたりはするんですが、20曲のうちの半分以上は最初のテイクがそのまま採用になってたそうです。それにしても、すっごい飛ばしっぷり…和田さんのテンションも、最初っからずっと上がりっぱなしだったようですよ♪

おかげで、テンポが60くらいと遅く、しかも尺も長めの曲が何曲もあったにもかかわらず、20分を残して…つまり1時間40分くらいで録り終わっちゃったそうです。これにはスコアミスや写譜ミスがなかったことも大きいかと思いますが、それにしてもミュージシャンさんもエンジニアさんもすごく緊張したでしょうねえ。とにかく、おっちゃんも「さすがとしか言いようがないわ」との褒めっぷりでした(^o^)


全体録音が終わったあとにおっちゃんが入ったブースから、モニター越しに見た和田さんです(^.^)b

ちょっと挿絵が欲しかったんで、先にここで使っちゃいます(^^ゞ


まあ、そんなわけでプレイバックをほとんどしなかったようなので音楽の全体像はつかめなかったそうですが、おっちゃんには全体的に低音楽器が活躍する重い雰囲気の音楽が多かったように感じられたそうです。私はこのレポート作成時にはまだ前のシリーズの2巻までしかDVDを見れてないんで分からないんですが、この2期シリーズで物語が何かしらの完結をするって感じなんでしょうか…だとしたら、クライマックスに向けて重厚な音楽が多くなってくるのもうなづけますし、和田さんならではのあの重厚なサウンドにいよいよ興味が出てきています。早く前のシリーズを次々とレンタルしなくっちゃあ!

ところで、その前シリーズですが、私が見た2巻までの感想としてまず思ったのが「音楽と絵がとてもよく合ってる」ってことなんです。絵の雰囲気と曲想が…ってことももちろんですが、絵と音楽の尺がよく合ってるなあと思ったんです。でも、これってテレビシリーズと同じ溜め録り方式で、単発ドラマや映画のようなフィルムスコアリングではないはずなんです。だから不思議に思って、そのあたりのことについて和田さんに質問してみました(^O^)

以下、和田さんからのお返事そのまんまです。

これはフィルムスコアリングではないのですが、本編がかなり原作に忠実であって、コミックスに沿って音楽作りが出来たのと、音響監督からの音楽メニューがかなり具体的であった(つまり使用するところが明確であった)というのが幸いした結果ですね。勿論、今回のスタッフは音響も含め、「D.Gray-man」と同じスタッフなので、気心が知れていて信頼関係があったと言うのも大きいですね。

…なんだそうですよ(^.^)b
いや〜とにかく、まだこの作品を見たことのない方は、ぜひ一度は見てほしいと思います。OVAということもあってか作画も隅々まで丁寧だし、安定してるし、見ててストーリーのドキドキ感とは裏腹に一種の安心感があります。また、音楽がそのいうフィルムスコアリングかと思うくらい曲想も尺も綺麗に合ってるんで、すごく物語に入り込みやすいかと思います。個人的にはいつぞやブログに書いたように、アイキャッチのときの音楽が気に入ってたりするんですけどね♪

編成は、弦(マサさんのグループ:86442)、フルート&ピッコロ&ケーナ&リコーダー&パンパイプ(おっちゃん)、オーボエ&イングリッシュホルン(庄司知史さん)、クラリネット&バスクラリネット(星野 正さん)、ファゴット(前田正志さん)、ハープ(朝川朋之さん)、トランペット(大倉さんのグループ3名)、トロンボーン(3)、チューバ(1)、ホルン(吉永さん他2名)、ティンパニ(安藤芳宏さん)パーカッション(小竹満里さん・梯 郁夫さん)、ギターいろいろ(田代耕一郎さん:後半のダビングから参加)、打ち込み&指揮(和田 薫さん)、エンジニア(山田正弘さん)でした。


こうして、ものすごい緊迫感のみなぎる「ぶっつけ本番」だらけの全体録音が終わったところに田代耕一郎さんがいらして、おっちゃんと田代さんと梯さんで例の「民族楽団」となりました。

その後半の録音ではセッティングもがらりと変わり、おっちゃんと田代さんがブースに、そして梯さんが弦のいたフロアになって色んな楽器を並べだして、まさに「店開き」状態になったそうです。


あ、後半は曲数がそれほど多くなかったこともあってか、かなりゆったりとした進め方になったそうですよ。うん、やっぱりここは曲数の問題というよりは、全体録音が予想以上に早く終わったという安心感の方が大きいのかもしれませんね。何はともあれ、ゆっくりと曲に向き合う時間が取れることは、おっちゃんたちミュージシャンさんにとって嬉しいことだと思います♪


その1つがこれ…このいっぱいあるお鍋のようなものは「サテライトドラム」と言うそうで、和田さんはこのところのこの楽器がお気に入りなんだそうですよ。

写真にマウスを乗せると、画像が切り替わります。

ちなみに、取っ手(?)のようなところを叩くらしいです。どんな音がするのかなあ?


民族楽団でやったダビングのうち、おっちゃんが参加したのは3曲。その1曲はパンパイプを使ったもので、サラッと楽譜を見ただけでは「こんなんパンパイプで無理やろ…」と思うようなものだったそうです。でも、ちゃんと見てみると管の配列なんかをしっかり考慮して書いてくれてたので、見た目ほどは難しくなかったそうです。このあたりはもう長年おっちゃんとお付き合いのある和田さんだからこそ…って感じで、何だか聞いてる方も嬉しくなりますよね(*^^*)

ただ、音の並び方(?)はよくても音域的にちょっと高すぎるかなあと思うところがあったそうで、和田さんに「これって低めの方がいいですよね」って言ってみたそうです。そしたら和田さんの方からも「そうなんですよ〜!」という反応があって、下の写真のように、普段の組み方からその下の方に低い管をつけたして対応したそうです。こういうことができるのも、自作の楽器だからこそ…ですよね〜。で、楽譜自体はそんな感じでしたが、曲の途中では「エスニックな感じのバックが流れてるところでは、即興的にやっちゃってください」なんて指示があったようで、けっこう自由に楽しく演奏できたそうですよ(^o^)


左端に太くて長い管が付け足されてますよね?

写真にマウスを乗せると、この日に使った笛系の楽器の写真が見られます。また、レポの冒頭でご紹介した録音当日のブログ記事にて右のパンパイプの大きいサイズの写真が見られますよ♪


このあとケーナの曲はC管のソプラノリコーダー相当の楽器で演奏、そしてリコーダーの曲はアルトリコーダーで演奏したあと、和田さんの方から「同じことをケーナでも出来ますか?」と聞かれたので、そのアルトリコーダーの楽譜をF管のケーナでも演奏したそうです。これ、こうしてサラッと書いてますが、こんなふうにその場ですぐに違う楽器でも対応できちゃうって、とんでもなくすごいことなんだと思いますよ〜。

で、そのケーナの曲にもリコーダーの曲にも田代さんと梯さんの音が被せられてるそうなんで、また面白いサウンドになってるんじゃないかな…とのことでした。ふふ、早くDVDで聴きたいですよね〜。

この2期の発売日に関する情報が入りましたらこちらのレポかブログでお知らせしますので、どうぞお楽しみにo(^-^)o

 

 

533 ミュージカル「黒執事 〜千の魂と堕ちた死神〜」(岩崎 琢)

2010年4月18日。岩崎 琢さんのもとでミュージカル「黒執事 〜千の魂と堕ちた死神〜」の音楽録りが行なわれました。この「黒執事」という作品ですが、原作は枢やなさんが描かれた漫画で、2008年10月から2クールの枠でテレビアニメとして放送されました。そのテレビアニメのときも岩崎 琢さんが音楽を担当され、うちでも「初回録音」はレポさせていただきましたね。で、このアニメ「黒執事」は大変な人気となり、放送終了後には声優さんたちがたくさん出演されるイベントが開かれたり、舞台化されたりもしました。

その舞台「黒執事」ですが、2009年5月28日から6月7日までの間「音楽舞踏会 黒執事 〜その執事、友好〜」というタイトルで上演され、これまた大好評を博したそうです。それこそ、最初は「あの悪魔やら死神やらが出るアニメをどうやって舞台化するの?」「やっぱり実写にしちゃうとダメなんじゃない?」なんて声も多かったそうですが、いざ上演されると俳優さんたちの演技力や歌唱力の素晴らしさに圧倒され、繰り返し劇場に足を運ぶファンも多かったと聞きます。まあ、そのときの音楽は別の方が手がけられてたんですが、その勢いのままアニメの第2期の制作が決まり、第2期をスタートを前にこうしてまた舞台化されるようですね。

それにしても、キャストがすごい…あ、ミュージカルの公式サイトの「CAST/STAFF」のところにキャストの皆さんが写真つきで載ってるんですが、どの方もマンガまたはアニメのキャラの雰囲気とよく似てるんですよね。あえてそういう写真を載せてるのかなあ。何はともあれ、一度こういう舞台ってものを観てみたいものですo(^-^)o


こちらは我らが岩崎さん♪
おっちゃんのデジカメにメモリカードだか何だかが入ってなかったらしくて携帯カメラでの撮影になってしまったんですが、素敵でしょう?(*^^*)

写真にマウスを乗せると、録音当日にブログに載せた(ここ参照)おっちゃんとの2ショットになります(^_-)-☆


そうそう、岩崎さんといえば2010年1月から月に1回のペースでオンエアされてる「刀語」の音楽も手がけられてるんですよね。で、毎月のようにおっちゃんに「関東は○日にオンエアじゃよ」「関東は明後日オンエアじゃよ」なんて言ってたんですが、どうも見忘れちゃうみたいなんですよね〜。まあ、かなり深い時間ですからねえ…。でも、やっぱりあの音楽は一度はオンエアでちゃんと聴いてほしくて、4月は「今夜オンエアじゃよ」って、もうオンエア直前に言ったんです。そしたらやっと無事に見えたらしくて、しかも音楽にかなり感激したらしくて、オンエアの2日後にこうして岩崎さんに会えたこともあって、現場で岩崎さんに「音楽いいね!」みたいなお話もしたそうです(^o^)

さて、この日の録音ですが、弦と木管でのダビングで、先に弦がやっているところに木管が入って、一緒に数曲やったあと弦が終わって木管が残る…という段取りになっていたそうです。また、おっちゃんたち木管さんのダビングのあとにはピアノのダビングをやることになってたそうですが、そのピアノは岩崎さん御自身が弾かれるんだそうです。そういえば、私が持ってる岩崎さんのサントラを見る限りでは、ピアノは全て岩崎さんご自身が弾いてらっしゃるような…岩崎さんのピアノってすごく繊細で情熱的で、素敵ですよね(*^^*)

まあ、そんなわけで、おっちゃんたち木管さんがいた時間…しかもイヤフォンから部分的に聴いただけの感想ではあるんですが、おっちゃんがいままでに参加した岩崎さんの劇伴の音楽とはハッキリとカラーが違ってたようです。何というか、あまり自己主張しすぎず、でも岩崎さんらしい美しい雰囲気のアレンジはそのままにって感じだったみたいですよ。

あ、これは劇伴を書かれる作曲家さんからときどき聞かせてもらうことなんですが、実写のドラマに比べてアニメはどうしてもキャラの表情や表現力が乏しくなるので、実写ドラマの劇伴に比べてアニメの劇伴は少し大げさなものにすることが多いそうですね。そう、あの「刀語」も音楽のインパクトがとても強いですよね。特にあのアニメはキャラの目をはじめ全体的に絵本のように平面的に描かれてるので、音楽による演出の力がとても大きいように思います。そういうのに比べて今度はミュージカルという「歌」でお芝居をするわけですから、音楽は陰からそっと支えるっていうスタンスのようです。
 
あと、各パートとも楽譜が2段になっているところがあったそうで、そこの部分だけは別録りにしたんだそうです。これは普段の録音でよくやってる、いわゆる「1人2重奏」みたいなのではなくて、歌伴バージョンとインストバージョンとして別々に使うんだそうですよ。つまり、同じテーマのアレンジ違いが何度も流れるってことなんでしょうか。岩崎さんの新たな一面、聴いてみたいものです(>_<)


これ、分かりますか?
指揮台のところに設置されてたカメラなんですが、これはエンジニアのYoshi Tamlaさんの私物だそうで、 ちょっと前のソニーのものなんだそうです。

それからTamlaさんは「同じ型番のマイクでも使ってるうちに微妙に特性が変わってくるので、自分で性質が分かってるものを使って録音したい」とのこだわりをお持ちで、この日もマイクも全て自前のを持ち込まれてたそうですよ(^o^)b

写真にマウスを乗せると、もうちょっとカメラが大きくなります♪


あ、このレポと同じページにある「おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜」の録音レポの中で「指揮が綺麗に見えないブースの中の人のためにこのカメラで指揮者を撮って、それをブース内のモニターで流すらしい」というようなことを書きましたが、実はこれがそのためのカメラなんだそうです。でも、こんなにも指揮台の真ん前から指揮者をドアップで撮るのはけっこう珍しいんだとか…。だってほら、その「おおきく振りかぶって」のレポにある写真を見ると、弦セクションの後ろくらいから撮影してますもんね。

とにかく、このカメラ位置のおかげで、岩崎さんの手の動きや細かい表情までバッチリ分かって良かったそうです。ああ、おっちゃんのデジカメが大丈夫だったら、ぜひその映像を動画で見たかったよ(>_<)

弦(今野 均さんのグループ:3322)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(山根公男さん)、ピアノ(岩崎 琢さん:後入れ)、打ち込み&指揮(岩崎 琢さん)、エンジ ニア(Yoshi Tamlaさん)でした。

この録音の当日(つまり録音直前までってこと?)、岩崎さんはご自身のブログで「あまりに疲れたんで、気分転換に10時間くらい寝た」と書かれてますが(ここ参照)、このあとまた「刀語」のマスタリングでNYに行かれたり、この「黒執事」のアニメ第2期用の音楽を書かれたり…と、怒涛の日々が続くようです。こうなるとちょっと岩崎さんの体が心配だったりしますが、やっぱり次にまたどんな音楽を聴かせてくれるのか、楽しみですよね(^o^)

さあ、まずはこのミュージカル「黒執事」です。東京の「赤坂ACTシアター」で5月3日から上演されるようなので、お近くの方はぜひ足を運んでくださいねo(^-^)o

 

 

532 CM「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」の音楽(山下宏明)

2010年4月16日。サウンドインのAスタに行きました。実はこの録音の10日ほど前だったか、たまたま山下さんから別件でメールをいただいたんです。で、そのやりとりの中で「そういや、来週また録音で旭さんにお会いできると思う」というようなことを教えてもらったんで、早速おっちゃんに「来週、山下さんに会うんちゃう?」って聞いたんです。そしたらおっちゃんが電話口で手帳をめくりながら「あ、ほな、これかな…CMってのが1つあるわ。ほかは劇伴とか演歌やし…インペクからしても、これちゃうかな?そうか、山下さんか♪」なんて言ってて、2人で録音当日を楽しみにしてました(^O^)

さて、そのお仕事ですが…え〜っと、まず「三菱UFJフィナンシャルグループ」と「アメリカ モルガン・スタンレー」が国内証券事業を統合することとなり、社名も「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」として、新たなスタートを切ることとなりました。で、それに合わせてCMも新しくすることとなってこの録音というわけなんですが、実は2006年に山下さんが作られた「三菱UFJ証券」のときのものをベースにすることとなったようです。その2006年当時のものはうちでもレポさせていただいたんですが(ここ参照)、映像と音楽のどちらもほんとに綺麗でしたよね〜♪

 

ちなみに↓こちらです(^.^)b

 

 

何回も続けて聴きたくなる、ほんとに綺麗なメロディですよね〜。実は15秒バージョンの方だとおっちゃんの音色は聴こえないんですが、これは30秒バージョンなんで最後の方にチラッとおっちゃんのフルートも聴こえるでしょ?(*^^*)

この曲に今回はブラスとハープを加えて、さらに深くダイナミックなサウンドになったようです。その編成ですが…弦(マサさんのグループ:64321)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(星野 正さん)、ファゴット(前田正志さん)、ハープ(早川りさこさん)、トランペット(数原 晋さん)、フリューゲルホルン(?)、トロンボーン(フレッド・シモンズさん)、チューバ(佐藤 潔さん)、ホルン・(南 浩之さん他1名)、エンジニア(小幡幹男さん)でした。

この編成に対しておっちゃんは「最近のCM音楽はプライベートスタジオに呼ばれて1人でダビングとか、せいぜい数人の編成でやるってことが多いのに、今回はテレビアニメの劇伴くらいの編成でちょっとビックリしたわ。新しい会社やし、このへんにも力が入っとるんが分かるよなあ」なんて話してました。

また、山下さんは「メンバー集めは基本的にはプロデューサーの方にお願いしてるんですが、こんな最高のメンバーに集まっていただいて感激でした。最初からものすごい安心感があって、CM1本分なんでアッという間に終わってしまったのがもったいない…もっとずっと聴いていたい、しびれるような音色でした。」と、おっちゃんたちのことを嬉しそうに語ってくださいましたよ(^o^)

あ、↑の動画は映像と音楽…それぞれ独立しているものが一緒になってるって感じですが(何かうまく表現できん)、山下さんは劇伴のようにきっちりと絵の動きに合わせて音楽を作り込むというのもお好きなんだそうです。だから、いつか山下さんの書くフィルムスコアリングっていうのも聴いてみたいなあと思ってる私です。もちろん、そのときのフルートはおっちゃんでね(^_-)☆


こちらは録音当日のブログにアップしたものと同じですが(ここ)、左から山下さん・おっちゃん・小幡さんです。写真がこの構図になったいきさつなんかは、そのブログ記事を読んでみてください(^^ゞ

あ、山下さんの当日に日記には、今回の録音で初めて扱った楽器のことやスタジオ録音だからこその作曲の際に気をつけたことなどがつづられてますので、ぜひ合わせて読んでみてください(^.^)b


今回は60秒バージョンと30秒バージョンを録ったそうですが、おっちゃんやマサさんたちの頑張りがあったことはもちろんのこと、楽譜に間違いがなかったことや読みやすい楽譜だったこともあってとてもスムーズに運び、先の山下さんのお言葉に「アッという間」とあったように、約40分で全ての録音を終えたそうです。

 

そのCMですが、2010年5月1日からオンエアされています。とりあえず15秒バージョンの動画を見つけましたのでどうぞ(^.^)b

 

早くこのCMの長いバージョンも聴いてみたいものですo(^-^)o

 

 

531 アニメ「ぬらりひょんの孫」(田中公平)

2010年4月14日。ビクターの301スタに行きました。ヴァイオリンのマサさんと公平さんはお酒の席でよく会ってるようですが、おっちゃんが公平さんにお会いするのは公平さんの30周年記念コンサートぶりだとか…。で、ほぼ毎日のように公平さんのブログを拝見してる私は、おっちゃんからの「4月はイマジンの仕事が2〜3つあるんよなあ」って言葉に対して「それに公平さんのお仕事はないんやろか…あったら絶対に‘ぬらりひょんの孫’ってアニメの音楽やと思うんじゃ。あの音楽、私ごっつい気になっとるけん、おっちゃんが入れとったらいいのに〜!」なんて話してました。だから、本当に公平さんの録音があって、しかも「ぬらりひょんの孫」って聞いて、すっごい嬉しかったです(^o^)

…とは言っても、実は私はこの原作は読んだことがないんです。ただ、公平さんのブログで初めてそのタイトルを見たあと本屋さんで平積みされてるコミックを見つけ「あ、これか〜♪」と嬉しくなり、しかも「テレビアニメ化」って書かれてる帯を見て「みんなっ、この音楽は公平さんがやるんじゃよ〜♪」と心の中でつぶやきながら1人にやにやしてました(^^ゞ


そんなわけで、ちょっと原作について調べてみました。椎橋 寛(しいばしひろし)さんが描かれた少年漫画で、現在も週刊少年ジャンプで連載中です。

物語の舞台となっているのは現代の日本で、「妖怪軍団」の総大将「ぬらりひょん」の孫である「奴良リクオ」という少年を中心に、人間と妖怪の日常を描いたものなんだそうです。この妖怪たちはいわゆる現代のヤクザのような集団を形成してるらしいので、その組同士の争いみたいなものもあるんでしょうか…何やら四国八十八ヶ所霊場を思わせる「四国八十八鬼夜行」なんてのも設定にあるようで、実際の1番から5番札所までがわりと自宅の近くにある私としては、そんなところからも興味津々ですo(^-^)o


さて、その音楽ですが、おっちゃんには事前に篠笛とティンホイッスルのオーダーがあったそうです。で、冒頭に書いたような会話のあと、イマジンのお仕事の1つが公平さんのものだと分かったときに、おっちゃんと「やっぱり妖怪系ってことで、和風でおどろおどろしくいくんかなあ?」「そういや公平さんって、いままで思いっきり和風ってのはなかったよなあ」なんて話しつつ、どういう使われ方をするのかとても楽しみにしてました。

その気になる篠笛やティンホイッスルの使い方ですが、予想してた「おどろおどろしい感じ」とはちょっと違って、公平さんらしい骨太で明るい音楽の中に和風のテイストを加えるって感じで、しかもどこか異国情緒的な感じもあって、なかなか面白かったそうです。そのあたりのことをおっちゃんは「増二度を含むジプシー的な音階を使った」なんて言ってましたが、私にはその「増二度」とやらがよく分かりません。でも、公平さんのブログのこちらにも書かれてるように、新しい公平さんの音楽であることは間違いないようです(^O^)


こちらは録音当日のブログ(ここ)とはまた別の公平さんです♪

もうちょっとあとでは、この角度から撮影した公平さんの動画をお見せしますよ〜!


また、楽譜に「ホイッスル」と指定があった曲は、テンポが速い上に臨時記号もいっぱい出てくるので、楽器を取っ替え引っ替えしながら別録りにしなければいけない感じだったそうです。で、公平さんに相談してみると「特にホイッスルでなくてもいいですよ♪」って言ってもらえたそうで、この曲はリコーダーでやっちゃったそうです。ここで大事なのは、おっちゃんはリコーダーをホイッスルっぽく吹いたりできるので、公平さんが作曲されたときのイメージをそう崩すことはないってところでしょうか…♪

それにしても、テンポが速くて臨時記号もいっぱいのホイッスルって、どんなんだろう。おっちゃんの話では「ソロヴァイオリンとまるまるユニゾンで、同じフレーズを4回くり返すようになってる」とのことだったので、出だしは劇場版「ワンピース デッドエンドの冒険」のサントラの2曲目「地下の酒場,大ホール(試聴はこちらで)」みたいな感じなのかなあ。とにかく、この曲は最初こそ譜面どおりですが、最後はかなりハチャメチャなアドリブになって大いに盛り上がって終わるというとても面白い曲らしいので、オンエアが楽しみです。何せ、演奏したおっちゃん本人が「インドとかアジアのお祭り騒ぎを思い出させるようなノリで、面白かったわ〜!」と声を大にしてた曲ですからね〜。でも、4回も繰り返すってことは、テレビだと途中で切られたりするのかなあ…できるだけ長く、その盛り上がるところまでテレビで聴かせてほしいものですo(^-^)o

では、先にご紹介した指揮をする公平さんを動画で2つ続けてどうぞ〜。あ、やっぱり今回も音は消してあるんですが、下の方の動画の後半では、ちょっとまた別の動きがありますよ(^.^)b

 

 

どうでしたか?
実際の映像としては、トランペットとトロンボーンがユニゾンで吹いてるんです。きっとミュージシャンの皆さんは、イヤフォンで打ち込みとか先に録った別セクションのメロディを聴きながらやってるんだと思うんですけどね。で、こういうメロディを何て言うんだろう…ファンファーレっていうのとも違うんだろうしなあ。すみません…うまく表現できません。でも、ぬぉ〜っとそびえ立つように敵が登場してきたときに使われそうな感じの音楽で、面白いですよ(^.^)b

編成は、弦(マサさんのグループ:64422)、フルート&篠笛&リコーダー(おっちゃん)、フルート&ピッコロ(金子奈美さん)、オーボエ&イングリッシュホルン(石橋雅一さん)、クラリネット&バスクラリネット(元木瑞香さん)、ハープ(斉藤 葉さん)、トランペット(西村浩二さん・横山 均さん・木幡さん)、トロンボーン(中川英二郎さん他2名)、チューバ(佐藤 潔さん)、ホルン(藤田乙比古さん・萩原さん他女性1名)、パーカッション(草刈とも子さん・高田みどりさん)、ピアノ(松田真人さん)、指揮(田中公平さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

また、この日の配置としては、おっちゃんたち木管セクションはオーボエとクラリネットは弦と同じフロアに、おっちゃんと奈美さんのフルート2人は、普段はラテンパーカッションが入ってるブースに入ったそうです。おっちゃん曰く「多分、篠笛やホイッスルを分離しておきたいっちゅうことなんちゃうかなあ」とのことでした。こういった配置のこととかは、またいつかエンジニアの吉田さんにもお話を伺ってみたいものです♪


こちらは公平さんとおっちゃんの2ショットです♪

どうです、この公平さんの満面の笑顔は…何かもう、見てるこちらも一緒に笑ってしまうような、ほんとに素敵な写真でしょ?

そんなわけで、写真にマウスを乗せると、もうちょっとアップで見られます。それにしても、これは誰が撮ってくれたんだろう…カメラマンさんとの信頼関係も見えるようですね(*^^*)


ところで、このところのイマジンさんの録音現場では多田彰文さんが代棒をされることが多いんですが、この日は公平さんご自身が振ってらしたそうです。でも、多田さんもちゃんと現場にいらして、なぜかネクタイにスーツ姿で「今日は公平さんのマネージャーです」なんて言って笑ってらしたそうです。多田さんって、何気ない会話やメールの中にもサラッとジョークを入れてたりして、とても面白い方なんですよ(^o^)

このアニメは、2010年7月から「TOKYO MX」「BS11」「中京テレビ」「読売テレビ」などでオンエアされます。実は録音があった4月14日の段階では「TOKYO MX」と「BS11」でのオンエアって情報しかなくて「うちでは見えんわ…」としょぼくれてたんですが、その後4月19日に読売テレビでも放送することが決まったようで、嬉しく思ってるところです。まだ各局の詳しいオンエア日時は発表されてないようなので、これから公式サイトをマメにチェックしててくださいね(^.^)b

 

 

530 ポケットモンスター 新シリーズ「ベストウィッシュ」の音楽(宮崎慎二)

2010年4月12日。朝から強い雨の降ってたこの日の夕方、おっちゃんはサウンドシティのAスタに行きました。おっちゃんはインペク屋さんから「14日は宮崎慎二さん」って聞いてて、私は3月ごろに宮崎さんから「いまポケモンの音楽を書いてる」って聞いてたんで、2人で「今日は絶対にポケモンやな♪」なんて言い合ったんですが、案の定ポケモンの音楽録りでした。で、ポケモンって、テレビアニメに映画にゲーム…と色んな種類がありますが、今回は2010年秋から放映予定のテレビ新シリーズ「ベストウィッシュ」のための音楽です。


こちらは左から、代棒の多田彰文さん、オペレーターの丸尾 稔さん、作曲の宮崎慎二さんです(^O^)

丸尾さんってこちらのレポ内の写真を見ていただくと分かりますが、カメラを向けるといつも面白いポーズを取ったり、変な顔をする楽しい人なんですが、今度もそんな感じです。

写真にマウスを乗せると画像が切り替わりますが、やっぱり丸尾さんが面白いです(^^ゞ


そうそう、この録音に関しては、お仕事が決まった時点でおっちゃんの方に「フルートは2人」というオーダーがあったので、いつものように金子奈美さんに来てもらうよう連絡したんだそうです。そしたら録音の2日くらい前になって急に「リコーダーを2人でお願いしたい」という連絡が入って、おっちゃん焦る焦る(@_@;)

…というのも、実は奈美さんはリコーダーはあまりされてなかったようです。スタジオミュージシャンの中には、おっちゃんのように色んな楽器を持ち替える方から1つの楽器で通される方まで色んな方がいらっしゃいますが、そういえば奈美さんは今までフルートとピッコロだけだったような…?

でも、ここでフルートを奈美さんからリコーダーも吹ける別の人に代えたりせず、むしろこれを奈美さんの新たな一歩のチャンスにしようと思ったおっちゃんは、インペク屋さんに「リコーダーは奈美さんにやってもらいたい。で、もし、すごく難しいキーだったり、やりにくいフレーズだったら、そのときは自分がダビングで重ねるってのでもいいですか?」とたずね、その了承を得た上で、そのまま奈美さんに「手元にある楽器を持ってきて」と連絡して来てもらったそうです。

だから、スタジオに入ってまず気になったのはリコーダーの楽譜。実際にはリコーダーの楽譜は2曲あって、そのどちらもそれほど難しいという感じではなかったので「これならいけるかな?」と、とりあえずはホッとしたとか…。で、奈美さんの方もやっぱり不安だったのか、いつもよりずっと早めにスタジオに来ていたので、録音開始までスタジオのロビーで2人で一緒に練習してたそうです。このことを振り返っておっちゃんは「長いことスタジオの仕事しとるけど、事前に分奏したんや初めてちゃうかなあ」なんて笑ってました(^o^)


こちらは、おっちゃんとエンジニアの中村さんです。写真にマウスを乗せると、今度はフルートの金子奈美さんと中村さんとの2ショットになります。

ふむ…心なしか(いやもう、見たまんま?)中村さんはおっちゃんとの2ショットよりも奈美さんとの2ショットの方が、でれぇ〜っとしてるような…?

中村さんにはこのあと当日の現場でのビックリどっきりハプニングについてお話をしていただけてるので、どうぞお楽しみに♪


あ、この日は事前のオーダーでは聞いてなかったオカリナの曲が1曲あって、もし電車で行ってたら「頼まれてなかったから持ってこなかった…楽器がないからできない」ってことになるんですが、この日は大雨だったせいで車で行ってたので楽器はバッチリ。楽譜を見た感じでは、音域の問題から2種類のキーのオカリナを使って、分けて録音すればいいかなあ〜なんて思いながら始めたそうです。

ところが、いざ始まってみると、思いっきり中国風な音楽の上にマサさんの二胡まで入ってる…これを聴いた瞬間におっちゃんは「こりゃ、オカリナで分けて録るより、篠笛でそれらしく吹いた方がいいかも?」ってことで、オカリナと一緒に持ってきてた篠笛の方でやることにしたそうです。で、とりあえず試しにやってみて聴いてもらうと「OK」が出たそうで、結局オカリナでなく篠笛でやったそうです。まあ、おっちゃんの本音としては明笛の方がいいなあって思ったそうですが、また車に取りに行くような時間がなかったので、そこはもう諦めることにしたとか…(^^ゞ

で、このマサさんの二胡とおっちゃんの篠笛と石橋さんのオーボエによる曲がほんとに素敵だったそうで、代棒の多田さんからは「旭さんのフルートも絶好調でしたが、マサさんの胡弓と石橋さんのオーボエと共に奏でる旭さん篠笛の音色に、とても癒されました!」と、フルートの奈美さんからは「マサさんと石橋さんとおっちゃんがコラボするアジアな曲、素晴らしかったさあ。このところお疲れ気味の私は‘なぁ〜んか高級スパにいるみたぁい〜’とすかさずおっちゃんに話して、おっちゃんに苦笑されたよ」なんてコメントもいただきました。この曲、どんなキャラの…またはどんなシーンで使われるんでしょうね〜。ものすごく聴きたいです!

ところで、もう何十年もアニメにドラマに映画、そしてCMや舞台音楽に至るまで様々なジャンルの録音に参加してるおっちゃんが、今回あらためて「テレビ用の音楽とフィルムスコアリングの映画用音楽との違いがよう分かった」って言ってました。あ、フィルムスコアリングの場合…特にアニメ映画のフィルムスコアリングの場合はとても細かい絵合わせがあるので、テンポも拍子も目まぐるしく変わり、それこそ「これぞ作曲家さんの腕の見せどころ」ってものがあるようですが、テレビ用の場合は色んなシーンに応用できるように少し長めに作られることが多いんですよね。だから、今度は「これぞ作曲家さんの聴かせどころ」とでも言うべきか、とにかく音楽的にはまとまったものが書けるようです。

で、そういうことをおっちゃんが改めて口にしたって言うのは、ほぼ毎年のように劇場版ポケモンの録音に参加し、宮崎さんの書くフィルムスコアリングの音楽をよく理解してるおっちゃんだからこそ、何か今回の音楽には特別に感じる宮崎さんの新たな魅力があったのかもしれませんね(^o^)


こちらは楽譜か進行表らしきものを見ながら何やら調整してるっぽいエンジニアの中村さんです。

こういう写真を見せてもらうたびに思うんですが、ほんっとこんなにたくさんボタンがあるのに、よく素早く的確に操作できますよねえ…私は田中公平さんの作家生活30周年記念コンサートのときに中継車見学をさせていただいて、そのときに間近でこの調整卓を見たんですが、目がチカチカして大変でしたよ(;^_^A


あ、こうした劇伴録音の場合、スタジオで録音する生オケ・生楽器のほかに、作曲家さんやアレンジャーさんが作った打ち込みの曲をエンジニアさんがスタジオで使えるように事前にご自宅などで何かしらの処理をしてくるんだそうですが、今回そこに大きな落とし穴(?)があって、エンジニアの中村さんの身の上に大変なアクシデントが降りかかっていたんです。

…まあ、ものすごく簡単に、しかも身近なものにたとえるとすると、中村さんのご自宅にあるブルーレイのデッキで録画したDVDをスタジオに持ってきて、「さあ、もうすぐ皆の前で再生するぞ!」ってときになってスタジオにはそのブルーレイで録画したものは再生できないような古いデッキしかないことが発覚。いまさらスタジオのデッキの買い替えはできない…どうする、中村さん!?って感じのお話なんです。

そのあたりのことを中村さんからのメールをそのまんまお見せしますので、ぜひご覧ください。ベテランエンジニアさんらしく専門用語も多いんですが、そうした専門的な部分よりも、むしろ中村さんの焦り方が笑え…いやいや、一緒になって背中に嫌な汗が流れるようなドキドキのメールですよ〜。こちらです→CLICK HERE


こちらは録音当日のブログ(ここ)に載せたものと同じですが、冒頭の写真におっちゃんも入った記念写真です。お…珍しく、丸尾さんが普通にカメラ目線になってますね〜!


この日の編成は、弦(マサさんのグループ:6442→2222)、フルート&リコーダー&篠笛(おっちゃん)、フルート&ピッコロ&リコーダー(金子奈美さん)、オーボエ(石橋雅一)さん、クラリネット(十亀正司)さん、トランペット・(菅坡雅彦さん・横山 均さん他1名)、トロンボーン(中川英二郎さん・松本 治さん、山城純子さん)、ホルン(藤田乙比古さん他1名)、オペレータ(丸尾 稔さん)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(中村充時さん)でした。

テレビ用ってことで、少し小さめな編成なんでしょうか。中村さんはこの録音の直前に映画「クレヨンしんちゃん」の録音(録音レポはこちら)でホルン4管編成を聴いたところだったので、ちょっと寂しく感じたそうです。そりゃ、半分ですもんねえ…。でも、テレビ版ならではの魅力っていうか、ほら…おっちゃんの言ってた「これぞ作曲家さんの聴かせどころ」ってのがあるようですし、これは目が離せませんよ〜!

あ、代棒の多田さんからは「毎回、スタジオミュージシャンの方々からはどこか勝負師のような並みならぬ気迫を感じます。19時から4時間近くの録音にもかかわらず、初見演奏で100%近く完成された演奏をたたきだしてくるあの理解力はサスガ超一流な人々だと思います」という素敵なコメントもいただきました(^O^)

まだ正式な放映開始日は公表されてませんが、今秋スタートの新しいポケモンをどうぞお楽しみにo(^∇^o)(o^∇^)o

 

 

529 映画クレヨンしんちゃん「超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」(荒川敏行・多田彰文)

2010年3月20日。ビクターの301スタに行きました。この日は映画クレヨンしんちゃん「超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」の音楽録りで、作曲は劇場版の1作目「」からずっと通して担当されてる荒川敏行さんと多田さん…そう、うちのレポでは近年では「桃華月憚」「異世界の聖機師物語」などで取り上げさせていただいた多田彰文さんです(^.^)b

多田さんとは去る2月に行なわれた「劇場版ポケモン」の音楽録りのときから直接メールでお話させていただけるようになり、そのころに「いま、私がとても好きな作品の音楽に取りかかってます」「ほんとにこの作品が好きで、愛情いっぱい詰め込んで書いてます」というようなお話を聞かせてもらってましたし、多田さんのブログでも「いまはまだ話せないことが悔しいけど…」という書き出しではありますが、その作品への思いをつづられてました。そうかぁ〜それがこの「クレヨンしんちゃん」だったんですね〜!


こちらは多田さんが持ってらした今回のチラシ(?)で、まるで結婚式の招待状のようなしっかりした紙でできていて(実際に結婚式の招待状をイメージして作られたものだとか…)、皆で見せてもらったんだそうですよ。

公式サイトを見ると、今回はしんちゃんのお嫁さんだと名乗る女性が未来から現れて「夫(つまり、大人になったしんちゃん)を助けてほしい!」って頼んでくるんだそうです。

何でも、悪いやつらに捕らえられた大人のしんちゃんを助けるには、5歳のしんちゃんの力が必要なんですって。で、そのしんちゃんがタイムマシンで未来に行くときに風間くんたち「かすかべ防衛隊」皆も巻き込まれて一緒に未来に行って、しんちゃんと一緒に悪いやつらと戦うみたいです。


あ、この映画に連動させてるのか、3月末現在にオンエアされてるテレビシリーズのしんちゃんも「未来に行って自分のお嫁さんに会ってくる」みたいなお話になってますね。最近こういう連動スタイルって多いですよね?

で、テレビシリーズでは、タイムマシンがしんちゃんちの洋式トイレで、しんちゃんを含むかすかべ防衛隊の皆が便座の周りに並んで座って吸い込まれていったり、未来で出会った自分のお嫁さんが「みさえ」とそっくりだと知った瞬間(結局しんちゃんの勘違いだったけど)「オラはこんなとこ、来とうはなかった!」なんて、どこぞの大河ドラマのセリフを真似たようなのがあって大笑いしたんですが、映画はどんな感じかな〜?

この日の全体での録音時間は3時間。おっちゃんからは「40曲くらいある…こんなん3時間で終わるんか!?」なんて声が上がってたんですが、その内訳としては荒川さんの分が8曲、多田さんの分が29曲だったみたいです。ですから、全部で37曲ですね。また、多田さんやエンジニアの中村さんから教えていただいた情報だと、このほかに多田さんによる打ち込みの曲が10曲、荒川さんによる打ち込みの曲が17曲あった上に、荒川さんにはさらに先行配信された「アラサーソング」っていうのがあったみたいなんで、映画全体としては全部で65曲にもなるみたいです。

あ、おっちゃんと多田さんは「Twitter」をやってるそうで、その中で事前に多田さんから「フルートのソロをご用意して、お待ちしてますよ」なんて聞かされてたそうです。で、半分ドキドキ半分ワクワクな気持ちでスタジオ入りしたおっちゃんですが、荒川さんのを含めて3曲ほど素敵なソロがあったそうです。ほんとにとっても綺麗なメロディだったそうで、吹いたおっちゃんも「どんなシーンで使われるんやろか」と興味津々のようでした。

ところで、この録音が行なわれた翌日にブログの方にも少し書いたんですが(ここ)、今回の劇場版「クレヨンしんちゃん」の作曲は、テレビシリーズからずっと音楽を担当されている荒川敏行さんと、今回初参加の多田彰文さんです。劇場版クレヨンしんちゃんは、いままで荒川さんとともに宮崎慎二さん、浜口史郎さん、澤口和彦さん、丸尾 稔さん、若草 恵さん…と、色んな方が音楽を手がけられてきたんですよね。で、18作目にして多田さんの登場です。多田さんは「クレヨンしんちゃん」という作品が大好きだそうで、冒頭に書いた私へのメールだけでなく、録音現場でもおっちゃんたちに「ぜひ自分もやりたいと思ってた」って、それはそれは嬉しそうに話してらしたそうですよ(^o^)


こちらは多田さんとマサさんの2ショットですね♪

多田さんと同じイマジンに所属されてる大塚さんというアシスタントさんが撮ったものを、多田さんが送ってくださいました(^o^)

写真にマウスを乗せると、今度はおっちゃんが撮った多田さんとコントラバス奏者の一本茂樹さんとのお話し中の様子になります。

うちの過去のレポを見ていただいても分かるんですが、多田さんは作曲のほかにご自身でも色んな楽器を演奏されるんですよね。なので、これはもしかしたらコントラバスの奏法とかについて聞いてるところなのかな…。そういえば、この現場には一体どんな楽器を持ち込んでらしたんでしょ〜?


さて、この日の音楽ですが、作曲された多田さんご本人が「愛情いっぱい込めた」のお言葉通り、幅広く重厚なサウンドからテンポの速いもの、変拍子を含んだスリリングなものにしっとりしたもの…と曲想がバラエティに富んでいるのはもちろんのこと、各楽器の特性をとてもよく生かした充実した内容だったそうです。で、そうした多田さんの愛情は楽譜にもあふれてたようで、おっちゃんは「ほんまにこの作品が好きなんやなあってのが見えるような、すごい楽譜だったわ」と、感心しきりでしたよ。あ〜あ、私に楽譜が読める力があったり、もっと音楽の知識があったら、私もそういうのを少しは感じられたかもしれないのに…こうやってレポを作らせてもらってて悔しく思うのが、こういうときなんです(>_<)

そうそう、冒頭に書いた「桃華月憚」と「異世界の聖機師物語」で言えば、私は「桃華月憚」は映像は見えてないけどサントラは持ってて、逆に「異世界の聖機師物語」は最初の何話かはDVDで見たけどサントラは持ってないって状況なんです。でも、この2つはかなり作風が違っていて、こんなたった2つの作品からも、多田さんの引き出しの多さを実感できます。しかも、「異世界の聖機師物語」は音楽の流れるシーンが多くて、しかもしかも流れるたびにガラッと曲想が変わることがあって、あの1つの作品の中だけでも随分とビックリしたものです。さあ、今回の「クレしん」はどんな感じなのかなあ。私も早く、多田さんのしんちゃんへの愛情を感じたいです(*^^*)

そんな多田さんの音楽に参加したのは、弦(マサさんのグループ:66442)、フルート&ピッコロ(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(元木瑞香さん)、トランペット(菅坡雅彦さん・横山 均さん・河東伸夫さん)、トロンボーン(松本 治さん・山城純子さん他1名)、ホルン(藤田乙比古さん・萩原顕彰さん他2名)、パーカッション(高田みどりさん)、打ち込み(多田彰文さん・荒川敏行さん)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(中村さん)でした。ん?ホルンが4本ってすごくないですか?今回の音楽には、ホルンが目立つところがあるんかなあ。

余談ですが、この日は連休の初日ということもあってか都内の道路がかなり混雑していたようで、録音開始ギリギリで飛び込んで来る人や途中で車を放棄して電車で駆けつけた人などもいらっしゃったみたいで、メンバーがそろうっていう部分に関してはけっこう大変なものがあったようです。でも、録音そのものは多田さんのスムーズな指揮とミュージシャンやエンジニアさんたちの頑張りによって、ほぼ拘束時間内に予定してた曲の全てを録り終えたようです。3時間で37曲って…すごいですよね(^^ゞ


こちらは指揮をしてる多田さんです。

2月5日に行なわれた劇場版ポケモン「幻影の覇者 ゾロアーク」と2月23日に行なわれたアニメ「おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜」の録音レポで多田さんの「代棒」について触れさせていただきましたが、今回は「代棒」じゃなく本物(そんな言い方あり?)です♪

この多田さんの指揮の様子は、あとで動画でもお見せしますね(^_-)-☆


あ、先ほど「この日に録った曲の内訳は、荒川さんの分が8曲…」みたいなことを書きましたが、その荒川さんの分も多田さんが振ってらしたそうです。私の勝手な想像ですが、きっと「先に荒川さんの分、それが終わったら多田さんの分…」みたいに分けて順番に録るんではなく、編成とか録音の機械の都合なんかでお2人の曲をごちゃ混ぜにした順番で録るんだと思うんで、途中で指揮者が入れ替わりまくらなかったっていうのも、短時間でたくさんの曲を録ることに成功した要因の1つかもしれませんね♪


こちらは副調室での荒川敏行さんです。

荒川さんはテレビ版と劇場版の「クレヨンしんちゃん」の音楽をずっと担当されてるほか、アニメ「少年アシベ」や「サイボーグ クロちゃん」の音楽なども担当されてる方で、前々からおっちゃんに「どんな人か知りたいけん、写真をお願い〜!」って言ってたんですが、いつも上手くタイミングが合わなかったんです。

で、今回ようやくその願いが叶いました(^o^)


荒川さんは、ここからモニター越しに多田さんの指揮を見てたりするんですかねえ。で、もし多田さんの方から何か質問があったりしたら、ここからマイク越しに?または直接フロアにまで行って?答えたり、何かしらの指示を出したりするんでしょうか…。


こちらもまた大塚さんが撮ってくださったスタジオの写真を、多田さんが送ってくださったものです。

写真にマウスを乗せると、弦セクションの…しかもコントラバスの様子になりますよ。

大塚さんという方は作曲を勉強されてる傍らチューバ奏者でもいらっしゃるそうなんで、低音楽器に注目した視点での写真の撮り方っていうのがちょっと新鮮ですよね(^o^)


あ、私の大好きな奈美さんもいる〜!
奈美さんとは初めてお会いした瞬間からいきなり「ちょっと聞いてよ。うちの子がね…」「あ、それ分かる分かる〜!」「このまえダンナがさあ…」みたいな感じの主婦モード全快の機関銃トークをし、その後もメールを交わせば「刀語」の追加録音レポのようなぶっ飛んだ内容になる…という、とっても相性のいい方なんです。でも、こういうマジメな奈美さんもまた、ほんっとに素敵です(*^^*)


こちらも多田さん経由でいただいた、大塚さんの撮った写真です。おっちゃんの遠くを見つめる目、雰囲気、いい感じでしょ〜?

写真にマウスを乗せると、もっといい感じのおっちゃんになりますよ♪

でも…何でここにティッシュ?しかも何で縦になってんの?

せっかくカッコいいおっちゃんの写真なのに〜!…って文句を言いたいとこなんですが、このティッシュの意味は後ほど明らかになります(^_-)-☆


ところで、エンジニアさんはこうした生楽器の録音のあともトラックダウンなどの色んな作業が何日もあるわけですが、今回はそんな作業がちょっと落ち着いたころに「トラックダウンが終わって3日目で、やっと疲れが回復しました〜!」という元気な第一声(メールだから第一文?)とともに、またまた中村さんが面白いお話を聞かせてくれましたよ(^o^)b


こちらはそのエンジニアの中村さんです。

多田さんが作られた曲の中で打ち込みオンリーっていう10曲に関しては、事前にご自宅で2mixというところまでやって、その後appoスタジオで5.1mixにまで仕上げたそうです。

タイトなスケジュールの中で何とか無事にTDが終わったことに関して中村さんは「多くは多田さんの曲のおかげです。それは一環したオーケストラとしての構成力と事前のシミュレーションを含めた打ち込みのおかげだと思います。」なんておっしゃってました。


さて、その中村さんからの貴重なお話の前にまず…スタジオ録音では、指揮者やミュージシャンの皆さんは「クリック」と呼ばれるメトロノームのようなものをイヤフォンで聴きながらやってることはもうご存じですよね?

この「クリック」ですが、ピアニッシモで演奏してるときなんかにときどきこの「クリック」の音がイヤフォンから漏れて聴こえてしまうことがあるんだそうです。で、たとえば弦が演奏しててフルートがお休みの曲のときに、フルートの人のイヤフォンから漏れ出たクリック音がフルートのマイクに拾われてしまうのは、あとからそのフルートのマイクを消せばいいんで特に問題ないですよね。でも、たとえばヴァイオリンがソロでやってるときに、その周りで休んでる弦グループの人たちのイヤフォンから漏れ出たクリック音がソロヴァイオリンの人のマイクに拾われたら、それはもう消しようがないんで録り直しってことになるんだそうです。まあ、最近はそう録り直しになったりしないように色々と工夫はしてるそうですが、それでもときどきはあるんだそうですよ。

で、その工夫ってのが今回の中村さんのお話なんです。
ここから先は私が中村さんからのメールを下手にいじらない方がいいと思いますので、そのまま載せますね(^o^)b

 

オーケストラものは事前にシミュレーションで、弦、木管、ブラスみたいに入っていたものを聞いて、クリック(わたしの場合はスネアのサイド・スティックをEQしてあるものを使用)を音量を1曲ずつ上げ下げの調整をしています。これをしないと、例えば、フォルテの後に休符があって、静かに弦から入って来るような曲のときに、クリックが演奏者がしているヘッドフォンやイヤホンから漏れて録音に入っちゃうんですね。

それと逆に楽音が大きいところでは、いつもは何曲かでクリックが聞こえないよ?とか文句がプレーヤーから入ることになるのですが、今回はそれも1曲もありませんでした。いかに多田さんのシミュレーションが本番に近く、またそのおかげでうまく合わせてクリックの音量の上げ下げができたか、と言えるかと思います。

これは音量幅をdB(デシベル)で言ってわかる人ならびっくりすると思いますが、最大で+5dB、最小は−37dBぐらいまで上がり下がりしてるんですっ!ってわからないかもネ。ちなみ6dBというのは音量でいうと「倍」ということなんです。ということは36dBの差というのは6dBの6倍「倍×倍×倍×倍×倍×倍」ということで、64倍あるいは64分の1の音量差ということなんです。(って余計わかんない?)

例えばM15のテンポマップとクリックの図を添付しときます。
曲もめまぐるしくテンポが変わっていて、作曲も演奏も大変そうでしょう?そしてその影で全く音楽の本質には関係なくクリックも激しく上下に動いているわけです。



どうですか?
縦の線がクリックなんで、縦の線の間隔が狭ければ狭いほど、速いテンポだっていうのが分かるでしょうか…。また、折れ線グラフみたいなのがクリックの音量なんで、クリックの間隔の狭いところでクリックの音量が大きいってところから、そのあたりで曲がとても盛り上がってるってことが想像できますね。

それにしても、ほんとに細かくクリックの音量を調節してるんですね〜。ちなみに、おっちゃんのお話によると、こんなふうに細かくクリックの音量を調節してくれるっていうのを始めたのは、おそらく今回の中村さんと、同じくイマジンの吉田俊之さんが最初だと思う…とのことでした。まあ、いまでこそ他のスタジオでもこうした配慮をしてくださるところが増えてきたそうですが、ここまで細かくしてくださるのはやっぱりイマジンさんだけですし、この下準備(?)に初めて出会ったときはとても驚き、そしてとても嬉しく思ったそうですよ。

こうやって、たった1つの作品の、しかも音楽という一部のジャンルの中だけでも、ほんとにたくさんの人の思いやりや支え合いがあって成り立ってるんですね〜!

あ、このほか中村さんからは、この日の録音に使った機材についても詳しく話していただけました。それは別ページにまとめてありますので、ぜひ合わせてごらんください♪→CLICK HERE


おおっ、お話したいことが多すぎて最後になっちゃいましたが、いよいよ多田さんの指揮姿を動画でお届けします。でも、今回もまた大人の事情により音は消してあります。また、前にブログのこちらに書いたように、これまで「動画の音を消す」っていうのができなかった私が、松尾早人さんの「電話でパソコン教室」のおかげで無事に「音を消す」ってことだけはできるようになったんです〜。でも、今回は映像の一部にボカシを入れるというさらに高等な技術が必要になったんでまたもや自分ではできず、今度は多田さんご本人がボカシ入れから音消しまで全ての作業をやってくださいました。ほんっと、いつも色んな方に助けてもらってばかりのサイトです。では、そんな優しい多田さんの力強い指揮姿を、どうぞたっぷりとご覧ください(^_-)-☆

 


 

どうでしたか!?
漏れ聴こえてきた音楽から私が受けた印象としては、激しい戦いがあって、それが無事に終わって、しんちゃんというヒーローに光が差す…みたいな流れのあるイメージの曲で、すんごいカッコいいですよ〜!

で、先ほどお話したおっちゃんの横に立ててあるティッシュ箱ですが、実はあのティッシュの箱の上にデジカメを置いて、この動画や先の多田さんの写真を撮ってくれてたんでした〜。あの縦のティッシュの箱のおかげで、手ぶれもないし、撮影のアングルもバッチリでしょ?(^_-)-☆

この映画は、2010年4月17日(土)より全国でロードショーされます。この「クレヨンしんちゃん」は私も多田さんほどではないにしても好きな作品で、映画は多分ほぼ全て見てるんじゃないかと思います。まあ、なかなか映画館までは行けないんで、レンタルDVDになってからかテレビでの放送で…なんですけどね。だからこそ、そして原作者の臼井儀人さんが2009年9月に事故で急逝されてから初めての映画となるこの作品にとても注目していますし、楽しみにもしています。皆さんも是非、多田さんが繰り広げる新しい「クレヨンしんちゃん」の世界を、広い劇場の大音響で大いに楽しんでくださいねo(^-^)o

 

 

528 アニメ「おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜」(浜口史郎)

2010年2月23日。サウンドシティのAスタに行きました。この何日か前におっちゃんから「今度、浜口さんの仕事がある」って教えてもらって、そのときに「多分‘おお振り’ちゃうんかなあ?」って言ってたんですが、案の定「おおきく振りかぶって 〜夏の大会編〜」の録音でした。この「おおきく振りかぶって」は、ひぐちアサさん原作による漫画で、2003年から講談社の「月刊アフタヌーン」で連載が始まりました。その後、2006年に「第10回手塚治虫文化賞 新生賞」を、2007年には「第31回講談社漫画賞一般部門」をそれぞれ受賞するなどして、2007年4月からは水島 努監督の下でアニメ化されてTBS系列などで放送されました。

その第1期シリーズの音楽も浜口史郎さんで、初回録音レポはこちら、その追加録音レポはこちらと、幸運なことに2回も取り上げさせていただくことができました。そして今回の第2期シリーズの録音も…ほんとに嬉しいし、ありがたい限りです(*^^*)

そうそう、前のシリーズの録音では、おっちゃんはケーナ・リコーダー・ティンホイッスル・篠笛など色んな楽器を使ったんですが、当時はまだホイッスルのキーが揃ってなくて苦労した部分も少なくなかったんです。で、今回また運よくスケジュールの調整がうまくいって新シリーズの音楽にも参加できたおっちゃんは、そんな前シリーズの録音を振り返って「あのとき、いまくらい楽器が揃うとったらもっと楽に出来て、もっと浜口さんの色んな要望に応えれたのになあ」と、ちょっと口惜しそうでした。こうなると「ほな、あのときにできんかったことを今回の録音で!」と思うんですが、皮肉なことに今回はフルートだけだったそうです(^^ゞ

ふむ…なかなか上手くいきませんねえ。でも、今回はフルートだけってことは、もしかすると前シリーズの音楽もそのまま使うってことなんでしょうか。あとでこの録音時の編成を書きますが、それを見てもちょっと小さめ?軽め?なんですよねえ。もし前シリーズのも続けて使われるとしたら、これは嬉しいんだけどなあ。桐青高校との試合で、マウンドでへたれ込んだ三橋くんにチームの皆が「オレたちが受け止めてやるから」って言って励ましたときの感動的な曲とか、コミカルなシーンでよく使われたおっちゃんのリコーダーが愛らしく飛び跳ねた感じの曲とか…とにかく、印象的で大好きな曲がいっぱいなんです。セリフや効果音のないサントラでじっくりと音楽だけを聴くのもいいんですが、またテレビを通して聴いてみたいもんです。


こちらはおっちゃんの入ったブースから見たフロアの様子です。

写真にマウスを乗せると中央にいるマサさんがアップになりますが、何やら指揮者席の譜面台の上にあるものに見入ってるようです。何があるんだろう…やっぱり譜面かな?

ん?手前にはビデオカメラがありますね。録音の様子を撮るのかなあ。単なる記録用なのか、いつかどこかで私たち一般人も映像として見られるのか…と思ったら、指揮が綺麗に見えないブースの中の人のためにこのカメラで指揮者を撮って、それをブース内のモニターで流すんだそうです。


この日の編成は、弦(マサさんのグループ:66442)、フルート(おっちゃん)、オーボエ(石橋雅一さん)、クラリネット(十亀正司さん)、ホルン(藤田乙比古さん他)、ギター(田代耕一郎さん)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(吉田俊之さん)でした。

ね?ちょっと軽めでしょ〜?
おっちゃんからは「野球のアニメってわりには、そんな緊迫感のある試合を連想させるような曲はあんまりなかったなあ。どっちかって言うたら、明るうて楽しい感じの曲が多かったわ(^o^)」なんて感想をもらったんですが、それでもそこには「浜口さん、こんな曲も書けるんか…!」と思わせるような、浜口さんの新しいテイストがいっぱいだったみたいですよ。浜口さんって「ワンピース」や「ああっ女神さまっ」から「たまごっち」や「ジュエルペット」に至るまで、ほんと作風の幅が広いですもんね〜。今度も楽しみだo(^-^)o


こちらは浜口さんとおっちゃんです♪
で、写真にマウスを乗せると、今度は浜口さんとマサさんの2ショットになります(^o^)

浜口さんはこの「おお振り」の音楽を書いてた同じ時期に「ジュエルペット」の書きも抱えてらしたんで、ほんとに大変な毎日だったと思います。何せ、曲数が半端じゃなく多いですからね〜。

でも、思ってたよりずっとお元気そうで、良かった良かった(*^^*)


ところで、今回のこの「夏の大会編」の見せ場の1つに、阿部くんの負傷シーンが挙げられると思うんです。どういう状況で怪我をするのかは原作を読んで方のないために伏せますが、何とも胸が詰まるシーンなんですよね。で、「おお振り」2期の制作が正式に決まって、その音楽を作っていくに当たって原作を読み直したという浜口さんも、このシーンではほんとに泣きそうになったって言ってた気がします。

…あ、何でこんな曖昧な書き方かというと、2期の制作が決まった2009年12月ごろに浜口さんに何度もメールの相手をしていただいて、作品に込める思いや作曲に向かうまでのエピソードなど素敵なお話をたくさん聞かせていただいたのに、しかもそれをレポに使おうとメールの保存だけはしてあったのに、その1ヵ月後に突然やってきたパソコン故障の際に全てのデータが吹っ飛んでしまったんですよね(>_<)

何はともあれ、浜口さんって見た目は格闘技系かスポーツジムのインストラクター系ですが(やっぱり高田延彦さんに似てる気がするなあ!)、中身はものすごく繊細で優しい方なんだと思います。確か、2008年に浜口さんが手がけられた映画「たまごっち うちゅーいちハッピーな物語!?(508番参照)」のときにも、その可愛くて笑えるキャラの裏に隠された意外な人間ドラマにウルウルしてましたもんね〜。普段のメールからも、とてもまっすぐでピュアで、それでいてどんなときでも相手への気遣いを忘れない、見習いたいと思うところがいっぱいの素敵な方ですよ(*^-^*)


こちらは多田彰文さんとマサさんですね♪
あ、何で浜口さんの現場に多田さんがいらっしゃるかと言うと、この日の代棒を多田さんがされてたんです。

多田さんの爆笑に近いような笑顔と携帯を手に持つマサさんっていう構図からして…思うに、マサさんが仲間内に毎日のように送ってる面白画像を見せてるとこなんじゃないかなあ。

このマサさんの面白画像についてはずっと前にブログのこちらにも書きましたが、あのころからずっと今も変わらず、ほぼ12時きっかりに色んな画像が送られてきてます。いや、ブログに書いたころよりバージョンアップしてるかも?(^^ゞ


さて、多田さんのお写真が出たところで、とっておきの動画を1つ♪
去る2月5日に行なわれた宮崎慎二さんのポケモンレポの中で「多田さんが作曲のほかに代棒もされることになった」ということを多田さんの素敵なコメントとともにお話しましたが、今度はその多田さんが指揮されてる様子を動画でお見せします。ただし、大人の事情で音は消してあります。しかも、動画撮影に関して事前に許可を取ってたわけでなく、おっちゃんが現場で機転を利かせてくれての盗撮状態なんで、すごく短いんです。でも、多田さんのカッコいい指揮っぷりはよく分かると思いますので、どうぞご覧ください(^_-)-☆

 

 

勇ましい指揮っぷりでしょ〜?
打ち込みに弦を被せてるときのものだそうで、現場の皆さんはイヤフォンで打ち込みを聴きながらやってるので、動画としては弦の音だけが聴こえてました。弦の音だけとは言え、緊張したシーンで使われそうな動きのある感じの音楽でカッコよかったですよ。先ほど「今回の録音ではソフトな雰囲気の曲が多かった」っぽいことを書いたので、これはその数少ない貴重な激しい曲の一部ということになります(^o^)

おっちゃんにとってこの多田さんの代棒というのはポケモンの録音に続いて2回目となるわけですが、今回も「もともと多田さんの棒はバッチリやし、宮崎さんのときと同じく浜口さんとも同じ事務所ってことで気心が知れとるだろうし…で、コントロールルームにおる浜口さんとのコミュニケーションもスムーズだったわ。浜口さんから細かい指示が出てもすぐに的確な対応をするし、さすがやと思うたなあ!」と、こちらも元気を分けてもらえそうなお話が聞けました。

余談ですが、前にアップした「刀語」というアニメの追加録音レポの中で「どうやっても自分では動画の音を消すってのができなくて、最後は松尾早人さんに‘代わりにやって〜!’って泣きついた」みたいなことを書いたんですが、実はそのときに今回の多田さんの動画も一緒に送って、その「音を消す」っていうのをやってもらいました。浜口さんのお仕事に同じイマジンの多田さんが代棒で参加され、さらには意外なところから松尾さんも参加です(^^ゞ

前シリーズは原作で言うと第8巻、西浦高校が桐青高校を下して1回戦を突破したところまでだったんですよね。今後、この西浦高校がどこまで駒を進められるのか…アニメの中で使われてる効果音は本物の高校球児がやってる練習の音を使う、スタンドでの応援曲も本物の高校生ブラスバンド部にやってもらうなど色んなところに熱いこだわりを見せているこの「おお振り」こと「おおきく振りかぶって」の第2期は、2010年4月1日よりTBSとMBSにて放送されます。どうぞ、お楽しみにo(^-^)o


 

 

527 映画ポケモン「幻影の覇者 ゾロアーク」(宮崎慎二)

2010年2月5日。サウンドシティのAスタに行きました。この日の録音については事前に宮崎慎二さんのお仕事ということは分かってたんで、おっちゃんと2人で「この時期やと…やっぱりポケモンかなあ?」なんて言ってました。とにかく、宮崎さんとは2009年11月に行なわれた田中公平さんの作家生活30周年記念コンサートで少しだけお話して以来なかなかゆっくりメールもできなかったんで、今回こうしてレポを作らせていただける機会に恵まれたことを嬉しく思っています(^o^)

さて、そのお仕事は案の定、2010年7月10日(土)から公開される映画「幻影の覇者 ゾロアーク」の予告音楽用の録音でした。全部で約10曲。予告音楽らしく、テンポが速く短いものが多かったそうですが、それでも細部まで配慮が行き届いた楽譜におっちゃんも感心しきりでした。おっちゃんがときどき声を大にして「よう書けとる!」って褒める作曲家さんが何人かいるんですが、宮崎さんはその中のお1人なんですよ(^o^)b

映画の公式サイトの「ストーリー&見どころ」というページを見ると、いくつかの画像とともにあらすじが紹介されてるんですが、またまた絵が綺麗ですよ〜。ポケモンの映画を観るといつも思うんですが、ほんと風景の描き方が見事なんですよね〜。で、私はその町並みから何となくイタリアのフィレンツェあたりを想像してみたんですが、どうやら今年はベルギーとオランダにロケハンに行ったみたいです。そのときの様子は、同じく公式サイトの「ロケハン」ページに何枚か写真が掲載されてますし、今後も増えていくみたいなので要チェックですよ♪


ところで、今回の現場では、いままでのポケモンの予告音楽録りと1つだけ大きく変わったところがあります。それは何と、宮崎さんと同じイマジンの作曲家である多田彰文さんが代棒を振られてたってことです。

…とは言っても、何も聞かされてなかったおっちゃんは、録音が始まるちょっと前にスコアを持って指揮台で広げてる多田さんに驚いて「あれ?今日は宮崎さんの仕事のはずやのに…?」っていう心の声がそのまんま表れたような顔をしてたら、多田さんの方から「代棒デビューです(^^ゞ」なんてお返事があったそうですよ(^o^)b

その後「オーディションみたいなものですよ(>_<)」「いやいや、バッチリですよ。多田さん、棒も上手いものね〜!」と、多田さんのお仕事で多田さんの棒を見て知ってるおっちゃんとの間で軽いやりとりがあって、録音は始まったようですが、この「代棒」について、ちょっと多田さんにお話を伺ってみました♪


その多田さんからは「いままで自分の曲で10年ほど指揮を振らせていただいて、今年からはほかの作曲家さんのお手伝いもしていこうと代棒を始めました」と、まずは代棒をされることになった経緯を聞かせていただけました。指揮法は、ホルンの藤田乙比古さんのアンサンブル仲間で、チューバ奏者&指揮者の大澤健一さんに教えていただいたそうですよ。この大澤さん、国立音楽大学と玉川大学でチューバやアンサンブル&指揮法などの講師をされてるそうですが、今までに、ハーツ室内オーケストラや東京シティ・フィル、それにドイツ学友協会管弦楽団や東京佼成ウインド・オーケストラにシエナ・ウインドオーケストラなども指揮をされてるという、すごい方のようです。

さて、ここで私に1つの疑問が…。いくら今回は宮崎さんという同じ事務所の作曲家さんだとは言え、同じ「作曲」というお仕事をされてる方からすると、ほかの方が書いた曲に触れるのに抵抗はないのかなあと思ったんですが、ここでとっても素敵なコメントをいただきました(^o^)

自分のプログラムではなくても、指揮をすることで作家さんと一緒によりよい音楽が作れることがとてもうれしく、まるで自分も一緒に書いたような気持にもなれて楽しいです。

…だそうです。どうです、思わず読みながら微笑んでしまいそうな良いコメントでしょ〜♪
多田さんとは田中公平さんの「ココロネSong ファーストライヴ」のときと、同じく公平さんの作家生活30周年記念コンサートの打ち上げの場でお会いしたことがあるんですが、こういう優しく楽しく、それでいて大きな器を感じさせるコメントがまさにぴったりの、素敵な方なんです(*^^*)

で、その多田さんによる指揮ですが、これがこの日の録音をスムーズに運ばせて、すごくいい感じだったそうですよ。おっちゃんは「多田さんと宮崎さんは同じ事務所で気心が知れとるやろし、多田さんはスタジオの諸々もしっかり心得とるし、この代棒は大正解やな♪」と嬉しそうに話してました。また、こうして多田さんが代棒をしてくださったおかげで、宮崎さんは普段はなかなかできないコントロールルームで音に集中しながら聴くっていうことができたみたいですし、何だかいいことがいっぱいあったみたいです(^o^)

そんなこの日の編成は、弦(マサさんのグループ:6422)、フルート&ピッコロ(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(庄司知史さん)、クラリネット(元木瑞香さん)、トランペット(菅坡雅彦さん・横山 均さん他1名)、トロンボーン(中川英二郎さん・松本治さん・山城純子さん)、ホルン(藤田乙比古さん他2名)、パーカッション(高田みどりさん)、打ち込み&オペレート(丸尾 稔さん)、指揮(多田彰文さん)、エンジニア(中村充時さん)でした。予告編のための音楽ということもあってか、少し軽めの編成だったみたいですね。

そうそう、多田さんのブログのこちらの記事では「代棒に必要な7つ道具」なるものを紹介してくださってます。すべて写真つきですし、それらをどういう時にどんなふうに使うのかを詳しく書いてくださってて、ものすごく面白いです。そして、よりスタジオでのお仕事の様子が分かって、ますますおっちゃんたちのお仕事に興味を持ってもらえるんではないかと思ってますので、ぜひ読んでみてくださいね(^_-)-☆

こうして全体の録音のあとにパーカッションの高田さんはダビングがあって居残りしてたそうですが、あとは全員すんなりと1時間で終わったそうです。そういえば、去年の予告編の録音は機械のトラブルが色々とあったんでしたっけ…それを思うと、ほんと今回は良かったねって感じですね♪

次はまた今年も6月ごろに本編の録音があるのかなあ…そのときもレポを作らせてもらえたらいいなあと思いつつ、いまはこれからあちこちで流れるであろう映画の予告音楽を楽しみにしているところですo(^-^)o

 

 

526 アニメ「刀語」の追加録音(岩崎 琢)

2010年1月29日。この日は岩崎 琢さんとのお仕事で、サウンドインのAスタに行きました。お仕事の内容は、2010年1月から月に1度60分の枠で放送されている「刀語」というアニメの追加録音です。この「刀語」に関しては初回録音のときもレポを作らせていただいてるので(こちら)、合わせて読んでみてくださいね♪

いつものように少し早めにスタジオに着いたおっちゃん。すると、ロビーには人があふれてる上にスタジオではクラリネットのダビングをやってたので、ちょうど空いてたお隣のBスタでしばらく時間をつぶしてたそうです。そうしてダビングが終わったのを見計らってスタジオに入ると、Aスタのメインフロアは弦セクションでいっぱい、木管とブラスはガラス戸で隔てられたサブのフロアに入るような配置になってたとか…。ブースの中の席によっては棒が見えないところもあるそうですが、そういうところには大型のディスプレイが設置されてたそうですよ。こうして、岩崎さんがあらかじめ用意してきてた打ち込みの音源に弦と金管と木管でのダビングするという形で、追加録音が始まったそうです。

あ、本題に入る前に初回録音の音楽について私が感じたことなんぞを少し…。このレポを作ってる時点では第2話までがオンエアされてるわけですが、その第1話の方の中で主人公の鑢七花(やすりしちか)に「本土の人間はどいつもこいつもこんなに喋るのか?」っていうセリフがあるんです。その言葉の通り、後に鑢七花の相方となる「とがめ(白い髪の女の子)」がほんっとによく喋るんですよ〜。そらもう某「渡る世間〜」のごとく、その場の状況説明から自分の気持ちや周りの人の気持ちまで喋りたおすんです。そのせいか、ちょっと音楽の音量が小さめかなあというのが私の印象です。でも、大きくするとあの長いセリフを聞き取れないでしょうし、このあたりは他の作曲家さんともときどき話題になりますが、ほんとに難しいところですね。

とにかく、まずは音楽に意識を集中して最後まで見て、2回目はセリフに注意してストーリーを理解しようと見てたんですが、気がつけばまた音楽に意識がいってて内容が理解できなくて、結局1つのお話を3回ずつくらい見ちゃってる私です。ほんと不器用というか、飲み込みが悪いというか…。そこで気づいたんですが、この「刀語」は使われる音楽の1曲1曲の尺が長いってことでしょうか。ほかの番組では、ちょっとシーンが変わるたびに音楽もころころと変わって、あとでサントラを買って聴いたときに「あら、この曲ってこんなに長かったん?」って驚くことが多いんですが、この作品は1人のセリフが長いから自然と1つのシーンも長くなるってことのほか、ちょっとシーンが変わっても音楽はそのままつながってることがあったりするんで、1曲をじっくり楽しむことができます。あとはまあ、そのいう音量かなあ(^^ゞ


そうそう、今回の岩崎さんの音楽の大きな特徴に、西田社中さんの民謡があると思います。これがほんとに、あの「刀語」の世界によく合ってましたね〜。そんでもって、すごいインパクト!

また、同じ西田社中さんの歌声でも、日本の民謡的な雰囲気のときもあれば、どこかインドの音楽のような雰囲気のときもあって、すごく面白かったです。

さらに言うと、個人的にはそのインドっぽい雰囲気の歌声の下で聴こえるサヌカイトみたいな綺麗な音は何だろう〜なんて気になってたり、第2話の冒頭で流れたフルートがメインのゆったりした曲が、初回録音のあとで岩崎さんに教えてもらった「オケをバックにした、おっちゃんメインの曲」のことなのかな〜なんて思ったり、とにかく聴きどころ満載でした(*^^*)


さて、ようやく今回の録音のお話なんですが、この日は全体的にタイトなスケジュールで、「テスト録音したものの出来が良かったら、そのままそれを本番テイクにする」なんて曲も少なくなかったようです。しかも、ゆっくりプレイバックを聴くこともなく次々と録っていったにも関わらず、ゆったりしたテンポで尺の長い曲が多かったので、おっちゃんたち木管さんも最終的には30分押しになってたとか…。ひょ〜ただでさえ岩崎さんの曲は難しいって聞くのに、こんなぶっつけ本番に近いような録音は大変でしょうね(^^ゞ
 
そんなわけで、ちゃんとプレイバックを聴いたわけではなく、イヤフォンから流れてくる音を聴いた限りの判断ではあるんですが、今回の岩崎さんの音楽は、特に打ち込みの部分が極めて精緻に作られてるなあという印象をおっちゃんは持ったようです。さらには「もう、あれは簡単に‘打ち込み’やいう言葉で片付けたらあかんのちゃうかってレベルだった気がするわ。あれにわしらの生オケが加わったらどんなサウンドになるんか、ゆっくり聴いてみたいもんじゃ♪」なんてことも言ってましたよ(^o^)

この「打ち込み+生楽器」には、いかにもシンセらしい音に生楽器を被せるもの、かなり生楽器に近いような音色の打ち込みのオケにいくつか本物の生楽器を被せるもの、同じ種類の楽器を打ち込みと生楽器でハモらせるもの(つまり打ち込みのフルートに生のフルートを被せるもの)などなど色んなスタイルがあり、それらをほぼ毎日のように聴いてるおっちゃんの耳に、今回は何かよほどキラッとするものがあったみたいですね♪


ところで、「初回録音レポ」の中で「次にチャンスがあったら、ぜひ岩崎さんの指揮姿の動画を…」なんて書いてたでしょ?

で、まずは岩崎さんに「あのぉ…今度の現場でおっちゃんに休みの曲があったら、デジカメで動画を撮らせてもらってもいい?」って聞いてみたんです。

そしたら「いいけど、旭さんは吹きっぱなしだと思うよ」「じゃあ、誰に頼もうかなあ…マネージャーさんはどうかな?」「マネージャーは無理だと思う…撮れる可能性があるのは金子さんかな?」なんてやりとりがあったんで、そのままフルートの金子奈美さんに伝えたときのお返事メールがこれです(^^ゞ


奈美さん、おかしいでしょ〜?(^o^)
しかも、こうした冗談と古いギャグ(?)の中にも「譜面が黒い」っていう 、岩崎さんの音楽の特徴をしっかりと表した一文もあって、なかなか素敵なメールだと思います。

で、このあと「ホントに素敵なのよねぇ〜韓流スターみたい私が韓流ハマりすぎか」「あらま、私も一時期ちょっと韓ドラ見てたけど、奈美さんも?」 「うんうん」「ほなもう、前みたいに‘岩崎先生’っていうんはやめて‘タク様’って呼ぶか…」「あははは〜それいいわカタカナでタクにするところがそれっぽいよね」「だろ〜?ほな、これでいこ…って、本人が知ったら何て思うかねえ」「だははは私らのメールも相当いけてるよね」なんて楽しいメールのやりとりもありました。ほんっと、奈美さんとのメールってノリがよくて、読んでると思わず声に出して笑っちゃうほど楽しいんです。

そんなオモロイ奈美さんのご紹介と、この場を借りて岩崎さんにも、奈美さんと私との間でのみ「タク様」呼び決定のご報告でした(^^ゞ

こうして、快く承知してくれた奈美さんが撮ってきてくれた動画っていうのが↓なんですが、著作権などの関係で音は消してあります。無音というのでちょっと不思議な感じがするかもしれませんが、ぜひ岩崎さんの華麗な指揮っぷりと、ブースの中にいるミュージシャンの視点っていうのを感じてみてください。ちなみに、前にブログのこちらにも書きましたが、この「動画から音だけ外して無音にする」っていう加工は色んな方からアドバイスをもらったにも関わらず出来なかったボンクラな私のために、最後はエンジニアの伊豫部さんがやってくださいました〜!(岩崎さんと伊豫部さんは1回目2回目の飲み会で面識があるし、そのまえに一緒にお仕事をしたこともあったとか何とか…)

あ、再生の前にちょっとだけ状況の説明をすると、動画全体を通してずっと小さな音でストリングスが鳴ってます。これはおっちゃんたちのいるブースのガラスの向こうにいる弦セクションの音が漏れ聴こえてきてるんです。で、その弦と岩崎さんの指揮に合わせて、オーボエの庄司さんのソロ→おっちゃんのソロ→クラリネットの山根さんのソロ→庄司さんのソロ…と順番に吹いていくんです。フルートの運指が分かる方は、この動画を見ただけである程度のメロディーが浮かんでくるかもしれませんね。まあ、そんな状況を想像しながら、ではどうぞ〜♪

 

どうでしたか?
奈美さんのいう「韓流スターみたい」かどうかは分かりませんが、岩崎さんの指揮姿は素敵でしょ〜(*^^*)
あ、動画の中に写ってたモニターは、実は隣にいたブラスの人たちのためのものなんです。でも、すでにブラスは録音を終えて帰っちゃってたし、おっちゃんたちの場所からはちょっと棒が見えにくかったってのと、モニターに映ってる岩崎さんも撮影したいっていう奈美さんの計らいで、無理矢理こっちに向けちゃってるそうですよ〜。

この動画、今まで色んな人から「棒を振る姿が素敵なのよ♪」って聞かされてた念願の岩崎さんの指揮姿が見えるのと同時に、ブースから見るスタジオ風景、しかもガラス越しに…またはモニター越しに指揮者を見て、それに合わせて演奏するっていうミュージシャンの皆さんの様子がちょっとだけ体感できて、ものすご〜く気に入ってます。この動画の中の音楽がオンエアで流れたら、ブログででも「これがあのときの音楽!」ってご紹介しますね(^_-)-☆

で、実はあと2つほどこうした現場での動画があるんですが、その「音を消す」っていう処理ができてないんです。さすがに2つも3つも伊豫部さんにお願いできませんしねえ…。そんなわけで、今度は自分で頑張ってみて、音を消す処理ができ次第ここにアップしていきたいと思います。何ていうか…その処理ができるのを待ってたら第3話がオンエアになっちゃうんで、まずは動画1つで見切りアップってことで…(^^ゞ

…とレポをアップした当時には書いてたんですが、無事に残りの2つの動画も「音を消す」処理ができました。ただ、今回も自分ではどうにもできなくて、今度は松尾早人さんにやってもらっちゃいました。それも、とある深夜0時前後にほぼチャット状態で「クィックタイムプレイヤーのバージョンは何?」「バージョンって、どうやって見るん?」「バージョンの見方はね…」「次はメニューバーの…」「メニューバーってどこ?」「メニューバーはね…」って感じで何度もド素人級のメールに付き合ってもらいながらトライしたものの、結局「もうあかん。お願い…動画をそのまま送るから、音を消したのを作って送り返して〜!」ってことになって、ようやく完成しました。このときのさらに詳しい状況はブログのこちらにも書いてありますので、合わせて読んでみてください。ほんと、いつも優しく根気づよく応対してくれる松尾さんには感謝感謝です。おかげで、またまた素敵な岩崎さんの指揮姿をごらんいただけると思います。それでは、2つ続けてどうぞ♪

 

 

 

 

そうそう、この日の面白エピソードを1つ。初回録音のときに続いて今回も「とがめの○○」「とがめの△△」って感じで「とがめ」っていうキャラのための曲がいくつかあったそうなんです。それを見たオーボエの庄司さんが「これ面白いから、十亀さんに送ろう!」なんて言って、携帯でその楽譜の写真を撮って、クラリネットの十亀さんに送ってたそうですよ(^^ゞ


これはオマケ画像として…(^^ゞ

実は、岩崎さんのお誕生日に「おめでとうメール」をさせてもらったら、そのお返事のときに1月29日に「刀語」の追加録音があることを教えてもらったんです。でも、その時点ではおっちゃんが参加するかどうかは分からなかったんで、さっそく「もしかして、29日に岩崎さんのお仕事がある?」って聞くと「ほうじゃ、あるある〜♪」との嬉しいお返事が…!

そこから先ほど書いた「動画を撮ってもいい?」って問い合わせメールを岩崎さんに出すに至るわけですが、そのときの最初のお返事が右のようなものだったんです。こんな画面で下にいっぱい余白があって、それをずっとスクロールしていくと…右の写真にマウスを乗せたときのような画面になったんです(^_^.)

まあ、このあとすぐ「うそだよ、どうぞ♪」ってお返事が来たんですが、こうしたちょっとしたイタズラっぷりも岩崎さんの魅力の1つかなあなんて思ってる私です(*^_^*)


この日の編成は、弦(今野 均さんのグループ:86442)、フルート&ピッコロ(おっちゃん・金子奈美さん)、オーボエ(庄司知史さん・浦 丈彦さん)、クラリネット(山根公男さん・女性)、ファゴット(井上俊次さん)、トランペット(2)、トロンボーン(2)、ホルン(西條貴人さん他)、指揮(岩崎 琢さん)、エンジニア(Yoshi Tamlaさん)でした。ごらんの通り、木管はファゴット以外は2管編成、弦も86442なので、劇伴の録音としては大編成の部類に入るみたいです。

余談ですが、この日おっちゃんたち木管さんより先に帰った金管さんが入っていたブースは、四季を問わず、何故かそこだけがいつも妙に寒いことで有名なブースなんですって。いや〜ん、それ何か出るんちゃうの〜?スタジオって、そういう話が多いらしいし…。あ、いやいや…それで、この日も金管さんが「寒い〜っ!」って騒いでたらアシスタントさんが電気ストーブを持ってくるという、いまどきのスタジオとしては珍しいエピソードもあったようですよ。

あと、おっちゃんや奈美さんからは「不思議な雰囲気の打ち込みに巧みなオーケストレーションが見事に融合するって曲があったり、しっぽりしたいい雰囲気の曲があったり、今回も岩崎さんの新しい引き出しを感じる、すごくやりがいのある音楽ばっかりだった。だからこそ、ほんとはもっとじっくり時間をかけて、しっかり味わいながら演奏したかったなあ(>_<)」とのコメントがありました。これにはスタジオの都合とか他のミュージシャンの都合とか色んな事情があるのかもしれないんで何とも言えませんが、おっちゃんたちがこんな気持ちを抱いてしまうのはちょっと残念かな…でも、それと同時に、おっちゃんたちにこんなふうに言わせてしまう岩崎さんの音楽、ほんとにすごいなあって思います♪

そんな岩崎さんの音楽の魅力がたっぷり詰まった待望の第3話は、フジテレビが3月 8日(月) の深夜、 毎日放送が3月10日(水)の深夜、BSフジが3月27日(土)の深夜に放送予定です。どうぞお楽しみにo(^-^)o

 

 

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